2008年01月15日
オートサロンレポートを書く前にGT-Rというクルマのおさらいを。
GT-R・・・国産ではかつてないパワーの車両を商品化するにあたり、国交省から改造できないように・・・という厳しい指導を受けたとも言われています。
そのために車両のあらゆるところにセンサー類を取り付け、メインコンピュータでそのセンサーから得られる情報をリアルタイムで処理し、適正な制御をしているとのこと。
センサーからフィードバックされる値に適正範囲の値でない異常な値を感知すると、警告情報を発したり、また走りに関する部分での異常値は、クルマそのものの動きを制御するようなプログラムがされているようです。
例えば、このときの日産の説明員からは「排圧センサーからの情報で燃調やターボも制御しています。」とか「ホイル一つ変えるにも、車両がどういう状態かを診ています。」と聞いてました。
また、異常値はすぐに検知して制御する場合もあれば、ログを取っていて、そのログがあるレベルを超えたときに警告や制御をするものもある・・・とも聞きました。
そんなガチガチの制御であっても、メーカ(日産)として改造できないような仕掛けの代償?の最大限として、GT-Rには純正状態での品質保証というのに加え『 性能保証 』というものを付けたのではないかとも感じています。
はい。 それではオートサロンレポートです。 行ったのは冷たい雨が降る12日(土)。 毎年ながらクルマで行く場合、かなり早い時間(もちろん開場よりも1時間くらい前)に幕張メッセの駐車場に着かないと、クルマを停めるにも時間がかかるので、今年は電車で行ってきました。(電車で行ってもウチからメッセの入口まで最短でも約2時間半だけど。)
さらに、総出展台数600台を超えてるので、何かテーマを決め、そのテーマに沿って見たり、もしくは車両を決めたりして見ないと、見た目だけの派手さに目を奪われてしまうだけに終わってしまうショーでもあります。。 ← それもあって中身がなくても派手さだけをウリにしてるクルマも多い。
今回は、GT-Rと新型M3、そして+αの車両に絞って見てきましたが、今日はGT-Rだけについて触れます。 GT-Rは全部で17台出展されていて、その画像はこちらです。(日産ブースに展示されていたNISMOのGT500車両は除く。)
残念ながら、日産がカスタマイズ認定する予定の2社(NISMOとオーテックジャパン)はブースもありませんでした。
そこで、17台のGT-R・・・それぞれのチューナー(パーツメーカ含む)に、こういうことを聞いてみました。
■ノーマルに対しての変更点。
■変更したパーツによる不具合は出てないか?
■装着したパーツはOKであっても、他のところで不具合が出てないか?
■パーツを装着して、どのくらいのテストをしているか?
■この状態(パーツを変更している)でNHPC(日産ハイパフォーマンスセンター)に車両を持ち込んで、保証付きでメンテしてくれるか?
■保証されない場合、チューナー(パーツメーカやショップ含む)が車両ごと面倒を診てくれるか。
■パーツを装着して直後やしばらくは不具合がなくても、長期的にはどうか?
■長期的に見て、装着したパーツによる直接/間接的に関係なく、ログの蓄積で警告やエラーが出て、原因を究明したら、装着したパーツによるものと判明した。 その場合、車両ごと面倒を診るだけでなく、ちゃんとしたクルマにしてくれるか?
■パーツは商品レベルになっているか?
・・・など、GT-Rユーザ、もしくはこれからユーザになる人には最も気になるところだけど、チューナーには答え難い内容です。
どこがどう答えたとは書きませんが、話しを聞く限りは、どこのチューナーも明確な回答を持ってないのが現状です。 ただその中で、パーツを交換したことによる不具合についていくつかあったり、現状を教えてくれたりしたのを書いておきます。
▲ホイルを交換してタイヤ空気圧センサーの異常で警告表示が出た。(ホイルを変更した全車両。)
→GT-Rの純正ホイルには専用バルブ付の空気圧センサーが張り付いていて、車両からホイルが離れると、異常と感知して警告表示が出ます。
社外品に変更する場合、空気圧センサーに対応したバルブも製作する必要ががありますが、現状ではどこも対応してないようです。
BBSは、現在、GT-R専用のホイル銘柄をどれにするかを含め開発中とのこと。 空気圧センサーには対応する予定だけど、センサーのみ純正を別途購入する必要があるかも・・・とのこと。
▲マフラーを変更して排圧が上ったけど、ターボの過給圧が下がった。
→純正の0.8kg/cm2に対して、0.3kg/cm2になってしまい、パワーが劇的に下がった。(笑)
過給圧制御に加え、燃調制御も介入してるよう。 ← 日産の開発者の言うとおり。
▲ターボの過給圧を上げたら、燃調の制御が介入してスカスカの状態になってしまった。
▲サーキット以外でのスピードリミッターの解除はできないかもしれない。(コンピュータ系某チューナー)
▲BOSEサウンドシステム搭載車両はアンプの状態監視や制御もしてるので、オーディオを変更する際には、そこをどうするか難しい。
▲このクルマには手を出せない。(日産系某有名チューナー)
▲こっちが立てば、あっちが立たず。 あっちが立てば、こっちが立たず。 その繰り返し状態になってる。
▲まだどのパーツも商品ではなく、試作レベル、もしくはテスト中のパーツを出展してるに近い状態。(ほぼ全車両。)
今後もテストを続け、保証をどうするかも含め、商品にするかどうかも検討する。
商品になるには、まだ相当の時間がかかるでしょう。
▲ここ(オートサロン会場)に来てパーツを装着した車両です。 テストどころか自分たち(チューナーやパーツメーカ)も見るのは初めてです。
▲おそらく日産の保証対象外の車両になります。 あとはユーザがそれでも良い。と判断するかどうかでしょう。(GT-Rをハデにイヂってた某ショップ系)
・・・と、まぁ、ある程度予想してたとおりの回答でした。
ただ、その中でもMiNE'Sだけは一歩も二歩も先を進んでるように思えます。 脚やブレーキは、ほぼ商品レベルになってるようです。 また、車両そのものをMiNE'Sで面倒が診れるようにもしていきたい。とも話してくれました。 ← さすが、これまで数多くのスカイラインGT-Rのコンプリートカーを製作してきたチューナーだけのことはあります。
また、こんな質問もしてみました。
■もし、日産がチューナーに対してNHPCの資格を与えていく(もちろんその背景には、知識や技術レベルだけでなく、法令やルールを厳格に尊守する。という条件アリ)ようになったらどうするか?
・・・という質問に対しては、
▲ウチだけじゃ無理。
▲それはそれでもウチはオリジナルでやっていく。
▲もちろん、取得しにいく。 ただし、業界全体でそういう取り組みをしないと難しいだろう。
など、自分のところしか考えてない回答や、業界としてどう取り組むかを考えてる方などさまざまでした。
しかし、この先GT-Rのチューニングパーツ、あるいはチューニングそのものの商品は出てくるのでしょうが、保証問題の進展がない限り、ユーザがどこまで許容できるかの判断も重要になってくると思います。
これは今はGT-Rに関してですが、これから出てくるスポーツ/スポーティカー、あるいは全ての車種に対して適用されても不思議ではないとも思えます。(輸入車はすでにそういう流れになってる部分もあるけど。)
ただ、この問題・・・メーカ、チューナー、ショップ、ユーザのそれぞれの間で、まだまだ尾を引きそうな感じです。 どこかに満足できるような解決策があるのか分かりませんが、何かを大きく変えないと解決しそうにないようにも感じました。
【関連過去ログ】
■GT-Rはタイムアタック仕様
■GT-R試乗記
■ショップの煩悩
Posted at 2008/01/15 15:16:30 | |
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カーウォッチング | クルマ
2008年01月10日
1/11(金)~13(日)で、幕張メッセに於いてクルマバカの祭典:東京オートサロンが開催されます。
もちろん、自分もクルマバカの端くれなので行く予定です。
でもこのブログで書いた
「パーツを装着した前後のデータやそのパーツを装着することによって考えられるデメリット、また耐久性などを出さないで、ただ大々的に「イイよ~。」みたいな宣伝してるパーツメーカやショップは、ホンネを言うと信用できない。」
と思ったり、こっちのブログで書いた
「最近は国産車/輸入車に限らず、新型車がデビューすると、あまりタイムラグもなく、外装パーツ、マフラー、サスペンションなどのアフターパーツが発売されてくる。 でもそれだけそのパーツのテストをしてるのだろうか?と疑問に思う。」
ということを今まで以上に強く感じるんじゃないかと。。。
最近はショップのデモカーも市場投入されて間もない新型車に、あれやこれや、次から次にテンコ盛りにしたり、新しいパーツが出てはとっかえひっかえしてるのを見かけます。
その後から装着されたパーツがノーマル部品で至らないところがあり、それを補ってさらに性能を向上させたり、より耐久性が上ったりする、もしくは、乗り心地が悪くなろうが、快適性が欠けようが、目指す目的や目標が明確になっているのなら、それはそれで良いと思う。(ただ、目的や目標が自己の欲求を満たすだけで、万一、他者や他物に対して安全でない、迷惑をかける、危険とされるものは大反対!)
でも、どうみても耐久テストや信頼性試験等をしてないんだろうなぁ・・・と思うようなのもあったり。。。
また、デモカーも次から次にいろいろ装着したりしてるので、目的や目標をもっているというより、「何かしなきゃけない。。。」という魔物にとりつかれてるかのように痛々しくも見えたりもします。 ← ショップのデモカーに限らず、最近はユーザでも魔物にとりつかれてるような方もお見受けします。
例えば・・・あくまでも自分の主観でしかありませんが、新型M3のアフターパーツ。 すでに脚やマフラーが出始めている。 新型M3でM-Driveパッケージをオプション装着する人も多いと思うのだけど、そこにあるEDCを殺してまで別の脚に変える必要性ってどこまであるのだろうか・・・と思ったり。 ← 見た目の車高を変えるだけの目的? まぁ、それが目的ならそれはそれでいいのかもしれませんが、走りが目的というのなら、ノーマルの車高では、どういう走行条件でどこがNGだから、こういう車高が望ましい。。。というところまで踏み込んでほしいです。
新型GT-Rもマフラーや脚、CPUチューンの話題もいくつか上ってきています。 でもGT-Rのメインコンピュータってマフラーや脚を含め、車両のほぼ全ての状況をリアルタイムで管理しているとも聞いているので、社外品を装着したときに、どういう判断をして、それが長期に装着されたときに、どうなっていくのだろうか、不具合が出ないのだろうか、また、日産が提唱している性能保証、そして品質保証に対してはどうなのか。。。など、見えないままでの商品化というのが、ちょっと不思議に思えます。
売る側としては、商売をしないことには仕事として成り立たないし、果ては生活にかかってくるので背に腹は変えられないのかもしれない。
かといって、性能と耐久性、安全性、そして保証なとのバランスの取れてないモノを「売れればいい。」的な発想みたいな感じで製品を世に出すのはどうかと思います。・・・というより辞めてほしいというのが正直なところです。 それとも、そういう責任は販売側ではなく、開発/製造側にあるという考えなのでしょうか。
自動車は一歩間違えると命を奪う凶器にもなります。 もし、その装着したアフターパーツが原因で不具合を起こし、それによって自分のクルマが不具合に陥ったり、あるいは事故を起こしてしまったり、怪我をしてしまったり、誰か全く関係ない人を事故に巻き込んでしまったり、果てはその人の命を奪ってしまったりしたら、誰が責任を取るのでしょう?
おそらくはドライバー、あるいはそのアフターパーツを装着した車両の所有者の責任が最も重くなるのではないかと思いますが、製品を世に出した側や販売した側の責任は問われないのでしょうか?
そう考えると、耐久テストをしてない製品や信頼性のない製品なんて世の中に出せないのではないかと思います。(ノーマルパーツでも不具合を起こすことはあるけど、ノーマルの場合、通常はメーカが保証していることが多い。) また、性能がどう変わるのかというのを、客観的、且つ定量的な表示をしないで、抽象的な表現で販売するのも、なんとかしてほしいです。 あと、販売するのなら、そのアフターパーツそのもの、そして作業等に保証書を発行して、保証内容や保証範囲も明確にもしてほしいところです。(パーツメーカから販売店までは保証書が届いてるのかもしれないけど、ユーザに渡されてるケースはほとんどないと思います。)
また、これも全くの個人的な考えだけど、チューニングの世界って、世間一般的な視点から見ると、どこかアウトローな世界にも感じたりします。 しかし、ノーマルのクルマを乗ってる人はそう見られてないように思えます。 この差ってなんでしょうか。
でも、もし、チューニングの世界でも、安全性や信頼性、耐久性、保証体制などがしっかり整えば、もしかしたら世間からの見方も変わっていくんじゃないかとも思ったり。。。
以前、日産がGT-Rが商品化するときのエピソードかなにかで、「あれだけのハイパワーな高性能車を市場投入する条件として、危険な改造をさせないような仕組みにする。」として、それをお上(国交省?)が了承したというのがあったように記憶しています。
今後、GT-Rのようなグローバルを睨んだクルマが自動車メーカからいろいろ出てくるのではないかと思います。 でもその背景には、性能保証、品質保証、環境性能、そして企業のコンプライアンスみたいなものが、しっかり整っていることがさらに要求されていくことは間違いないのではないかと。 そして、それは自動車メーカにとどまらず、部品メーカ、あるいはショップに至るまで整えられていくのでははないかとも思います。
ユーザとしても、速くて、楽しくて、快適で、味があって、安全で、信頼性が高くて、耐久性もあって、壊れない、それでいて環境にも優しい。。。というのが理想になり、それを実現できるモノを今まで以上に厳しい眼で選んでいくようになっていくでしょう。
それに応えるメーカ、販売店は生き残り、応えられないところは淘汰されたり消えていく。。。自然の摂理なのかもしれません。
変なタイトルにしてしまいましたが、自分が感じてるままを素直に書きたいと思い、こういうタイトルにしました。 あくまでも自分が日ごろ感じてることなので、事実とは異なることが含まれてる場合もあると思います。 しかし、それはそれで宮個人が勝手な想像で書いてることと思い、軽く流して頂ければと思います。
そんなこんなで、明日から開催されるオートサロンですが、今までと同じ視点に加え、ちょっと別の視点からも観てこようと思います。
【関連過去ログ】
■カーショーの視点を変えた見方
■ショーカー
■2007オートサロンレポート
■マフラー騒音規制を考察
■GT-Rはタイムアタック仕様
Posted at 2008/01/10 12:51:23 | |
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カーウォッチング | 日記
2007年12月21日
以前にDセグモンスターの自動車税や保険について書いたことがありました。
今回、ちょっと気になることがあったので、Dセグモンスターたちの理論最高速を計算してみることに。
結果は以下の表のとおりです。
| |
Nissan |
LEXUS |
AMG |
Audi |
BMW |
ALPINA |
GT-R |
IS F |
C63 |
RS4 |
M3 |
335i |
B3 BiTurbo |
E92 |
E46 |
E36 |
排気量 |
3.8 |
5.0 |
6.2 |
4.2 |
4.0 |
CSL |
3.2 |
3.0 |
Year |
2007 |
2008 |
2006 |
2007 |
2004 |
2001 |
1996 |
1993 |
2007 |
E/G |
V6 Turbo |
V8 NA |
直6 NA |
直6 Turbo |
Power |
480 |
423 |
457 |
420 |
360 |
343 |
321 |
286 |
306 |
370 |
6400 |
6600 |
6800 |
7800 |
8300 |
7900 |
7400 |
7000 |
5800 |
6000 |
トルク |
60.0 |
51.5 |
61.2 |
43.8 |
40.8 |
37.7 |
37.2 |
35.7 |
32.7 |
40.8 |
51.0 |
5200 |
5200 |
5000 |
5500 |
3900 |
4900 |
3250 |
3600 |
1300-5000 |
3800-5000 |
車重 |
1740 |
1690 |
1730 |
1730 |
1680 |
1430 |
1560 |
1470 |
1460 |
1620 |
1560 |
Tire幅 |
255 |
225 |
235 |
255 |
245 |
225 |
235 |
245 |
扁平率 |
40 |
35 |
40 |
45 |
40 |
ホイル |
20 |
19 |
18 |
19 |
18 |
19 |
18 |
17 |
18 |
Tire外径 |
712.0 |
662.6 |
645.2 |
661.1 |
653.2 |
662.6 |
659.7 |
634.3 |
619.8 |
653.2 |
Final |
3.700 |
2.937 |
2.820 |
4.111 |
3.846 |
3.620 |
3.230 |
3.150 |
3.462 |
一速 |
4.056 |
4.596 |
4.380 |
3.666 |
4.055 |
4.227 |
4.227 |
4.227 |
4.198 |
4.171 |
4.171 |
57.2 |
61.0 |
66.9 |
64.5 |
65.5 |
64.5 |
64.2 |
64.8 |
61.8 |
49.4 |
51.1 |
二速 |
2.301 |
2.724 |
2.860 |
2.210 |
2.369 |
2.258 |
2.258 |
2.506 |
2.493 |
2.340 |
2.340 |
100.8 |
103.0 |
102.5 |
106.9 |
112.1 |
107.8 |
107.3 |
109.3 |
104.1 |
88.1 |
91.2 |
三速 |
1.595 |
1.863 |
1.920 |
1.520 |
1.582 |
1.669 |
1.669 |
1.669 |
1.665 |
1.521 |
1.521 |
145.5 |
150.6 |
152.7 |
155.5 |
167.9 |
163.2 |
162.5 |
164.0 |
155.9 |
135.6 |
140.2 |
四速 |
1.248 |
1.464 |
1.370 |
1.133 |
1.192 |
1.226 |
1.226 |
1.226 |
1.240 |
1.143 |
1.143 |
185.9 |
191.6 |
214.0 |
208.6 |
222.8 |
222.2 |
221.2 |
223.3 |
209.3 |
180.4 |
186.6 |
五速 |
1.001 |
1.231 |
1.000 |
0.918 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
0.867 |
0.867 |
231.8 |
227.9 |
293.1 |
257.4 |
265.6 |
272.4 |
271.2 |
273.8 |
259.5 |
237.8 |
246.0 |
六速 |
0.796 |
1.000 |
0.820 |
0.777 |
0.872 |
0.827 |
0.827 |
0.827 |
|
0.691 |
0.691 |
291.5 |
280.5 |
357.5 |
304.1 |
304.6 |
329.4 |
327.9 |
331.1 |
298.4 |
308.7 |
七速 |
|
0.824 |
0.730 |
|
|
|
|
|
|
|
|
340.4 |
401.5 |
八速 |
|
0.685 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
409.5 |
表の見方
■Powerの上段の単位はps。 下段はその最高出力を発生するエンジン回転数rpm。
(レブリミットは最高出力発生回転よりも高いが、条件を統一する目的で最高出力発生回転数とした。)
■トルクの上段の単位はkg・m。 下段はその最高トルクを発生するエンジン回転数rpm。
■他の単位は、排気量:L、車重:kg、タイヤ幅:mm、扁平率:%、ホイルサイズ:インチ、タイヤ外径:mm。
■タイヤは駆動方式に関係なく前輪値であり、その前輪値を元に理論最高速を計算。
■各ギアの上段はギア比、下段は計算で求めた速度km/h。
■計算で求めた速度は、車重、荷重配分、空力特性、空力抵抗、接地抵抗、滑り、タイヤ銘柄、タイヤの磨耗/変形、路面条件/状態、その他のロス等の不確定要因は考慮せず。
車種ごとの条件
■GT-Rは標準車両。
■AMG C63、Audi RS4は左ハンドルのセダン車両。
■E92型、E46型それぞれの///M3は左ハンドルの標準車両。
■335iは左ハンドルCoupeのM-Sport車両。
■B3 BiTurboは左ハンドルのCoupe車両。
・・・で、勝手な私見コメント。
まず、全般を見渡して、今まで車両サイズからDセグメントと一括りにされがち・・・そして比較されがちの車種だったけど、実際に計算してみると、それぞれにはいろいろと差があり、それがそれぞれのメーカがその車種をどういうコンセプトで開発したかったのか、どういう方向を目指しているのか、またどういう乗り方をするとそのクルマを愉しむことができるのか等が、見えてくるように思える。
続いて車種ごとに。
■GT-R
意外や意外? パワーが十分にあり排気量が小さいながらも、そのパワーを絞り出す回転数が他に比べてあまり高いとは感じない。 トルクはツインターボということもありAMG C63と肩を並べ他を圧倒している。 ただ、そのパワーやトルクで最高速マシンを狙うようでもなさそう。
でも、過去のスカイラインGT-R(RB26)のデータを見てみても、最高出力発生回転数が6,800rpmとか決して超高回転ではない。 なのでR35 GT-Rもターボを十分に効かせながら怒涛のトルクを活かし、5,000~6,400rpmの領域を上手く使って押し出すように走らせるのが、このクルマの真骨頂なんじゃないかと予想。
3.6kg/psというパワーウェイトレシオがGT-Rのウリの一つだけど、理想としては車重が1,600kg以下になると、いろんな意味でホントのスーパーカーと呼べるんじゃないでしょうか。
■IS F
計算して、このクルマの隠れた牙を見た思い・・・というのが正直なところ。 実際にその速度が出るのか分からないけど、計算上で理論最高速が409.5km/h(!!!)というのは驚き。
また、これまでIS Fが目指してるのは和製///M3と思ってたけど、どちらかというと、和製AMGを目指してるんじゃないかと。
直結が6速ということもあり、1~5速は他車に比べギア比を高くすることができ、それぞれもクロスさせることで、最高出力を発生させる高回転域よりも最大トルク近辺の回転数でギアチェンジを多用するのが、このクルマを活かす走らせ方ではないかとも思います。
ただ、1速と2速のギアがちょっと離れすぎという感もするのは厳しすぎでしょうか。
■AMG C63
国内販売を開始したけど、実際に日本に入ってくるのは来春以降なので、本国車両データでの計算となった。
同じセグメント内で他メーカの車種がまだないときから///M3とよく比較されてきているけど、いろんな数値を見てもベクトルが異なってるのが分かる。
ギアは5速直結というのは同じだけど、1~4速をハイギアにすることで、パワーよりもトルク型、そして高回転型でないというのも分かる。 でも5速で290km/h以上というのは他を圧倒している。
一応、BMWとの紳士協定で250km/hという実質の最高速があるけど、リミッターを解除したときに出るかどうかは別としても、理論上の最高速が400km/hを超えたというのもスゴイ!
IS Fとも共通するけど、ファイナルが低いので吹け上りを早くしてパワーで押し切ってしまうより、排気量からくるトルクを十分に活用した走り方をする方が、このクルマの愉しさをより味わえるのではないかと思います。
でも、このクルマとは直線勝負しないのが賢明でしょうね。
■Audi RS4
4WDということから他とは異なるベクトルかと思いきや、実は///M3と同じ方向なのではないかと。
高回転型のエンジンも然り。 でも1速のギア比が他と比べるととても低い。 別の視点から見ると2速ギアとクロスしてるので、車両を発進させるための1速ではなく、スタートダッシュを2速へ繋げるための1速ともいえるのではないかと思う。
3速以上はなんとなく335iやB3BiTouboと似たようなギア比になっていくので高速クルーザー的な部分も見えるのではないだろうか。
もっと別の見方をすると、エンジンフィーリングやハンドリング等は別として、///M3の超安定志向版、もしくは///M3が4WDになったらこういう風になるのかな・・・とも見えたりもする。
ファイナル(最終減速比)を高くしてるのは、吹け上りを早くするためでしょうか。
とても興味深い1台です。
■///M3
こういう世代ごとの比較表というのは初めてではないだろうか。(笑)
どの世代の///M3に共通していえるのは、高回転型のエンジンということ。 その進化は、より高回転へ。。。というのが明確であり、エンジン屋のコダワリを感じる。
その高回転も進化するごとにギアをよりクロスさせ、ギアチェンジしても回転が落ちないようにしてるのではないかと思う。(E46型の1速と2速が離れてるのは気になるけど。)
また、世代が新しくなるごとに伴ってきている重量増をカバーする目的もあり排気量を上げてきてるけど、その排気量UPを感じさせないようにファイナル(最終減速比)も上げてきてるので、吹け上り時間をより早くしようという意図も見える。
自分がE92型M3を試乗ときに激っ速!と感じたのも、改めてうなずけます。
・・・とはいえ、最高速を狙ってるようには見えないので、高回転域を維持し続け、ドライビングプレジャーを追求する方向なんでしょうね。
ちょっと意外?だったのはE36の後期型・・・いわゆる3.2LのM3C。 ///M3の中で最高速を狙うならこれがベストの選択になるのかも。
E92型がいろいろ酷評されたり、CGTVのコメントでも言われたりする要因の一つに、最大トルク発生回転数がE46型に比べ、低くなったこともあるんじゃないかと。(M3Bに対してM3Cで言われたときと同じように。)
///M3に尖った部分を求める人も少ないないけど、中域のトルクを使った乗り易さをウリにして、イザ!というときに一気に吹け上るのも新しいウリの一つなのかもしれないとも思います。
絶対的な速さだけでは語れないDセグモンスターのベンチマークが常に///M3というのが、このデータからも分かるような気がします。
■335i / ALPINA B3 BiTurbo
明らかに///M3とは異なるベクトルでしょう。
ALPINAが、335iでウィークポイントとなってる回らないエンジンを強引に回すのではなく、フリクションを徹底的に低減しスムーズに吹け上るエンジンフィーリングを追求してるのが改めて見えるようにも感じます。
改めてB3 Biturboを試乗ときの感覚が蘇る思いです。
335iが回らない330iのN52型B30エンジンの排気量を上げないでTwin Turbo化(N54型B30)した理由の一つに、少しでも吹け上りを早く感じさせたいというのもあるような気がします。
話しを戻して全般的に。
こうして見てみると、数値からいろんなことが分かる。 またこの数値を元にマイナーチェンジやフルモデルチェンジの方向みたいなものも見え隠れするのではないかとも思う。
さらには、このモデルたちのチューニングの方向なども。
一般的「はやくする。」という方向でも、最高速を速くするのか、吹け上りを早くするのでは、その施術は大きく異なるでしょう。
最高速を狙うのであれば、パワーUPや車両そのものの軽量化はもちろんだけど、ファイナルやギア比までも見直さないとならない。 しかもギア比を変更するということはカムの角度や燃調をも見直さなくてはならないだろう。 また、高回転域での冷却効率はもっと大事で、エンジンブロック内のオイルラインや水冷ラインの拡大化なども必要になってくる。 さらには、より高回転に対応するために、エンジンブロック/エンジンパーツそのものの強化やフリクションの徹底的な低減、部品でいってもピストン、コンロッドなどの各パーツの軽量化、そしてフルバランス取りをも必須になる。
吹け上りを早くするのであれば、もちろんパワーは必要だけどファイナルの変更も。 本気でやるならカムの角度/燃調、フリクションの低減、ピストン、コンロッドなどの各パーツの軽量化&フルバランス取りが必要でしょう。
あとは速くなった分を停めるブレーキ。 これもキャリパーやパッドだけでは純正とほとんど効きは変わらないのではないかと。 本気で停めるならマスターシリンダーから変更して、シリンダーの圧力が大きくなったキャリパーに十分に効き渡るようにしないと、ホントの意味でのブレーキチューニングになならないのではないかと思う。(いくらキャリパーを大きくしてポッド数を増やしても、マスターシリンダーを変更しないのでは圧が分散するだけに近い。)
また、時には「妥協の産物」と言われるノーマル車両だけど、速さやパワーを兼ね備えながら保証までするというのは、如何にバランスを重視し、途轍もないことをしてるかが分かります。
さらに厳しいことを言うと、世に出回るポン付けパーツのほとんどは、多少のフィーリングは変われど、根本的なところには何も効いてないのではないだろうかとも思ったり。。。
今回、全く別の意味で気になった理論最高速だけど、こうして見てみると数値の裏から見えてくるものがいくつもあり、自分で思わず目から鱗・・・状態だったので、紹介させて頂きました。
Posted at 2007/12/21 09:40:55 | |
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