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2016年07月22日

新燃費基準WLTP(WLTCモード法)とMT車の変速

新燃費基準WLTP(WLTCモード法)とMT車の変速 日本でも導入が決まったWLTP※ですが、現行のJC08モードと比較して興味深い点が2つ。

※WLTP:Worldwide harmonised Light duty vehicles Test Procedureの頭文字。「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法」と訳される。

1.等価慣性重量 → 車重に比例した1kg刻みの連続的な負荷になる※1
2.MT車の変速位置 → 各車両の性能で決定する※2

※1;資料1のページ9、資料2のページ4
※2;資料1のページ12


1はシャシダイの負荷を細かく設定できるようになったかららしいのですが、気になるのは2のほう。MT車(マニュアルトランスミッション車)の変速位置を、なんと車両ごとに性能で決めると言っています。いったいどうやって? と思ったら“wltp gear-shifts calculator”なるものを発見しました。(以下“計算機”と呼びます)

まだalpha版の段階ですがイントロダクションには「車両データを入力すると到達速度と変速タイミングを吐き出す」と書いてあります。つまり既に計算機は動く状態にあり、速度-変速タイミングを得られるということです。

さっそく試してみました、というのが今回の記事です。


作業の流れはこんな感じです。
・Python(プログラミング言語)をPCにインストールする。
・計算機のパッケージをインストールする。
・コマンドを入力して計算機を動かす。
・csvファイルを吐き出させる。


詳細はすっ飛ばして、計算機が吐き出したcsvファイルを表計算ソフトで開きます。



時間t、速度v、gear、エンジン回転速度rpmなどが入っています。もちろんグラフ化します。注目するのは変速タイミングなのでギア毎に色分けしてグラフ化します。左下の凡例を参照してください。グラフの上半分が車速[km/h]で下半分がエンジン回転速度[rpm]です。



WLTPは速度域別に4つに分割されます。Low、Medium、High、Extra Highです。グラフも分割します。






大雑把にまとめるとこんな感じでしょうか。
1速:発進~10km/h
2速:10~30km/h
3速:30~40km/h
4速:40~50km/h
5速:50~60km/h
6速:60km/h以上

1速で発進後すぐに2速にアップし、その2速の使用範囲がやや広いです、というかアイドルの回転速度から使っています。そのほかは1500~2000rpmを中心に使用するようです。


この変速タイミングが妥当なのかどうかを考えるには、どんなクルマなのかという情報が必要でしょう。車両データ入力時のコマンドを抜粋します。数値は使い方に記載されているサンプルそのままです。尚【】は私の追記でありコマンド入力時には不要です。

>>> mdl = odic(
... vehicle = odic(
... unladen_mass = 1430, 【空車重量[kg]】
... test_mass = 1500,   【試験重量[kg]】
... v_max = 195,     【最高速度[km/h]】
... p_rated = 100,    【最高出力[kW]】
... n_rated = 5450,   【最高出力発生回転速度[rpm]】
... n_idle = 950,    【アイドリング回転速度[rpm]】
... n_min = None, ## Manufacturers my overridde it
... gear_ratios = [120.5, 75, 50, 43, 37, 32], 【オーバーオールギア比】
... resistance_coeffs = [100, 0.5, 0.04],
... )
... )

車重1430kg、最高速度195km/h、最高出力100kW、6速のギアボックス。n_ratedが最高出力発生回転速度で合っているのか自信ありませんが、ガソリンのダウンサイジングターボですかね。5450rpmで100kWを出力しているとき、トルクは約175N・mになります。


次に、ギアごとの使用範囲を知るために車速とエンジン回転速度の関係をグラフ化します。

2速の使用範囲が広い理由が分かりました。2速と3速がミョーに離れています。サンプルのギア比がおかしいということです。1500rpmの横軸に沿って各ギアの速度を見ると分かりやすいと思います。


最後に。
JC08モードの標準変速位置について考えていたころ、変速タイミングはその車を作った自動車メーカーに決めさせればいいんじゃないの? と思ったことがありますが、WLTPではこうゆう計算機を使うんですね。でも入力するエンジンデータが最高出力とそのときの回転速度だけってどうなんでしょう。自然吸気と過給とはパワーの出方が大きく違うはずですが。

csvファイルにはp_availableという項目が含まれているので、パワーカーブ&トルクカーブが得られる気がします。今後、気が向いたら分析するかもしれません。

※2017年04月05日、追記
パワーカーブのデータが計算機の内部に存在していることが判明しました。詳細は別記事“正規化した全負荷パワーカーブ、WLTP Gear-Shifts Calculator”を参照してください。
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Posted at 2016/07/22 16:41:07

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この記事へのコメント

2016年7月24日 22:42
こんばんは。貴重な情報ありがとうございます。
 デミオディーゼル登場時はそのMTのギヤ比に驚かされましたが、最近では日・欧関係なくMT車はカタログ燃費病に冒されていることを知り暗澹とした気持ちになりました。
 ご指摘の通り定格点に至るまでのトルクカーブはNAとターボで全然異なるので「それでいいのか?」という疑問も無きにしも非ずですが、動力性能やギヤ比とは無関係に全車種一括りで変速タイミングが縛られている現状に比べれば大きな一歩でしょうか。今後もMT車が健全な姿で生き残っていく事を期待しています!
コメントへの返答
2016年7月25日 20:49
コメントありがとうございます。
 あれ? 欧州でもMT車のカタログ燃費に振り回されているんですか? 私の偏見では欧州人は「同じ車ならMTがATに実燃費で負けるわけがねー」と思っていそうなんですけれど(いや、負けるわけないと思っているのは私自身なんですが)。計算機を動かすのに夢中でWLTPの背景などをほとんど読んでいないので気づきませんでした。
 本文中では気が向いたらとしましたが実はヤル気満々なp_available。いや、記事を書いた時点では本当に気が向いたらだったんですが、次のJC08とからめた記事を書く過程で試験サイクルを自由に書き変えられることが分かったことで俄然やる気がわいてきたんです。フルスロットルで加速せざるを得ない状況を作ってやれば計算機の内部的なパワーカーブが見えるはず。あるいは資料に掲載されている計算式からアプローチするのも面白そうです。
 そうですね、動力源に内燃機関を使うというのならMT車をなくさないでほしいです。

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