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シケイカ★フェンダーミラー将軍・発動篇のブログ一覧

2014年07月21日 イイね!

黒歴史試作車「スズキ・フロンテ1100」のすべて



 「黒歴史」(くろれきし)

 1.アニメ「∀ガンダム」に出てくる用語。すでに滅亡している古代の宇宙文明の事
 2.上記の意味より転じたネットスラング。無かった事にしたい作品や恥ずかしい思い出、忘れたい過去などの意味で使われる

 聖人君子でもない限り、誰しも記憶の底のダストシュートにポイしてしまいたい系の苦い記憶、いわゆる黒歴史の一つや二つは抱えているのでないでしょうか?

 もちろん自動車だって例外ではありません。
 ある程度開発が進んでいながらも、何らかの事情で市販中止となってしまったボツ企画車は、メーカーにとっての黒歴史に他なりません。

 有名なところでは・・・
●現在メーカーのミュージアムで展示されているスバル・P1500
●時期早尚と判断された、プリンスのFWD小型車
●技術的にも政治的にも問題だらけだったマツダ・シャンテ・ロータリー
●排ガス規制に消えた2代目シルビア・ロータリー
●ホンダがレジェンド以前に開発していた6気筒、5ドアのビッグアコード的高級車
●ミツビシ・コルト1100後継としてジウジアーロがデザインした3ドア車(後にデザインをミニカ70に流用)
●ユーノスを超える高級車ブランドとして企画された、アマティ・シリーズ

 ・・・などなど、もはや黒歴史のバーゲンセール。
 この広い世界には、きっと闇から闇へと葬りさられた黒歴史カーが他にも数多あることでしょう。

 そう、例えば「スズキ・フロンテ1100」のように。

 1960年代初頭に通産省が進めていたメーカー間の統合構想、それに対しスズキは独自性を死守するべく、技術力のアピール&登録車を生産していた既成事実づくりを目的として、FWD小型車「フロンテ800」(C10型)を発売します。

 最初から大量生産は考慮せず、採算を度外視して台車に載せてハンドメイド生産。売れば売るほど赤字が出てしまい、1965年から1969年の約4年の間に僅か2717台が生産されるに留まりました。

 そこで後継車として大量生産を前提としたスポーツセダン、型式名C20こと「フロンテ1100」が計画されるのです。


 画像は後述の理由による改造後の姿となり、フロントマスク、バンパー、ドアミラー、ホイールなどが非原型部品と思われます。

 ではフロンテ1100本来のデザインとは?想像を交えてAI様にイラストに起こしてもらいましょう。


 あたかも時代を先取りしたかのようなクーペボディをよく見ると、1974年に発売となったジウジアーロデザインの韓国車、初代ヒュンダイ・ポニーに似通った部分がチラホラと。




 それだけではなく、パブリカスターレットやアルファロメオ・アルフェッタGTなどの同時期のジウジアーロ作品にも類似点を見出す事ができます。

 ひょっとしたら奴っこさん、同じようなデザインコンセプトを各社に売り込んでやしないですか。

 実際、当時のスズキとジウジアーロ(イタルデザイン)は密接な関係にあり、4代目キャリィやフロンテクーペの原型となったミニバン、ロータリーエンジンバイクのREー5などを手掛けた実績もありました。

 おまけに当時、度々スズキに新型小型車のデザインを売り込みに来日していたと報じられもしていれば、そうも思いたくなるというもの。

 もちろん当時の世情を鑑みて、クーペボディだけではなく、セダンとワゴン(バン)もラインアップを予定。まさかワゴンボディもポニーにそっくりだったりしないですよね(笑)


 それとは裏腹に、まだ当時は珍しかったフロンテ800のFWD駆動メカニズムは踏襲され、エンジン後方にラジエータを置く縦置き3気筒・2ストロークエンジンという独特の構造をそのままに、車名どおり排気量は1100ccに拡大。

 これまた画像のエンジンも別物に改造されていますが、2ストの宿命である中速域パートスロットル時の不完全燃焼に起因するギクシャク感(カーノック現象)を解消するべく、新開発ソレックス3連キャブ(ミクニ製)を装着、当時の1,4リッター車に迫る80馬力の最高出力を発生しました。

 足回りも基本的にはフロンテ800に準じ、車高調整が自在なトーションバースプリング構造の、フロント:ウイッシュボーン/リア:トレーリングアームによる4輪独立懸架、13インチのラジアルタイヤを履き、前輪にはディスクブレーキの装備が予定されました。(画像はフロンテ800のもの)


 これらをフロンテ800のボディに搭載した試作車も制作され、テストを兼ねてラリーに参戦するも、外観上はボンネット後端の大型吸気ダクト程度の違いしかなく誰にも気づかれなかったのだとか。

 ところが、こうして順調に開発は推移していたにも拘らず、現在では2輪車からも2ストロークエンジンが淘汰されてしまったように排気ガス対策上問題があり、開発中止の判断が下されてしまいます。

 本来であれば、ここでゲームセット。
 こうした黒歴史カーの例に漏れることなく、亡霊は人知れず暗黒に帰る運命かと思いきや。

 テスト終了後も保管されていた試作車は、武蔵工業大学(現:東京都市大)の水素エンジン研究用に寄贈され、初代セルボがベースの「武蔵3号」、フロンテ800がベースの「武蔵4号」に続く、2ストローク水素ディーゼルエンジン実験車「武蔵5号」として1982年に蘇ってしまいます。

 この手の黒歴史カーとしては異例の表舞台デビューを果たし、当時は世界中から技術的な注目を浴びました・・・ところが誰も、その被った皮までは気にしなかったようで。

 もう、その事自体が黒歴史じゃんよってツッコミを入れるのは野暮ってモンですかね?
 

Posted at 2014/07/21 00:42:07 | コメント(5) | トラックバック(0) | 日記
2014年07月06日 イイね!

どっこい生きてる「オレ・タチ、カルタス」



 古来より「類は友を呼ぶ」と言われているように、延々と作り続けられている中華シャレードと同じく、そのライバルであった2代目カルタスも、まだ新車で購入が可能です。


 舘ひろし氏がイメージキャラクターを務めた1983年デビューの初代カルタスも、コロンビアのGMとスズキの共同出資会社・GMコルモトーレス社から、US銘の「シボレースプリント」で2004年まで生産された意外なまでの長寿車でした。


 しかし、それに輪をかけてしぶといのが2代目です。日本国内では1988年の発売から2000年まで、ヨーロッパではハンガリーのマジャールスズキの手により2003年まで、共にH#系スイフトが発売されるまで作り続けられました。

 あまりにも長く作りすぎたが故に、ハンガリー製カルタス(スイフト)は、ヨーロッパの最新ライバル車に対抗するべく、1996年に独自のビッグマイナーを受けています。


 フロント、リア、ダッシュボードのデザインを変更して近代化。これ以後の海外生産車は、全てこの仕様がベースとなります。

 また、ヨーロッパ限定で同じGMグループのスバルにも2代目ジャスティとしてOEM供給を実施、メインに4WD車を据えて販売されました。


 その後も、インドではマルチスズキ社製のエスティームが生き残りますが、2008年に後継車となるZ♯系スイフトセダン「デザイア」が発売されると生産は終了、遂に安らかな眠りについたかと思っていたら・・・



 インドのお隣の国、パキスタンでは現在でも生産が続いてるではありませんか!!


 1982年にフロンテの現地生産を開始した現地子会社・パックスズキ社は、以来多くの4輪車を生産・販売、現在ではパキスタンの乗用車市場におけるスズキ車のシェアは54%にもなります。

 その中でも一番人気を博しているのがカルタスで、2012年モデルからは、グリル、ブルーリフレクターのヘッドライト、バンパーなどの新規パーツが与えられました。


 どうしてイカがわしいお国の現地生産車は揃いも揃ってユーロテールにしたがるのやら?


 内装は、シルバーの加飾パネルとホワイトメーターによるアレンジを受けて、90年代後半のスポーツ車のような懐かしい装い。


 機関系はキャブ仕様の3気筒1リッター・2バルブエンジンに替わり、排ガス規制の強化(ユーロ2規制)に対応した、新興国市場向け1リッター4気筒・インジェクションのF10型エンジンに換装されています。


 何でも当地では町行く車の2台に1台がカルタスという程の人気車らしく、まだまだ現役を続けてくれるのは間違いないでしょう・・・という具合に、これで終わっていたら良い話だったんですけどね。

 魔改造車の坩堝(るつぼ)、中華帝国の存在を忘れてはなりますまい。

 中華では、CA72アルトのノックダウン生産でお馴染みとなった感のある長安スズキが、1993年の提携開始から現在に至るまで「羚羊」(カモシカ)の名前でエスティームの生産を続けています。

 中華でもシャレードのライバルとして、ハンドル位置以外はインド仕様に準じた仕様で生産されていました。

 ところが、2007年に当時最新のデザインコンセプトを取り入れたビッグマイナーを受けて以降、中華ならではの魔改造が始まってしまいます。


 2012年モデルからは、現行スイフトを彷彿とさせるエアロバンパー、サイドスカートを新たに装備してスポーティ感を強調、もはやカルタスとは別の車を見ているかのようです。

 メーカー直系の現地会社だけあって、ここまで手を加えていてもデザインが破綻していないのは流石です。なまじ中華シャレードが酷いモンなだけに羨ましい。

 まだリア廻りにこそカルタスの面影が残りますが、トランクリッドも丸さを強調したオリジナルとは異なり、エッジの効いたものとなっています。

 しかし、ボディパネルの隙間(ちり)がオリジナルよりも小さくなって、品質が上がっているのには驚くばかり。

 しかも品質が下がる一方の国産車と違い、エンジンルームもしっかり塗装されているのはポイント高し。

 当地でも生産されていたカルタスクレセントと同じ、ダイレクトイグニッション仕様の1,3リッター・1カム4バルブエンジンを搭載しています。

 内装は外装ほど大きく手は入っておらず、センターパネルの操作系とコンソールが新しくなっている程度で、基本的にはヨーロッパのマイナー後仕様と共通です。


 さぁ、中華シャレードVSパキスタン&中華カルタス連合、どちらのほうが長生きするのか、チキンレースの始まりです。

 この関係性を暑苦しい少年マンガ風に表現すると、「強敵」と書いて「とも」と呼ぶと言ったところでしょうか?
Posted at 2014/07/06 03:13:41 | コメント(12) | トラックバック(0) | 日記

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何シテル?   11/18 14:56
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