2007年12月21日
以前にDセグモンスターの自動車税や保険について書いたことがありました。
今回、ちょっと気になることがあったので、Dセグモンスターたちの理論最高速を計算してみることに。
結果は以下の表のとおりです。
|
Nissan |
LEXUS |
AMG |
Audi |
BMW |
ALPINA |
GT-R |
IS F |
C63 |
RS4 |
M3 |
335i |
B3 BiTurbo |
E92 |
E46 |
E36 |
排気量 |
3.8 |
5.0 |
6.2 |
4.2 |
4.0 |
CSL |
3.2 |
3.0 |
Year |
2007 |
2008 |
2006 |
2007 |
2004 |
2001 |
1996 |
1993 |
2007 |
E/G |
V6 Turbo |
V8 NA |
直6 NA |
直6 Turbo |
Power |
480 |
423 |
457 |
420 |
360 |
343 |
321 |
286 |
306 |
370 |
6400 |
6600 |
6800 |
7800 |
8300 |
7900 |
7400 |
7000 |
5800 |
6000 |
トルク |
60.0 |
51.5 |
61.2 |
43.8 |
40.8 |
37.7 |
37.2 |
35.7 |
32.7 |
40.8 |
51.0 |
5200 |
5200 |
5000 |
5500 |
3900 |
4900 |
3250 |
3600 |
1300-5000 |
3800-5000 |
車重 |
1740 |
1690 |
1730 |
1730 |
1680 |
1430 |
1560 |
1470 |
1460 |
1620 |
1560 |
Tire幅 |
255 |
225 |
235 |
255 |
245 |
225 |
235 |
245 |
扁平率 |
40 |
35 |
40 |
45 |
40 |
ホイル |
20 |
19 |
18 |
19 |
18 |
19 |
18 |
17 |
18 |
Tire外径 |
712.0 |
662.6 |
645.2 |
661.1 |
653.2 |
662.6 |
659.7 |
634.3 |
619.8 |
653.2 |
Final |
3.700 |
2.937 |
2.820 |
4.111 |
3.846 |
3.620 |
3.230 |
3.150 |
3.462 |
一速 |
4.056 |
4.596 |
4.380 |
3.666 |
4.055 |
4.227 |
4.227 |
4.227 |
4.198 |
4.171 |
4.171 |
57.2 |
61.0 |
66.9 |
64.5 |
65.5 |
64.5 |
64.2 |
64.8 |
61.8 |
49.4 |
51.1 |
二速 |
2.301 |
2.724 |
2.860 |
2.210 |
2.369 |
2.258 |
2.258 |
2.506 |
2.493 |
2.340 |
2.340 |
100.8 |
103.0 |
102.5 |
106.9 |
112.1 |
107.8 |
107.3 |
109.3 |
104.1 |
88.1 |
91.2 |
三速 |
1.595 |
1.863 |
1.920 |
1.520 |
1.582 |
1.669 |
1.669 |
1.669 |
1.665 |
1.521 |
1.521 |
145.5 |
150.6 |
152.7 |
155.5 |
167.9 |
163.2 |
162.5 |
164.0 |
155.9 |
135.6 |
140.2 |
四速 |
1.248 |
1.464 |
1.370 |
1.133 |
1.192 |
1.226 |
1.226 |
1.226 |
1.240 |
1.143 |
1.143 |
185.9 |
191.6 |
214.0 |
208.6 |
222.8 |
222.2 |
221.2 |
223.3 |
209.3 |
180.4 |
186.6 |
五速 |
1.001 |
1.231 |
1.000 |
0.918 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
1.000 |
0.867 |
0.867 |
231.8 |
227.9 |
293.1 |
257.4 |
265.6 |
272.4 |
271.2 |
273.8 |
259.5 |
237.8 |
246.0 |
六速 |
0.796 |
1.000 |
0.820 |
0.777 |
0.872 |
0.827 |
0.827 |
0.827 |
|
0.691 |
0.691 |
291.5 |
280.5 |
357.5 |
304.1 |
304.6 |
329.4 |
327.9 |
331.1 |
298.4 |
308.7 |
七速 |
|
0.824 |
0.730 |
|
|
|
|
|
|
|
|
340.4 |
401.5 |
八速 |
|
0.685 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
409.5 |
表の見方
■Powerの上段の単位はps。 下段はその最高出力を発生するエンジン回転数rpm。
(レブリミットは最高出力発生回転よりも高いが、条件を統一する目的で最高出力発生回転数とした。)
■トルクの上段の単位はkg・m。 下段はその最高トルクを発生するエンジン回転数rpm。
■他の単位は、排気量:L、車重:kg、タイヤ幅:mm、扁平率:%、ホイルサイズ:インチ、タイヤ外径:mm。
■タイヤは駆動方式に関係なく前輪値であり、その前輪値を元に理論最高速を計算。
■各ギアの上段はギア比、下段は計算で求めた速度km/h。
■計算で求めた速度は、車重、荷重配分、空力特性、空力抵抗、接地抵抗、滑り、タイヤ銘柄、タイヤの磨耗/変形、路面条件/状態、その他のロス等の不確定要因は考慮せず。
車種ごとの条件
■GT-Rは標準車両。
■AMG C63、Audi RS4は左ハンドルのセダン車両。
■E92型、E46型それぞれの///M3は左ハンドルの標準車両。
■335iは左ハンドルCoupeのM-Sport車両。
■B3 BiTurboは左ハンドルのCoupe車両。
・・・で、勝手な私見コメント。
まず、全般を見渡して、今まで車両サイズからDセグメントと一括りにされがち・・・そして比較されがちの車種だったけど、実際に計算してみると、それぞれにはいろいろと差があり、それがそれぞれのメーカがその車種をどういうコンセプトで開発したかったのか、どういう方向を目指しているのか、またどういう乗り方をするとそのクルマを愉しむことができるのか等が、見えてくるように思える。
続いて車種ごとに。
■GT-R
意外や意外? パワーが十分にあり排気量が小さいながらも、そのパワーを絞り出す回転数が他に比べてあまり高いとは感じない。 トルクはツインターボということもありAMG C63と肩を並べ他を圧倒している。 ただ、そのパワーやトルクで最高速マシンを狙うようでもなさそう。
でも、過去のスカイラインGT-R(RB26)のデータを見てみても、最高出力発生回転数が6,800rpmとか決して超高回転ではない。 なのでR35 GT-Rもターボを十分に効かせながら怒涛のトルクを活かし、5,000~6,400rpmの領域を上手く使って押し出すように走らせるのが、このクルマの真骨頂なんじゃないかと予想。
3.6kg/psというパワーウェイトレシオがGT-Rのウリの一つだけど、理想としては車重が1,600kg以下になると、いろんな意味でホントのスーパーカーと呼べるんじゃないでしょうか。
■IS F
計算して、このクルマの隠れた牙を見た思い・・・というのが正直なところ。 実際にその速度が出るのか分からないけど、計算上で理論最高速が409.5km/h(!!!)というのは驚き。
また、これまでIS Fが目指してるのは和製///M3と思ってたけど、どちらかというと、和製AMGを目指してるんじゃないかと。
直結が6速ということもあり、1~5速は他車に比べギア比を高くすることができ、それぞれもクロスさせることで、最高出力を発生させる高回転域よりも最大トルク近辺の回転数でギアチェンジを多用するのが、このクルマを活かす走らせ方ではないかとも思います。
ただ、1速と2速のギアがちょっと離れすぎという感もするのは厳しすぎでしょうか。
■AMG C63
国内販売を開始したけど、実際に日本に入ってくるのは来春以降なので、本国車両データでの計算となった。
同じセグメント内で他メーカの車種がまだないときから///M3とよく比較されてきているけど、いろんな数値を見てもベクトルが異なってるのが分かる。
ギアは5速直結というのは同じだけど、1~4速をハイギアにすることで、パワーよりもトルク型、そして高回転型でないというのも分かる。 でも5速で290km/h以上というのは他を圧倒している。
一応、BMWとの紳士協定で250km/hという実質の最高速があるけど、リミッターを解除したときに出るかどうかは別としても、理論上の最高速が400km/hを超えたというのもスゴイ!
IS Fとも共通するけど、ファイナルが低いので吹け上りを早くしてパワーで押し切ってしまうより、排気量からくるトルクを十分に活用した走り方をする方が、このクルマの愉しさをより味わえるのではないかと思います。
でも、このクルマとは直線勝負しないのが賢明でしょうね。
■Audi RS4
4WDということから他とは異なるベクトルかと思いきや、実は///M3と同じ方向なのではないかと。
高回転型のエンジンも然り。 でも1速のギア比が他と比べるととても低い。 別の視点から見ると2速ギアとクロスしてるので、車両を発進させるための1速ではなく、スタートダッシュを2速へ繋げるための1速ともいえるのではないかと思う。
3速以上はなんとなく335iやB3BiTouboと似たようなギア比になっていくので高速クルーザー的な部分も見えるのではないだろうか。
もっと別の見方をすると、エンジンフィーリングやハンドリング等は別として、///M3の超安定志向版、もしくは///M3が4WDになったらこういう風になるのかな・・・とも見えたりもする。
ファイナル(最終減速比)を高くしてるのは、吹け上りを早くするためでしょうか。
とても興味深い1台です。
■///M3
こういう世代ごとの比較表というのは初めてではないだろうか。(笑)
どの世代の///M3に共通していえるのは、高回転型のエンジンということ。 その進化は、より高回転へ。。。というのが明確であり、エンジン屋のコダワリを感じる。
その高回転も進化するごとにギアをよりクロスさせ、ギアチェンジしても回転が落ちないようにしてるのではないかと思う。(E46型の1速と2速が離れてるのは気になるけど。)
また、世代が新しくなるごとに伴ってきている重量増をカバーする目的もあり排気量を上げてきてるけど、その排気量UPを感じさせないようにファイナル(最終減速比)も上げてきてるので、吹け上り時間をより早くしようという意図も見える。
自分がE92型M3を試乗ときに激っ速!と感じたのも、改めてうなずけます。
・・・とはいえ、最高速を狙ってるようには見えないので、高回転域を維持し続け、ドライビングプレジャーを追求する方向なんでしょうね。
ちょっと意外?だったのはE36の後期型・・・いわゆる3.2LのM3C。 ///M3の中で最高速を狙うならこれがベストの選択になるのかも。
E92型がいろいろ酷評されたり、CGTVのコメントでも言われたりする要因の一つに、最大トルク発生回転数がE46型に比べ、低くなったこともあるんじゃないかと。(M3Bに対してM3Cで言われたときと同じように。)
///M3に尖った部分を求める人も少ないないけど、中域のトルクを使った乗り易さをウリにして、イザ!というときに一気に吹け上るのも新しいウリの一つなのかもしれないとも思います。
絶対的な速さだけでは語れないDセグモンスターのベンチマークが常に///M3というのが、このデータからも分かるような気がします。
■335i / ALPINA B3 BiTurbo
明らかに///M3とは異なるベクトルでしょう。
ALPINAが、335iでウィークポイントとなってる回らないエンジンを強引に回すのではなく、フリクションを徹底的に低減しスムーズに吹け上るエンジンフィーリングを追求してるのが改めて見えるようにも感じます。
改めてB3 Biturboを試乗ときの感覚が蘇る思いです。
335iが回らない330iのN52型B30エンジンの排気量を上げないでTwin Turbo化(N54型B30)した理由の一つに、少しでも吹け上りを早く感じさせたいというのもあるような気がします。
話しを戻して全般的に。
こうして見てみると、数値からいろんなことが分かる。 またこの数値を元にマイナーチェンジやフルモデルチェンジの方向みたいなものも見え隠れするのではないかとも思う。
さらには、このモデルたちのチューニングの方向なども。
一般的「はやくする。」という方向でも、最高速を速くするのか、吹け上りを早くするのでは、その施術は大きく異なるでしょう。
最高速を狙うのであれば、パワーUPや車両そのものの軽量化はもちろんだけど、ファイナルやギア比までも見直さないとならない。 しかもギア比を変更するということはカムの角度や燃調をも見直さなくてはならないだろう。 また、高回転域での冷却効率はもっと大事で、エンジンブロック内のオイルラインや水冷ラインの拡大化なども必要になってくる。 さらには、より高回転に対応するために、エンジンブロック/エンジンパーツそのものの強化やフリクションの徹底的な低減、部品でいってもピストン、コンロッドなどの各パーツの軽量化、そしてフルバランス取りをも必須になる。
吹け上りを早くするのであれば、もちろんパワーは必要だけどファイナルの変更も。 本気でやるならカムの角度/燃調、フリクションの低減、ピストン、コンロッドなどの各パーツの軽量化&フルバランス取りが必要でしょう。
あとは速くなった分を停めるブレーキ。 これもキャリパーやパッドだけでは純正とほとんど効きは変わらないのではないかと。 本気で停めるならマスターシリンダーから変更して、シリンダーの圧力が大きくなったキャリパーに十分に効き渡るようにしないと、ホントの意味でのブレーキチューニングになならないのではないかと思う。(いくらキャリパーを大きくしてポッド数を増やしても、マスターシリンダーを変更しないのでは圧が分散するだけに近い。)
また、時には「妥協の産物」と言われるノーマル車両だけど、速さやパワーを兼ね備えながら保証までするというのは、如何にバランスを重視し、途轍もないことをしてるかが分かります。
さらに厳しいことを言うと、世に出回るポン付けパーツのほとんどは、多少のフィーリングは変われど、根本的なところには何も効いてないのではないだろうかとも思ったり。。。
今回、全く別の意味で気になった理論最高速だけど、こうして見てみると数値の裏から見えてくるものがいくつもあり、自分で思わず目から鱗・・・状態だったので、紹介させて頂きました。
Posted at 2007/12/21 09:40:55 | |
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