
ポルシェ関係以外のことはブログに書かないことにしている私ですが、今日は微妙に番外編です。
私がオフ会で良く被っている帽子は由緒正しきポルシェデ純正品であり、ネット通販で購入したのですが、ブラックと書いてあったのに実は紺色だったことに最近気が付いたというのは今回の話とは全然関係なく、汗染みでツバの付け根付近が瀬戸内海の赤潮のような色に染まってしまい、何度洗ってもこの色は落ちることはなく、かえって他の部分の色が薄くなり最早紺色を通り越して使い古しのジーンズのようなブルーになってしまっていたというのがことの発端でした。
物を大切にするという精神を幼きころに躾けられたというよりは、大人になってからの貧乏暮らしで身に着けた私はそんな状態になった帽子を愛用していたのはいうまでもありません。
しかし、16年もののくろよん号よりもボロッちい姿を見るにつけ、何とかしたいとも思っていたものでした。
私は無聊をもてあますときは決まってポルシェ関係の本や雑誌を読むことにしていますが、一年ほど前の911DAY'Sを読み直していると「ポルシェの作法(10)ウワサの染めQを911的に活用してみる」という記事が目に止まりました。
当時は新聞の記事を読むのと同じ程度に気にせずに読み飛ばしてしまった記事ではありますが、このときばかりは心の奥にピロリ~ンと響いたのでした。
ウェブサイトによると
「染めQ」は、最先端のナノテクノロジーを駆使した新しいタイプの染色型塗料で素材の内部に浸透して密着するため、引っ張っても、ネジっても、一度染まってしまえば剥がれたり割れたりする事がありません。また超微粒子塗料のため、塗った箇所と塗らない箇所の肌触りも変わる事がないため、色々なもののカラーチェンジや、どんなに古くなった物も新品同様に蘇らす事ができます。
だそうです。
難しいことはおいておいて、要するにこれを使えば私の自称ブラックではあるが、色褪せてブルーになってしまった(しかも、一部赤色に変色している)帽子をヌバタマのブラックに蘇らす事ができるらしいです。
ではひとつ逝っときましょうか。
近所にホームセンターができて以来、週末には用もないのに・・・もとい、用事がない週末にはホームセンターをうろつくのが習慣となってしまっている私は数ヶ月前から店の一角に染めQのコーナーができていたことももちろん知っていたので、週課としていつものホームセンターへ赴いたついでに染めQ(ブラック)を入手して来ました。
細長いスプレー缶に入ったそめQは自動車のボディ用の塗料と比べると明らかに割高で、高いものほどありがたがる日本人の心理的な弱点を見事についた価格ではありますが、その一方で深夜通販でよく見かける世界が認めたナントカと同じカテゴリーの怪しい雰囲気も醸し出していて、つまり、私はひと目で気に入ってしまったのでした。
さて、件の帽子ですが、フロント部分に"PORSCHE"の文字が白く刺繍されています。さらに、ツバの縁にも"PORSCHE PORSCHE PORSCHE ・・・・"と呪文のごとく繰り返されています。
まず、これをマスキングしなければなりません。
こういうときにはマスキングテープを使うのが一般的だと思うのですが、手元にマスキングテープがなかったので、今回はスコッチのメンディングテープをマスキングテープ代わりに使用しました。
メンディングテープを使うことの利点は、透明でかつ切り口がスパッと切れるので文字に合わせて細かく細工ができることです。
溶剤系の塗料を塗布したら溶けてしまうのではないかと一抹の不安を感じながらも、猛暑のおかげで思考がマヒしていた私は、真夏の祭典を前にスクリーントーンを削る同人誌作家のような気持ちでカッターでチマチマとテープを削り続けたのでした。
また、リアには長さ調整機構の金具が銀色に輝いています。
黒く染めるのもアルマイト加工のようで格好良いというポジティブシンキングよりもむしろマスキングするのが面倒くさいという、より正当な理由によってこちらは放置が決定しました。
余談ながら、塗装するときには周囲を汚さないためにシートを敷くのが常識となっていると思います。
定番は新聞紙ではないでしょうか?
21世紀になって数年、世間一般のニュースはすべてインターネットから仕入れるのがすでに定着している家も少なからず存在していて、私も新聞紙は行き付けのラーメン屋でしか目にすることはなかったのですが、何とも都合の良いことに今朝は販促のためらしい新聞紙がポストに投げ込まれていたので、これも神の思し召しとばかりにありがたく塗装する際のシートに使わせて頂きました。
どこの新聞社だか知りませんが、気の利いた取り計らいをしてくれた新聞社に感謝します。
こうして準備万端整ったので、いよいよ染めに入ります。
と申しましてもスプレーを吹き付けるだけの作業です。
プシュ~
まずは軽くひと吹き。
全然色がつきません。
プシュ~~~、シュ~~~~~
初雪のごとくうっすらと青色が覆い隠されてゆきます。ただし、色は黒ですが。
塗装してすぐに触ってみても指には軽く色がつく程度でした。
材質が布のためにすぐに塗料が吸い込まれてしまうのでしょうか。
何度も何度も重ね塗りをしないとダメなようです。
プシュ~~~~~~~~~~~
まだブログにはアップしていませんが、あるモノを塗装したひと夏の経験によって、私は塗装に関してはすっかり老成してしまったと自負しているので、ベテランの余裕をもって黒く、さらに黒く染め上げて行きます。
プシュ~~~~~~~~~~~
コトン。
スプレーを置いたときには容量の半分くらいは使ってしまったような気がしました。
適当に塗ったにもかかわらず、ムラにもならず仕上がりは上々でした。
手で触った感触は多少ゴワゴワしているようにも思いましたが、天気の良い日に干した洗濯物だってパリッとするわけで、使っているうちに柔らかく馴染んでくることでしょう。
いかにも使い古し感の漂う風合いであった帽子はすっかり黒く染まってしまい、マスキングしていたテープを剥がすと下からは純白な文字が復活し、白と黒とのコントラストはビニール袋から出したばかりの新品のような初々しさを見せつけてくれます。
染めQの値段と帽子の値段とを計りにかけて考えれば、決して得になったとはいえないのですが、すでに完成されたものを購入するのではなく、こうして何かを作り上げてゆくというプロセスにはプライスレスな価値があり、それが分かるからエライとかいうことではなく、楽しければそれで良いじゃん!いつだってドーンと来い!なのです。
参照
・
【番外編】染めQでポルシェキャップを塗装 【整備手帳】
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Posted at
2007/08/15 21:12:30