12月16日に今年最後の
「おは箱!」へ行ってきたのですが、わが
くろよん号は長期入院中でありまして、今回もまた皆様のポルに同乗させていただいての参加となりました。
今日は同乗させていただいたポルシェの感想を述べます。ただし、私の基準は
くろよん号、つまり、ライトチューニングされた964カレラ2MTです。他の車種に乗っている方とは感じ方は違うだろうし、そもそも私は細かい違いの分かるような人間ではないので「こんなことを思う人もいるんだ~」くらいに軽く読み流してもらえれば幸いです。
まず私を同乗させてくれたのは
この方です。車種は
997GT3CSです。
前回はエンジントラブルのため代車である997カレラSで参加され、私も運転をさせていただきました。今回もまた同乗させていただき感謝にたえません!
さて、タロウ。号はNAなのに400馬力を超えるトンでもね~パワーを誇る純白の貴婦人です。納車前からのエンジンが不調でしたが、心臓移植という大技で見事に復帰を果たしました。

タロウ。号はクラブスポーツなのでロールケージでジャングルジム状態です。Aピラー(フロントガラスとサイドガラスの間にあるピラー)なんて2重構造になっています(「地震が来ても大丈夫」と誰かが言っていました(笑))。けれども997は室内が広いせいか全然ジャマに感じませんでした。むしろバケットシートに乗り降りするときに手すり代わりになるし、シートを前後に移動するときの支えにもなって便利でした。ただし、反対側のサイドミラーの視界は半分以上ロールケージで隠れてしまいます。
フルバケットシートは996タイプよりもスマートに見えます。座ってみると方の部分が996タイプよりも若干キツメのように感じましたが、座り心地そのものは悪くはなく、長距離クルージングにもワインディングでの振り回しにも十分に対応できるモノのようです。
内装で一番驚いたことはドリンクホルダーがあったことです。バブル時代のゴージャスカーである964にすらなかったのに・・・
(左の写真でタロウ。さんが押し込んでいるのがドリンクホルダーです。ロールバーが松葉杖のように二重なのも分りますね。前を行くのはチュンチュン号です。右はロールバーを入れる前の内装です)

肝心の運動性能ですが、一言で現すと「強力・滑らか」です。415馬力(だっけ?)というパワーでありながら、加速・減速はスムースで助手席に乗っていると知らない間に2colの速度が出ていたりします。馬力だけを比較すると先日同乗させて頂いたRUF CTRと大きくは違いませんが、CTRがガツン・ガツンという動きだったのに対して、997GT3は滑らかな動きでした。ドライバーの性格の違い(笑)もあるでしょうけれど、997GT3がNAであることと車重が大きいことが大きく効いているようです。
足はしっかりとしています。高速走行では地面にピタリと張り付いている感覚が助手席にいても分かります。峠道でも、964ではともすれば感じる道を踏み外してしまいそうな感じが全くありません。それでいて乗り心地は
「良い」です。高速道路の繋ぎ目でも突き上げは厳しくなく、助手席に座っていると200km/h以上の走行でも安眠できそうです(←もちろんこんな速度は法律上出せませんが…)。
残念ながら、PCCBの性能を遺憾なく発揮するような場面はありませんでしたが、走行後にブレーキローターが手で触れる程度の温度であったのはPCCBの偉大さでしょうか。
997GT3は運動性能も一級ですが、エキゾーストノートも素晴しいです。踏み込むとウォ~ンと咆哮します。これまでのポルシェにはなかった耳で感じるドライビングプレジャーです。
この音楽は車内で聞くよりもすぐ後ろを追走しながら聴く方がより美しくこだまします。ただ困ったことにこの純白の貴婦人が吼えたときは、咆哮を楽しむ間もなくはるか彼方へドップラー効果だけを残して消え去ってしまいます。
次に乗せて頂いたのは
この方の
964カレラ2カブリオレ右ハンドルです。しかも、運転させてもらいました!

私は以前に964カレ2TIPに乗っていたこともあるので操作が分からないということはありませんが、右ハンドル仕様に緊張しました。
右ハン964で有名なのはペダルポジションの悪さです。オーナー様の言葉を借りれば
イヤーンなペダルです。確かにアクセルペダルが正面にあります。しかし、運転してみると意外なことに全然気になりませんでした。アクセルは一度足の位置を固定してしまうと運転中に足を離すことが少ないからではないかと思います。
ブレーキペダルもつい左足で踏みたくなる位置にありますが、運転しているときは自然に右足が動きました。
悪名高いペダル配置ですが、右ハンオーナーさんたちは気にしてないのかもしれないですね。
ペダル配置よりもターンシグナルレバーが左にある方が気になりました。曲がるときにはちょっと考えないと操作できませんでした。シフト操作とウィンカー操作を同じ手でするのは不思議な経験でした。
ちなみに、この後、自分のクルマ(代車)に戻ったときには信号でワイパーを動かしてしまいました(2度も!)。
アクセルペダルは結構重かったです。964のアクセルはこんなものだったでしょうか?それともペダル位置の関係で重く感じているだけでしょうか?
ステアリング(社外品のφ35cmが付いていました)も重ステかと思うほどに重たく感じました。
(1ヶ月以上の代車生活ですっかり軟弱になってしまったのでしょうか!?)
それでもアクセルを踏めば素直に加速してくれるのは代車では望むべくもないポルシェのフィーリングです。ハンドル操作に対してもキビキビと反応してくれます。先月乗せてもらった997カレラSよりも全体的に動きが軽く感じます。
別の表現をすると
危うさを感じます。忘れてかけていたけれど、これが964の魅力でもあります。
「よっこらせ!」と力を入れなくても変速できるシフトレバー(と言って良いのか?)は快適の一言につきます。ただし、TIPのタイムラグの大きさは気になりました(私はこれが嫌いでMTに乗り換えました)。
ところで、これが私の初オープンカー体験でした。時は師走半ば、真冬ですが、フルオープンで走りました。が、全然寒くはありませんでした!
風は背後からウナジに当るだけで、顔や頭には全然風が当りませんでした。ゆるゆるな帽子を被っていたのですが飛んでいってしまうようなことはありませんでした。ノーマル964で窓を開ける、あるいはサンルーフを開ける方が風が頭部に当るし、寒いです。カブリオレの設計に着帽しながら脱帽です!

さて、せっかく運転させてもらったカブ号ですが、964のドライビング感覚がもどらず終始スローペースで走行させてもらいました。それでも964のドライブはやはり楽しかったです。一方で、誰もが簡単に操作できるクルマではないとも感じ、964はやはり乗り手を選ぶクルマなのかもしれないとそこはかとなく思いました。
この日乗せてもらった3台目は
この方の
993カレラです。

993は最後の空冷モデルですが、エンジンは基本的に964と同じものを使っています。964と比べると一回りサイズが大きくなっていますが、室内の広さは変わっていないように思います。しかし、トレッドが広がり、リアサスがマルチリンク(964はセミトレーリングアーム)になっているので安定性が増しているはずです。
オーナー様の運転の助手席でターンパイク往復を体験させてもらいました。
乗り心地はマイルドで、車内で会話をしながら写真撮影のために後方を振り返ることもできました。それでも先月ターンパイクで同乗させてもらった997カレラS(下の写真;セグロ号)と比べると安定感は不足しています。高速コーナーでは外へ外へ逃げてゆくのを強く感じます。この辺は964乗りにとってはなじみ深いオールドRRポルシェらしい特性が残っています。しかし、964ほどズルズル滑ってゆく感じがなく、993の足の良さが伺えました。
アマグリ号に乗せていただいて感じたことは、993カレラは964カレラ2に極めて近いということでした。アマグリ号の内装は随所に手が加えられていてとてもオサレですが、964と大幅に違うということはありません。

エンジンも964と同じM64タイプであり、エンジンの音も聞き慣れたものです。
近いという点ではマークワン号の方が
くろよん号に近いはずなのですが、なぜかアマグリ号の方がより「いつもの感覚」に近いものを感じました。ボディ形状とハンドル位置の違いのためでしょうか?もっとも
くろよん号の方が煩いし、乗り心地も固いですが・・・。
アマグリ号はTIPですが、マニュアルモードでのシフトチェンジはハンドルの+-スイッチとシフトレバーの両方で行えます。これは993だけの特徴です。面白いですねぇ。

タロウ。さん、マークワンさん、アマグリさん、大切なポルに乗せていただきましてどうもありがとうございました。
私は乗り物に弱いという体質である上に、他人様と自分のポルと比べるという行為があまり好きではない(競争嫌いなもので)のでこれまであまり他人のポルに乗りたいとは思いませんでした。しかし、
くろよん号入院という哀しい機会を大いに活用させていただいて、オーナー様の迷惑を考えず同乗前提でいくつかのイベントに参加させてもらいました。その結果、
・996カレラ
・993RS
・997カレラS(TIP)
・997カレラS(MT)
・RUF CTR
・997GT3CS
・964カレラ2カブリオレ右ハン
・993カレラ
に乗せて頂くことができました。
これで私の乗ったことのあるポルシェが約2倍に増えました。オーナー様たちのご厚意により、貴重な体験をさせていただくことができ、ポルシェというクルマに対する理解が石を抱えてダイブするかのように深まりました。オーナー様に感謝致します。
くろよん号復帰の際には、是非、乗ってみて下さい。
ポルシェというクルマは一台一台にそれぞれ個性があり、一見欠点であように思えることもそれが独特の味わいとなっていたりして、結局どれが最良という評価はできるようなものではなく、どれも
最高でした。
そして分ったことは、自分には964が一番合っているということでした。もうすぐに
くろよん号が帰ってきます。そうしたら、この一ヵ月半で得た経験を精一杯に活用して
くろよん号と過ごすポルシェライフの第二章を送りたいと思います。
<オマケのおまけ>
くろよん号を修理している間はショップからは代車をお借りしています。
HondaのHR-Vという今をときめくウイルスの兄弟のような名前を持つSUVもどきのクルマです。
このクルマはメーカーによる宣伝文句が面白いです。例えば
「自分のスタイルで生きている人の身のこなしが軽やかなのは、余分な力が入っていないからだと思う」
とこんな具合。どこが面白いかは、実際に乗ってみると分かります。すなわち、上の言葉は
「このクルマは非力です」
を婉曲的に表現していたのであります。万事こんな感じで「モノは言いよう」というか絶妙なキャッチコピーが笑えます。センスが良いのか悪いのか・・・(笑)
スタイルは写真の通りの
「箱」なのですが、ポルシェショップのクルマらしいモディファイが施されていて、シートは964・993タイプになっていました。ホイールは18インチで偏平率40というタイヤを履いているので乗り心地はとっても悪いです(笑)。
余談ですが、自動車のタイヤに使う「へんぺいりつ」は「偏平率」です。数学用語の「扁平率」とは違うので間違えないようにしましょう。なお、タイヤで使う偏平率の元の言葉は英語ではaspect ratioです。私の業界では「アスペクト比」、または「縦横比」と表現しています。「偏平率」というのはかなり特殊な言い回しだと思います。
これを読んでいる方がHR-Vに乗ることはほとんどないでしょうから、あまり長々と述べても嬉しくはないでしょうから感想を手短にまとめると、高すぎる車高と柔らかい足回りは不安と不安定を呼び覚まし、反応性の悪いAT(CVT)と非力なエンジンとの有機的な結合は、ドライバーの意思から三瞬ほど遅れてグラリと反応を開始するというまるで「船」に乗っているかのような不思議な乗り心地を体験させてくれました。
ニュータイプのごとく先の先の先まで読んで運転することを強いられるので、クルマを操作するのはホントに疲れました。
車高が高いくせにフロントフェンダーは見えず(964の「ふともも」が懐かしい)、前後左右死角だらけなので、964と比べて小回りが利くのに車庫入れは大変に難しかったです。
良いところを探すと燃費が良いことと凸凹道でも底を擦らないことでしょうか?でも日常の足として使うには964の方が楽です。
くろよん号、早く帰ってこ~い!後2日です