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2022年04月02日

GMが作ったモーターホーム。

GMが作ったモーターホーム。

















GMCとは将軍様の昔の商業車部門、ジェネラル・モータース・トラック&コーチ・デヴィジョンの略です。(コーチとは通常バスやらの事を指します)で、その昔は飾りも何も全くない、業務専用車だけだったんですが、今ではバスもバリバリのトラックも辞めて、消費者向けのピックアップトラックやらを作る軟派になっちゃいましたが、今でもスローガンにGMの ”プロ仕様専門団” 見たいなフレーズ使いたがりますが、事実上、シェヴォレイのトラックとほぼ変わりない車種構成です。

そのGMCが未だ ”本気” だった頃。。。

そもそもその発端は1966年に先端技術が好きなオールズモビルがパーソナル・クープとして2扉の巨大なハードトップ車、トロナードを華麗に登場させました。この自動車、ただ単にビル・ミッチェル氏の指揮した美しい姿だけではなく、前代未聞の新技術が満載されていて、その代表が前輪駆動の技術です。7リッターのスーパーロケットV8にヘヴィーデユーテイーの自動変速機、ターボハイドラマチックTHM400をエンジンのオイルサンプ横に持って行き、クランクシャフトから恐ろしく幅の広いチェインで駆動すると言う、サーブ四気筒を逆さにした様な配置になっていて、似たような形式は実はフォードがサンダーバードを前輪駆動にしようと考えていた際、実際に特許を獲ってはいたのですが技術的に断念していたのを持って来たのかと何時も思ってました。

登場したての1966年型トロナード。やはり最初の年が細部を含め一番美しいです。1966年型の特徴は格納式前照灯に ”庇” があるのと、ラジエータ・グリルが横線だけのデザイン。これ、実際に座ると床は前輪駆動なのでテニスコートの様に真っ平、上部が後ろに向かって聳え立つ計器盤、高い側窓シルと、低い車高なのにまるで広い洞窟に入った様な感じがしました。



兎も角、この動力源をGMではUPP、ユニタイズド・パワー・パックと命名し、今ふと思い出したんですが、いすゞ・エルフがマイパックと言う前輪駆動のトラックを販売していましたが、あのエンジン・駆動系はどう言う機構だったのか。。。。もしかしてトロナードと似ていたのしら?

これがそのUPP。左側が前部。基本的には強靭型のターボハイドラマチックTHM400をエンジン左側に持ってきた物。エンジン後部の横長の箱の中にずぶといチェインが入っている。


これがクランクシャフト(実際にはトークコンヴァータの後)から変速機側に落とす幅広チェイン。これが伸びたとか、音を出すとか問題がある事、聞いた試しがないです。



安全・公害などの規制が勃発する寸前の60年代後半、大人気だったキャンピングカーやらモーターホーム類は、通常、自動車製造社が開発・生産・販売するものでは無く、大手製造会社が売る、自走できる本格的なトラックのベアシャーシに星の数程ある、様々な架装会社(特にインデイアナ州北部に多数あるのが有名)が独自の上屋を載せて売るのが一般的でした。

これはシェヴォレイの作っていたモーターホーム用シャーシの架装例。これらはPシリーズと呼ばれ、モーターホーム以外ではボックスヴァン(ステップヴァン)に使われるシャーシです。さまざまなモーターホームを架装する会社、デザインも飯吹物も結構ありました。


これはダッジ系ね。アイランダー。


産業機器や軍に納入する特殊機械を作るFMCと言う大企業(今でも健在)以前は1970年台に数年間モーターホームを製造していました。非常に珍しい。。。


FMCは航空機の貨物搭載ローダで有名でした。ぼくは以前地上支援業務でこのFMCのローダを数台受け持っていて随分苦労しました。これはFMCのMDL40と言って40,000パウンドの重量物を持ち上げられます。


こんな可愛いのもありました。その名もウルトラ・ヴァン。シェヴォレイ・コーヴェアの空冷対向6気筒のパワーパックを使った小型モーターホーム。確か総繊維強化樹脂の車体。


その傾向を見ていたGMCの親分、丁度その頃、GMCにも例の、優勢さやら最新技術を象徴する ”ヘイロー”  車種が要るなと考え、どうせ架装会社にシャーシを売るんならいっその事、シャーシの製造元の我らがモーターホームを設計・製造したらどうかと考えたのでした。その時、注目されたのが例のトロナードのUPPです。これを使って巨大なモーターホームを前輪駆動にすれば後部へ向け床下を走るプロペラーシャフトが要らないだけでなく、左右に伸びる後車軸も要らなくなるので恐ろしく低床で重心の低いシャーシを作れるので画期的な操縦性に繋がると考えたのです。

でも同じ事考えた人も先にいて、1960年代後半からこの、UPPを流用したモーターホームが既に数車種売られており、でも殆どは以前からの上屋を合体させた感じで見かけは冴えないどころか、耐久性に問題あるんじゃないと疑われて余り普及はしてなかったみたいなんですね

そのUPPを既に流用していたモーターホームのトラヴォイ。1969年型。


コーテズSDもオールズの前輪駆動UPP流用のモーターホーム。因みにコーテズ社はフォークリフトで有名なクラーク社の一部門でした。我が国の業界で、フォークリフトは俗にリフトトラックと呼びます。




その前輪駆動のモーターホームを作っていた会社の一つがRevcon、レヴコンと言う会社で、その代表がジョン・ホールと言うお方、実はこの人、あの有名なエヤストリームの創業者、ワリー・バイアムの義息子さんでして、ジョン・ホールさんは実際、エヤストリーム社でエンジニヤとして長らく働いた後、暖簾分けみたいに独立して自分のモーターホーム会社を始めたのでした。

レヴコンの前輪駆動モーターホーム。


んでGMはそのジョン・ホールさんから例のUPPの耐久性はどうだいと色々データを貰っておいて、数年後、自社製の画期的なGMCモーターホームを登場させました。

GMCが描いていた夢の乗合バス、RTS II (その内このバスの話もしますね) にも似た未来を描いた外観も凄いのですが、UPPとトーションバーを使った前輪駆動に乗用車並みの趙低床骨格の車体後部は左右独立懸架の画期的なエヤサスペンションを使った片側二輪の足回りを持ち、腰下はガラス繊維強化樹脂、腰上はアルミナムの外板を貼ると言う航空機みたいな構造で、重心の低さ、前輪駆動効果との効果で、それまで高重心で硬い乗り心地のトラック・ベースのモーターホームからは考えも及ばなかった走行性能が得られたのでした。



内装は他のモーターホーム製造社に外注。されど室内も画期的なデザインでした。


前方、窓に囲まれ金魚鉢如きの広視界が分かります。運転台は更に高い位置にあったのですからさぞかし視界は良さそうです。腰上は屋根も含め、アルミナム製。



同じ頃、GMCが作っていた革新的なデザインの乗合バス、RTS-II。GMCはバス事業もこれが最後でバス部門を他社に売り飛ばします。


前輪駆動のパワーパックと完全左右独立後輪懸架がもたらす超低床、その間に設けられた二つの燃料タンク。重心の低さがよく分かります。以前の一般モーターホームはこれよりずっと高い所に床があり硬い板バネに支えられた足回り、操縦性の違いは目を見張る事だったんでせう。後輪、空気バネの黒い空気袋が見えます。中の空気は専用のポムプから取る圧縮空気。後輪自動車高調整をこなすだけでなく、任意に圧力を調整できました。


魔法の操縦性をもたらす後輪空気バネ。これも現在は改良型を作る会社が数社あり、更に性能・耐久性向上が提供可能です。


プロペラーシャフトの無い事、後輪左右が車軸で繋がってない事がわかります。なお前輪はトロナードと同様、トーションバー捻り棒式バネ。


曲芸的な走行披露で、操縦安定性を誇る広報資料。アリゾナ州フィーニクス近郊メーイサの砂漠試験場ですね。今や、住宅地。




少数ながら商業版もありまして、送迎バス、貨物輸送から走る重役室みたいな仕様もありました。







長胴体と短胴の2種類があり、水流トイレ、流し台、プロペーンを使った冷蔵庫から冷暖房、オナン製の小さな発電機を積み1970年代最先端の樹脂を多用した内装デザインは、目を見張る物がありました。それまでのモーターホームと言えば難燃剤とか安全性が未だ厳しくなかった事もあって、大抵概成の汎用材が多用され、風が吹けば倒れるような小規模会社の連立で、当然の如く品質は低く耐久性の検査なんかも殆どいい加減だったのですが、さすが、製造元のGMCが本気で作った製品です。ハンドブレーキと乗降扉の作動試験を50,000回、変速レヴァーの作動試験を100万回、フットブレーキと前窓のワイパー作動試験を1,000,000回(ちなみに前窓ワイパーは油圧駆動、油圧はパワーステアリングから来ている)、エクサラレータ・ペダルに於いては1,500,000回の試験が実行された後、市販が始まったのが1973年。悲劇だったのは登場して直ぐ、例の第一次石油危機が訪れて自動車産業は壊滅的な打撃を喰らいます。それでもこの画期的なモーターホームは生き延びて、一番売れた年が3,260台。最初は7.5リッターV8だったエンジンも、乗用車のダウンサイズが始まったおかげで、オールズのUPPも1976年から6.6リッターになり、1979年にはさらにダウンサイズされて5.7リッターになる直前、より利益の多いトラック事業に専念すると言う理由で、GM自家製のモーターホームの生産は終わりました。総生産数が12,921、その内7,000台以上が現役として残っており、古く磨耗した部品を改良された最新型にする部品を開発、売る会社、この車種を専門に扱う修理工場など、熱心なファンが未だ沢山います。。。

冒頭で出て来たレヴコンのジョン・ホール氏は、GMCがモーターホーム事業から撤退後も、GMCに似た改良型の前輪駆動モーターホームを1980年代まで製造していました。これが1983年型レヴコン。


ジョン・ホールの義理のお父さんのエヤストリームが自走式のモーターホームを製造し始めたのは1974年(それまでエヤストリーム社は牽引型だけだった)。こちらもGMCに似てますね。


でも矢張りぼくに言わせると昔のモーターホームを代表するのはこの、ウィニイベゴF17です。この外観がたまりません。この上屋を最新式のフォードF53かなんかのシャーシに乗せたら素敵なクラシックが作れるんじゃ無いかと。。。




他の話題。GoogleアースとアップルMAPは結構違いがある様で、特に3D画像が気になります。何気なく職場の画像を見ていたら駐機場、上に写っているのはかつて飛ばしていた機体でしたが、お隣に泊まっているエヤバス、これは以前ぼくの友人がオウストラリヤで経営していたストラテージックエヤという会社の機体で、2012年にお客さんをホノルルに下ろした後倒産して、皆、自国に戻れなくなると言う事件を起こした会社、考えてみたら自分でちゃんとこの機体、写真を撮っていました。。。なので、このアップルMAPは10年前の画像ですね。


地上から見た図。。。


先週は結構雨が降りました。それでも去年からの降雨量少なく、夏を前に節水のお触れが既に出ています。こう言う天気だと観光さん、可哀想です。


夕飯後、近所で電気をもらう図。日の入りが随分遅くなり、本土は既に夏時間。


光山虎夫(とらお)チャンの熱演。演歌を歌わせたらこの子の右に出る者は無い、トンガ人が何でこんなに日本語を流暢に喋るのかも不思議。。。


シーミーもうすぐでしょ、と言うのが今日の言い訳。チャイナタウン行きつけのゴールデン・ドラゴンで。相変わらず安くて旨い。


ウジモリさんのアンダーギ、最近値上げ、と言うか、以前は1ドル4個だったのが3個に減った。。物価高インフレーション仕方がないか。アチコーコーでまーさんね〜

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Posted at 2022/04/03 19:25:07

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この記事へのコメント

2022年4月4日 16:26
モーターハウスといえばアメリカ…の印象ですが

合成悪そうですね…

gmcのバスのサスは画期的ですね!

どのハウスも、日本じゃ駐車できないし、走れる道もほぼありませんね…
コメントへの返答
2022年4月5日 13:42
最新のモーターホームなど裕福層がこぞって注文する定番なんですが、大型の40フィート以上の車両になると下手な豪邸より高価になり、州によっては普通免許では運転できないのでお抱え運転手を雇わなければならなかったり、厄介です。

でも職種によっては最寄りの現場に宿がなかったりした場合、会社がこう言う車両借り上げて従業員の寝泊まりに使ったりと他の用途も随分ある様です。税金で落とせますしね。

ハワイ州では26,000パウンド以上の大型になると二種免許が必要となるので、個人所有の大型モーターホームは事実上見たことありません。。。。他州では非営業運転用の限定免許などで大型が運転できる場合がある様です。
2022年4月5日 8:09
今更ながらGMCの意味を知りました。GMとの差がわからなかったので。
アメリカの車は70年代物が特に色々模索していて面白い技術採用していますよね。
整備は大変そうですが。
コメントへの返答
2022年4月5日 15:15
GMはポンテイアックも、オールズモビルも、サターンも様々なブランドを廃止に追いやってもなぜ、既に特徴もイメージも殆ど失っているGMCを維持しているのか。それは多分、このピックアップ・トラック群が非常に利益が高い為だと思います。GMCが乗用消費者を追いかけ出したのは1980年代からですね、当時のキャタログを見ると突如紳士淑女がオペラにGMCで乗り付けたり、若者が浜辺で遊ぶ傍にGMCが置いてあったり。ふた昔前、GMCと言えばハードボイルドの商業車集団で、鉄兜被った建設作業のおっさんたちが所狭しとベンチシートに3人腰掛けて炭坑入口から出てくるなんてのが定番だったんですがね。今では大型バス部門も大型トラック部門も売り払って、逆にシェヴォレイの方がいすゞの中型トラックを売っているので立場が逆です。

1970年代は我が国の自動車業界は本当に八方塞ぎの崖っぷちに立たされて、公害問題、安全問題、燃費問題と様々な課題に悩まされましたが、それが故、興味深い技術や販売商法が見られました。

この先、GMはどうなっていくんでしょうね。。。
2022年4月11日 10:20
見つけましたマイパック記事

https://www.google.co.jp/amp/s/car.motor-fan.jp/article/amp/10007841
コメントへの返答
2022年4月11日 13:44
おお凄い!マイパックの詳しい記事。凄いですね。

全体的に見てこの構造と発想は米系GMよりフランスのシトロエンHY貨物車からヒントを得た様な気がします。

マイパック、一度実車を見て見たいものです。

記事のご紹介、有り難うございました。
2024年6月29日 19:29
GMC motorhomeとvixenは唯一のモーターホーム専用設計の車両でしたね、GMCはビックブロックのFF、vixenはGM製V6(AT)かBMW製2.5DT(5速)でRR、2車ともペラシャが無いため超低床で低車高、このGMCは何年か前に確か千葉をドライブ中に発見!思わず2度見してしまった憧れの車!
コメントへの返答
2024年6月30日 7:58
700台くらいしか売れなかったヴィクセンの創業者、ビル・コリンズ氏が去年亡くなりました。GMで技術者畑を歩んで、GTOの生みの親、1977年GMフルサイズ車ダウンサイズの生みの親(なんでいつでも生みの親になるんですかね)デローリアンで基本設計と生産管理をやった後、AMCに引っこ抜かれ、ルノーとAMCの技術提携に加わった人。多分そこでルノーの駆動系をヴィクセンに用いると言うアイデアが出たんだと思います。可哀想な事にヴィクセンの破綻は原油価格の降下で大きいRVが流行り出し、小さなRVの人気が落ちて、資金繰りに行き詰まった為とか。でも最近になって、また小型車をRVに改造するのが流行り出したのはコリンズ氏が時代を先取りしていたのかも知れませんね。

GMCは本当にバカなことしましたね、RV業界から撤退するなんて。今でもハッとするようなデザインですよね。
2024年6月30日 19:24
ビルコリンズさんの車にかける情熱ハンパない凄い方ですね!vixenでしたら日本で使っていけそうな気がして、オートマの個人輸入を考えましたが、玉がない上に日本での登録を考えると、、、お金と情熱が足りずに諦めました、トホホ、GMCモーターホームの登録も大変だったのではないでしょうか?
コメントへの返答
2024年7月1日 5:37
ヴィクセンもGMCのモーターホームも、連邦政府の厳しい規格適合している車両なので(衝突試験はもとより内装素材の難炎規格、排気ガス基準とその保証ナドナド、共に今でも熱心なオーナーの集まりがあり、ある程度の書類は出るかも知れません。ヴィクセンにおいては空洞試験で空気抵抗も測っていた。。)日本に持って行ってもなんとかなるではないかと想像はするのですが、日本の車両輸入事情を知らないぼくの知識ではどうにも。でも日本で登録すると多分高額になるだろう税金の方が気になります。。

プロフィール

「合衆国のVW文化、その2 http://cvw.jp/b/1945280/48389189/
何シテル?   04/24 17:34
I'm JetBoy. Nice to meet you. 実家は西キャナダ、住むのは米ハワイ州オアフ島、家族は香港と日本の、日系アメリカ人です。多分...
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