８ｃｍ用バックロードホーンの設計製作

以前１０ｃｍのバックロードホーンはキットで作ったことがある。
良い所は、伸び伸びスケール感をもって鳴る。
だが、少し中高音に切れのなさ、少しだが粗さが感じられる。

８ｃｍのフルレンジは、より中高音が得意なはずである。
今回もキットでもいいのだが、コストが安いのと、ノウハウの蓄積のために、自主設計、製作とした。もちろん、ネットで先駆者のを参考にした。

ホーンの始まり部分のスロート断面積
改良バージョンではSo=1.7×12=20.4cm2
これはFE83NVの振動板面積3×3×3.14＝28.26cm2の72％ほどで、Qo=0.78と高め（非力）のユニットには妥当な数値ではないかと。
当初は、振動板面積の85%と欲張ったが思わしくなかった。

また、ホーンとユニットの受け持ちを決めるクロスオーバー周波数fxは、200Hz程度が良いとされる。
fx=200Hzとするには、空気室は
Va=10*So/fx=10×20.4/200=1.02L
と求められる。
そのほか、キャラを決定付ける定数として、
・ホーン開き定数ｍは大きめの1.1
・ホーン開口面積は、振動板面積の4倍以上
・ホーン長さは欲張らず1.5m程度・・・無理に低音の帯域を下に広げるより音飛びの良いことを優先

を基本方針に設計
指数関数的に広がるエクスポネンシャルホーン
理論値橙に対し、離散値で数回の折り返し青　横軸スロートからの距離cm、縦軸音道高さcm （×幅12cmでホーン断面積㎝＾2)
当初

の設計で

組み立て
この図面でホームセンターのカットサービスを利用した。
そこのカット担当のおねいさんがデキる人で、即座に理解してカットしてくれた。

形にはなった。

視聴

中島みゆきが風呂場で歌っている。
低音の音程が変わると出たり引っ込んだり、残念なボンキュッボン。
空気室の容量を替えたりした。fx=200Hz付近になるようにすると、まあまあになった。

が、なんかこう、低音に実が入っていない。実の無いサヤエンドウ。
結局、まず、スロートを狭くしてみた。グッと身の詰まった低音に変化してきた。しかし今度は低音が尻切れトンボ。ある程度から下の帯域がまるで出ない。そうだ、スロートを絞ると、同じ開き定数でもホーン全体を狭くする必要があるのだった。
結局、音道の再設計、改造orz

赤い部分の板をつけ足した。

改良バージョンの理論値と実際の開口の様子。

中高音の切れ味は１０ｃｍバージョンより良い。
チューニングを重ねた結果、筋肉質の低音。
低音のアタック感、スピード感もなかなか良くなった。
駄菓子菓子、８ｃｍの悲しさ、バスドラのキックがドン、ドスンといかずポン、ポコンとなる・・・もう一息重量感のある低音が欲しい時がある。
とは言え、我が設計のスピーカーシステムとしては、珍しく明るい音の子ができた(笑)