
3年ぶりに鈴鹿に帰ってきた日本GP。
残念ながら富士へFIを見に行く機会がなくなってしまったので、真っ当な比較ができない事を承知で言うが、やっぱり日本GPは鈴鹿に限るのだ!
おかえり鈴鹿。
おかえり日本GP。
そして、3年ぶりの鈴鹿を制したのは、セバスチャン・ヴェッテル。
久しぶりに、このフレーズを使う事が出来る。
レッドブル、翼を授ける!
今回の勝利は圧勝であり、完勝であった。
予選全セッションでトップタイムをマークし、決勝でも余人を全く寄せ付けない速さを発揮し、終盤でのSC導入と言う不確定要素すら跳ね返す完全なパフォーマンス。
カンガルーTVでオンボードを比較しつつ見ていたのだが、ヴェッテルだけは次元が違った。
そこまで攻めるか!と言いたくなるほどの、とんでもない速さでコーナーをクリアしていく様は、見ているこっちの心臓に悪い。
破綻しそうに見えるのに、すごい勢いでかっ飛んでいく姿を見ると、ヴェッテルにだけ物理法則が作用していないのではないかと錯覚するほどだ。
06年に金曜テストしただけの鈴鹿で、ここまでのパフォーマンスを発揮できるなんて、やはり、この子は何か持っているんだろうね。
ヴェッテルが10P獲得したのに対し、ポイントリーダーのバトンは僅か1Pを獲得したのみ。
逆転不可能と思われた差が、一気に16P差まで縮まった。
残り2戦で、まさかの猛追撃が展開されるとは、嬉しい誤算どころの騒ぎではない。
決して諦めないヴェッテルの姿勢が、流れを変えつつある。
ブラジルとアブダビ、目を離すわけにはいかない。
その他雑感。
その1
RBRの明と暗。
RB5の速さは未だ健在である事をまざまざと見せ付けたヴェッテルの勝利はまことに喜ばしい。
だがしかし、FP3でのウェバー痛恨のクラッシュの影響は限りなく、本当に限りなく大きい。
モノコック交換をするにまで至ったクラッシュの影響で、ウェバーの日本GPは、決勝を走る前に実質終わってしまった。
決勝終盤に謎のファステストを記録したものの、他に光るところはなく17位ノーポイント。
RBRが得たポイントは10Pのみ。
たいしてBGPは、苦戦極まりないレースであったものの3Pを上積みし、RBRとのコンストP差を35.5Pまで広げた。
仮にRBRが残りの2戦を1-2で終わらせたとしても、BGPが1Pでも稼げばコンストタイトルの夢は潰える。
首の皮一枚で繋がっている状態と言うところだが、首の皮一枚とは絶命と同義である。
コンスト争いは、実質、この鈴鹿で終わってしまった。
無念だ。
その2
トゥルーリ大活躍。
トヨタのホームGPとなる鈴鹿で、大殊勲の2位獲得。
グロックが予選Q2のクラッシュで欠場を余儀なくされた中、孤軍奮闘する姿は本当に格好良かった。
特に、最後のピットストップでハミルトンをかわした時は、観客から大きな声援が上がったほど。
シンガポールで復活したトヨタの速さは本物だったのだ。
インテルラゴスでも、この勢いは維持できるはず。
初勝利目指して、最後までプッシュしてほしい。
その3
苦戦のBGP
エアロサーキットたる鈴鹿で、RBR対して苦戦するであろうことは予想された事だった。
しかし、実際はRBRどころか、マクラーレン、トヨタ、ウィリアムズにまで先行される有様。
暑いほどに晴れたお陰で路面温度も十分に上がった鈴鹿で、ここまでBGPが苦戦するとは誰が予想したろうか。
ペース自体はLTで確認した限り、悪くないペースと言うか、むしろかなり速いペースだったのに、終わってみれば、バリチェロ、バトンの順で7-8フィニッシュだったと言う不思議。
ヴェッテルのペースを追いかけるのに必死で、BGPのペースを逐一チェックしていたわけではないので見落としがあるのだろうけれど、なんにせよ今回の結果は、ポイントリーダーのバトンにとっては痛手になってしまったと言わざるを得ない。
その4
ライコネン好走。
既に開発が終了してしまったF60にとって、鈴鹿で好結果を出すことは難しいと思われたのだが、ライコネンが好走を見せ4位フィニッシュ。
運があれば、ポディウムもいけたかもしれない。
予選での黄旗無視で、数名のドライバーにペナルティが科されたお陰で、実際の予選順位より上のポジションからスタートできたと言う面は否定はしないが、やはりこの結果はライコネンの力量によるところが大きいと思う。
鈴鹿で速いライコネンは、やっぱりグレイテスト・ドライバーなんだよ。
それなのに、もしかしたら来年は鈴鹿を走るライコネンが見られないかもしれないなんて、世も末だよ。
その5
母国GPだったあの人。
あえて、ふれないでいてあげるのも、優しさの一つですよね?
ハミルトンの3位とか、スーティルが残念だったこととかも書こうと思ったけれど、文章が纏まらなかったので諦める。
次はブラジルGP。
コンストはこのGPで決定するだろうが、ドライバーズは予断を許さない。
万が一にでもバトンがノーポイントにでも終わろうものならば、最終戦でまさかの展開になるかもしれない。
と言うわけで、ここは一つ、母国GPのルーベンスさんに勝たせてあげてもらえないだろうか、F1のカミサマ。
2位をヴェッテルにしておく事も忘れないで欲しい。
なにはともあれ、鈴鹿での現地観戦はやっぱり最高だったと噛み締めつつ終筆。