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2011年11月13日 イイね!

生命を救う先駆者

生命を救う先駆者2011年11月9日付のエントリでは、先代の日産マーチをベースとして横浜市消防局に配備されている「救命活動隊車両」のミニチュアカーをご紹介しました。今度は、このモデルと同じタイミングで発売された、日産キューブをベースとした同車両のミニチュアカーをご紹介していきましょう。

マーチは2008年度に導入されましたが、その翌年度に配備されたのが今回ご紹介するキューブをベースとした車両。「救命活動隊」は119番通報に対していち早く臨場して、初動救命活動を展開することが任務であり、そのために道が狭い住宅街などでも高い機動性を発揮できるコンパクトカーをベースとした専用車両が配備されています。車内にはAED(自動体外式除細動器)などが搭載されており、この車両そのもので要救助者を搬送することは出来ませんが、まずは資機材を用いて救命活動を現場で行い、その上で高規格救急車で臨場する救急隊に引き継ぐという流れになっているようです。

そもそもこの車両が導入される契機となったのは、2008年10月1日に「横浜市救急条例」が施行されたことにあります。この条例に基づいて「横浜型新救急システム」が導入されたのですが、その目的は増加の一途にある救急件数にありました。横浜市の人口は369万人ほどですが、救急出動件数は年間で15万件を超えています。これは1日あたりで420件ほど、3分26秒に1回は出動している計算になります。
横浜市そのものの人口も増加傾向が続いているのですが、その増加率を上回る勢いで救急件数は伸びを示していました。しかし、全体の出場についてその内訳を見ると、実に60%近くが軽症であり、重症や重篤は8%ほどとなっているのです。ゆえに限られた人員や機材で活動している救急隊が、たまたま軽症事案に出場していたために、重症や重篤事案への臨場が遅れてしまうことが危惧される状況にありました。
当然ですが救命活動は時間との勝負。1分1秒、救命活動の開始が遅れてしまうと、それだけ生存率は低下してしまいます。このため、より緊急性の高い重傷・重篤事案に的確に対応出来るようにすることが「横浜型新救急システム」の大きな目的とされています。

具体的には「コールトリアージ」と「新指令システム」が柱となっているこのシステム。阪神淡路大震災などを契機に導入が進んでいる「トリアージ」は、治療の優先度を症状や緊急性に応じて判断する仕組みですが、コールトリアージでは119番通報に際して得られた情報を識別フォームに入力すると、緊急性や重症度が計算されて、直近にある救急隊が判別されるようになっています。この際、計算結果に基づいて出場する救急隊の編成も決定され、当然ですが重症度や緊急性が高くなると手厚い体制で臨場することになります。
この計算において「レベル2」と判断された場合、2名編成の救急隊に加えて、救命活動隊が出場します(もしくは3名編成の救急隊)。ちなみに救急隊は基本的に3名編成と定められていますが、構造改革特区「よこはま救急特区」として平成19年に申請して認められたことから、運用が特例的に認められているものです。

こうして臨場する救命活動隊の車両、そのうちの1台がミニチュア化された日産キューブをベースとしたもの。マーチに比べてスペースユーティリティが圧倒的に優れていますので、必要な資機材を効率的に積載することが可能ですし、現場での活動においても必要なものを即座に取り出せるというメリットは大きいことでしょう。その上で車体そのものはコンパクトなのですから、道の狭い住宅街などでの機動性に優れ、要救助者の直近に部署することも難しくはありません。

消防組織は基本的に市町村単位。地方では予算や人員が限られているケースも多く、実は消防・救急の地域間格差というのが、これから高齢化社会が進んでいくにつれて大きな社会問題になるのではないかと心配しているところです。
総務省消防庁でも消防装備の進化や、自然災害、化学物質災害などに対応する研究開発を進めており、全国の消防力を高いレベルで均衡させるための装備開発を行った上で、例えば近年では災害時に力を発揮する支援車両を全国の都道府県に各1台ずつ配備出来るように貸与するといった取り組みを行っています。
しかし、まだまだ地方で先行する高齢化に起因する消防吏員や消防団員の不足など、解決すべき問題点も少なくありません。国と地方が一体となって取り組んでいくことが求められることになるでしょう。

MiniCar|CAR-NEL 日産キューブ (2009) 横浜市消防局救命活動隊車両
MiniCar|CAR-NEL 日産マーチ (2008) 横浜市消防局救命活動隊車両
 
 

 
Posted at 2011/11/29 14:27:41 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミニチュアカー | 日記

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