ついこの間、開幕したと思っていた09シーズンも気が付けば最終戦。
ブラジルの結果に、表面上はバトンを祝福しつつも、密かに地団太踏むほど悔しがった先々週の私よ、歓喜の渦に巻き込まれるが良い。
レッドブル、翼を授ける!
最終戦、そして初開催のアブダビGPを制したのはヴェッテルであった。
翼を授けるのが2週間ほど遅いんじゃないかとか、ノーマーシィな意見は至極当然に黙殺する。
良いんだよ、細けえ事は。
昔から終わりよければ全て良しって言うじゃない。
ウェバーも最後のバトンとのバトルを凌いで2位フィニッシュしたし、圧倒的じゃないか我がRBRは!
ニューウェイ先生ばんざい! RB5ばんざい! ヴェッテルばんざい! せっかくだからウェバーもばんざい! こっそりクルサード先生もばんざい!
ニューウェイ先生とヴェッテルの居るRBRは最高のチームですネ!!
ひゃっほぃ!
…念のため書いておくとですね、
最終戦を1-2で締めくくったけど、結局はBGPに今年の美味しいところ全部持ってかれた事にを忘れるために無闇矢鱈にはしゃいでいるわけじゃないんだから。
か、勘違いしないでよねッ!
以下いつものように意味を成さない雑感垂れ流し。
その1
チャンピオンの意地。
早くもあちらこちらでしょぼいチャンピオン等と言われちゃってるっぽいジェンソン・バトンさん29歳。
たしかにタイトルの決め方はしょっぱかったけれど、前半戦の圧倒的な勢いを無視して、その評価はどうなのよと疑問に感じたりするのだが、今回のバトンは圧倒的だった前半戦の勢いを取り戻したかのような素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたように思う。
特に最後のウェバーとの2位争いは、ブラジルまでの消極的な走りが信じられないほどにアグレッシブだった。
結果的にオーバーテイクこそ叶わなかった(これについてはバトンの腕云々よりも、ウェバーの見事なディフェンスを褒め称えたい)が、チャンピオンとして最低限の意地を見せる事ができたのではないか。
最初のピットのアウトラップで、可夢偉にあっさりオーバーテイクされちゃったのはご愛嬌としておきましょうかね。
その2
ハミルトン残念
今年最後のGP。
開幕戦とは全く別のクルマに生まれ変わったMP4-24は、ハミルトンの手によって予選から異次元の速さを発揮。
決勝では、その速さに若干の翳りが見えたものの、PPからヴェッテルの追撃をかわすべく好走を続けるハミルトンは磐石のように見えた。
だがしかし、まさかのブレーキトラブルであっけなくリタイヤ。
決勝でのヴェッテルがあまりにも素晴らしいパフォーマンスだったので、勝利する事は難しかったかもしれないが、走りきれてさえいれば2位フィニッシュは可能だっただろう。
困難を極めながらも、後半戦でやっと速さを取り戻してきたマクラーレンとハミルトン。
最終戦も良い形で締めくくりたかっただろうに、ハミルトンの落胆たるやいかばかりかとちょっとだけ心配してたら、久々に現場に来たロン・デニスと朗らかに談笑してるとか。
なんと言うか、こう言う切り替えの早さがハミルトンの強さなのかも知れんなあと思った11月最初の日曜日の夜。
その3
スクーデリア轟沈
前戦ブラジルでコンスト3位の座を、1P差でマクラーレンに奪われたフェラーリ。
3位奪取に向けて、決意も新たにアブダビに挑んだものの、結果は轟沈であった。
既に開発の終わった(開発を投げたとも言う)F60では、ライコネンの腕を持ってしても予選11位がやっとと言う有様。
決勝でも全く速さを発揮できず、目の上のたんこぶマクラーレンがノーポイントで終わったのに、自分達も仲良くノーポイントで結局3位奪取は叶わなかった。
なんとも言いようがない結末だが、今季最後のレースを見守っていたシューマッハとマッサの厳しすぎる表情が全てを物語っていたように思う。
前年コンスト王者が、コンスト3位以内に入れずシーズンを終えるなど、少なくともここ20年ではありあえなかった事態である。
マッサの不幸な事故があったと言えばそれまでなのだろうが、早々にF60の開発を諦めてしまったチームの方針には、やはり疑問を抱く。
他のチームならまだしも、仮にもスクーデリア・フェラーリがそんな及び腰な姿勢でなんとする。
いまさら何を言ったところで、結果が変わるわけではないのだが、やっぱりこの体たらくは残念極まりない。
その4
さらばBMW
このアブダビGPがBMWの最後のレースであった。
ここ数戦の速さと勢いは、アブダビの地でも維持されたようで、ニックが5位フィニッシュ。
クビサは残念ながら入賞は叶わなかったが、最後のレースでそれなりの結果は残せたようだ。
明らかに戦闘力の劣るクルマに悩まされた挙句、遂には撤退と言う道を選択したBMW。
よりにもよって撤退が決まってからクルマが戦闘力を取り戻すという、なんとも皮肉なラストシーズンになってしまった。
かつて、GP最強エンジンの名をほしいままにしたドイツの雄は、このレースを持ってF1GPの表舞台から去る。
それが一旦であるのか、永遠であるのかは分からないけれど、これからのBMWに幸多からん事を祈る。
BMWの名は外れるけれど、来年、なんとか14番目のチームとしてグリッドに並んでいる事も併せて祈る。
その5
すごいよコバヤシさん
グロックの怪我が思ったよりも重傷だったので、ブラジルに引き続き代役を勤めた可夢偉。
まあ、ブラジルと同じくらいには楽しませてくれたら良いなあくらいに思ってたら、良い方に予想を裏切られた。
12位スタートの1ストップ重タンのクルマで、あれよあれよと順位を上げ、終わってみれば6位フィニッシュ。
僚友のトゥルーリよりも上のポジションでフィニッシュして見せるとは恐れ入った。
スタートで、ライコネンを見事にかわした事もすごいし、アウトラップで速さが発揮できない状態だったバトンを一発で抜き去って見せたところなどは喝采を送りたくなったほどだ。
あのオーバーテイクは、今季のベストオーバーテイクではないだろうか。
とにもかくにも、久々に、本当に久々にコレはと思わせる日本人ドライバーが出てきてくれたことが素直に喜ばしい。
見事にノーポイントに終わった、どこかの出来ない子とは違って、本当に期待できそうな逸材だ。
トヨタは可夢偉のために参戦を続けたほうがいいと思う。本当にそう思う。
その他、アロンソのこととか、BSの10年限りでのF1撤退とかは、そのうち書くであろう今年の総括で触れるかもしれない。
兎にも角にも、これにて今年のF1は閉幕。
正直なところ、トラック外での出来事の方がなんやかんやと喧しく話題の大きい一年であったが、ひとたびトラック内に目を戻せば、そこにはやはり世界最速を目指す者達の激しく熱い戦いがあったことを忘れてはならぬ。
昔と比べてなんやかんやとか、あたまのわるい私には良く分からないけれど、根本にあるものは今も昔もきっと変わってないはず。
その変わっていないモノを期待して、今は静かに来年の開幕戦を待とうと思う。
そして、できれば来年こそはヴェッテルとRBRが戴冠できれば良いなあと願って終筆。