
エンジンオイル交換の作業をお願いしている間に試乗してきました。
以前からVWのディーゼルには興味津々なので、楽しんで来ましたよ。
エンジン音や振動は大きめですね。
とはいえ、ヨーロッパのディーゼル車は大抵こんなものかと思います。
個人的には不快さを感じる不整脈の様な脈動や振動が無いので、不満には思えませんでした。
ヨーロッパではエンジンには単に静粛さだけを求めるのではなく、不快さを伴わなければある程度の音や振動はエンジンの個性として受けとめられているのかな? そんな土壌がある様に思えます。
結論から言えば、ガソリンかディーゼルかはクルマの使用用途と振動や音を秤にかけ、どちらを優先して選択するのか?
そんな印象を受けました。
其々に異なる資質の心地良さを感じるのも悩ませる要素となるのかも。加えて価格差も思った程は開いてない様ですし。
そんな訳で細かな印象を。
外観の特徴はグレードを示すエンブレムが無くなった事でしょうか(笑)
2018年モデルからはディーゼルに限らず通常のモデルは無くなったそうです。
それと、増大したパワーに対応してホイールが大きくなっていますね。
内装は木目パネルが装着されて落着いた印象で、走りの印象にも通じるものを感じます。
試乗に出ます。
前述した様にエンジンの音と振動はディーゼルらしさを感じます。
逆に強固なエンジンマウントとステアリングの精度感やダイレクト感を持ち合わせたままにこの程度に振動を抑えているのは、ソレだけシャシ&ステアリング剛性が高いからかな?とも思えますね。
走り出すと乗り心地を犠牲にしない程度に、ガソリン車のTSIよりも足回りが硬められているのが解ります。
VW車の特徴として硬めの足回りでも脚の動きにフリクションはそこまで感じないので、クルマの上屋の動きを抑えた分 路面からタイヤへ伝わる当りが相応に強まった感じでしょうか。
ソフトなタッチが心地よいTSIに対して、しっかり感を感じるドイツらしいTDIといったニュアンスですね。
エンジンが大きくなりフロント荷重が増えたとはいえ最初は何故に足回りをここまで引き締めたのだろう?と思いましたが、後でアクセルを踏んづけてみると理由が良く解ります。
そのパワーフィールですが、フツーにアクセルを踏む分にはスペック程のパワーは感じません。
これはDレンジで通常のアクセルの踏み方ではスロットルを易易とは開けない制御になってるからでしょう。
かといってアクセルワークに対して全くスロットルが反応しない訳ではなく、微妙なアクセル開度にちゃんと反応して繊細にスロットルを開けてくれるので見事なものです。
お陰様で気を遣ったアクセルワークをしなくて済みます。
そんな事から市街地走行時はとても有効な制御で関心します。結果的に流れについて巡航させるのがとても楽ですからね。
この辺り、他社のディーゼルはパワー感を強調しすぎるのかタービンの回り始めの制御が上手くないのか、突飛なパワーの出方をするので大トルクを持て余し気味になるのが嫌な部分であったり…
そもそもファミリーユースなクルマで、自分が想像した分だけの過不足ない加速力を得られないのはストレスが募ります。
遊びクルマでシャシのセットも相応に手向けられていたら、過激な設定でもヒャッホー!と喜んでしまいますけどね(笑)
また、交通の流れをリードしたい加速が欲しい時や上り坂でアクセルをさらに踏み込むと、アクセル開度に呼応して自分が欲しい分だけのディーゼルらしいトルクを開放してくれます。
具体的に言えばTSIで1段もしくは2段ほどキックダウンして加速するところを、TDIでは変速なしに強大なトルクで大排気量車の如く余裕の加速をしてくれるという事ですね。
この感覚はディーゼルらしくて気持ち良いです。
その時のパワーの出方も鋭すぎず鈍すぎず、ファミリーカーとして使うなら最適なパワーの出方をするので好感が持てます。
Sレンジでアクセル全開にしたら…
アクセルを踏んだ瞬間に少しだけパワーを絞らせてからフルパワーになる様で、ジェントルさとトラクションを確保しながらスペック相応の爽快な加速をするのでさらに楽しく感じてしまいますね(^_^;)
これみよがしなスロットル制御になっていない、クルマのキャラクターに合わせた実用性を重視している所にVWの気質を感じます。
なので、これがGTDだと演出されたスロットル制御になるのだろうな… そんな気はしますね。
ハンドリングですが、上記のようなホットなエンジンパワーに対応すべくタイヤの設置性を確保する為にホイールを大きくして足回りを引き締められている訳ですね。
お陰様で緻密なスロットル制御と相まってトラクション不足は感じませんでした。
そして、しっかり感を伴ったままに大柄ボディにしては軽快な鼻先の回頭性で意外に楽しめてしまうのは嬉しい副産物とでもいえましょうか。ボディの動き…ロールやピッチングの振り返しなども最小限でコントロールが楽なので。
ブレーキによる荷重操作に対してフロントの舵の入りがリニアに反応して鼻先の向きを変え、リアもフロントのロール量に合わせて安定感を損なわない程度に動いて、旋回を助けてくれます。
ゴルフ7.5に通ずるフロントのグリップ力と前後バランスと言えるかな?
それに付け加えて、ここでも緻密なスロットル制御です。
コーナリング中にワザと大きめにアクセルを踏んでも、タイヤが逃げる前にドライバーにはソレとは解らない範囲でスロットル制御が入ってホイルスピンとパワーアンダーを消してくれています…
クルマ全体のパッケージの緻密さや上手さ高度さに、改めてVWの凄さを感じる次第です。
そんな事から利点と欠点が解りやすいので、最初に書いた結論へと繋がる訳です。
とはいえ、ガソリン車もディーゼル車も共に質の高さを感じる出来映えなので悩ましいですけどね。
まぁ、ライバル車とは価格や質感、使用感も含めてどうだと言われると詳しく解らないので何とも言えませんけど(^O^;)