
今回でカタログシリーズ最終回となりますが、私自身の車の紹介も交えながら進められればと思っています。
言わずと知れた伝説のスター、スティーブ・マックィーン主演の映画‘’ブリット"でマックィーンに負けずとも劣らない存在感を見せつけた1968年型マスタング GT 390をS197型をベースに可能な限り再現したコンプリートカーです。
とはいえ排気量は6400ccに対し4600ccですし、ATも選べます。(私の車両もATです)
この企画はあくまでS197で再現というところに意義があると思います。イメージカーなんですよね。
現に68年型によるクローンも数多く作られているので、本物が欲しい人はヴィンテージ車両でのコアなブリット仕様があります。
過去にフォードがオフィシャルで発表したブリット復刻モデルはただ一度、2001年ニューエッジデザインSN95型でした。
アメリカでも大いに話題となりましたが、2005年に60年代の意匠を現代解釈で大胆に取り入れたS197型にモデルチェンジされた時、より多くの人がブリットモデルを投影したのではないでしょうか?
私もその一人で、GTをベースに徹底的に装飾をデリートし、あの深緑にペイントすれば…
と、よく妄想してました(笑)
2006年~2007年にかけてだったか、某有名アメ車&アメリカンライフ&ラギット系(笑)雑誌で見つけたそれは私の妄想をものの見事に具現化していました。
そこから私の執念の旅が始まってしまう訳ですが、、とりあえず私情は置いときましょう(笑)
なんとこの日本の並行車ディーラーが世界に先駆けてコンプリートのS197ブリットマスタングを作ってしまったのです。以後BFブリットと呼びます。
そしてそれから一年後、晴れてフォードより正式なマスタングブリットが発表されます。所謂USブリットですね。
んー、興味深いのですが当時のフォードはBFブリットの存在を知っていたのでしょうか?
もしかしたら、あんなの先に出されちゃったらフォードの立場が無い。早急にオフィシャルのブリット仕様を開発せよ!なんて話だったかも…なんて想像してしまいます。
とにかく本家から正式なブリット仕様が発売となった訳ですから、日本の並行車ディーラーはもうコンプリート制作の必要がなくなったのでしょうか、USブリットを8台限定で輸入販売したそうです。
(まぁ明言を避けてるのはいろいろな大人の事情があったらしく、日本の正規サリーンディーラーでもありましたのでご存知の方もおられるでしょう)
結局BFブリットは2007~2008年初頭までにV6を含め、10台前後が制作されたにとどまりその幕を閉じました。(私の知る限り、V8MT,V6MT共に一台ずつ、あとは全てV8ATだと思います)
そんな数奇な運命を辿ったBFブリットなんですが、USブリットのファクトリー製ならではの完成度とは異なる、カスタムカー然とした強引ではあるけど徹底的にこだわった作り込みが魅力と言えます。
実は海外のサイトでなぜか見つけた恐らく当時の日本の雑誌でのレビューが紹介されていました。
まぁ、表現的にところどころ怪しいところもありますが(笑)興味のある方には読み応えありかも知れません。
今回は最後にそのレビューを載せてみますので是非読んでみて下さい。
『映画史に名を残すカーアクションの傑作として、「ブリット」の名をあげる人は多い。
スティーブ・マックイーンがタフでクールな刑事を演じた名作だが、
15分間にわたって繰り広げられたカーチェイスは今だに語り継がれるシーンだ。
サンフランシスコの急勾配の坂道を、
フォード・マスタングとダッジ・チャージャーが
時速100マイル以上の猛スピードで駆け抜けるのだ。
CGを見慣れた現代だからこそ、映画「ブリット」は喝采を集め続ける。
05年にモデルチェンジした現行マスタングが、そのデザイン・アイディアを60年代のモデルに求めているのは有名な話である。さらにピンポイントにモデルイヤーを記するならば68年式ということになるだろう。つまり、現行モデルをベースとしてBULITT MUSTANGを再現する行為は、実に由緒正しいアプローチといえるだろう。
当然のことながら、ボディ各部のモディファイは、スクリーンに登場した68年式に準じており、そのコダワリは並大抵ではない。
例えばフロントグリル。純正をくりぬき、67年式のグリルを加工して取り付けてあるのだが、その手法は劇中車とまったく同様なのである。その制作は非常に手間がかかり、フラットブラックにペイントして仕上げるまで、なんと11時間を費やした大作なのだという。
ホイールもまたしかり。劇中車は、アメリカンレーシングのトルクトラストへ履き替えられているのに対して、この07年式をベースに製作されたブリットのホイールには、非常にん凝ったワンオフカスタムが施されている。まずは、ファクトリーメイドのホイールをヒートガンで炙りながらペイント。この作業で表面にざらつきを持たせた上に、つや消しのクリアでコーティングするという、気の遠くなるような行程を経ているのである。
いやはや。すべてのカスタムポイントの説明を聞いているだけで、原稿が一本書けてしまうほどである。驚くべきは、40年も以前に公開された映画を、よくぞそこまで調べ上げたというくらい研究している点だ。
映画「ブリット」がいかにカーアクションの原点と言われる名画とはいえ、その資料は決して多くない。撮影時に用意されたマスタングは(諸説あるが)、なんと11台もあったとか。つまり場面ごとによって、微妙な違いがあったのである。なかにはグレードの低いモデルも混ざっていたが、それがバレないようにと、「フランク・ブリット刑事のマスタングはバッチが取れている」という設定になっているとか。そういったバックグウランドも含めて、ディティールをつぶさに調べあげることが、実際の作業に入る以前のファーストステップとして存在したのである。それがいかに時間がかかるということは、簡単に想像できる。
原典を徹底的に研究し、妥協することなく再現する。しかも、これ見よがしに見せつけるのではなく、分かる人には分かる、というさり気なさを持って。07年式マスタング ブリット・カスタムは、そんな余裕が感じられる仕上がりである。劇中でマックイーンが演ずるブリット刑事は、口数の少ない一匹狼。そんなハードボイルドな男が、周囲にみせつけんばかりのカスタムを好むはずもない。映画のスピリットを深く理解しているからこそ生まれた07年式マスタング ブリット・カスタム。もしマックイーンが現在も存命で、このクルマのハンドルを握ったらなんというだろう・・・そんな瞬間を想像しながら走らせるのもまた、一興ではないだろうか。
リアクォーターには、ウィンドウルーバーが備わる。当時のファストバックに定番のディティールである。オリジナルの雰囲気をそのまま現代にフィードバックさせており、高い成形技術で形作られたパーツである。
ボディサイドには、クォータースクープが取り付けられた。リアブレーキの冷却効果を狙って・・・・ではなく、完全なダミーである。だがしかし、当時のマスタングもダミーだったから、これが正解なのである!?
結晶塗装が施されたホイールは純正がベース。劇中車に履かされていたアメリカンレーシングはメーカーのロゴが剥がされていたが、それも忠実に再現されている。センターキャップは旋盤で削りだした一品もの。
フォードレーシング製アクスルバック・エキゾーストを装着。数ある市販品の中でも、昔ながらの排気音を再現するには一番だとか。フォードらしい乾いたV8サウンドを耳にしながらのドライブは、まさに映画のワンシーンのよう!
映画『ブリット』でマックイーンの相棒となった68年式マスタングのディティールを、現行マスタングで再現したのがこのモデル。総制作時間11時間のグリルまわりをはじめ、グリルのバッジが取り外された跡やグリルの奥に見えるホーンなどは、分かる人には分かるい拘りのディティールといえる。』
次回も不定期にはなると思いますが、私の車両の写真も掲載しながらBFブリットのディテールを詳しく紹介していこうと思っています。