
M3を郊外の道で1時間ぐらい試乗させていただきました。同価格帯=1400万円のRS5と似たところがあります。どちらも6気筒で四駆です。
■外観
BMWは,「ブタの鼻」が嫌なのですが,M3はメッキなどで飾ることをしていないので,目立ちません。これはとてもいいです。
タイヤはパイロットスポーツ4S。ブレーキは6ポッド。
■車内
これがガッカリします。1400万円の車とは思えません。硬質プラスチックの嵐です。ゴルフよりも手抜きです。ゴルフはドアポケットのドア側内側にクロス貼っていますが,M3はプラスチックのまま。こういうところはRS5とそっくりです。高級車感があるのは,やはりメルセデスだなぁ・・・。
BMWは,速度計は右回りですが,回転計は左回りです。これ,慣れないんだよなぁ・・・。デジタルメーターですが,もう少しデザインを工夫する余地はなかったのかと思うぐらい,子どもっぽいデザインです。アナログメーターを表示するようにした方がかっこよいと思うのですが・・・。
ただ,ハンドルには,左右に赤いレバーがついています。これ,2つのモードを記憶させることが出来るボタンです。左側には,一番コンフォートな設定,右側には一番スポーティな設定を割り当てました。これは便利だ。簡単に切り替えが可能です。
ハンドルはやや小径で肉厚なのにびっくり。昔のmomoのハンドルによく似ています。
相変わらず,ナビ画面はやたら横長です。ナビは進行方向の様子を見たいので,縦長にすべきだと思うのですが・・・。ただ助手席では,道路の左右方向の情報がわかってたのしめますけど。
操作方法も昔っぽいです。ポルシェと同じで,ナビ画面を出すには,シフトレバーの下にある「MAP」ボタンを押さなければなりません。「ホーム」ボタンをつけてほしい。
シートはかなり着座位置が低いです。最初に座ったときに「86か?!」と思いました。年寄りには乗り降りは,ちょっときついです。
しかし,視界はとても良好です。なんとなくスバルの車みたい。
電動シートの調整は,シートに着いているボタンで調整です。ハンドルやシートの調整は,やはりメルセデスがベストだなぁ。
最初,助手席に座ったら,ホールドが甘くてビックリしました。
でも運転席側のシートは,とてもタイトで良い感じ。かなりシートが違います。
AMGのスポーツシートは硬くて座れたものじゃありませんが,M3のシートはとても良い感じがしました。レカロみたいです。
■走行
エンジンをかけると爆音が響き渡ります。とても太い砲弾マフラーの4本出しです。外に出ると,さらに爆音です。はっきりいって,近所迷惑です。
車検証を見ると,「近接騒音92デシベル」とありました。90以上は,間違いなく爆音マフラーです。しかも,静かにさせる方法がありません。ポルシェのように排気音は2段階にしてほしかったなぁ。
ただこの爆音は,結構高音が混じっていて,ちょっと耳障り。スポーツモードにすると,低音が強くなって,いい感じになります。この高音成分が不思議です。バイクも手がけるからかなぁ???
ゴルフRも大きな音がしますが,ほとんど低音で,そんなに気になりません。
爆音のおかげで直6のエンジン音は何も聞こえません・・・・。
いつものつもりでアクセルを踏むと,コンフォートでも飛び出してしまうのにビックリ。しかし,それをコントロールするのは難しくありません。アクセルコントロールがとても容易です。金を掛けているなぁと実感。
ステアリングレスポンスがとても良いのに感心します。今まで乗った車の中でベストではないでしょうか。全体的には,ベンツのCクラス四駆とよく似ています。どちらも同じ,FRベースの四駆です。ただFRの感じはM3の方が強くて,「フロントタイヤ回っていますかぁ?」という感じがします。
RS5はV6でもあり,走行感覚は全然似ていません。
小回りもよく利いて,最小回転半径は5.3メートルだったような。
ただ問題は,ロックトゥロックの回転数の多さです。ゴルフRのような回転数の少ない車に乗っていますので,こういう車に乗ると,交差点でたくさんハンドルを回すのが面倒で仕方ありません。あ,だから,リアを流して走れば良いと????
ハンドルは軽い感じがして,もっと重い方が好みです。
驚いたのは,とにかくフラットであることです。フロントの浮き沈みも,左右のロールも全く感じられません。また全体の剛性感はがっちりとしていて賞賛に値します。そのため,車がとても軽く感じて,車の挙動がダイレクトに伝わってきますので,とてもとても運転しやすい,運転がたのしい車です。この感じはRS5とよく似ています。
しかし,M3は,屋根の重さが全く感じられないのが不思議です。まるで718ボクスターなどのオープンカーに乗っているようなのです。
セールスさんに聞いてみると,なんと屋根はカーボン製でありました・・・。すげぇ。「F1の運転感覚にできるだけ近づけた」とのこと。しかし,カーボンルーフの効果はこんなに絶大なんだなぁ。718ボクスターが感動的走りだったのも,ルーフがないせいもあるわけだなぁ。
M2もオプションで,カーボンルーフを選択できるそうです。
メルセデスは困ったことに,日本導入車両には,みんなサンルーフがついています。つまり屋根が重くて気になるのです。まあ,サンルーフは,たしかに気持ちはいいですけど・・。
ただM3の困ったところは,コンフォートモードでもATが,とにかく回転数を上げよう上げようとするところです。実にうるさいです。街中をレースモードで走っているようなものです。
ただエンジンが高回転型なので,こういう制御も仕方ないのかも知れません。低速では,あまりトルクを感じませんので。
当然,これは燃費にも響いて,1桁台の燃費です。
ATは,これまたこれまで乗ったATの中で最高のように感じました。
ダウンシフトすると,エンジンブレーキがちゃんと入るのです。実に使いやすい。
タイヤのPS4Sは,それなりの出来で,可もなく不可も無くかな。ただ510馬力を,本当にこのタイヤで受け止められるのか,ちょっとだけ心配でした。
■ブレーキ
ブレーキもとてもフィーリングが良いです。減速度を簡単にコントロールできます。いいブレーキだわ。
こういう感覚的なところにBMWは金を掛けているなぁ。
■乗り心地
一番気にしていたのは,乗り心地です。
以前に320d Mスポーツを24時間お借りしたとき,最初の1時間で返そうかと思いました。拷問のような乗り心地だったからです。その時のセールスさんは「ランフラットタイヤのため・・・・」と言っていましたが,ポルシェはみんなランフラットを履いていますが,乗り心地はいいですよ。ガツンと来ません。
M3は,想像以上に乗り心地が良かったです。コンフォートでも,とても硬い足ですが,段差乗り越えとかしない限りはガツンと来ません。
そしてスポーツプラスにしてダンパーを硬くしても,あまり乗り心地に変化はありません。十分に我慢できるレベルでした。
ただデートカーには,全く向いていません。車内はとにかくうるさいですし,道路をよく見て運転しないと,ガツンという衝撃が来ます。また助手席シートのホールドはまったくだめなので,ワインディングなんか調子よく走ると,助手席の人はゲロゲロでしょう。
■結論
何よりも,セールスの担当者がとても感じのよい方で,「BMW好きじゃないと車乗りでは無い」というところが皆無だってのでとても良かったです。ぜひ今度はM2や新しい1シリーズにも乗りたくなりました。
ただセールスさんによれば「1シリーズはかなり落ちます」とのことでした。「M2は中身はほぼM4です」とのこと。
予想と全く違って,M3は数少ない車,初めて運転したのに,全く違和感を感じない車のひとつでした。1905ミリの車幅も,全く気になりません。
いくつかの欠点,高価格,爆音,メーター表示などが解決されるのなら,乗りたいなぁと思わせてくれる車でした。
320dのときは「駆け抜ける喜び」が全くわかりませんでしたが,M3はよーくわかりました。しかも,こいつでなら,サーキットでも・・・・と思わさせてくれます。ただBMWだと周りの車は,よけてくれないのね・・・・。ただのセダンに見えるものなぁ。
帰り,ゴルフRに乗りながら,「いやいや,こいつもなかなかいいじゃん」とたのしめるのでありました。音もこれぐらいでいい,ガツンもない・・・。M3はゴルフR2台分の値段ですからねぇ。それを考えると,ゴルフRの圧勝かな。
来月は,ゴルフRでポルシェ勢とサーキットです。
昨年のリベンジなので,本当はR333を手に入れたかったのですが,ダメでした。来年はR400で・・・・・・・。無理かな。
屋根は黒く塗るだけじゃ無く,ちゃんとカーボンルーフにして欲しいぞ。