レッドブル、翼を授ける!
今度こそ、本家のほうに。
マレーシアに引き続き、雨のレースとなった中国GP。
予選からチェッカーまで、ヴェッテル無双のレースだった。
もうとにかく、ヴェッテルがヤバイ。
トラブルのお陰でFP3ではわずか6周しか走れず。
予選でも信頼性の問題から周回を重ねられない中、P2、P3をそれぞれ一発アタックに賭けて、見事にトップタイムをマークしてしまうとか天才過ぎるだろう。
SCスタートとなった決勝でも、ピット以外ではトップを譲らず自身2勝目、そしてRBRにとって待望の初優勝を飾った
しかも、一度たりともミスを犯すことなくだ。
そう言えば、決勝後会見のヴェッテルの顎が、心なしか長くなっていたような気がする。
唯一危なかったのは、ブエミに追突された事ぐらいだが、RB5の予想外の堅牢さに助けられた。
ウェバーもキャリア最高となる2位フィニッシュしたし、これはもうRBRの時代が始まったと言わざるを得ないのだぜ。
ところで、図らずもRBRが絶好調のBGPに勝ってしまったお陰で、ダブルディフューザーの所為でうんたらかんたら言ってる他のチームは、単純にマシン開発で遅れを取っただけだったと言う事が証明されてしまいましたネ。
今度は、どんな言い訳が飛び出してくるのか実に楽しみである事だなあ。
以下、その他の雑感。
その1
RBR初優勝おめ。
前述のとおり、ヴェッテル、ウェバーの順で1-2フィニッシュ。
チーム初優勝を最高の形で決めた。
今回のRB5は圧倒的に速かった。
あのBGP001が着いていけないほどに速かったと言えば、その尋常ならざる速さを理解してもらえるのではないか。
今回のRB5の速さは、レインレースであったからこそ発揮されたものだろう。
ドライでは、ややタイヤに厳しめなクルマであるが、レインではその短所が長所に変わった。
タイヤの発熱が良かったお陰で、ブレーキングポイント一つとってもBGP001より奥で踏めている状況。
今回の雨は、RBRにとって正に恵みの雨だったのだ。
翻って、もしドライだたらどうなっていたのか。
恐らく、今回もBGPの勝利で終わっていたに違いない。
今回の勝利はあくまで雨と言う特殊要因ゆえのこと。
ドライでのアドバンテージは未だBGPにある。
今後の課題は、如何にドライでのパフォーマンスを上げるかにかかっているのではないか。
ニューウェイ先生がファクトリーに籠もって設計中といわれる新型ディフューザーに期待せざるを得ない。
その2
BGP完敗。
オーストラリア、マレーシアと抜きん出た強さを見せ付けたBGPが、遂に敗れる。
それも、バトンがウェバーに45秒近いギャップで千切られるという、完膚なきまでの惨敗であった。
今回の敗因は、レインでの経験不足に尽きる。
前回だって雨のレースだったが、アレは状況が特殊すぎるので比較対象にはならない。
一度もレインテストが出来ていない(つまりレインでのセッティングが煮詰まっていない)なかで、3-4フィニッシュと考えれば上出来なのかもしれないが、チャンピオンシップを争う上で、やはりテスト不足というのは大きな足かせになる気がする。
少なくとも、2位争いの最中、タイヤが発熱しなくてウィービングをするなんて状態に陥ることだけは避けるべきだろう。
その3
トヨタの新兵器。
流石と言うか、何で今まで誰も気が付かなかったのかと言う新兵器をトヨタが持ち込んだ。
ノーズ交換機である。
くだらないと侮る無かれ。
ジャッキアップされたクルマのモノコック位置とぴったり合う高さで調整されたそれは、人力で行っていた作業を遥かに上回る効率を生み出す画期的装置。
Fウィングを破損してしまったグロックを、給油、タイヤ交換込みで僅か10秒ほどで送り出すと言う素晴らしい速さを見せ付けた。
見ていて、目から鱗が落ちるほど衝撃。
19位スタートだったグロックが、7位に食い込んだのは、これのお陰といっても過言ではない。
たぶん、このノーズ交換機、流行りそうな気がする。
その4
思ったより出来る子。
ブエミがポイント獲得。
雨の難しいコンディションの中でしっかりポイントを獲得するあたり、本当に出来る子のようだ。
不調とは言え、あのマクラーレンを相手に一歩も退かなかったり、前途はかなり有望な気がする。
ヴェッテルに追突した時は、ぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいになったが、優勝したから無問題。
そう言えば、チャンプカー4年連続王者のメガネのセバスチャンさんなんて人も居ましたね。
その5
マクラーレン、ちょっとだけ復調の兆し。
コヴァライネン、ハミルトンの順で5-6フィニッシュ。
まだまだ、競争力が足りないのは否めないが、前戦よりは持ち直してきたように感じる。
予選でも、ハミルトンが今季初のP3進出を決めたりしてるし、決勝でも、それなりに良いペースで走れるようになったし。
もしかしたら、ヨーロッパラウンドに入った途端に大きくステップアップするかもしれない。
あとは、例のライゲートの審判がどうなるかだ。
その6
今回の影の主役。
ヴェッテルが表の主役だとしたら、影の主役はスーティルである。
良いトコなしだったVJM02を駆って、雨の中、果敢に攻める姿に痺れた。
マクラーレンを相手に、一歩も引けを取らない素晴らしいパフォーマンス。
昨年のモナコと言い、雨のスーティルのパフォーマンスには目を瞠るものがある。
それ故に、6位入賞が見えて来た残り6周と言うところで、遂に限界を超えてクラッシュしてしまったのは残念極まりなかった。
だが、速さに劣るVJM02をあそこまで走らせた点は、純粋に評価したい。
いつか、今日のこのパフォーマンスが報われる日が来ますように。
その7
今週の跳ね馬新喜劇
恐らく、多くのF1ファンがスーティルのクラッシュにうなだれていた頃、諸手を挙げて喜んでいたであろうチームがあった筈である。
その名をスクーデリア・フェラーリと言う。
何しろ、万が一にでもスーティルが入賞したりしたら、晴れてノーポイントとなるのはフェラーリだけだったのだから。
開幕してからと言うもの、毎レースのようにF1ファンに笑いを提供してくれるこのチームには、深い尊敬の念を覚える次第である。
今回も、苦手の雨の中、ポディウムを目指して激走するマッサのエンジンが突然止まってみたり、ライコネンもエンジン不調でずるずる後退してみたり、ネタの枚挙に暇が無い。
流石である。
あまりにも流石過ぎて、笑いすら沸いてこない。
これでチームワーストタイの3戦連続ノーポイント。
バーレーンでの記録更新を目指して、全力を挙げてネタの仕込みに勤しんでほしい。
ところで、今年のチームの名前、こっそりスクーデリア・イタリアに変わってたりしませんか?
次はバーレーンGP。
ここまで3戦、まともなレース展開になっていないので、次くらいは何事も無く進むレースになって欲しい。
退屈なレースになってしまうかもしれないが、各チームの戦力差をはっきりさせるためにも、一戦くらいは退屈でもガマンするさ。
でも、ここまでの流れを見る限り、砂嵐でレースが出来ないとか普通にありそうで恐ろしい。
戦々恐々としつつ終筆。