結論。
タイヤのライフはちょっとくらいアレな方がレースは面白くなる。
兎に角タレない超性能タイヤを供給してくれるBSも、モントリオールのアレすぎる路面の前では、有象無象のタイヤメーカーに過ぎなかったようだ。
基本1ストップで済むポテンザもモントリオールの路面相手では分が悪すぎた。
2ストップは当たり前、場合によっては3ストップと言う、今季最も慌しいタイヤマネージメント戦を制したのはマクラーレン。
カナダを大得意とするハミルトンがポールトゥウィン。
バトンも2位につけて、これで2戦連続1-2フィニッシュを果たした。
今週のマクラーレン、特にハミルトンについては完璧の一言。
RBRの連続PPを阻止したうえに、当初不利と思われていたオプションでのレーススタートも難なくこなして、危なげなく勝ってしまうあたりに、彼の類稀な非凡さを感じる。
バトンも4番手スタートから巧みなレース運びで2位フィニッシュを果たしてみせたし、前回からのマクラーレンの勝負強さには感嘆せざるを得ない。
予選2-3番手から、有利と思われていたオプションでレーススタートしたのに、結局4-5フィニッシュだった赤い牛がトレードマークの某チームは、マクラーレンを見習ったらいいよ!
てゆうか、RBRのレースマネージメントの下手さ加減に流石に萎えた。
いろいろと複雑な思いを抱えつつ以下雑感。
その1
マクラーレン無双。
冒頭でも触れたが、今週のマクラーレンについては見事と言うほかない。
予選では正真正銘無双状態だったRBRからPPを奪ったことももちろんだが、何より決勝でのレースマネージメントが素晴らしい。
今回、極端な性能劣化(予選では4周ほどでタレると言う有様)を示したオプションタイヤでスタートしたにも拘らず、的確なピットタイミングでレースをコントロールし、1-2フィニッシュを決めてしまうあたりは流石名門。
MP4-25のスピードが前回にも増してキレていた点も相まって、RBRを全く寄せ付けなった姿は力強すぎて憎々しく思えるほどだった。
やっぱり、長い事チャンピオンシップを戦い続けているチームは、ここぞと言う時の勝負強さがちがうなあと思わされた週末だった。
その2
アロンソ久々のポディウム。
スペインで2位になって以来、ポディウムから遠ざかっていたアロンソが3位フィニッシュで久々にお立ち台に。
前回までのフェラーリの不甲斐なさを考えると上々の結果に思えるが、今回のアロンソのパフォーマンスは実にキレていたので、勝利も十分にありえた筈だった。
だが、今回はマクラーレンが強すぎた。
あそこまで完璧なレースを展開されては、さしものアロンソも白旗を揚げざるを得まい。
次のヴァレンシアでF10にアップデートが施されるそうなので、そこでの雪辱に期待した。
なお、相棒のフェリペくんについては、あまりにも無残な結果過ぎて触れるのがかわいそうなので、そっとしておいてあげたい。
その3
RBR完敗。
今回のRBRは、若いチームゆえの勝負弱さを露呈したように思える。
予選でハミルトンにPPを奪われこそしたが、ウェバー、ヴェッテルの順で2-3番手をキープし、レーススタートもタレが少ないプライムタイヤ。
ハミルトンが履くオプションの性能低下を考えれば、早々にキャッチアップしてオーバーテイクした後は、RB6のスピードで突き放せば良いだけの筈だった。
しかし、それが上手く行ったのは最初のピットストップまで。
ここでヴェッテルに入れてオプションを吐かせたのが最初の失敗。
当初はそれなりのタイムを刻んでいたものの、やはりタレが大きく、2回目のピットでマクラーレンの2人に逆転され4位転落。
ウェバーは、プライムからプライムに繋いでトップに躍り出たが、後方から迫るマクラーレンの意識しすぎたのか、プライムのままステイアウトさせすぎた。
これが2つ目の失敗。
10秒以上あったギャップをほとんど使い果たしてしまい、オプションに変える頃には背後のハミルトンと3秒程度まで詰められ、最後のピットを終わらせた後は、4位のヴェッテルにまで先行を許す羽目になった。
今、こうして思い返して書き連ねただけでも、げんなりするくらい拙い戦略である。
もうすこし、ピットのタイミングを考慮しておけば、勝てないまでも、ポディウムの一角を占める事くらいは出来ただろうに。
クルマが速いだけじゃ、チャンピオンシップを制することは難しいと言う事を考えて欲しい。
その4
シューマッハ復活(悪い意味で)
今回のシューマッハはまるで全盛期の戻ったかのようだった。
これでもかと言うくらいの幅寄せ上等スピリットに、いろいろな意味で感激。
ハイライトは、マッサとのバトル。
オーバーテイクを仕掛けてきたマッサに対して、絶妙なラインの閉じ方でマッサのFウィングを破壊せしめる(もちろん自分への物理的被害は0)と言う離れ業を披露。
ううん、さすがマイコー。
こう言う汚い部分が顕著になってくると、かつてのギラギラしていた頃のシューマッハに戻ってきているんだなあと思わずにはいられない。
問題は、肝心の速さがちっとも戻ってきていないことだが。
その5
今週の新規チームの皆さん。
ロータスは相変わらず不運がトゥルーリに集中しているけれど、コヴァライネンがいろいろあったペトロフを押さえて16位フィニッシュしたことは、なかなかの結果じゃないかな。
HRTは、苦しい状況のままだけど、チャンドックがディ・グラッシを押さえて18位フィニッシュしたことは、チームにとって明るい材料の筈。
ヴァージンは、今回もなんだかなあと言う内容。トラブルがあったようだけども、もう少し頑張りなよと思った。
その他、ザウバーの悲惨すぎる週末とか、可哀そうすぎるので触れずにスルー。
次回はヴァレンシアGP。
名前を聞いただけでぐったりするほど期待薄なGPである。
どうせ、今年も見所のない退屈なパレードに終始するのだろうなあ…。
予想に反して超面白いレースになってくれないかしらと、叶う筈のない希望を抱いて終筆。