ずっとずっと見たいと思ってたのに、なぜか機を逸してました。何だったかの評には「ただ走っているだけの男が…」とありましたが、私の、見終わった後の感想はまったく別物となってしまいました。私が理想とする本当の心があったからです。主人公は様々な人々との出会いと別れを通じ、成長すると共に、変わらぬものを持っています。彼は人生の過程で成功者となります。ベトナム帰還兵としては希有な存在ですよね。お恥ずかしながら普段ですと、ちょっぴり羨望と嫉妬の入り混じった目で眺めてしまうのですが(笑)、なんというか、美しいな、と。とても清々しい気持ちになります。勇気づけてもらえたような。でも、彼自身は意識して人々を導くことはしません。ついてきた人々を途中でいとも容易く放り出して自宅に帰るのですから(笑)そういった意味で確かに彼は「走っていただけ」なんでしょうけどね。何のために走るのか。走りたいから。でも、「人は意味を求めたがる」と。まるで禅の公案のようです。映画の最後の方で、彼は木の下にいて人生について考えを巡らします。人生とは運命により決定づけられているのか、それとも、さまようばかりでしかないのか。彼はその問いにどのような答えを出したかは作品を直接見て楽しんでいただくとして、映像の美しさと共に、本作の底流にある、生きることの喜びと、優しさ…慈愛は、本当に心に響きます。随所に、クスッと笑えるユーモアが盛り込まれているのは、ロバート=ゼメキス監督ゆえなのでしょうか。本当に美しい作品です。何度も何度も見たいナ、大切な人々と一緒に見たいナと思いました。