フェルナンド・アロンソ、初開催の韓国を制す。
正直なところ、この結果は全くの予想外。
予選を見る限り、このレースを制するのはRBRの二人、いずれかである可能性が非常に高かった。
しかし、終わってみればRBRの二人はノーポイントで韓国を去る結果に。
まさか、ウェバーが雨に足をすくわれてクラッシュし、ヴェッテルはド派手なエンジンブローに見舞われるなどと予想なんて出来るか!
レッドブル、何故かアロンソに翼をさずける…。
RBRのふたりは残念だったけど、チャンピオンシップは非常に面白くなったので結果オーライだ。
以下、雑感。
その1
アロンソ、ポイントリーダーの座を奪取。
覚えておいでだろうか。
少なくとも今季中盤くらいまでは、アロンソはタイトル争いから脱落したとまで言われていたことを。
それが、残り2戦を残した状態で、2位ウェバーに11P差を付けて堂々のポイントリーダー。
とりあえず、アロンソはタイトル争いから脱落したとか言ってたジャーナリストの人は頭を丸めたほうがいいんではないか。
直近4戦で結果的に3勝を荒稼ぎできてしまうその強さ。
純粋な速さではクルマの出来を含めて、おそらくRBRの二人(特にヴェッテル)に軍配が上がると思われるが、それでも今、この位置に付けていられるのは、速さにプラスしてチャンピオンシップの戦い方を知り抜いている強さなのだろうなあと思う。
2度のチャンピオン獲得は伊達などでは断じて無いのだ。
残り2戦、3度目の王座獲得へ向けて、アロンソがどんな戦い方をするのかが非常に楽しみだ。
その2
RBR、一転して最悪の週末に。
予選までは、誰しもがRBR優位だと予想していたはずだ。
特にヴェッテルは、快勝した鈴鹿の勢いそのままにPPを奪って見せたし、何事もなければ優勝間違いないと言って差し支えないほどの好調ぶりだった。
しかし、レースとは、そうそう予想どおりには行ってくれないものだ。
スタートディレイになったほどの雨と、その雨が作ったフルウェット路面に、まさかのウェバーが足をすくわれクラッシュしてリタイヤ。
そしてヴェッテルはトップ快走中の46周目に、おそらく腰下まで逝っているであろうほどのド派手なエンジンブローでリタイヤ。
この結果でウェバーはポイントリーダーから転落し、ヴェッテルはトップと25P差の4位まで後退。
これを痛恨と言わずしてなんと言う。
それでも、ウェバーはアロンソと11P差しかないので、十分にタイトル射程範囲内。
クルマの差を考えれば、事実上、その差は限りなく0に近いと言っても良いだろう。
本当に痛恨なのはヴェッテルの方だ。
残り2戦で25P差は、致命的と言っても過言ではない。
アロンソが一度でもノーポイントに終われば話は別だが、あのアロンソが、そう安々とのポイントレースなどする訳がない。
仮にアロンソが一度でもノーポイントに終わったとしても、今度はウェバーがその前に立ちふさがる。
そもそも、ウェバーとアロンソの差は僅か11P差だ。
残り2戦でこの状況であれば、普通ならヴェッテルにウェバーのサポートをするよう命じるはずである。
問題は、そんな真っ当な判断を下せる者がチームに居るかと言う事だが。
ヘルムート・マルコあたりは、ヴェッテル可愛さに、絶対にサポートなんかさせないだろうなあ。
もしホントに、この期に及んでウェバーとヴェッテルを競い合わせるようであれば、タイトルは、ぐぐっとアロンソの方に近付いていくんじゃないだろうか。
その3
マクラーレンの明と暗。
明の方。
ハミルトンが2位になったので、とりあえずタイトル争いに留まったこと。
とは言え、アロンソとの差は21Pあるので、かなり厳しい差ではあるのだけれど。
まあ、今回のヴェッテルみたいなことが、この先アロンソに起きるかもしれないので諦めてはいけないし、ハミルトン本人も諦めるつもりなど毛頭ないだろう。
最後まで諦めなかった者がタイトルを勝ちとる。
F1に限ったことではないが、これがコンペティションの常である。
きっと残り2戦で猛チャージするハミルトンの姿が見られるだろう。
暗の方。
ジェンソン・バトン、12位フィニッシュで、事実上タイトル争いから脱落。
アロンソとは42P差。
数字の上ではタイトルの望みは潰えていないが、問題はチームメイトのハミルトンとの差でさえ21Pもあることなわけで。
と言うか、今回のバトンはフリーから一貫して精彩を欠きまくっていたので、この結果もむべなるかな。
特に決勝、18℃まで下がった路面温度では、バトンのタイヤに優しすぎるドライビングは徹底的にあっていなかった。
去年のチャンピオンがこう言う結果でタイトル争いから去ってしまうのは、若干残念でもあるが、これもレースなのよね。
その4
ザウバー奮闘中。
鈴鹿に続き、今回もカムイとニック両者がポイントを持ち帰ることに成功した。
今回のカムイは、荒れたコンディションの中で周りを冷静に観察していたのだろう。
ひやりとする場面がなどかあったが、尽くを無傷ですり抜けて、上が潰れていく中でじわじわと順位を上げていって結果につなげた。
鈴鹿での超アグレッシブなドライビングとは真逆の印象を受けたレースだったけど、前回も今回も共通していたのは、確実に状況を把握できる冷静さだったんじゃないだろうか。
たぶん、おそらく。
あとニックも、地味だけど着実に結果を残していて流石だなあと思った。
その5
今週の新規チームの皆さん。
ロータスは、コヴァライネンが13位フィニッシュ。
危ない場面も散見されたけど、運が良ければ入賞できたかもしれないレースだったんじゃないかしら。
ヴァージンは、特にグロックがコヴァライネン以上に入賞に近づいたけど、ブエミに撃墜されてリタイヤと言う悲しい結末に。
ディ・グラッシについては、いつもどおりリタイヤだったので言うことはない。
来年、シートがあるといいですね。
HRTは、見ていておっかないくらいフラフラした走りだったけど、無事に2台とも完走できたので合格点じゃないでしょうか。
その他、かわいそうなニコの事とか、表彰台まであと一歩まで迫ったシューマッハのこととか、フォースインディアの体たらくのこととか、そもそも韓国GP云々とかはスルー。
せっかくの初開催を雨に祟られてしまった韓国GPだったけど、内容的には非常に面白いものだったと思う。
特にチャンピオンシップでは大激震と言っても良いくらいの事が起きたので、今回見に来たお客さんは、良いハナシのネタを拾えたんじゃないだろうか。
そして、次回はブラジルGP。
去年は雨の予選にヴェッテルが泣いてバトンが笑い、一昨年はやっぱり雨で劇的なチャンピオン決定の場となったインテルラゴスが舞台。
今年も雨が降るようなら、また波乱のレースになる可能性があるんじゃないだろうか。
個人的には、はたしてRBRが二人のドライバーにどんな指示を出すのか興味が尽きない。
二人に競わせるようならアロンソに、ヴェッテルをサポートにまわせるようならウェバーにタイトルが近づくと思うがどうか。
てゆうか、ここまで来たらアロンソにタイトル獲ってほしいなあと若干の本音を吐露しつつ終筆。