
お待たせしました!
続きです。
山小屋へのチェックインの時間まで(チェックイン時間の決まりはありませんが16時までにはチェックインするのが山小屋の常識)は、まだまだ余裕もあり、暑くも寒くもない気温なのでここでゆっくりガスが晴れるのを待て見ます。

待つこと30分程でガスに動きが出てきました・・

微かにジャンダルムのシルエットが浮かび上がってきたのです。

ガスの向こうから浮かび上がってくる圧倒的迫力の岩の要塞「ジャンダルム」
全貌が露わになってくると、その威圧感に圧倒されます。
本当にあんな所に人が歩いてたどり着く事が出来るのでしょうか・・
天空に浮かぶ岩の要塞、もし今からあそこへ向かうって事を考えたら、怖じ気づいちゃう程の威圧感です。

やがてジャンダルムの背後には青く透き通る空と雲海が広がり出します。

奥穂高岳山頂の祠も陽の光を浴びて綺麗な青空を背後に静かに佇んでいます。

綺麗に広がった雲海の大海原から頭だけを出す標高2898mの笠ヶ岳。
雲の中から姿を現す「ゴリアテ」を思い出しました・・(また、ラピュタネタ・・?笑)

その後、笠ヶ岳方面の稜線が雲海を突き抜けて出てきました。

ジャンダルムの背後には眩い太陽が暖かな光を振り注いでいます。

15時、天候もすっかり回復しジャンダルムの姿もしっかり見る事が出来たのでそろそろ穂高岳山荘へ向かって下山を開始します。

振り返ると、先ほどまでいた奥穂高山頂にはまだ人だかりが・・
皆さん、目の前に広がる絶景を思い思いに楽しまれているのでしょう。

奥穂高岳山頂から稜線を伝って穂高岳山荘へ向かいます。
しばらくは岩ゴロゴロで決して歩きやすくは無いですがなだらかなルートで問題無く進んでいけます。

ガスの中から姿を表したピークが標高3110mの涸沢岳。
昨年の北穂~奥穂への縦走時に登頂した山です。

やがて眼下に穂高岳山荘が見えてきました。
しかし、ここはいつ見ても迫力ありますね。
まず、小屋が建っている場所は標高3000mの尾根の狭いコル。
前後はかなりのきれ落ちた急斜面、両側は奥穂と涸沢岳に挟まれています。
そして何と言ってもこの奥穂側から下って行くのにはこの崖のような急斜面っていうか崖そのものを下りて行かないとたどり着けません。

「×、〇」登山道のマーキングは確認出来ますが、実際の登山道は何処!?
なんて少しビビりながら、ゆっくり歩みを進めます。

垂直の崖にはこのような梯子が付けられています。
梯子より下もここからではほぼ崖にしか見えません、って言うか崖です・・汗
高いところが駄目な人には耐えがたい場所ですね・・・
こういう所に慣れてきた私でもやはりこの状況は余裕ではありませんよ。
そんな、緊張を強いられる状況の中、眼下には山小屋のテラスでくつろぐ登山者の姿が確認出来ます。
そんな光景を冷静になって見ると、今、自分の置かれている状況と眼下でくつろぐ登山者とのギャップが面白いですね。

15:30
穂高岳山荘に無事到着。

今、下りてきた斜面を振り返ります。
やっぱり、崖・・でしたね・・・笑

早速、山小屋で宿泊の受付を行います。

受付を済ませ、荷物をとりあえず、寝床の場所に置きに行きます。

部屋は「雷鳥」
そういえば今回はまだ雷鳥に出会ってないな~。

廊下の脇には槇が積まれていました。
いかにも山小屋な雰囲気で良いですね。

そして缶酎ハイを購入して外のテラスで一人乾杯します。
前穂高岳はガスに包まれて展望も無く残念でしたが、この奥穂高岳は山頂で約1時間、粘った甲斐がありました。
見事昨年のリベンジを果たすべく青空、雲海、ジャンダルムを拝むことが出来たので満足です。

しかし、奥穂山頂では晴れていましたが、この穂高岳山荘周辺はガスが濃くなったり薄くなったりを繰り返しています。

そこでまた出会えましたよ!
ブロッケン現象に!
前回は大キレット通過中だったのでその時は気付いていなかったのですが今回ははっきりとその場で確認出来ました。
霧の中に浮かぶ私の影の周りに虹色の輪っかを見る事が出来ます。
この後他の登山者さんもこの現象に気付いて皆さん自分の影に向かって手を振ったり、写真撮ったりをして楽しまれていました。

小屋の脇にひっそりと花を咲かせていたイワツメクサ。

こちらの画像は山荘裏手へ沈みゆく夕日を写した画像。
夕日と言ってもまだ高い位置なのでそれっぽくありませんね。
その後のリアルな夕日はこの雲海に隠れてしまい、写真に収めることは出来ませんでした・・

これが唯一夕日っぽい一コマ。
山荘の窓越しに写した夕日の光。
この後に上の写真撮った場所に再度足を運んだのですがお日様はすっかり雲隠れしちゃってました・・
ここで、もうすぐ夕食の時間になるので一旦部屋に戻ります。

17:00
夕食の時間になり食堂へ向かいます。

夕食のメニューはこんな感じ。
勿論ご飯は大盛り×2・・・笑
何処の山小屋でもそうですが、とても美味しくいただけます。
早朝から一日中、目一杯体を動かした後、そして最高のロケーション。
そんな中で頂く料理はどんな高級な料理より美味しく、そして贅沢に思えます(*´з`)

そして、おなか一杯、美味しく頂きました。
ごちそうさまでした。

18:50
すっかり陽の落ちた外へ出てみます。
実は今回、私一眼レフカメラと三脚を持参してきたのです。
そう、この標高3000mの山小屋からの星空を撮るために・・・
しかし、私、一眼レフの撮影に関してはほぼ素人なのです。
私、最近本格的に始めたインスタグラムで俗にいう「映え写真」に刺激され自分も撮ってみたく思い以前から持っていた10年以上前の一眼レフ「Canon EOS Kiss X2」を持ってきたのです。
三脚は今回の山行の為に購入しました。
そして三脚セットしてまず撮ったのが上の画像。
なるほど、三脚あればぶれずに撮れるのですね~。
なんて感心しながら、何枚か山小屋の写真を撮ってみます。

そんな中で一番写りの良かったのがこの画像。
かすかですが星空も写っているのですよ。
そしていよいよ星空撮影に入ります。
目が慣れてくると、空一面に凄い数の星が輝いています。
およそ、私の人生の中でプラネタリウム以外でこんな星空を眺めたのは初めてではないでしょうか?
肉眼で天の川も確認できますよ~。
これです、これを写したかったのですよ!
三脚のカメラを上空に向けてセットします。
けど、ファインダーを覗いても星ははっきりとは確認できません。
背後に山小屋の明かりがあるから仕方ないのかと諦め、「この満天の星空なら何処を写しても星は映るから問題ないだろう」って思い、絞り優先モードで目いっぱい解放にセットし、シャッターはレリーズを持っていないので2秒セルフタイマー。(この設定は山小屋撮った時のまま)
そしてシャッターボタンを押します・・・
ウィーン・・ウィーン・・
カメラのオートフォーカス機能が頑張って星を探しています・・
が、しかしすぐに諦めちゃいます・・
へ、?
なぜ?
ここまで来てコレ?
頑張ってくれよ~・・・汗
何度か試みますがどんだけやっても同じ・・
カメラ壊れた?
心配になりもう一度山小屋を撮ってみます。
するといつものように「ピピッ」っとオートフォーカスでピントを合わせてくれます。
ってことでカメラには異常ないのは確認できました。
うん、星空を写すには何か技があるのでしょう・・
オートフォーカスが無理ならマニュアルか?
ってことでマニュアルフォーカスに切り替えてファインダー覗いて、フォーカスリングをグリグリします。
・・・汗
星、全く見えませんよ、なぜ?
やっぱり背後が明るいから?
っていうか、そもそもファインダーで星空を確認できるのか?
ここで頭の中は真白・・・(*_*;
そしてもうやけくそです・・・
とりあえずフォーカスリングを適当に回しながら何枚かシャッター切ってみます。
そして撮った写真をカメラのモニターで確認しますがそんな適当で撮れるわけありませんよね。こんな写し方では数撃ってもまず当たらないのは容易に想像できます・・
そうこうしているととっても寒くなってきました。
もちろん防寒対策はモンベルの中綿ジャケットにズボンも中綿仕様で万全のつもりでしたが、動かないで写真を撮っているとゾクゾクとする寒気に襲われます。
さすが3000m、この9月でこの気温か~
この寒さで星空撮影を諦める踏ん切りがつきました。
そうと決まれば急いで三脚たたんで山小屋へ逃げ込みます・・
山小屋の団らんスペースにはストーブが出されており、そこの真ん前に陣取ってしばし冷えた体を温めます。
それと、セルフサービスで頂ける紅茶(有料)を頂き身体の中からも温めます。
20分ほどで、身体も温まり落ち着きを取り戻します。
今回の星空撮影は私甘く考えていました。
私、いままでオートフォーカスが使えることを前提としたカメラ撮影しか経験したことが無かったので、その機能が使えなくなったとたんに思考回路が停止しちゃいました。
ただ、この時は、まだ機材の影響が大きいのだろうって考えていましたが・・
(良いカメラ、良いレンズならオートフォーカスで星を捉えることが出来ると・・)
しかし、帰宅後に色々調べて見て私の知識不足、撮影技術不足に気づかされます。
やはり、星空はマニュアルフォーカスでピントを合わせるのが当たり前みたいですね。
ファインダーで星を見つけられなかったのは単にピントが合っていなかったから・・
そしてフォーカスリングはもっと繊細に調整しないとピント合うところをすぐに通り越しちゃいます。
そしてもう一つはオートフォーカスでピントの合う場所を見つけてピントを合わせておいてから星を狙う。
そういった技が必要なのだと知ったのはこの山行の後でした・・
ちゃん、ちゃん♪・・・(;^ω^)
ま、勉強になりましたけどね、高い授業料でしたが・・・
そんな悔しい思いをしながら小屋の部屋に戻ってふて寝するのでした・・・笑
Vol.4へ続く