
EQB250を高速と山道で試乗しました。
これまで電動車はPHEVを入れて
リーフ,i-miev,アウトランダー,タイカン,iD4に乗りました。
アウトランダーは所有していました。さて見せてもらおうか,ベンツの電動車の性能とやらを。
iD4が,実に頼りない印象しかなかったので,あまり期待もせずにEQB250に乗り込みます。
■内装
おお,まさにAクラスのコックピットです。懐かしい。ただ,Cクラス以上の最新のMBUXを知っていると,なんとも安っぽくて使いずらいです。
メーターパネル内に地図を表示できないのはとても残念。横長のナビ画面にもうんざり。ただ,音量調節が回転式のボタンなのはいいなぁ。
シートは,薄くて,小さく,ホールド性がないもの。Aクラスのシートは,どうしてこんなのばかりなのか。ただ硬くはなかったです。車がSUVで車高があるので,揺れるのですから,ホールド性を考慮してほしかった。
ドアは,ペラペラで重厚性がないです。どうもあちこちで軽量化が意識されてい
るようです。
ビックリしたのが,3列シートであったこと。これがキレイにたたまれて格納されていて,注意しないと気がつかないほど。めんどくさいので出しませんでしたが,まあ常用に耐えるものではないでしょう。メーカーでも身長は165センチ以下としています。
SUVとしては小さな車なので,トランク容量も大きくないです。特に3列シートにすると,トランクは軽自動車並の容量しかありません。それにしても3列目が使えることは,まさにSUVの名前にピッタリ。多目的ですな。
ルーフが高いので,頭の上は無駄に広いです。でも,やはりCクラスになれると,Aクラスは室内幅が狭いなぁ。
不思議なことにサンルーフがありません。サンルーフのないベンツに初めて乗りました。
■外装
フロントマスクはガソリン車とは違いますね。ぺろんとしています。空力も良さそうです。
でも,ちゃんと前輪タイヤハウスには空気の吹き出し口があって,ブレーキ冷却とダスト処理,空力を考えています。
エンジンルーム,いやモータールーム?を見ると,FF横置きエンジンとそっくりです。しかし,吸排気やラジエーター,バッテリーなど見慣れた部品がなく,スカスカしています。
ちゃんとボンネットダンパーがあるのには感動してしまいます。VWさんもなんとかしてください。
充電受け入れ口が二カ所あります。急速充電のはリアバンパーの角にあって,こいつが開け閉めしにくく,何回もやっていると壊れるのではと心配になりました。
これ,急速充電のをフューエルリッドの位置にすべきですね。
タイヤはトランザT005,重量車用のタイヤです。55扁平でSUVには似合っていますが,トレッドウェアの数値が大きいので,グリップは期待できませんね。
■試乗
アタリマエのことですが,エンジン音がしません。実に静かです。モーター音も,ほとんどしません。注意すれば,遠くで鳴っているのが聞こえます。まるで地下鉄の車内のようだったアウトランダー始め,これまでのEVとは,違います。
驚くのは走行距離の長さ。フルチャージで500キロ以上を示しています。
エアコンオンで山道や高速をガンガン乗って4分の1ほど使いましたが,それでも300キロ以上走行可能となっていました。これなら,ふつうに使えそう。
でも寂しいのは,アクセルペダルを操作しても,なにも音の反応はありませんので,感動も盛り上がりもありません。なるほど,こうしてペダルを踏み間違えてしまうのだなぁ。アクセルに合わせて,擬似的にでも音を出すようにしたら良いと思うのですが・・。
だいたい190馬力でトルクは40kgmほど。しかし車体は2.1トンもあります。
モードをエコにしてからスタート。
しかしモーターは,最初のひとふみからゴルフR並の最大トルクを発揮しますから,実にスムーズに発進します。しかしその後は,車体の重さを痛感してしまいます。重い・・・昔のRのエコモードのようです。
ステアリングは,スポーツにしても,軽いなんてもんじゃありません。重い車体を操作するには違和感がありまくりです。
視界は取っても良いです。また鼻も短く,スクエアなボディですから,取り回しが非常に楽です。
試乗コースは,勾配10%でクネクネとした山道。実力がわかるでしょう。
エコモードでは重くて仕方ないので,スポーツモードにチェンジ・・・
あれーーーーーーー
速い,速いなんてもんじゃない。今まで乗ったどんな車よりもすごい加速を感じます。しかも,アクセルにリニアに反応して加速するのですから,エンジン車とは全く違う経験です。まったく遅れというものがありません。アクセルとちょんと踏むと,最大トルクで即加速するのです。
これはi-Mievに乗ったときと同じ感覚です。このモードでは,街中で無敵でありましょう。エンジン車ではあり得ない加速です。タイカンだって,こんなに過激ではなかったです。
2.1トンの重い車体が嘘のように急勾配を登っていきます。
ただSUVゆえ,カーブでは揺られまくりです。同乗者は気持ち悪くなってしまいました。シートのホールド性も良くないですからね。
ただその揺れ方には,特徴があります。重いバッテリーが床下に敷き詰められているので,そこはどしんとしていて,その上が揺れる感じなのです。だからあまり不安定感はしません。でも揺れる・・・・SUVは嫌いです。
おそらくモーターが高回転型ではないからだと思いますが,この怒濤の加速は,速度が上がってくると,だんだんと鈍くなってきます。よって高速道路では,スポーツモードでも,全然ふつうの車です。このあたりが高回転型のタイカンとの違いですね。
挙動は,まるで絵に描いたようなFF車そのものです。っていうか,とても懐かしい,昔のFF車の挙動です。AクラスとCクラスが圧倒的に差があるように,ベンツはFF車を作るのは下手だなぁと実感してしまいます。なんで電動車をFFにしたかなぁ。iD4のようにRRにすれば良かったのに。
カーブでは,常にアンダーです。曲がらないことはないですが,頑固にアンダー。懐かしい昔のFF車のアンダー。VWのFF車はすばらしかったなぁと実感してしまいます。
アクセルを踏んだときのトルクステアも感じます。
驚くのはブレーキとタイヤ,ブレーキも2.1トンの車体を考えると物足りないですが,タイヤが全く車体の重さを受け止めていません。ちょっと強く踏むと,フロントのABSが作動するのです。ええええええ,夏道ですよ。アスファルトですよ。しかも,リアのブレーキがなんか全然働いていないみたい。フロントヘビーという感じは全くしませんが,リアブレーキが頼りないです。
結局,タイヤの限界をうまく使いながらの走行となります。派手なスキール音がしないのは,シャシーとサスの良さですね。
ステアリングのパドルで回生モードを切り替えられます。左側が強回生,右が弱回生です。
強回生にすると,強力なエンジンブレーキみたいなものを感じます。急勾配の下りでは,こいつがとても便利で,ブレーキを踏む必要がありません。らくちんなワンペダル運転です。
弱回生にすると,アクセル離しても車はどこまでも進んでいきます。ふつうの車がいかにピストンなどの抵抗があるのかがよくわかります。
乗り心地は,悪くないですが,突き上げがありますね。ベンツらしい硬いサスです。ベンツはエアサスが必要。
■結論
まさしくSUVという多目的用途車です。これ一台で,なんでも対応できます。特にスポーツモードでの加速は,異次元のものです。iD4が情けなさ過ぎますが・・・。電動車らしい加速を求めるなら,こいつです。
ワンペダル運転もらくちんですぞー。
ただ古くさいインフォメントシステムや安全装備,なによりもFFなのはいただけない。タイヤが全く役不足なのですが,どうしたらいいかしら。
EQBには350という,モーターを後輪にもつけて四駆にした車もあります。きっとそちらの方が安定しているでしょう。しかも基本は後輪が駆動するようになっていてFRです。
ただ未来はEVになるのは仕方ないとしても,まだエンジン車に乗っていたいと思いました。