
今回はバイク便でのチェーンとスプロケットの事を書いていこうかと。
バイクで使われる駆動系はチェーン、ベルト、シャフトドライブに分けられるが、バイク便で使われるバイクのほとんどはチェーン駆動のバイクであとはスクーターのベルト駆動がそれに次ぐ感じ。
シャフトドライブは自分が見た限りだと最後に在籍した会社でBMWのR1100で仕事している人と他社のR1100GSで仕事している人くらいだった。
ベルトの場合は定期的な交換が必要になり、シャフトドライブの場合は定期的なギアオイルの交換が必要になる。
チェーン駆動の場合はそれ以上に定期的な手入れが必要になる。
自分の周りのバイク便で、ベルトとシャフトドライブは定期的なベルト交換とギアオイル交換でトラブルらしいトラブルは見た事が無いので、この部分に関しては省略します。
チェーンはRK、D.I.D、EKの3つのメーカーが主になる。
バイク便での使用になると評判が良いのはD.I.Dで次いでEKと言った感じだった。
RKは意外と評判があまり良くなかったが、後にその理由を知る事になった。
チェーンの種類はシールチェーンとノンシールチェーンの2種類で耐久性で必然的にシールチェーンになる。
このシールチェーンもグレードがあり、各メーカーで上位モデルや中間モデル等がある。
自分が使っていたチェーンはD.I.Dでバイク屋が付き合いのある部品問屋がD.I.Dを取り扱っていたのと、仕事周りの評判で自然発生的D.I.Dになった。
当時使っていたのはVMシリーズで、今はVXシリーズと名前を変えてる中間グレードのチェーンだった。
スプロケットは必然的に耐久性のある鉄で社外でも鉄のスプロケットを選んでいた。
中間グレードのチェーンでも走り方と手入れ次第では10万km以上は使える。
チェーンとスプロケットは本当に10万km以上持つのか?とほとんどの人は懐疑的だと思う。
正直、自分もここまで持つとは思っていなかったが個人的な経験則で言えば、定期的な注油と掃除、調整は勿論の事だが
チェーンの負荷をかけない走り方をすれば持つと知った。
チェーンの負荷をかけない走り方とは、幹線道路や高速を一定速度で走るのが一番負荷がかからない。
街乗りは止まって走るの繰り返しでチェーンが張ったり緩んだりして、負荷がかかりやすく片伸びもしやすいが、極端なスタートダッシュをせずにクラッチを繋いだ時にチェーンが張った瞬間にアクセルをじんわり開けるようにすれば、負荷が抑えられる。
バリオスで仕事していた時は街乗り仕事がほとんどで、バイク便を始めたばかりなのもありよくスタートダッシュ等をしてたりしてチェーンがよく片伸びしていた。
当時はそれがバイク便らしいと勘違いしていたが、結局はチェーンや他の部分に負荷を掛けているだけで仕事にもバイクにも何のメリットが無いと後々に気付く。
バリオスの際は最初にチェーンを交換した時は、スタートダッシュを繰り返していたのもあり極端に片伸びが酷くなって4万km超えた辺りで交換するハメになった。
それ以降は走り方を改めてスタートダッシュをせずにじんわり開ける事を意識して走り、ぶつけられて廃車になるまでチェーンを交換せずに使えた。
ちなみにバリオスは15万kmちょっと走ったが、チェーンを交換したのはバイク便始める直前に交換したのと片伸びしたあとの2回だけだった。
ちなみにCB400SFもチェーンを2回交換している。
この時はCBを買った際にRKの新品のチェーンが付いていたが、グレードが低い物だったせいか仕事で使うとあっという間に伸びが酷くなり、しょっちゅう調整して最終的に調整限界値まで使ったが半年も持たずに交換するハメになった。
距離は3万km前後だったと記憶しているが、普通なら適正な交換距離だとは思うが、以前からRKチェーンはそんなに耐久性が高くないと聞いていたが、買った時に付いてたとはいえ初めてRKチェーンを使った印象としては最悪で二度と使わないと思った。
その後、D.I.Dチェーンに変えてから15万km辺りで一度交換した。
まだ使えそうだったが、たまたまタイヤ交換と同時になんとなくと言った感じだった。
今思えば20万km以上は使えてたと思う。
バイクのチェーンはメンテナンスをしているかどうかで、そのバイクに対する姿勢が見えるから面白い。
特にバイク便だとチェーンがきれいに手入れされている人は共通して仕事が出来る人が多く、逆にチェーンが錆びていてスプロケットが尖ってたりしているのは仕事でトラブルを起こしてたりするのが多かったように思う。
また別の機会で書くがバイク便は変わった人間が集まりやすい業種で変人の巣窟と言っていいくらいで、きれいにチェーンを手入れしているのが意外と少なかったのも印象的だった。
じゃあどんなチェーンのメンテナンスをしているか?
特別な事はしてなく、定期的なチェーンクリーナーを使っての掃除、チェーンオイルでの注油、タイミング見てのチェーンの張り調整。
普通のメンテナンスだが、バイク便になるとその頻度が一般ライダーより遥かに多くなる。
バイク便をしていた当時のチェーンの掃除は週に1回と雨が降った翌日、注油はバリオスの時は週1回、CB400SFで仕事していた時は500〜1000kmの間で大体週2回といった感じだった。
手入れの仕方はブラシは使わず紙ウエスにチェーンクリーナーを染み込ませてチェーンを磨いてから更に乾拭きして、注油するといった感じで十分だった。
当時使っていたチェーンオイルをいくつか紹介しようかと。
D.I.Dチェーンルーブ
当時バリオスに使っていたチェーンオイルで、バイク便始める前から使用していた。
チェーンオイルとクリーナーのセットで2000円と安くチェーンメーカー純正なのも選んでいた理由の一つ。
ちなみに現在のKLX250にも使っていて、かれこれ20年以上の付き合いになる。
アスカ ホワイトチェーンオイル

このチェーンオイルを使っていたのは、CB400SFで距離を走る仕事をしていて、チェーンの注油頻度がバリオスの倍以上になりD.I.Dのチェーンオイルの容量だとわりと早く無くなる事が多くなり、D.I.Dチェーンオイル単体で買うとクリーナーのセットより割高で、安くて容量の多いのを探してたらこれを見つけた。
660mlで当時900円前後で置いてあって、容量と安さで購入。
ホワイトチェーンオイルはチェーンが白くなるのに抵抗があり、チェーン注油が下手な人が側面に白くまだらに付けて走っているのを見て余計に汚く見えると思い避けていたが、仕事で使うと割り切って使うとチェーンオイルの性能としてはわりと良く、注油をローラーとシール部分にピンポイントに注油して側面の部分に付いたのを拭き取れば白くなるところがほとんど目立たなくなり、仕事ではこれを使い倒していた。
バイク便卒業した後は残った余りをしばらく当時通勤で乗っていたスーパーシェルパに使用していた。
スーパーゾイル チェーンルーブ

たまに使っているエンジンオイル添加剤スーパーゾイルが出してるチェーンルーブ。
エンジンオイルの話では書いてないが、自分が唯一使っているエンジンオイル添加剤がスーパーゾイルで、当初は添加剤自体に興味が無く自分のバイク便周辺でもオイル添加剤を使っている人を見た事が無く添加剤=トラブルの元としか考えていなかった。
バイク用品店に行った際にZOILの特集をしている冊子があり、興味本位で読んでいると性能の高さを事細かに書いてあり、値段的に高くて躊躇していたが興味本位も相まって人柱的に試してみようと思い、オイルとフィルター交換の際にZOILを10%投入した。
当時はバリオスに乗っていて交換した後にエンジンをかけて走ったら、エンジンが4CTだけを入れた時よりスムーズに回ってシフトタッチも劇的に変わってあまりの変化に驚いた覚えがある。
それ以降は定期的にZOILを入れるようになったが、これだけ滑らかになるならチェーンルーブはどうなのか?と気になり使ってみると、大げさな過ぎる表現でおかしいが当時の自分の感想は滑らかさを通り越してチェーンが消えた?と一瞬思ったくらいにチェーンの抵抗感が無くなった。
冊子にもチェーンルーブのことを「フリクションロスを極限までに低減」と書いてあったが、その文言に偽り無しだった。
これをメインに使いたかったが、容量が220mlで2000円と割高でバイク便の使用頻度とコストが割に合わないのと、塗布した後に拭き取ってもかなり飛び散りやすいのもちょっと残念な部分だった。
なのでバイク便で使用する際は、添加剤感覚でサブ的に使う事にして5000km毎に使用していて今のKLX250も同じ使い方をしている。
ちなみにZ750、Z1000、Ninja1000、Z900RSにはこのチェーンルーブだけを使用していた。
チェーンの手入れの仕方やチェーンオイルをいくつか紹介したが、もう一つバイクのチェーンで都市伝説的な話がある。
それが
「シールチェーンメンテナンス不要論」
これは自分がバイク便していた当時からある話で賛否両論ある。
チェーンのシールにグリスが封入されていてそのグリスが潤滑しているから、チェーンにオイルを差す必要が無いと言うものだが最初にこの話を聞いた時、(ローラーとスプロケットはどう潤滑するんだ?)と疑問しかなかった。
最近もこの事が改めて話題になったらしいが、その話題の発端が元レーサーの某YouTuberらしく、その人の動画とブログを見てみるとメッキ(ゴールド)チェーンはメンテナンス不要と説明されている。
詳しく見てみると、メンテナンスが必要なのは純正のスチールチェーンで防錆の為に必要でメッキが処理されたチェーンは必要無いとの事。
それじゃローラーとスプロケットは?と思い説明を見てみると、それなりの説明はされているが更によくよく読んでみると、この人は「チェーンメンテナンス自体を否定してない」事に気付く。
挑発的な物言いや書き方で気付きにくいが、要するにこの人はチェーンオイルがホイールや車体に飛び散り汚れるのが嫌なだけでメンテナンス自体を否定していない。
YouTubeやブログのコメントの返信には、チェーンを長持ちさせるならチェーンオイルを差す事を薦めていて、自分はチェーンオイルが飛び散り汚れるがストレスになるのでしないと書いている。
個人的には汚れたらクリーナーで拭けばいいじゃんと思うが、その人の価値観なので何とも言えない。
ちなみにバイク便時代にチェーンメンテナンスしないでトラブルになっているのをいくつか見ている。
最初に入ったバイク便の社長が会社になかなか来ないと思い、ライダー管理してる人が電話したら、チェーンが外れて今付け直してるって言ってて全員が唖然となった。
なんとかして来たはいいが、チェーンをみると錆が酷くダルダルになっていて、またいつ外れても不思議じゃない状態だった。
全員に突っ込まれたが、その言い訳が「忙しくてチェーンの手入れする時間無い」と訳のわからない事を言って更に全員から突っ込まれた。
ちなみにその後に社長はベルトドライブのハーレーに乗り換えてた。
もう一つは後輩がゴールドメッキのチェーンに交換して、その当時のチェーンメンテ不要論を聞いてようやくチェーンメンテナンスに解放されると訳のわからない事を言い出して、雨の日も関係無く走っていると次第にメッキがくすみだし、チェーンはガタガタに伸びてそのたびに張り直して、最終的に調整限界値まで使ったがスプロケットが棘かと思うくらいに鋭くなっていた。
走行中にも凄まじい音しながら走っていて、周りから早く交換しろと詰められて、最終的にはチェーンのメンテがめんどくさいとの理由でスクーターに乗り換えてた。
距離は確か15000km手前だったと記憶している。
他にも立ち上がりでスロットル開けたら、急に駆動力が無くなって空吹かしする感じになり路肩に止めたらチェーンが流れるようにきれいに破断していて後ろの方にヘビみたいに落ちてたとか、メンテナンスすれば避けらるトラブルを起こしてたりするのもいる。
バイクに乗って仕事する人とは思えないが、実際にバイク便でもこういう人は一定数いるのも事実。
これらの事は手間をかければ防げるトラブルも、めんどくさがると自分の首を絞めるだけだと改めて学んだ。
たまにチェーンが赤錆の状態で走っているバイクを見かけたりするが、見ていてイライラする(笑)
バイクのチェーンを10万km持たせる云々より、手入れと走り方次第でちゃんと長持ちする。
結論として定期的な掃除と注油はやりましょう。
次回はタイヤ関係の事について書いてみようかと。