今週末はサーキット走行会があるので、皆が準備に奔走しているころに、わが
くよろん号はピンチ(?)を迎えていました。
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頑丈さが取り得のポルシェさんも17歳にもなると色々なところがヘタってくるものです。エンジンフードを支えるショックがヘタっているので交換することにしました。
老人のごとく杖を突いてエンジンフード支えても何ら困ることはないのですが、17歳というピチピチな年齢に相応しく自立してもらうことにしました。
用意したブツは
Weltmeisterの
フードショックです。純正品よりも強力なのだそうです。小さいながらも羽根の生えている
くろよん号にはピッタリと思いませんか?
フードショックの交換方法は
911 MAINTENANCE & TUNING SUPER BIBLE(赤本)にも
ここにも写真入りで丁寧な解説があり、予習は完璧です(笑)
では、作業開始。
エンジンフードを頭で支えながら(笑)の作業です。
まず、右側から挑戦します。
ボディ(奥)、エンジンフード(手前)にはフードショック取り付け用の2枚の穴開きのステー(?)があり、その穴とフードショックの穴をピンで通し、ピンをクリップで留める仕組みになっています。

手前(エンジンフード側)のクリップを落とさないようにしっかりと摘んで、慎重に力を加えてゆくとアッサリと外れました。素手でも大丈夫でした。

そしてピンを引っ張り出そうとしたのですが・・・・・・ガンとして動きません(汗)。ペンチで摘んで引っ張ってみたけれど動きません。
困りました。さあ、どうしましょう?
そのとき閃きました!!
引いてもダメなら押してみな。
押してみたら ----------- ピンが抜けました!
毎度襲い掛かるポルシェのワナに危うく引っかかるところでした!(←すでに引っかかっているのでは?)
というか、クリップのある側を引っ張ったって抜けない構造になっていることくらい気付けよ!! >> 自分
暗雲立ち込めるスタートです…(←外は本当に嵐でした)。
しかし、小さなミスを悔やんでいてはポルシェマイスターにはなれません。
気を取り直して奥(ボディ側)のクリップ・ピンを取り外しにかかります。こちらは非常にやりにくい場所です。
くろよん号は幸いにして純正のエアクリーナーボックスが撤去されて、毒キノコが生えているので手を入れることができましたが、純正のエアクリボックスがある場合は外さないと手が入らないでしょう。それでも右リアタイヤハウスに抱きつくような格好で、左手だけをエンジンルームに突っ込んで辛うじて届く場所です。
姿勢は苦しいながらもやり方は分っているので、奥側は簡単に取り外すことができました。
右のショックが外れると同時にエンジンフードの重みが頭に圧し掛かります。
まだ左ショックは残っているのにこんなに重いとは・・・・・
頭が潰れそうです。
これ以上は頭でエンジンフードを支えながらの作業は無理です。
何か突っかえ棒に使えそうなものはないでしょうか?
-------ありました
♥
三脚ならば安定性も良く、さらに石突にはゴムキャップも被せてあるのでボディにキズをつけることもなさそうです。おまけに長さを調整できるので任意の位置でエンジンフードを固定できます。
三脚さん、役に立ちます。伊達に人間よりも一本余分に足が生えてはいませんね(笑)
頭の心配がなくなったところで、一休みです。
下の写真は外したピンとクリップです。クリップは手前も奥も共通サイズですが、ピンは奥側の方が長いです。ショックの穴部の厚みが奥側の方が大きいからです。
純正品とWeltmeister製のショックを比較してみます。
Weltmeister製(下)の方が軸もシリンダーも太く、見るからに強力そうです。重さも若干重いようです。良く見るとWeltmeister製の方がほんのわずか長いことが分りますね。このわずかな違いがこの後、数時間にわたって私を苦しめることになるのですが、この時は知る由もありませんでした。

ところで、取り外したショックはすでにヘタっていたとはいえ、全体重をかけて押してみても少しも縮みませんでした。
------ 休憩終り!
では、新しいショックを取り付けましょう。
位置を合わせて、手前のピンを挿しこみ、クリップで固定。これでエンジンフード側は終了です。
そしてボディ側、奥側の作業に取り掛かります。またもや辛い姿勢で手探り作業となります。
奥のステーは防熱・遮音材を切り裂いてニョキっと生えています。そのちょっと手前にオイルホース(らしい)が通っていますが、これのせいで作業が猛烈にやりにくいです。
ホースを親指と人差し指の間に挟むようにして、ピンを人差し指と中指で支え、右から左へとピンを通すことになります。
言葉で書くと簡単そうなのですが、これが大変な作業でした。
変な姿勢なのでわき腹は攣りそうだし、太ももはプルプルしてきます。しかも風は冷たく、指先の感覚はほとんどありません。カンフー映画の修行を思い起こさせるような苦行です。

苦行の先にあったものは ----------
敗北でした。
どんなに頑張ってもショックの穴にピンを通すことができませんでした(泣)。
ショックの位置を変えても(←三脚の高さで調節しました)ダメ。頭をエンジンルームに突っ込み、右手を使ってもダメ。手前のピンを外し、奥から先にやろうとしてもダメでした。なぜできないのか分りません。ポルシェの神に見放されてしまったようです。シクシク(ノ_・、)
苦闘すること数時間(本当は1時間くらい?)、ついに心が折れてしまいました・・・・。捲土重来を期すことにしました。
ところで、左側についてここまで触れませんでしたが、左側は赤本によると
「左側はほとんど不可能に見えるが、手を突っ込めば意外と簡単にできる」
のだそうですので、狭い隙間に無理やり手を突っ込んでみましたが、腕が途中でつかえてしまい奥のピンまで指が届きませんでした。意外でも何でもなく
不可能でした。

隙間を広げるためにはブロアファンを外すしかありません。けれども2本の10mmボルトで留まっているというブロアファンカバーの後ろのボルトの場所がわかりません。
仕方ないので、今回はパーツ取り外しをしなくても何とかなりそうな右側だけに専念することにしました。
さて、暖かい部屋に戻り、ホットミルクを飲みながら敗因を分析してみると
・穴の位置が悪い
・私の腕の長さと指の長さが足りない
・寒くて指が動かない
・ショックとボディの穴の位置が合っていない
などが挙げられます。
1番目は17年前から決まっていたことでどうにもなりません。
2番目は、とりあえず牛乳を飲んで成長するのを待つことにしますが、夢が叶うのはいつになるか分りません。
3番目は、これも暖かくなるまで数ヶ月待つしかありません。
となると、残された希望は最後の項目だけです。先ほどは手前を先に固定してしまったから、穴の位置の調整が効かなくなっていました。かといって片手しか使えない状況で手前までフリーにしてしまうとショックを保持することができなくなってしまいます。ということは手前側をユルユルに留めることができれば解決できそうです。
方針が決まったところで第二陣出撃です!
今度は手前側はねじりっこでステーに仮留めしてみました。これならば奥の穴の位置を上下前後に微調整可能です。
再びヨガのポーズで作業開始です。
左手での作業・・・・・・先ほどと何も変わらずダメ
右手での作業・・・・・・コツをつかめてきた感じだけどダメ
もう一度左手での作業・・・・・・もはや指に力が入らずダメ
数十分に渡り、ジタバタと努力をしたのですが、身体の痛みと滴り落ちる鼻水に耐えかねて、
2敗目をきっしました。
『一度の敗北は一度の勝利で償えばよいのだ』
と銀河帝国皇帝もおっしゃっていたけれど、すでに2度も敗北をしています。
この後、2度も勝利することはできるのでしょうか?
で、本日2度目の反省会(笑)
ショックを差し込まなければボディの穴にピンを通すことができるので、今度の試みでもやはりショックとボディの穴の位置を上手く合わせることができていなかったと思われます。
最初から穴のサイズギリギリのピンを通そうとしているから上手く行かないのかもしれません。先端の尖ったものならば上手く穴を通せるかもしれません。
(なんかお婆さんが針に糸を通すのに苦労しているような気分になってきましたよ)
そこで、新兵器、
白木の杭を作成しました。材料は使用済みの割り箸です(環境にも配慮しています)。
ピンの直径が6mm、ショックの穴の直径は7mm、そして杭の直径は5mmです。
杭の長さは5cmあるのでピンよりは保持しやすいハズです。
まず杭でボディとショックの穴を通し、次にピンで杭を押し出しながら、トコロテン式にピンを貫通させようという作戦です。
完璧な作戦です!
でも、もう夜遅いので寝ることにしました。つーか、身体が痛くてもう仕事できません。続きはまた明日・・・zzzz
・・・・・翌日。
吸血鬼をも絶命させる白木の杭を携えて、3度目の出陣です。
今日は
大安(昨日は仏滅)だし、三度目の正直という言葉もあるし、きっと今度は上手くゆくでしょう(←ちょっと神頼み気分)。
今日はエンジンルームに頭を突っ込んで右手で作業しました。こうやっても肝心な穴の位置が見えないのですが、利き手である右手を使って作業できるので多少細かいことができます。しかし、その分姿勢は苦しくなるので長時間作業はできません。短期決戦にかけます!
5cmの長さの杭はピンと比べると格段に操作しやすいです。これならば・・・
・
・・
・・・
・・・・
上手く行きません・・・・・。
なぜだ~?
手の感触ではショックの穴の位置が奥すぎる感じです。
仮留めしていた手前側の遊びが少なすぎるみたいです。支えをねじりっこから長さに余裕のある針金に変え、ショックをかなり手前に引き、再トライ。
あ゙♥
確かな手応えと共に、スポッと杭の先端が通りました!!!
恩讐の彼方についに開通しました。
長いことポルシェイジリをやっていますが、一番の感動だったかもしれません。
手にまだ感触が残っているウチにピンを押し込みます。
何度目かのトライの末に指先はピンが沈み込む感触と捕らえ、と同時に白木の杭の落ちる軽い音が聞こえました。
成功です!
みごと作戦通りに行きました。
最後に左手でクリップをはめました。これは一発で
成功です。
手前(エンジンフード)側もピン・クリップ留めをして、これにてリアフードショック交換(右)が終了しました。
臨時エンジンフード支えである三脚を外してもエンジンフードは落ちてきません。
まだ一本しか交換していませんが、これでも十分に役に立ちます。
左側の交換は難しそうだし、当分これでゆくことにします。
強力タイプを購入しておいて良かったです。
ものすごく苦労をしましたが、終わってしまえば大したことがなかったように感じるのはいつものことです。しかし、背中や腕の痛みにこの日の戦闘は確実に記憶されています。
こんなことが積み重なってゆき、いつかポルシェマイスターになれるのでしょうか?
ああ、楽しきポルシェいじり!
参照:
リアフードショック交換 【整備手帳】