
お待たせしました。
続きです!

ゲートを越えて走りはじめですぐに赤い鉄骨で組まれたロックシェッドが出てきます。
林道ではよく見る建造物ですが、画像を見てもらえればお判りいただけると思いますが、道幅が自動車の通行を前提とした通常の林道と違うってのが一目で分かりますね。
廃線跡を林道として自動車が通行できるよう道幅を拡張している所もあるようですがこの林道は拡張工事は行われていないのでしょう。

小さな橋、岩の斜面に沿って弧を描きながら進んで行く細い林道。
約50年前まではここを材木を積んだ鉄道が走っていたのですね~。
そんな風景を想像しながらMTBを漕いで進みます。

切通しをカーブして進みます。

ここにも小さな鉄橋がかかっていたのでしょう。
橋脚の下の部分はコンクリで補強されているようですが、上の部分は当時の橋脚なのでしょうね。

来ましたよ~!
トンネルです!
急峻な岩肌にぽっかり口を開けた小さなトンネル入り口。
いかにも当時の列車用のトンネルの雰囲気出ていますね。

小さな鉄橋を越えてトンネルに入っていきます。

短いトンネルを抜けるとまた鉄橋です。
この凝縮感が良い感じですね~。
まるで箱庭か鉄道模型のジオラマの中を実際に走っているような感覚になります。

さらにトンネルが続きます。

この辺りのトンネルは短いのでライトの点灯はせずに進んで行けます。

ここも大きな切通しですね。
これだけの高さのある崖を削るのならトンネル掘る方が簡単な気がしますが、
実際はそうではないのかな?

林道が一部広くなっている場所が出てきました。
側にあった木柱に何かか書かれていたので読んでみると、
「湯山(発)駐車場敷」って書かれていました。
おそらく中部電力の湯山発電所の駐車場だと思われます。
それよりも気になったのがそこに停められている1台のMTB。

立派なヘッドランプが装着されたルイガノのMTBです。
ワイヤーロックもされています。
ぱっと見放置自転車かとも思ったのですがおそらく釣り師の方のMTBだと思われます。
強力なヘッドランプは日の出前のこの林道を進んでくるための物、そしてリヤにはキャリアが装着されているので釣り道具およびクーラーBOX等を積んでくるのでしょう。
こんな川で釣りをするのもよさそうですね。
こんな山中の秘境なら限られた人しか入ってこられないのでよく釣れそう~(*‘∀‘)
今度は携帯用の竿が欲しくなってきました・・笑

この駐車場の裏手の斜面には古いコンクリート階段がありました。
ここから河原に降りられるのでしょう。
ちょっと気になったのですが、今日の探索はこの先長いのでここはスルーします。

さっきの駐車場を進んで行くと眼下に湯山発電所が見下ろせます。
大きな送電線の鉄塔もありますね。ここで発電された電力は何処へ行くのかな?

林道脇には遊園地の幼児用の乗り物のような物が停まっていました。

その乗り物のレールは遥か斜面の下に続いていました。
おそらく下にある発電所とこの林道の行き来のために使われる乗り物なのでしょう。
林業用の物は目にすることはありますが、発電所にあるのは初めて見ました。
それだけこの斜面は急なのでしょうね。

そしてその横にはこんな構造物があります。
なんか荷物を吊り下げる装置のように見えますね。

その下にはなにやらエレベーターのような場所になっています。
ここで、ひらめきましたよ、これが何か!

側にあった工事用のプレートに書かれていました。
そうです、これはインクラインってやつですね。
急斜面を上下に移動する、簡単に言ったらエレベーターのような物。

これがインクラインのレール部。
重量物を発電所に降ろすのに使われる装置なのですね。
ちなみに反対側の斜面の上にこのインクラインを操作するプレハブ小屋がありました。
しかし写真撮るの忘れてました・・・(^^;)

インクラインからすぐの所の林道下を発電所へ水を送る導水管が通っています。
導水管の通っている場所から下を覗くとこんな感じ。
かなりの標高差ありますね。
たしかにこれだけの標高差があると人の行き来だけでも大変なのですね。
そんなことを考えていると足元を流れる流水音が低く響いてきていました。
しかしこの標高差を利用した水力は凄いものなのでしょうね。

発電所を眺めたあとさらに進んで行きます。

林道脇の祠がありました。
無事の通行をお願いして手を合わせておきました。

路面には比較的新しいMTBのタイヤと思われる痕跡が・・
私と同じようにMTBでここへ来ている人がいるのですね。

ここも鉄橋だったのでしょう。

鉄橋の両脇は滝になっており谷に流水音を響かせています。

落石防止ネットが張られていますがかなり高い位置からは滝が落ちてきています。

そして鉄橋の下を流れた水は右手の深い谷に落ちて行っていました。

鉄橋に

苔むした古い石垣。

流れ落ちるいくつもの滝。

切通し。
そしてこの林鉄跡の林道の最大の遺構のトンネル

また出てきましたよ~。
そのトンネルが!
しかも今回のトンネルは今までより威圧感が凄いです。
面構えも苔むしたコンクリート壁が長い歴史を物語っていますね。

そして何といってもこのトンネルの威圧感が凄いのは入り口からは出口が見通せないのです。
トンネル内は漆黒の闇、そして鳥肌立つくらいのひんやりとした空気に包まれています。
MTBを立てかける音、LEDランプやカメラを出したりする音が響き渡って神秘的というか少しの恐怖感さえ感じてしまいます。

例の強力LEDライトを片手にこぎ出します。
ちなみに私のMTBは夜間走行前提としていないのでランプは装着されていません。
ヘルメットに装着出来る登山用のヘッドランプも持ってきてはいるのですがいまいち暗いのとザックより出してヘルメットに装着するのも面倒なので、少々危険ですがランプ片手に走ります。
このトンネル途中でカーブしていました。
なので入り口から奥を見ても真っ暗だったのですね。
それよりこのトンネル走り辛い・・・
この写真でも分かると思いますが路面の中央に排水の為の溝が掘られています。
そしてその溝に向かって路面は斜度が付けられているのです。
そんな中、片手運転で、なおかつ暗闇・・
そんな状況だと人間の平行感覚ってのは視覚を頼りにしているってのが良く分かります。
上手に前方をランプで照らさないとあの暗闇では水平が分からなくなってしまいます。
斜度の付けられた片側に溝のある幅1mにも満たない路面。
そして緩やかにカーブを描いて進む暗闇のトンネル内。
そこを片手運転でMTBを漕いでいきます。
頼りになるのは手に持ったランプの明かりと自分の平衡感覚のみ。
溝に落っこちないようにゆっくりすぎてもバランス保つの難しいし、速すぎても
脱輪のリスクも増えるのでなんともスリリングなトンネルです。

トンネルはカーブの途中から素掘りに変わります。
そして壁面には申し訳なさ程度に反射板が取り付けられていますね。
中電の車両の通行のためだと思われます。

やがて出口が近づいてきてホッとします。

トンネル抜けました。
走りながらウエストバックにライト仕舞って進みます。

ここは谷なのでまだ陽は差してきませんが、遠くの山は明るい陽の光を浴びていました。

鉄橋を越えて進みます。

また来ましたよ~。
こちらのトンネルも威圧感タップリ~!

このトンネルは真っ直ぐ抜けているようで入り口から出口が確認出来ます。
しかし、トンネル内は湿気が凄いためカメラのフラッシュの光が反射してしまってます。

トンネル中央付近は素掘りになっていますね。
良い感じです・・・

トンネル出るとまた良い感じの鉄橋。
こんな緑の中の急峻な岸壁沿いの線路を力強く走ってくる当時の千頭森林鉄道の姿を見てみたいものです・・・

さらにトンネル出現。

ここのトンネルも中央に溝のある構造。
そして出口の光も確認出来ます。
写真では分かりにくいですがよく見るとトンネル中間にも光が差しているように見えます。

中央の溝に落っこちないように慎重に漕いで進みます。
そしてこのトンネルも途中から素掘りに変化します。

トンネルは一度外に出ます。
しかし上部はロックシェッドに覆われています。
そのロックシェッド上部から激しく水が落ちて来ていました。
そしてさらに林道はトンネルに続いて行きます。
この場所が入り口からトンネルの途中の光に見えていたのですね。

ロックシェッドの下から見えた谷の対岸の山の斜面は激しく崩落していました。
過酷な谷だって事が良く分かります。
そんな急峻で過酷な谷に昭和初期の時代によく鉄道を通したものだと感心してしまいます。

もう一つのトンネルを抜けて暫く走ると見えてきましたよ~。
大きなコンクリート建造物。
今回の探索での第一目標ポイントの千頭ダムですね。

5:50
千頭ダム到着。
寸又峡より1時間20分で到着。
距離にして約10kmの緩やかな登りのルート。
写真撮りながらのんびりでの時間なので、頑張れば1時間で来れそうです。
といっても頑張ったMTBで1時間ですよ。
歩きならその3倍は時間掛かりそう。
そうやって考えると一般の人はなかなか足を踏み入れる事の出来ない秘境ダムなのでしょうね。

そんな秘境ダムをしばし見学しようと思います。
この画像の手前側のダムの建造物は昭和初期に造られた建物だそう。

昭和初期にこんな山奥によくこんな大型建造物を建てたものですね。
年代で考えたらあの黒部第四ダムより凄いかも・・・

こちらがダム湖側。
満水のようですがこのダムの底は土砂が溜まってしまいあまり深く無いそう。
そりゃそうでしょうね、あんなに崖が崩落していたら土砂は全て川に流れ込んじゃうので。

手前のダムの建物に銘板を発見。

着手は昭和7年ですよ~!
完全に戦前ですよね~。
機材も充実していないその時代の工事はさぞ大変だった事でしょう。
そしてそんな時代からあの中部電力って存在したのですね。

そんな歴史有るダムから下流を見下ろします。
あの四角い大きなコンクリート建造物は何だろう・・?

ダムの建物の横に付けられた電話ボックス?
開けてみましたが中には配線のみで電話本体はありませんでした。
必要な時だけ持ってくるのかな?

奥側のダムから見下ろすと勢い良く水が流れていました。

川の対岸に気になる所発見!

岸壁に口を開けているトンネルの様なところ。
導水管の入り口なのかな?
何のための物なのかは全く不明でした。

ダムの上を横断して来て振り返った画像。

ちなみにこの写真は上の写真とほぼ同じ方角を写した、昭和37年の写真だそうです。
「これは昭和37年6月に橋本正夫氏が千頭林鉄に乗車し千頭~大根沢間を往復した際に撮影された写真の一枚で、千頭堰堤上で大間側に振り返って撮影したもの」
「山さ行がねが」よりお借りしました。

ダムを渡りきり対岸まで来ると「千頭堰堤」と書かれた大きな石柱あります。
これも当時の物なのでしょうね。

その石柱の後ろ側から千頭森林鉄道が進んで行く方面を写した画像。
林鉄はこの正面の緑に覆われたルートへと進んで行ったようなのです。
ここからが今回の探索の核心部。
これまでのルートは林鉄の線路跡ではあったのですが廃線後も中電のダム管理用の林道に姿を変えて維持管理されていました。
しかしこの先は林鉄廃線後はレール等は撤去されたようですが路盤は当時のまま残されていると言うのです。
それをこの目で見てみたく思いここまでやってきたのです。
って事で、いよいよ今から本格的な「千頭森林鉄道跡探索」に向かいます。
今回の探索を行うきっかけとなった「山さ行がねが」のサイトにはこれからの区間を徒歩にて踏破したレポートがありますがかなりの崩落個所多数でかなりハードなルートでした。
しかも9年前のレポートです。
現在はその時より状況は悪化していることは容易に想像できます。
その当時のレポートでも私の踏破能力では突破できないと思われるところがいくつもありましたが、とりあえず行ける所まで行ってみようと思います。
ってことで、MTBにまたがり千頭ダムをあとにしてりゆっくり漕ぎ出します。
ここで、良いところですがVol.2に続きます('◇')ゞ
お楽しみに~!