
マツダは幸か不幸か、世界で唯一の自動車用ロータリーエンジンメーカーです。
1961年、当時のマツダは国の自動車政策で合併話を持ちかけられていた。そんな時「夢のエンジン」としてREが話題を呼び、それに社運を懸けた。トヨタやGMなど名だたるメーカーも開発に乗り出したが、みな諦めた。もしマツダが社運を懸けなければ、REは実用化されなかったであろう。これが幸。
不幸は、ライバルがいない事。レシプロエンジンならば、世界で何万人ものエンジニアが携わり、膨大な開発費が投じられ次々に新技術が生まれるのだが、マツダは孤立無援。
例えれば、みんなでワイワイと勉強しているのに、松田君だけは図書室で一人…、ていう感じ? (/^^)/♪
なんてつい、熱く書いてしまいましたが。(^^ゞ これは去年の夏、リンドバーグに立ち寄った時、ちょうどこの雑誌が創刊号からずらりと並べてあり、見付けたんです。私が手に取ったら、この本は品切れとなりました。他は何冊も積んであるのに…発行数が少ないのか、人気なのか。
巻頭&巻尾に連載記事が少しある他は、ほぼ一冊、REの本です。しかもエンジンだけで一冊使うとは、どうよ。(@^^@) 今まで私、REの開発物語とかは熱心に読んだけど、作動原理だとかの理論の解説は飛ばしていたんですよね。それがこの本では図解が主だし、分かりやすいので大変勉強になりました。
REのローター(通称:おにぎり)が1回転すると、真ん中の芯棒(エキセントリックシャフト)は3回転もするのね。芯棒の回転数がタコメーターに現れるから、9000rpmでもローターは3000回転なのね。
だから高回転型と呼ばれるし、回転運動だから回しても静かなのね。
但し、芯棒の位置はレシプロより高い。レシプロではクランクシャフトと呼び、ピストンの下にある。これはこの本に書いていないけど、それがREの欠点。だからマツダはより低く、より運転手に近く配置してきた。RX-8ではそれがスポーツカーとしての条件みたく紹介されているが、じつはREの持つ欠点を隠そうとしているだけ。REはスポーツカーに最適です、は嘘じゃないけど、全部でもない。
もちろん、次期REの16X型の紹介もあるよ。16Xでやっと、REは新世代になるのね。今まではコスモスポーツの10A型を改良してきたに過ぎないのね。ローターを広げてきただけで、その形自体(もっと言えば、ペリトロコイド曲線)は変わらなかったのね。ではなく、それを変える事は生産設備を替えると同義で、莫大なコストがかかる、おいそれとは出来なかったんだろう。
RENESIS(RX-8)でサイド排気までやって、いよいよネタが尽きたというらしい。次期RX-7登場でREは世代交代だね。REの生産工場をもう一つ、とはいかないだろうなぁ。
他にも、色々なペリトロコイド曲線/部品解説/水素RE/DICS-RE(直噴層状給気燃焼方式)/REのパッケージング/ル・マン用RE/REの系譜など盛り沢山です。
連載の「もの創りの現場」では広島の工場を訪れ、実際の鋳型などを見せてくれます。「時代を映すスーパーメカの系譜」では、もちろんCOSMO SPORTです。今見ても、格好いいよねー。♪
REに興味がある方は、是非。☆
Motor Fan illustrated Vol.19 ロータリーエンジン -基礎知識とその未来-
三栄書房 2008/04 \1600 + tax
Posted at 2009/04/30 17:02:17 | |
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