
本日は8月下旬から9月上旬にかけて人気の軽ハイトワゴン3車に試乗しました。その3車は8月31日にモデルチェンジしたホンダ N-BOXと、その最大のライバルであるスバル シフォン(ダイハツ タント)、そしてマツダフレアワゴン(スズキ スペーシア)の3台です。それぞれ試乗グレードはN-BOXはノーマルモデルのG・EX Honda SENSING、シフォンはカスタムR Limitedスマートアシスト、フレアワゴンはXSとそれぞれノンターボモデルで比較することとしました。
今回の試乗記では記述の都合上、スバル シフォンをダイハツ タント、マツダ フレアワゴンをスズキ スペーシアと読み替えて記述を進めていきます。
エクステリア

N-BOX

シフォン(タント)

フレアワゴン(スペーシア)
軽自動車規格の中でエンジン前置きで室内スペースをギリギリまで広げているというこもあり、フロントフェイスやリヤのテールランプなどのディテール部分を除いては形に大きな違いはありません。
N-BOXは先代モデルが人気が高かっただけに超キープコンセプトでフルモデルチェンジされ、タントも2回フルモデルチェンジしていますがキープコンセプトでモデルチェンジしていて、スペーシアも名前は変更されていますが、その母体となったパレットのキープコンセプトとなっています。
インテリア

N-BOX

シフォン(タント)

フレアワゴン(スペーシア)
さすが軽自動車の人気カテゴリーのクルマたちだけあって、クオリティに不満の出るクルマはありませんでしたが、その中で順位を付けると
①N-BOX
②タント
③スペーシア
の順になります。
N-BOXは国内のホンダの販売主力モデルというこもあって、使用している素材は普通レベルながら見せ方が上手く、軽自動車の中でも1、2を争う高級感があります。今回のモデルチェンジでメーター類が上方へ移動しましたが、視界は悪くなっていません。ただ、蓋つきの収納は容量の小さなものが多く、特にグローブボックスは車検証しか入らないのが欠点ですね。
タントはセンターメーターが採用されていて、このメーター部分を含むダッシュボードが前後に長いため、車両感覚がつかみづらいのが気になりますね。慣れるまでは狭い道は少し気を使いそうです。また、N-BOX同様蓋つきの収納が容量不足なのも気になります。
スペーシアは上記2車と比較して、ダッシュボードがテカリ気味でクオリティが少し低いのですが、高さが抑えられて前後に短いため視界が良く、他車からの乗り換えでも違和感があまりありません。またグローブボックスの容量が3車中最大で、車検証のほかにも物がキッチリと入れられるのがイイですね。
フロントシート

N-BOX

シフォン(タント)

フレアワゴン(スペーシア)
フロントシートについての順位を付けると
①N-BOX
②タント
③スペーシア
の順となります。
N-BOXは座面はちょっと短めに感じましたが、背もたれが大きくリラックスして座れますね。掛け心地は柔らかめですが、表面は柔らかく沈み込んだところでしっかりと支えてくれます。表皮も十分なクオリティが確保されています。
タントは上級モデルに試乗したこともあって、レザー調とファブリックのコンビシートのクオリティは高いです。またやや硬めのしっかりとした掛け心地となっているのですが、少しシートが小さめなのが惜しいですね。
スペーシアはシートの大きさは座面、背もたれともに確保されているのですが、クッションの密度が薄く長時間座っていると腰に負担が掛かってしまうかもしれないですね。表皮のクオリティも上記2車と比較すると若干劣る印象がありますね。
リヤシート

N-BOX

シフォン(タント)

フレアワゴン(スペーシア)
今回は3車とも少し座っただけです。3車とも十分以上の広さが確保されていますが、敢えて室内の広さで順位を付けると
①N-BOX
②タント
③スペーシア
の順となります。
エンジン・トランスミッション
3車とも先述のとおりノンターボモデルでの比較です。加速力で順位を付けると
①N-BOX
②スペーシア
③タント
の順になります。
N-BOXは新開発された、先代モデルよりもさらにロングストローク化されたエンジンにより発進時の加速力が他の2車よりも優れていますね。組み合わされるCVTもラバーバンドフィールが少なくスムーズです。
スペーシアは3車の中で唯一の800㎏台の車重とマイクロハイブリッド機構であるSエネチャージにより発進時は力強いのですが、エネチャージによるアシストが無くなると加速力が弱くなりますね。CVTも少しラバーバンドフィールがあり、エンジン音も3車中1番大きいです。
タントは3車中一番重量が重いため(940㎏)、加速力は3車の中で1番遅い印象です。平地の一般道では何とか普通に走れる加速力があるのですが、山地では力不足を感じることになると思います。ファーストカーで使用するならターボモデルがおススメですね。
サスペンション・乗り心地
3車で結構「味付け」が異なっていました。個人の独断と偏見で順位を付けると
①タント
②N-BOX
③スペーシア
の順となります。
タントは助手席側のピラーレス構造により剛性が心配されるところですが、フロア剛性がきちんと確保されていて、かつ不快にならないギリギリのところまで締め上げられたサスペンションのおかげで直進安定性が高く、安心して運転できる感覚がありました。また、舗装の荒れた路面を走行しても軽くコツコツとくるだけで、不快な突き上げはありませんでした。ただ、フロントだけでなくリヤにもスタビライザーが装着されているものの、やはりカーブを曲がる時には重心の高さを感じてしまいます。
N-BOXはフルモデルチェンジによりリヤスタビライザーや先進機能であるアジャイルハンドリングアシストが装着されより操縦安定性が高まったのですが、突き上げの無い乗り心地を優先したため先代モデルよりもバネレートを25%落としたスプリングと減衰力を落としたショックアブソーバーにより、突き上げの無い乗り心地とカーブを曲がる時の安定感は確保されているものの、荒れた路面を走行する時の目線の動きが大きくなるため、街乗り時は快適なものの長距離走行では疲れやすいかもしれないですね。
スペーシアは背の高さに対してクルマが走る時に必要な剛性が不足している印象で、走行中は細かい振動をボディで吸収しきれない印象がありました。そのため、そんなにサスペンションが硬くないのに突き上げを感じる乗り心地になっています。正直言ってしまえば、剛性の高い新しいプラットフォームが採用される次期モデルを待ったほうがいいかもしれません。
総括
やはり最新モデルはさすがに実力が高く、N-BOXはほとんどの項目で高得点を稼いでいます。しかし、価格は高くなったので、走りの実力が高いタントにも十分に付け入る隙はあるのではないかと感じました。
スペーシアはモデルの古さもあって厳しい評価になっていますが、自動ブレーキシステムはアイサイトと同じシステムを使っていることから、この3車の中でも1番の実績であると考えられます。そう遠くない時期にモデルチェンジすることになるかとは思いますが、その時には現行のシステムは継続採用されない可能性が高いので、街乗りが中心で自動ブレーキシステムの性能を重視する方には現行スペーシアは魅力的な選択肢になると思います。
Posted at 2017/09/17 17:59:51 | |
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