もう今(2025年)では個体数のこともあるので実比較するのは難しいけど、昔思ってた(書き溜めてた)ことをリアレンジして書きます。
M3C(E36 M3後期型)の現役時~終息後しばらくは車雑誌等で、“M3B(E36 M3前期型)は気持ちイイ吹け上がりを感じるがM3Cはもっさりしてる”…とか綴られた記事を何回も見かけたことがあった。
記事を見る度に、この記者、M3BとM3Cと同じときに乗り比べて書いてるのかな?と思ったもの。
同じときに乗り比べてるなら致し方ないと思うが、どちらか片方だけ試乗し、過去に乗ったもう片方と比べて書いた…もしくは、どちらか片方しか乗らず、スペック比較してなら、記事を鵜吞みにするのはどうかと思ってた。(そもそも同時に乗って書いてた記事はなかったかと。)
人の感じ方なんて一定のモノサシなんてないだけでなく当てにならないし、そのときどきの感覚頼りなのがほとんど。
そう書いた上であくまでも自分のモノサシになってしまうけど、オフミ(オフ会)で仲間のM3B、M3Cを乗り比べる限りは、記事のようには感じなかったというのがホンネ。
実際、M3Bでも吹け上がりが鈍い個体もあれば、圧倒的に吹け上がりが鋭くパンチの効いたM3Cが存在したのが事実。(実際、試乗させてもらったE36 M3の中で某お方のど・ノーマルM3Cが最も吹け上がりが早かった。…で、自分の個体(iDing化以前)は…至って標準的なM3C。)
これはM3やBMWに限ったことではなく、ほとんどの車種であること。
では何故M3Cが酷評?されたのか…
その一つに…M3C特有の低回転からトルクが得られ、ある程度の回転まではフラットなトルクカーブに起因するのがあるののではないかと。
豊かなトルクを維持しながらピークパワーに向かうので、パワー感を感じ難いところがある。
その分、普段乗り含めとても運転し易いし、ちょっとそこまでお買い物…のような“下駄”としても十分使えるユーティリティの高さは嬉しい存在。
かといってM3Bは運転し難いというのはなく、回転を上げるほどトルク・パワーが増していく感じが、車種関係なく当時のスポーツモデルの評価基準に近かったんじゃないかと思う。
自分もM3Bを半月くらい借りたとき、M3Cに比べ低回転域での不足感はあるものの、街乗りでも回して走りたくなる衝動に駆られる…という思いでした。
排気量以外の分かり易いところでは前後でサイズタイヤ/トレッド幅が異なることや、目に見え難い代表的なところでも、フロントサスペンションを前傾させたことからも、M3B→M3Cでより直進安定性向上を目指したのも分かる。
トルクで走り、直進安定性が優れる方向でGTカー的になったのが、M3Bとの比較でいろいろ言われたのではないかと。(直進安定性に優れるけど、コーナリングも十分優れてますよ。)
…とはいえ、M3が箱型スポーツモデルの不変のベンチマークであることには間違いないと思います。
運転し易い安定志向なものの回すと牙を剥くのは、その後のM3へも継承されてるのは周知の事実で、進化するほど洗練され快適性が得られるのもM3(M4)の特徴。
ちょっと話が逸れるけど、E92 M3デビュー直後は評価が低かった。←試乗記カテゴリを深掘りしてください。
けどその評価も時が経つにつれ高くなっていったのは、その時代時代でのスポーツモデルで求められることが変化してきたこともあると思う。
話戻して…速さは…M3B、M3Cどちらも速いですよ。
ただその速さは、ある速度に到達するまでの時間的な早さでなく、感覚的な速さ。
Egサウンドと高揚感がリニアというか…。
絶対的な速さを語るなら、M3に限らずどの車も、アクセルをどれだけ踏めるか、そして踏み続けられるか…と思います。(自分はチキンなので踏めないけど…)
その辺りは以前に綴った
理論最高速も参考にしてほしい。
あとはM3B、M3Cともアナログデバイスを多用(デジタルデバイスも多用してるけど)してるので、“走る・曲がる・止まる”は直結感覚。
以前、E36 M3の試乗記(試乗記カテゴリを深掘りしてください)を“それ”っぽく綴ったけど、「アクセルからタイヤまで直結された感覚。そして良い意味でクルマの運転方法を教えてくれるクルマ。」は今も不変で、M3B、M3Cとも共通してると思います。
強いて難点?を挙げるなら先代(E30 M3)や後継(E46 M3以降)と比べ、Mでない3シリーズとほとんど変わらないあっさりした外観。
裏を返せば生粋の“羊狼”だけど、分かる人にしか分からない車。
M3を知らない人からは、クーペ(M3GTも含む)は「BMWの2ドアね。あ~、車好きな人が乗ってるのね。」くらいに思われ、リムジン(セダン)になると地味で実用的なファミリーカーに見られがち。
Cabrioは優雅(?)に見えるけど、堅気の仕事に就いてるように見え難いところも…。
…の割に純正でも野太く音圧あるマフラー音故に、ご近所さんから「煩いBMW!」と煙たがられるのも仕方ないくらい。
そんな近所迷惑な車でも、道路幅が広がることがほとんどない日本の道路事情&年々大きくなる車(特に車幅)が増えた中、5ナンバーサイズボディは大変重宝するのは紛れもない事実で、質実剛健がE36 M3の魅力ではないかと今も思っています。
ただ、冒頭に書いた通り、現存個体数も少ない上、販売車両も数えるほどで価格も高騰中。しばらくはこの状態が続くと予想してます。
生産終了からから27年経ち、自分もこんなに長く乗るとは思ってなかっけど、長く乗ったからこそ分かることもたくさんあり、旧くなってもイイ車だなと思う。