
3月20日にフルモデルチェンジが発表され、発売が開始されたフォルクスワーゲン ポロに試乗しました。試乗グレードは現在導入されているグレードの中では最上級グレードのTSI Highlineです。今回は奥様の所有する先代ポロと比較を交えつつの試乗記になります。項目によっては厳しい記述もあるかとは思いますので、その辺はあくまで「個人の見解」ということでご了承いただければと思います。
エクステリア

新型ポロ フロント

新型ポロ リヤ

先代ポロ フロント
プラットフォームが上級モデルのアルテオンやゴルフにも採用されている「MQB」に刷新されたこともあり、ボディサイズは全長が65㎜、全幅が55㎜拡大されそれぞれ全長4055㎜、全幅1750㎜となりました。それに対し全高が10㎜低く、1450㎜となったことで先代モデルよりもロー&ワイド感が強調されています。エクステリアデザインはキープコンセプトで、ウインドゥの下にラインを入れることによって勢いを表現したのかなと感じました。
全幅の1750㎜は普通に走っている分には気にはならないですが、やはり狭い路地などでは運転時に気を遣う幅になったかなと感じます。このポロに限らずすべてのクルマに言えることですが、衝突安全性能確保のためにやむを得ないとはいえボディサイズの大型化はそろそろ歯止めがかからないものかと思ってしまいますね。
インテリア

新型ポロのインテリア

先代ポロのインテリア

新型ポロのニークリアランス 身長172㎝の私で10㎝強あります。

先代ポロのニークリアランス 身長172㎝の私で5㎝くらいです。

(参考)ホンダ フィット RS Honda SENSING のインテリア
インテリアは厳しいコスト管理の影響を最も受けた部分になります。
広さについてはボディサイズやホイールベース拡大の恩恵により縦方向(室内長)が大人4人が普通に座れる広さになり、感覚的にはフィットにはかなわないもののヴィッツと同等の広さで、デミオやスイフトよりは広さを感じますね。横方向(室内幅)についてはが外寸1750㎜の全幅があることもあって、先代アクセラ(全幅1755㎜)と同等の広さがあるように感じます。
次にクオリティの部分ですが、先代ポロは明らかに「過剰品質」のレベルであったとするならば、新型ポロは「適正品質」になったかな、と感じました。厳しいコスト管理により削除されたものは、気づいたところでは運転席に直接取り付けられていたアームレストは新たに設定されたコンソールボックスの蓋と共用されていたり、ドアトリムのファブリックについてはドアアームレストの部分のみに限定されトリムの大部分が成形ボード化されていたりなどです。インテリアのクオリティの感じをわかりやすく言えば、ヴィッツ・ノート・スイフトよりはクオリティが高く、フィット・デミオと同等レベルかと。先代モデルのインテリアはインプレッサ並みのクオリティがあったように思うので、インテリアの造り込みにおいては国産コンパクトカーとの差は縮まってきたのかなと感じました。
シート

新型ポロのフロントシート

先代ポロのフロントシート

新型ポロのリヤシート

先代ポロのリヤシート

(参考)トヨタ ヴィッツ U Sporty Package のフロントシート
シートについてはインテリアの項目でも触れたとおり、空間が広くなった恩恵を受けて先代モデルよりも大型化されました。掛け心地についてはやや硬めでヴィッツの標準モデルに採用されているヘッドレスト分離型シートと同等レベルの掛け心地で、フィット・デミオ・スイフトよりも掛け心地は良好ですね。生地についてもなかなか上質なものが使われているかと思います。ただ、先代モデルのシートと比較するとクッションがやや平板に感じる部分がありました。先代モデルはやや硬めの掛け心地ながらクッションのフィット性が高く、腰からおしりの部分がキッチリとホールドされます。ここでも先代モデルは「過剰品質」だったのだなと感じました。
エンジン・トランスミッション
1000CC 直列3気筒DOHC直噴ターボエンジンと乾式7速DCTの組み合わせになります。
今回新たに搭載された3気筒直噴ターボエンジンの音振性能は素晴らしく、先代ポロに搭載されていた4気筒1200CC直噴ターボエンジンと全く遜色のないもので、3気筒エンジンと言ってもらわなければ全く気付かないほど振動が少なく、静粛性もしっかりと確保されています。
加速性能は1500CC+αの加速力で発進直後から20㎞/hまではフィット RSよりも加速力はあります。先代モデルと比較して排気量がダウンしていることを感じる部分ととしては、前方の交通状況により前方車両の減速に合わせて減速したときの再加速が若干先代モデルよりも緩慢でアクセルの踏み込み量が多くなるかなといったところでしょうか。
組み合わされる乾式7速DCTはスムーズで素早い変速をしてくれるものの、アイドリングストップからの発進時に若干ギクシャクした挙動を示すことがありました。このあたりは慣れが解決してくれる部分でもあるかとは思います。
サスペンション・乗り心地

装着されていたタイヤは195/55R16 コンチネンタル コンチプレミアムコンタクト
今回プラットフォームが最新の「MQB」に刷新されましたが、サスペンションを中心とした走りの能力については先代モデルと同等レベルかな、と感じました。しかしサスペンションチューニングは素晴らしく、操縦安定性と乗り心地を高いレベルで両立していて、この部分ではヴィッツ・ノート・デミオ・スイフトの標準モデルとは明らかに差がある部分ですね。
乗り心地は先代モデルよりもソフトなセッティングとなり、街乗りなどの低速走行時の快適性は向上していて、一般的には多くの方に受け入れられるような乗り心地になっているかと思います。乗り心地のテイストは現行フォレスターのD型 XTと似た感じの乗り心地で、この表現からして国産コンパクトカーとの差を感じていただけるかと思います。反面、ソフトなセッティングとなったことで不整路面走行時の「揺れ」の収束は明らかに先代モデルよりも悪くなっています。これはひょっとすると16インチタイヤの影響もあるかもしれません。15インチタイヤであればまた印象も変わってくるかもしれません。
カーブを曲がる時の安定性も良く、リヤをしっかりと路面に追従させてフロントが曲がっていく理想の形であり、フロントノーズも入りも過敏すぎることも緩すぎることもなく、安心して曲がれる感じです。ブレーキもリヤブレーキがドラム式になったとのことですが、制動力は素晴らしく国産コンパクトカーよりも優れています。
ただ、先代モデルのやや突き上げのある乗り心地なんだけど、骨太で硬質な他のクルマを圧倒するかのような感じは若干薄れたかな、と感じる部分もありました。先代モデルを表現するならばレヴォーグのD型GT-Sのようであり、新型モデルがフォレスターのようであるということでその差を感じていただければと思います。
総括
フルモデルチェンジしたポロですが、昨年ティグアンに試乗した時に感じた「適正品質」化が一層進んだモデルになったように感じました。「走り」の部分においてはまだまだ国産コンパクトカーとの明確な実力差があるように感じましたが、インテリアのクオリティなどは国産コンパクトカーとの差はあきらかに縮まっているように感じました。
今回の試乗記はたまたま先代モデルのポロを所有していたため、このクルマを賞賛している自動車メディアとは異なり厳しい評価となってしまいました。これは先代モデルを所有している贔屓目というわけではなく、乗り比べてしまうと明らかに感じ取れるのです。さすがに先代モデルのポロを超える国産コンパクトカーは登場しないと思いますが、新型ポロであれば国産コンパクトカーでもひょっとしたら追いつけるかもしれません。特にTNGA化されるヴィッツ後継車には期待していて、C-HR並みの造り込みであればそれは十分可能かなと。
いずれにしてもこのクルマもまだデビューしたばかりであり、今後の追加グレードや年次改良も行われていくので、今後の熟成に期待していきたいと思います。
このブログの撮影機材
カメラ Panasonic LUMIX G8
レンズ Panasonic LUMIX G X VARIO 12-35㎜/F2.8 ASPH. POWER OIS
Posted at 2018/04/14 17:30:10 | |
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