
本日は7月9日にフルモデルチェンジが発表され、発売が開始されたダイハツ タントに試乗しました。試乗グレードは標準モデルの量販グレード、X(1,463,400円/CVT/FF)とカスタムのターボエンジン搭載の最上級グレード、カスタムRS(1,749,600円)になります。
【エクステリア】

X フロント ボディカラーはマスタードイエローマイカメタリック

カスタムRS フロント ボディカラーはレーザーブルークリスタルシャイン

X リヤ

カスタムRS リヤ
軽自動車規格の中で、室内の広さを最大限に確保しなければならないという中で、モデルチェンジごとに変えられる部分があるとすればヘッドランプ類やバンパー、グリルのデザインくらいかと。標準モデルについてはフロントスタイルはどこか初代タントを思わせるようなデザインになっていますね。カスタムについては代を重ねるごとに「厳つさ」が薄れ、標準モデルとの差異が少なくなってきているように感じます。
【インテリア】

X ダッシュボード

カスタムRS ダッシュボード
今回のモデルチェンジはプラットフォームの一新、新開発エンジン及びCVTの搭載といったところにコストがかかっているせいか、インテリアについては必要最低限のコストしかかけられなかったようで、ホンダ N-BOXやスズキ スペーシアといったライバル車はもちろんのこと、先代モデルよりもあっさりとしたというか、事務的なインテリアになった印象です。特に標準モデルはシートやドアトリムのグレーカラーが事務的な印象を一層強めている印象を受けます。
ただ、プラットフォーム一新の恩恵で静粛性は向上していて、NAエンジン車でアクセルを踏み込むシーンでも十分な静粛性が確保されているように感じました。
【シート】

X フロントシート

カスタムRS フロントシート
フロントシートはシートアレンジを優先した結果、バックレストもクッションもサイズが少し小さいことが残念に感じることを除けば、硬めでしっかりとした掛け心地で少し長めのドライブにも十分対応できるシートかなと思いました。
残念なのはシートポジションで、アクセル/ブレーキペダルに合わせてシートポジションを合わせようとすると、ステアリングがちょっと遠く、少し前かがみ気味な姿勢になってしまうことですね。これはステアリングのテレスコピック機構(前後調整)装着で解決できる部分なので、今後の改良でテレスコピック機構の装着が望まれますね。
【エンジン・トランスミッション】

トランスミッションは全車CVTのみの設定
Xは660CC直列3気筒DOHCエンジン(52PS/6.1kgf.m)、カスタムRSは直列3気筒DOHCターボエンジン(64PS/10.2kgf.m)が搭載され、組み合わされるトランスミッションはCVTになります。
プラットフォーム一新により軽量化されたとはいえ、Xでも車両重量が900㎏あるため、NAエンジンでは平地の走行でも少し「荷が重い」印象で、アクセルを踏み込めば十分な加速力があるものの、うるさくない程度にエンジンが唸っている、そんな印象です。
カスタムRSに搭載されるターボエンジンは従来型のエンジンよりも「ターボ感が強め」で、アクセルの踏み込み以上に加速してしまう印象でした。従来型のエンジンはまるでスーパーチャージャーのようなリニアな加速で扱いやすい印象があったので、今後の改良でもっとチューニングを詰めていってほしい印象です。
新たにギアを組み込んだCVTについては、今回の試乗では正直なところその「変化」を感じ取るところまではいきませんでした。
【サスペンション・乗り心地】

Xに装着されていたタイヤは155/65R14 ブリヂストン エコピアEP150

カスタムRSに装着されていたタイヤは165/55R15 ブリヂストン エコピアEP150
フロント・ストラット/リヤ・トーションビームで構成されるサスペンションはDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の考えに基づきプラットフォームが一新されたことで、従来モデルから飛躍的に「乗り心地」と「操縦安定性」が向上しています。
走り始めて100mも走らないうちに従来モデルとの圧倒的な差を感じることができます。まず感じることはリヤスタビリティの高さ。リヤタイヤが路面をしっかりとグリップしていて、その「安定感」はライバルのN-BOXやスペーシアを上回ります。また、カーブに差し掛かった時に少しステアリングを大きく切って曲がってみたところ、1,755㎜の全高でありながらロールをほとんど感じさせずに曲がり切った性能には本当に感心してしまいました。
乗り心地についても、従来モデルはスプリングを硬くすることで操縦安定性を確保していたため、硬めで突き上げを感じることもあった乗り心地だったのですが、この新型ではプラットフォームが一新されたことでフロア剛性が上がったことで操縦安定性が向上したためスプリングを硬くする必要がなくなり、フラットで突き上げの少ない乗り心地になりました。このフラットな乗り心地についてもN-BOXやスペーシアを上回っているように感じました。
試乗していて気になったのは、14インチタイヤと15インチタイヤのサスペンションセッティングが共通となったため、15インチタイヤを装着するカスタムRSについては、その15インチタイヤがオーバースペックとなって荒れた路面ではリヤ側を中心にボディがあおられるように左右に「グワングワン」と揺れてしまうことですね。プラットフォームの素性は間違いなくいいので、今後の改良で15インチタイヤを履きこなすサスペンションチューニングを行ってもらいたいです。
【総括】
プラットフォームを一新し、新開発エンジンの搭載などかなり気合の入ったモデルチェンジであり、特に14インチタイヤ仕様ではこの「スーパーハイト系」と呼ばれるモデルにおいて、これまででは考えられないような走りっぷりに驚き、やっとこのカテゴリーでもその「走り」に納得のできるモデルが登場したかなと思いました。
現状では走りのバランスの良い、14インチタイヤ仕様のXターボがおすすめでしょうか。カスタムRSを検討している方は15インチから14インチへとタイヤのインチダウンも考慮にいれてもいいかと思います。
プラットフォームの能力の高さは十分に実感できました。今後登場するダイハツ車がとても楽しみになりました。
【おまけ】

カタログも比べてビックリ‼本家タントよりもOEMのシフォンのほうが紙質も良くページ数も多い!(タント:30ページ/シフォン:43ページ)
しかも、個別の装備の解説や小物入れの位置などはシフォンのカタログのほうが詳しく述べられていたりします。
スバルさん。こんなに力入ってるカタログ作るなら全国に試乗車を配備しましょうよ。今のままではもったいないですね。
このブログの撮影機材
カメラ Panasonic LUMIX G8
レンズ LUMIX G X VARIO 12-35/F2.8 ASPH. POWER O.I.S.
ブログ一覧 |
試乗 | クルマ
Posted at
2019/07/27 09:53:01