ЯVRが譲れないその理由を他車から紐解く第二弾。
当時としてパッケージコンセプトの似通った二つの車に登場願おう。
まずはマツダのSサイズミニバンの嬌矢である初代ことCPプレマシーだ。
マツダが初めてコンパクト3列座に着手した車である。
タダこの車が思い切ったのは3列座を略した5人乗りをラインアップに加えていた。
シャシは走りが自慢のカペラと共用でエンジンも1.8/2.0lDOHCと奢られていた。
スリーサイズも3列座で2列座のЯVRとほぼ伍し、取り回しの良さを謳い挙げていた。
一方でホンダは当時やっとRV市場に舵を切ったステップワゴンを思い切って鉈でちょん切った。
S-MXである。
ステップワゴンの3列座とソコに要するクリアランスを丸ごと文字通り切り詰め、エンジンは据え置きの2.0lDOHCだからミニバンにしては機敏だ。
サイジングは短く高くとそちらも潔い。特に4mを切った長さは秀逸。ただ重さはプレマシーほど軽くできなかったようだ。
この2車と比べてみる。
走りのパッケージだが、ここでは過剰マージンを取ったЯVRがシャシ面では抜きん出ている。
何しろトップグレードにターボを頂きソコに備わる4WDもギャランVR4譲りと半端じゃない。
時節柄SUVは謳わなかったがイマドキのソレを上回る駆動性を身につけててスポーツギアに至っては本格SUVを謳うフォレスターと伍する。
これはターボの無いモデルでも駆動系は同じだからもはや格が違う。
ただ、半端なく重い。エクシード4WDになるとターボじゃなくても基本1.5t越えは税制面でも不利になる。
これをミニバンの欠点と採るかどうかで話も変わるが、あまり褒められた要素じゃない。
バランスが取れたのはプレマシーという事になる。
一度7人乗りに試乗したのだが非常に安定感のある操縦性があった。3列座ワゴンにありがちな引き摺り感も薄い。
やはり運転まで愉しもうモノならこのサイズまでが限界だ。
S-MXは乗ったことがないが、コストマネジメントの厳しかったステップワゴンがベースなうえに4WDが三菱のモノとは比較にならないほど非常用に終始してることから、基本的構造には疑問符が拭えず、軽さ以外に頼る面は少ないかと思われる。
~但し簡便に作られてるとも言え、丁寧に使えば巧く長寿が図れる(後記)
ドアはプレマシーが普通のヒンジ4ドア、S-MXはヒンジながら右後ろがЯVRと同じ省略された1-2ドアだ。
プレマシーは次代でスライドドアを採用したが、拡幅の3ナンバーでは魅力になり得なかった。
また
非対称ドア車のキャビンの魅力は申し上げた通り。
キャビンに目を移そう。ここは全く三者三様だ。
リアにペアリムジンシートを奢ったЯVR、まったくの5人乗りスタンダードで落ち着いたプレマシー。
ソコにS-MXは「走るラブホ」を標榜して他社を呆れさせた。
そう言うと語弊が先に回るが、要はシートアレンジをフルフラットに特化したのだ。
逆に言うとベンチシートが前後2脚なので前後ウォークスルーも無ければバケットシートもあり得ない。
ЯVRのフロントシートはフロントが異状にバケットシートでフルフラットにした時もかなり凸凹してしまう。
一長一短だがやはりベンチシートで運転を愉しめはしない。ここはどうもホンダらしくない。
と言うかイチイチ鼻に衝くのはホンダのRVの扱いのズレだ。
あれだけドライビングプレジャーを謳ってたホンダがRVに至っては運転させる気を疑う車が多い。
駆動メカの等閑さも加えてどうしても評価を落とさざるを得ない。
とまぁ、独り二人で好き放題に使うか、家族がちゃんと座れるシートにするか、ふたりでイチャコラ(以下略
と、全くベクトルが違うんである。
こんな感じで私から言えばЯVRが贅沢、プレマシーは堅実、S-MXにはもはや着いて行けない。
ここまで言ったんだから、中古車市場も参考にしてみようか。
まずЯVRはタマ数自体が少ない。対して2車は選択の余地を思う存分余してる。
売れた数が桁違いだったんだなぁ(T_T)。
大雑把に見ると、プレマシーの物件の走行距離が異常に短い。
偏見からS-MXの方がと思ったが、こちらの方が8~10万km走行の比率が高い。
プレマシーは6万km未満が多い。
ちなみにЯVRは10万km超えが珍しくない(T_T)。
~加えてЯVRは肝心のGDIの評価が異常に悪く、ソレで流通数を落としてるとさえ思われる
まぁ中古物件の走行状態が車の寿命を語るとも言えないが、傾向的に気にはなる。
けっきょくこれらは「似て非なるモノ」な訳だ(^_^;)。