6月に入ってすぐのこと、僕らのマーチンは完成に近づいていた。そこで参加可能な限りのメンバーが集まってマーチンの試乗会を都内某所で行うこととなった。
最初のドライバーが試乗に行く。残ったメンバーは12耐の打ち合わせをしながらマーチンの帰還を待っていた。
しばらくしてから電話がなった。
「煙が出ている!!」
えーーーー!!!
駐車場に戻ってきたマーチンのボンネットを開けるとエンジンルームはビショビショだった。
液体の色は緑色である。どうやらクーラントが漏れたようである。キャップが変形してしまっていたのが原因だろうか?ビニルテープでキャップをミイラにして応急処置完了。
さらに、別の場所を見ると茶色の液体も漏れていることが発見された。
明らかにエンジンオイルである。オイルレベルゲージのハマりが緩かったからのようだった。応急処置として針金で固定してみた。
第一報が入ったときは猛烈にあせったが、軽症のようだった。
不安はあったが、とりあえず試乗を続ける。
先ほどの処置が正しかったらしくそれ以降は白煙を噴き上げることなくドライバーを交代しつつ淡々と試乗は進んだ。
大丈夫。皆、そう思った。いや、思いたかった。
僕たちはクルマに関してはアマチュア…素人である。経験値が絶対的に不足しているのは否めない。
幸いなことに先日のクーラント・オイル噴出しについてプロの意見を聞くチャンスがあった。
エンジンのガスケット抜けの可能性が高いということであった。早い話がエンジン死亡ということである。
まさかそんなことはあるまいとは思いつつも、プロ(ショップ)の診断を受けることにした。
しかし、診断の結果はガスケット抜けを裏付けるものでしかなかった。
それでも僕らはあきらめきれずサーキットテストのため富士スピードウェイに乗り込むことにした。
高速道路ではマーチンは快調な走りを見せてくれた。もしかしたら、大したことではないのかもしれない。
ゲートで念のためボンネットを開けてみた。その結果、クーラントを噴出しているのを目にすることになってしまった。
死亡確定である。
何度も書いているが、MC Racingにはお金がない。もともと資金が少ない上に、その少ない資金の大半はマーチンの改造費で消えていた。修理に使える金はほんのわずかしかない。ポルシェならばパーツを一つ買うだけでお終いという程度だ。
ショップの社長さんにダメもとで無理なお願いをしてみる。
── これだけの金額でエンジンを載せ換えてください。ついでにニスモのサスとクラッチ、大型ラジエータをください。
金額が足りなかったら、どれかを削るつもりで交渉に臨んだのだが、ショップの社長さんからは思いがけない言葉をいただいた。
── 金がないなら仕方がない。出せる金で全部やってやる。
僕には社長さんが神に見えた。
しかし、社長さんの申し出は分からなくもない。プロとして自分が手がけたクルマが中途半端な状態でいるのは我慢ならないのだろう。
資金はもう雀の涙ほどしか残らないし、これまで素人集団で一生懸命に作ってきたマーチンの仕上げをプロに委ねなければならないのは正直なところ忸怩たる思いもする。が、結果的にマーチンはレースに十分に耐えられる仕様になるのだから良かったのかもしれない。
そう思うことにした。
(続く)
・12耐への道(1)【夢の始まり】
・12耐への道(2)【ようこそマーチ君】
・12耐への道(3)【お買い物ゲーム】
・12耐への道(4)【最初のチューニング】
・12耐への道(5)【裏の仕事】
・12耐への道(6)【MCR誕生】
・12耐への道(7)【10人の仲間たち】
・12耐への道(8)【日々着々と】
Posted at 2010/07/13 23:07:56 | |
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12時間耐久レース | クルマ