
2008年1月19日土曜日、
富士スピードウェイ(FSW)を借り切っての
Klub der Porsche・
TEAM930によるポルシェ走行会が行われました。
私を含め大半がサーキット初心者です。サーキットというものは誰もが憧れるユートピアでありながら、とてつもなく腕の良いレーサーまがいの人たちがタイムを競いあう修羅の世界にも思えます。この世界にイキナリ飛び込んでゆくには大変な勇気が必要であり、KDPでサーキット走行会をする計画かなり以前からあったのですが、イマイチ話は進んでいませんでした。
しかし、今回はちょっと訳ありのためにFSWを格安で借りられるという話を
この方が持ってきてくれたことがキッカケとなり計画が再浮上しました。「貸切」なので周りには気心の知れた仲間、というか初心者しかいない安心感と「格安」という最大限に心を揺さぶるキーワードに参加者はドンドン増えてゆきました。
初めてのサーキット走行会は当日が近づいてくると盛り上がりを見せ始めます。
無料体験走行会にでかける人(私のことです^^;)、購入したグローブやヘルメットをブログで報告(自慢?)する人、ゲームを使ってのイメージトレーニングに余念のない人、シートやシートベルトを購入する人、FSW走行ライセンスを取ってしまう人・・・etc、皆、童心に却ってはしゃいでいました。もちろん堅実にブレーキパッドを交換するなどしていた人もいます。私は走行会前にブレーキパッドがなくなってしまわないようになるべくブレーキを踏まない走行を心がけてました。直前3日くらいですが(爆)。
------そして、2008年1月19日。
集合場所は某SAです。
いつものように早めに ------ 早すぎに ------ 到着して、朝ご飯を食べながらメンバーを待ちます。天気が良かったせいか、行楽客と思われる子連れやグループの人でSA内の休憩所は一杯でした。

集合時間が近づくと続々とポルシェが到着します。
このポルシェ軍団集結シーンはいつ見ても聞いても心躍ります。フルコースの前のオードブルといった感じで、これから起こる楽しいイベントを盛り上げる最高の演出です。
ここでゼッケンが配られました。
私の番号は栄光(?)の
33番です♪
全員が揃ったところで出発です。
先頭が黒くクルマなので、目立つ色のクルマが前の方にいた方が良かろうと判断し、
くろよん号は3番手をキープして進みました。
・・・ウソです。「迷子」が私の手持ちスキルであるので先頭から離されたくなかっただけですm(__)m
高速道路は混雑状態でありましたが、順調に流れており、ポルシェ軍団は西へ西へと向かいます。高速道路を下りてから、しばらく一般道を走行します。

先日は東からのアプローチだったのですが今回は西からです。途中、真っ直ぐに前を見上げるとFSWが見える場所がありました。すごい所にコースがあるのですねぇ。
ゲート前に到着したときはわずか数台しかいませんでした。
あれ!?みんなどうしちゃったの?
でもご安心下さい。多少の遅れはありましたが、皆、迷子になることもなく(たぶん)やってきました。う~む、すばらしぃ~
全員集合を待つ間にすでにゼッケン貼りやテーピングを始める人もいました。時間を無駄にしない姿勢。う~む、すばらしぃ~(パート2)

ゲートをくぐり富士山の美しく見える道路を駆け上がり、ピットへ。

すぐに準備作業に入ります。やることは4点です。
まず、車内に積んである荷物を降ろしました。意外と色々な物(主に工具)を積んでいたことに気がつき、愕然としました。帰ったら整理しようと心に誓うのでした(笑)。
灯火類にクラッシュ時の飛散防止のためにテープを貼り付けます。どのくらい厳重に貼り付ければ良いか分らなかったので、他の方を参照しつつ、綺麗に剥れるかドキドキしながらの貼り付けです。
ゼッケンも取り付けなければなりません。格好良くナナメに貼っている方もいましたが、初心者らしく真っ直ぐに貼り付けました。
最後は「クルマ壊しても誰にも文句は言いません」という内容の誓約書と引き換えに借りたタイム計測器を取り付けます。助手席のドアポケットのところに取り付けました。
これで準備は完了です。
見よう見真似で緊張しながらの作業だったので写真を撮り忘れました。一度に二つのことができない私です(笑)
そうこうするウチに昼食の時間になりました。サーキット内のレストランOrizuruでランチタイムです。
大人数が一度に来るということで事前調査により、基本的にカツカレーか日替わりランチを食べることになっています。私の選択は日替わりランチです。「びぃふすとろがのふ」だそうです(また写真を撮り忘れるところでした。食べかけですみません)。見た目はカレーと大して違いませんね。

次の予定はブリーフィングですが、準備が予定よりも早く進んでいるのでしばらく休憩時間となりました。
他人様のポルをチェックしたり、雑談したり、他の走行会の様子を覗きに行ったりしていました。




ブリーフィングではナイジェル井桁さんとMINTさんにサーキット走行をレクチャーしてもらいました。
井桁さんから教わったサーキット走行の心構えは
1. あわてない
2. 壊さないで帰る
3. 楽しむ
でした。これらは一般道を走行しているときにも通じることであり、つまりはサーキットだからといって気負う必要はないよ!ということでしょう。これは走行会の間中、頭の中で唱えていました。
大半が初心者ということもあり、テクニックについてはこれといったアドバイスはありませんでしたが、井桁さんからは
・ブレーキを離してから曲がる
MINTさんからは
・一呼吸早くハンドルを切る
ということを教わりました。
最後にブラックバード.さんからサーキット走行のお約束と旗の説明を受けました。サーキットでは合図はすべて旗で行われます。旗の意味は書くと長くなるので、「サーキット」「旗」でググッて下さい(笑)。
いよいよ出走です。
まず、2周先導車(井桁さん)に付いて慣熟走行を行います。慣熟走行なので一般道を走るいでたちでOKなのですが、慣れるためにヘルメット・グローブ・4点ハーネス着用のフル装備で臨みました。
慣熟走行はラインを覚えることが目的なのですが、伝言ゲームのように微妙にラインがずれていっているのが分ります。しかも私の頭の記憶容量では全てを覚えることはできず、当って砕けやがれ!状態です。
2周の慣熟走行の後には待ちに待った、手綱を放たれた本格的な走行です。
何周も周ったので記憶が多少混乱しているので、ここから先は時系列ではない感想です。
まず、コースは下のようになっています。私たちはピットビルBにいて、そこからスタートして右回りに走行します。全長4563メートルあるそうです。

(クリックすると拡大図を見られます)
スタートしてすぐにある第1コーナーはスタート直後は何てことのないコーナーなのですが、2週目以降はメインストレートを駆け抜けてきた後にフルブレーキングをして曲がる難所です。
コカ・コーラコーナーは図面で見ると緩やかに見えますが、私のような下手っぴでも150km/hくらいの速度で進入する上に下り勾配なので気分は地獄の底に巻き込まれてゆくような感じです。
続く100Rは距離の長いコーナーなのでステアリング角度とアクセル開度を一定に保ってひたすらガマンです。ターンパイクに似た印象のコーナーですが、横Gに弱い私は意識が飛びそうになります。
ヘアピンコーナーはレストランOrizuru付近からよく見えるのでギャラリーに注目される場所です。
私はこの辺のどこか(←よく覚えていません)で2度目のスピンをしました。結構速度が乗っていたので気持ちよく回ってしまいました。慣熟走行のみ参加でカメラマンをされてい方々から「派手に回っていたのが良く見えた」と聞きました(^^;)
滑っているときに後ろから煙が見えたので
やべっ!!
と思ったのですが、土煙だったみたいですぐに納まりホッとしました。
ダンロップコーナーから先はクネクネとしたイヤらしいコースです。数ヶ月まえの私ならばリアが流れるギリギリのところを楽しみながら走ったでしょうけれど、一般道での自爆自己以来、恐くて全く踏めません。トラウマの去る日は来るのでしょうか?この辺りでは何台ものクルマに抜かれました(涙)
最終コーナー(パナソニックコーナー)の立ち上がりは何度やっても上手く行かず、一度は追い抜かれる車両に気を取られてスピンしてしまいました。
しかし、嬉しいことなのか悲しいことなのか先日の自爆事故の教訓が生きています。驚くほど冷静沈着にコースアウトしたことを確認してからフルブレ-キング、クラッチ切っているのにエンストするだなぁなどボンヤリと考えながら、壁の2メートル前で停止しました。
エンジン再始動・・・・・かかりません(汗)
エンジン再再始動・・・・・かかりません(滝汗)
一呼吸いれて、エンジン再再再始動・・・・・かかりました\(^o^)/
メインストレートは踏みっ放しをしても230~240km/hまでしか行きませんでした。
ここでは立ち上がりの上手い下手はあるもののクルマの性能がモロにでます。高性能車にジリジリと引き離されて行くのは悲しいものがありました。
そして第1コーナーに戻ってくるのですが、コーナーの250メートル手前から50メートル置きに250、200、150、・・・と書いた標識があり、それを目安にブレーキをかけます。
私の場合は200メートルのところからフルブレーキをかけると第1コーナーで安全に曲がれる速度まで減速できることが分かりました。
ブレーキは床まで踏みぬきます。ここまで踏み込めばヒール&トーによるシフトダウンも楽勝かと思いましたが、逆にアクセルペダルが高すぎて上手くできません。ヘルメットのせいでエンジン音の聞こえ方が普段とは違っていて音だけでアクセルを踏む深さを判断することもできなく、3速まで下げるので精一杯でした。

(マロリンコさんから画像をお借りしています)
------ こんな感じで何周もしていました。
ヘルメットを被っての走行は初めての経験です。
走行中にヘルメットがシートや天井に当るのが気になります。しかし、4点ハーネスで身体を固定しているので頭が大きく動くことはないので、やがてベストポジションが見つかったのか、どこにもぶつからなくなりました。
もともとメガネ漢なのでちゃんと見える視界が狭くなることはないのですが、ぼんやりと見える領域が減っただけでも随分と走り難いものです。サイドウィンドウを目張りしてしまったような感じといえば良いでしょうか?
音もほとんど聞こえなくなります。エンジン音でエンジン回転数を判断することも多いのですが、それができないのでタコメーターを睨めっこしながらの走行になってしまいます。走るときに五感全てを使っているということが良く分かりました。
一番不自由になるのは口です。ほっぺたを左右から挟まれるので
)ε(のような口になってしまいます。口を開けるとほっぺたを噛みそうになるのでしゃべれません。まあ、しゃべる必要はないのですが・・・。
サーキットコースの路面は鏡面のような・・・とは言いすぎですが、凸凹などなく、ゴツゴツ仕様の
くろよん号でもスムースに走れました。その証拠に全開走行しても重たいレー探をぶら下げたルームミラーが俯くことはありませんでした。また、一般道ではロールしすぎると思っていたけれどサーキットでは意外とそういう感じはしませんでした。
日本中の道路がこんな感じに整備されるならば、ガソリン税の払いすぎ部分25円も喜んで払いますよ(笑)
タイヤ空気圧はフロント220kPa、リア230kPaでスタートしました。何周か走った後にタイヤが全然グリップしなくなって来たのが分った(←私でも分りました)ので、ピットインし調べてみたら前後とも300kPa近くになっていました。前後とも250kPaに減圧し、再びコースインしました。
なお、その後ほぼ冷間時に空気圧を測定したら前後とも200kPaになっていました。
また、走っているとブレーキのストロークが長くなってきました。これがベイパーロック現象というヤツですね。ブレーキを簡単に床まで踏みぬけるようになってしまいました。それでもブレーキの効きが悪くなるということはありませんでした。ポルシェのブレーキは宇宙一の評判に偽りはありませんでした。
2度目のスピンの後に130~140km/hまで速度を上げると左リアがガタガタと揺れるようになり、また気分が悪くなってきたので2度目のピットインしました。
調べてみたら左リアホイールの内側に土がどっさりとこびりついていました。リアを右に流すように滑ったので、左ホイールで土をえぐり取ってしまったようです。念のためホイールナットの増し締めをしたら微妙に緩んでいました。熱のせいでしょうか?

終了時間も近かったし、気持ちが悪いのも治まらなかったので、これでコースインは終了しました。
------ 走行会の締めはタイム発表です。
通信簿をもらう生徒の気分でもらった紙には
18分・・・・
18分!?
これって速いの??????
計測器の異常(故障?)で慣熟走行しか記録されていませんでした・・・・・(涙)
私の他にpon-porさんが計測できていませんでした。
そういうことがあったらすぐに教えて欲しいものです。相変わらずFSWの運営はヘッポコです(怒)
タイムの出なかった二人でジャンケン勝負してチョキで敗北を喫した私は
ポルシェキャンプカップ(ポルシェキャンプさんが沖縄の骨董品屋で見つけた子供用茶碗)を頂きました。これからはこの茶碗でご飯を食べてダイエットに励むことにします(爆)。ポルシェキャンプさん、ありがとうございました。
これで富士走行会は終了です。
走り終えた皆さんの顔には「満足」の文字が浮かんでいるように見えました。
高速道を含め、一般道とは全く違った道路での走行はとても不思議なものでした。ポルシェというクルマに乗らなかったら、おそらく一生経験できなかったでしょう。私の中で世界がまた広がりました。
疲れたけれど、面白かったです。
解散後は有志によるFSW付近の道の駅で夕食会です。
その前にタイヤの空気圧を上げておこうかとゴソゴソやっていたら、残っている人があまりいなくなってしまいました。道が分かっていない私は誰かの後について行かなければならないので慌てて出発しました。うろ覚えの道をゲートへ向かいますが、思惑と違って前にクルマがありません。ふ、不安です。
(ゲートまでこんなに距離があったかな?)
先導車がいないと距離が長く感じるものです。
程なくゲートが見えて一安心です。
しかし、その安心が命取りとなりました。
ゲートを出た後、来た道を戻るならば左へ行かなければならなかったのですが、自然に右へ行ってしまいました。行った次の瞬間に
(あ!間違えちった。テヘ♥ どこかで引き返そう)
と思ったのですが、バックミラーを見ると何台ものライトが見えるではありませんか!?
今更引き返せなくなってしまい、必死にカーナビを操作します。
(道の駅の名前は何だっけ?)
思い出せません・・・・・。
こうなったら頼りは九分九厘当たる(=九割一厘外れる)私の勘とレー探の道の駅お知らせ機能です。道の駅が幹線道路沿いにあったことだけは辛うじて記憶にこびり付いていたので、初めて通る道を幹線道路を目指します。
やがてレー探から道の駅を射程に捕らえたという報告が入りました。
やがて幹線道路に交差する信号に出たら、左から正規ルートを通ってきたポルシェ隊が見えました。
どうやら何とかなったみたいです。
この日、一番緊張した時間でした(滝汗)。
皆さん、私の後をついて来るのはやめましょう!!
そんなこんなで道の駅に到着し、夕食にありつけました。吐き気をこらえながら、食べ物を詰め込むとようやく胃が落ち着いてきました。筋肉痛のことを心配している人もいましたが、サーキット走行は予想以上に体力を使います。万全の体調で望みましょう。

その後は道の駅でタイヤの空気圧調整をし、独りノンビリと帰宅しました。

サーキット走行を終えて、思い出に浸りながら自分は一体何のために走っているのだろうと考えると、決して速く走ることを目的としているのではないことを思い出しました。
今回は初めてのサーキット体験に舞い上がってしまい速く走ることだけを考えていたのですが、もっと色々なことを試してみれば良かったと思うのです。
もっと自分が余裕を持って走れる速度で、クルマとの対話・地面との対話をしながら走れば良かったと後悔しています。
次にサーキットへ行くときの目標ができました♪
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最後になりましたが、今回の走行会の裏方仕事をほとんど一人でやってくれたブラックバード.さんに最大限の感謝の意をささげます。また、U-Gさん、medjaiさんを始め、お手伝いをして下さった方々、講師の先生方、ありがとうございました。
私を含め初心者だらけの不安一杯の走行会でしたが、全員怪我をすることもなく終了することができました。これは上に上げた方々の尽力だけではなく、参加者一人ひとりが安全やマナーに留意してくれたからこその賜物と思います。
参加者の皆様、お疲れ様でした。そして楽しい一日をありがとうございました。
次のイベントでもまた安全に楽しみましょう!!
