
生命科学を専門とする研究者・柳沢桂子女史が著した『いのちと放射能』。
人体に対する放射能の影響に関する情報について、新聞やテレビ、ネットでは断片的な、または抽象的な、ひどい場合は明らかな偏向が加えられてしばしば伝えられています。
しかし、そうした情報をつなぎ合わせてもなかなか実体は見えてきませんよね。
私もこの震災以来、放射能汚染と人体への影響について自分なりに追いかけてきましたが、その実体について全体像を捉えることはなかなか難しいと感じています。
確かに専門書もありますが、私のような門外漢には余りに敷居が高く、また高額です。
といって、いわゆるノウハウ本では体系的に理解することが難しく、ちょっと目先の変わった事象に出くわすだけで、お手上げになってしまうこともあります。
で、先にご紹介した本書なのですが、わずか130ページの紙面に実にうまく内容が凝縮されており、また非常に分かり易く書かれています。目次を見れば、疑問に感じていることの答えや、少なくともヒントを得ることができるでしょう。
とりわけ小さなお子さんを持つお母さんには是非読んでいただけたらな…と思います。
放射能がどのようにしてDNAを破壊するのかを構造的に明らかにすると共に、低線量被爆(弱い放射能)の問題や、小さなお子さんや胎児への影響についても、きちっと明らかにしているからです。
ちなみに本書はチェルノブイリ原発事故から2年後の1988年に、『放射能はなぜこわい-生命科学の視点から』というタイトルで書かれ、2007年に『いのちと放射能』と改題され文庫版として復刻されています。今年4月に第三刷となっていますが、その内容は色あせるどころか、私たちに貴重な警鐘を鳴らし続けています。
オススメの一冊です。
(音楽家の坂本龍一氏も「放射能はなぜ怖いか。その理由がわかります。」として本書の帯に推薦の添え書きをしています。)
目次より
・放射能を浴びるとどうなるのでしょう→P38
・弱い放射能がガンを引き起こします→P45
・お腹の中の赤ちゃんと放射線→P65
・これ以上エネルギーが必要ですか→P99

Posted at 2011/10/28 22:54:34 | |
トラックバック(0) | モブログ