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aki@rsのブログ一覧

2025年08月12日 イイね!

続・摩擦円の縦と横

もうおずいぶん前のことですが、「タイヤの摩擦円はGPSロガーで実測すると横に大きいのに、一般には縦に大きいと言われているのは何故だろう?」という疑問についての記事を書いたことがあります。



 摩擦円の縦と横


 摩擦円 タイヤ試験機とGPSデータ




これタイヤメーカさんが実測データ出してくれるといいんですけど、やっぱりそういうのは社外秘みたいで、いくら探しても出てきません。
先日ふと思い立って「実測データに近づけたマジックフォーミュラの計算結果なら論文とかで出てくるんじゃない?」と思って探してみたのですが、googleスカラではうまく探せませんでした。
(※マジックフォーミュラというのはタイヤ研究の分野でよく使われている、「理屈は分からんけど経験的にこの計算式に各パラメータを当てはめると実際のタイヤ挙動によく当てはまるよっていう計算式群」のことです)
そこでチャッピーことChatGPTくんに探してもらったところ、ワシントン大学の学生フォーミュラの論文で、まさにタイヤグリップの縦と横の最大値を示すグラフが見つかって「うほー!」と思ったのですが、よく見たら残念ながらグラフに目盛りも単位も書いてないク〇データだったのでガッカリしました(タイヤメーカさんから書かないでって言われてるのかもしれませんね)

ところが!
引き続き探してもらったら見つかりました!

エイントホーフェン工科大学という、工学・テクノロジー分野で欧州でも高く評価されているオランダの大学の論文です。
あー、あそこね!はいはい!(知らん)


Extending the Magic Formula and SWIFT tyre models for inflation pressure changes









タイヤサイズは185/60R14です。
なぜか縦軸の値の書き方が統一されてないのでちょっと見にくいですが、とりあえず左上がスリップ角に対するタイヤ横力、左下がスリップ率に対するタイヤ縦力です。
黒い線で描かれているのが実測(Measurement)、赤い丸で描かれているのがシミュレーション結果(TREADSIM)になります。

2kN、4kN、6kN、8kNの4種類の荷重をかけたときのグラフが載っていますが、いずれも最大値は縦のほうが横より大きいことが分かります!
おおー!
ひとつ確認できてすっきりしました^^

まぁこれ185/60R14のタイヤなんで、例えば215/45R17などと比べたとき、横に力をかけていくとタイヤ変形により接地面積の減少や面圧の偏りが大きくなります。
スポーツ向けタイヤというのは横方向を特に重視して剛性強化されているそうなので、現代のスポーツタイヤであればこれより横の割合が大きくなると思われますが、それが縦を超えるレベルになるのかどうかは場合によるでしょう。

でも僕が195/55R15のコンフォートタイヤでサーキット走行のログ取ったときのGサークルは、やっぱり横に広かったです。
5HzのロガーでLAP+使った計算結果なので、横方向の誤差が大きいかもしれませんが、さすがに縦横が逆転するレベルにはならないと思うので、"車両運動としての"Gサークルはやっぱり横に広いんだと思います。

で、なんでタイヤ単体だと縦のほうが大きくて、車両運動としては横のほうが大きいのか?って話ですが、

もしタイヤ単体として縦に大きいというのが間違いないのであれば、「実走行では縦グリップを理論上の最大限までは使えていない」ということになるんだと思います。
通常ホイールベースはトレッドより長いので、普通に上限使えるのであればロガーで測ったとき縦のほうが大きくなるはずですよね。

最近のクルマは減速時にはABSが、加速時にはトラクションコントロールが働くので理想的なスリップ率で縦グリップを使えるように思えてしまいますが、実際のところ制御ロジックとしてはどうなんでしょう?
そもそも僕のクルマだとリヤがロックしないっぽいので何とも言えませんが、例えば最新のスポーツABSとかでもアクチュエータとプログラムが優秀なだけで、上限としては仮想減速Gを1.2Gくらいで止めてる気がします(参考:ABSあれこれhttps://minkara.carview.co.jp/userid/296664/blog/32177407/)
トラクションコントロールも同じようなロジックで制御されてると思うので、GPSのように外部から位置情報取ってるならいざ知らず、やっぱりホイール回転センサとGセンサだけではやりくりしようにも限界あると思うんですよね。
つまり常に理想的なスリップ率では維持できない。
まぁ縦が理想的なスリップ率のときに横が十分にグリップするかっていうのはそもそも別問題なので、条件が違うときの縦グリップ・横グリップを比較すること自体が無意味な気がしなくもないですが(苦笑)

というわけで僕の暫定の考えとしては「タイヤ単体では確かに縦のほうが大きい力を出すことが出来るが、実際に走るとその上限を使えないために、ロガーだと横に広く出るのではないか」ということになりました。
R35のGT-Rとかでも加速G、減速Gは横Gより小さいようです。
ちなみにR35がデビューしたとき「トラクションステア」とかってよく聞きましたが、結局のところタイヤが駆動している・していないに関わらず、タイヤにスリップ角があれば必ずステアリングブレーキというか減速方向の力(Slip Drag)は発生してしまうので、駆動させるとその相殺のためにグリップ力を消費してしまい、言葉のイメージほど理想的なグリップの活かし方は出来ていないはずです。
実際はジムカーナとかだとスタートのときはホイールスピンさせて発進しますが、じゃあコーナとかターンではどうなのかというと、うーん、まぁコースによるとしか言いようがないけど、いわゆる「ホイールスピンさせた状態での駆動力を内側に使って曲がっていくような走り方」にはならないことも多いですからね。
コーナでは縦だけに使えるわけではないので、「縦の最大を出せるスリップ率と、横の最大を出せるスリップ率は異なる」というところがポイントになるんだと思います。

摩擦円のお話でした^^
Posted at 2025/08/12 12:33:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月09日 イイね!

ロール軸は動いている 番外編

さて今回は番外編です。
本編で書いたことに関するちょっとした疑問や、本編で書くまでもないような小さな注意点を書きますが、大体の方は興味ないと思いますので読み飛ばしていただければ(笑)
ちょっと詰め込んでしまったので長くなります。




番外編もくじ
1.アームが平行の場合はどうなるの?
2.ロールアーム長ってどっちを使えばいいの?
3.前後バランスは何で見る?





1.アームが平行の場合はどうなるの?

自分で作図してロールセンタを求めた経験のある方は疑問に思ったことがあるかもしれませんが、アッパーアームとロアアームが平行だった場合、それぞれの延長線の交点であるインスタントセンタを出すことができません。
その場合どうなるのかというと、これ、厳密にはロールセンタがないということになります。
つまりロールのどの瞬間を切り取っても、ある1点を中心とした円運動にはならないということです。

ただしアームが平行に近いけれど厳密に言えば平行ではないっていう場合と、アームが完全に平行の場合を比較したとき、動きとしてはほとんど似たような動きになるわけですから、円運動でないとはいえ円運動っぽい動きをすることにはなります。
次の図を見てください。







アームに角度がついた状態からどんどん平行に近づけていくと、インスタントセンタはどんどん車両から遠ざかっていきます。
するとインスタントセンタとタイヤ接地面の回転中心とを結ぶ線も平行に近づいていくため、その左右の交点であるロールセンタの位置は地面の高さに近づいていくことになります。

アッパーアームとロアアームで構成される四角形が平行四辺形となる場合、アームが地面に対してどのような角度をとっても、インスタントセンタとタイヤ接地面の回転中心とを結ぶ線はアームとほぼ平行になると考えられますので、タイヤ接地面の回転中心からアームと平行な線を引き、それらが左右で交わる点がロールセンタと考えて良いと思われます。
また平行を超えて逆方向についた場合はインスタントセンタも逆側に発生するため、そうなるともはや言葉で表せないヘンテコな動きになっていきます。
そちらを理解する意味はないのでここでは割愛しますが、気になる方はご自身で何パターンか作図してみてください。
たぶん3枚書けば「あぁそういうことか、意味ないな」って分かります。







2.ロールアーム長ってどっちを使えばいいの?



これも実際に作図された方は疑問に思ったことがあるかもしれません、図で示したAとBです。
これ、厳密にはBの方が正しいです。
ロール軸が地面と平行な角度であればAとBは一致するのですが、角度がついていくにしたがってズレ生じます。
モーメントアームは重心とロール回転軸との最短距離になりますので(左右方向にずれるとまた少し定義が変わりますが)、地面からの高さは厳密には関係ありません。




求め方は↓こんな感じです。





ただまぁ実際のところ30度も40度も傾くわけではないので、よほど特殊なクルマでない限りAとBはそんなに変わらない値になります。
これだけ傾けてもAの長さの98.5%ですからね。
以前ご紹介した荷重移動量計算ツールでもAのほうで作ってあります、自動車操縦安定性講座入門の記載に準拠しているので^^






3.前後バランスは何で見る?

今回の記事を書くにあたって少し市場調査という名の記事探しをしていたら、フロントとリアそれぞれについてロールセンタの高さと重心高さとの差を求め、それに前後それぞれの軸重をかけたものを前後のロールモーメントと呼んで前後バランスの尺度に使ってる方がいらっしゃいました。
1Gで定常円旋回する前提であればまぁ普通そう思っちゃうよねとは思うのですが、このあたりちょっと込み入ってるので少し解説します。

先日もご紹介しましたが、ロールセンタの高さが変わると「ばねを経由して伝わる荷重とアームを経由して伝わる荷重の割合」が変わるので、それによってハンドリングが変わります。
例えばロール軸が前後平行で、ばね要素によるロール剛性の前後バランスがフロント90%に対してリア10%だった場合、ロール軸の高さが上がっていくほど50対50に近づき、下がっていくほど90対10に近づきます。
前後それぞれのロールセンタの高さと重心の高さとの差を求めただけでは、この影響を反映させることができません。
また、「ばねの影響はどうでもいいからアームの傾きが与える影響だけ知りたいんだ」ということであれば、ただ単に前後ロールセンタの高さそのものがそれを表します。つまり傾きということです。



ロール軸と重心が1つしかないとき、ロールモーメントも1つだけなので、そもそも「フロントのロールモーメント、リヤのロールモーメント」というのはないのですが、例えば定常旋回時であればそのモーメントを前後のサスペンションで受け止めることでモーメントが釣り合ってロールが止まるため、「フロントのロールセンタ周りに働くアンチロール・モーメント」「リヤのロールセンタ周りに働くアンチロール・モーメント」を求めることは出来ます。
ただし通常、ロールの力の大部分を受け止めるのはばねの力なので、ばねを抜きにして算出することはできませんし、前後それぞれのアンチロール・モーメントのうちばねの影響分を除いたものを知りたいという場合であっても、「前後ロールセンタの高さ×それぞれの軸重×横G」がそれに当たりますので、重心高さと前後ロールセンタの高さとの差は使いません。
これはアーム経由でアンチロール力を発生させているのがタイヤのコーナリングフォースであり、それが地面高さで発生するからです。











以上、番外編でした。
誰がそんなとこ気にするんだってくらい細かいポイントになりましたが、誰か一人でもこの記事が疑問を解決する手助けになれば幸いです^^
Posted at 2025/08/09 13:33:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年08月08日 イイね!

ロール軸は動いている その4

さてこのシリーズはその4で最後となりますが、今回はロール軸の動き方というか、ロール軸を移動させる要素にはどんなものがあるのか?について書きますね。



こちらは「その1」でも載せた、ロール軸のアニメーションです。
動く量や角度は1台1台違いますが、まぁ大体こんなような感じで動いていると思われます。
縦Gや横Gが少なくなれば動く量も少なくなりますし、ばねを硬くしたり、ロール軸と重心との距離を短くしても動く量は少なくなります^^

「その2」でお話したメカニズムを理解された方は分かると思いますが、ロールセンタの上下の移動、および左右の移動のメカニズムとしては、こんな感じになります。









このように移動するため、ロール軸は結果的にブレーキングで前下がり方向に傾き、ロールでイン側タイヤの接地面方向へ移動し、そして立ち上がりでは後ろ下がり方向に傾くことになります。
ふつう、加速Gより減速Gのほうが大きいので立ち上がりでの傾きよりブレーキングでの傾きのほうが大きくなりますが、アンチダイブ、アンチリフト、アンチスクワットの設定次第では逆転させることも物理的には可能ですので、実際そういうクルマがあるかどうかは分かりませんが、とりあえず一概には言えませんね。

これら上下左右の動きを伴った結果として上記アニメーションのような動きをするわけですが、これ以外にもロール軸の動きに関係している要素があります。
代表的なものは、サスペンション底突きや、バリアブルレートスプリングです。

例えばコーナリング中にアウト側のサスペンションが底突きを起こした場合、アウト側はそれ以上縮むことが出来なくなります。
でもイン側は関係ないので、そこからさらに伸びることが出来ます。
このときロールセンタは次のようになります。





アウト側は縮むことが出来ず、イン側は普通に伸びるため、ロールセンタがアウト側タイヤの接地面付近に移動します。

バリアブルレートスプリングやサブスプリングを使う場合はここまで顕著ではありませんが、コーナリング中にイン側のばね定数よりアウト側のばね定数のほうが高くなりますから、似たような傾向になります。
イン側とアウト側のばね定数の差が大きいほど、ロールセンタの移動量(アウト側タイヤの接地面付近に近づく量)も大きくなります。

最近のクルマは純正ダンパの中にリバウンドスプリングというのが内蔵されていたりしますが、リバウンドスプリングが効く範囲では、イン側のサスペンションが伸びにくくなります。
したがってバリアブルレートスプリングの場合とは逆で、ロールセンタはイン側タイヤの接地面付近へ近づきます。
もともとリバウンドスプリングがなくても、クルマがロールするとロールセンタはイン側タイヤの接地面付近に近づくように動くので、その変化が同じ方向に大きくなるってことです。
サスペンション底突きやバリアブルレートスプリングの場合は、それと反対です。

またこれとは別に、ロールが進むにつれて、アームと地面との成す角度が左右で差がついていきます。
これによってもロールセンタの移動量が変わります。



(分かりやすさのためにアッパーアームの影響を無視していますが、実際にはインスタントセンタとタイヤ接地面の回転中心とを結ぶ直線=仮想アームの角度で決まります)


これはアンチダイブやアンチリフト、アンチスクワットと同じ理屈で、横Gによるアームの上下動分が発生するからです。
この上下動の力は瞬間的なアームの角度がきつければ増えますし、上下アームが地面と水平だとゼロになりますが、これによってイン側とアウト側の動きの量に差が出ますから、結果的にアームの角度が変わることでロールセンタも変わります(通常の移動にこの要素がプラスされて動くという意味です)。
ちなみにイン側が伸びる量よりアウト側が縮む量のほうが多ければ、ロール中のボディが沈み込むような結果になるので、「ジャッキダウン現象」と呼ばれます。
その反対だと浮き上がるので、「ジャッキアップ現象」と呼ばれます。

そんなわけでややこしい話が多くなりましたが、シリーズ最終回となる今回は、ロール軸の移動に関わる要素にはどうのようなものがあるのかをご紹介しました!
ロール軸が動けば、重心からロール軸までの距離も変わります。
そしてロール軸の動きは正確に求めようと思うと実質的に無理のある作業になってしまうので、実際に算出して計算に使うというより、そこに働くメカニズムの理解に留めておくのがいいかなと思います。
でも大体の傾向を頭に入れておくと、かなりサスペンションの理解が進みますので、サスペンションマニアの方は押さえておきたいポイントですね^^

Posted at 2025/08/08 12:44:18 | コメント(0) | トラックバック(0) | ロール軸は動いている | 日記
2025年08月06日 イイね!

ロール軸は動いている その3

さて、これまで2回にわたってロール軸の説明をしました。

ところで実際にロールセンタを測ってみよう!なんてツワモノの方はあまりおられないと思うのですが(僕も必要がないので測ったことはありません)、イラストでメカニズムを理解しただけだと、それを実車に当てはめて考えるとき注意しなければならない落とし穴がひとつあります。
それは「どこを測るのか?」です。

まずはこちらの写真をご覧ください。



これは僕のロードスターのフロントロアアームを前から見たところです。
いつの写真かな…NB標準グレード用の黒サスがついてる…。
さっぱり覚えてませんが、手元にある写真の中では一番都合がいいのでこちらの写真で説明しますね。

で、例えばこのロアアームの角度はどれくらいなんだろう?と考えたとき、これ、どこを測ればいいか分かりますか?
実車のロアアームは、説明で使ったイラストのように分かりやすい線1本で出来ているわけじゃなくて、このようにゴツくて複雑な形状をした品物です。



もしかしたら、人によってはこのへんを見ちゃうんじゃないかと思うんですよ。
で、まぁまぁ水平に近いかな~?なんちゃって。
これが落とし穴です。



こっちが正解です!

何故かというと、ここにボールジョイントがあるからです。
例えば「ロアアームが水平かどうか?」というのを見たくて下回りを覗いたとき、アームの底面が水平なのかどうかで判断してしまいがちですが、そこは関係ありません。
見るのは、アームの両端の「回転中心」です。
この写真の場合は、左側はボールジョイントの中心、右側はメンバ側取付ボルトの中心になります。

前回の記事で説明したように、ロールセンタは「瞬間的な回転運動の中心がどこにあるか」によって決まります。
このとき、見た目のロアアームの角度が水平っぽく見えても、「アームの両端の回転中心を結ぶ線」はぜんぜん水平じゃないことがあります。
大事なのは「回転中心を結ぶ線」なので、見るトコを間違えないようにしましょうね。







アームの角度が違うように見えても、回転中心が変わってないので、全部同じです。

また、このことに関してよく言われるのが「意味のないロールセンターアジャスター」ですね。



この部品をつけると「見た目」のロアアーム角度は変わりますが、でもロールセンタはほぼ変わりません。
(※以前つかぽんさんが指摘されていましたが、厳密に言えば回転中心間の距離がわずかに伸びるのでアーム延長としての影響がわずかに生まれます。「理論上まったくゼロとは言えない」というレベルかもしれませんが…)



これならボールジョイントの位置が変わる(下方向に移動する)ので、当然ロールセンタも変わります。

まぁロールセンターアジャスターはどうでもいいんですが、そんなわけで「アームの角度」を測るときは「アーム両端の回転中心」がどこになるのか?をしっかり確認しましょうねって話でした。
下手すると「自分のクルマのロール軸は前下がりのはずなのに、実際に見てみたら、リヤよりもフロントのほうがロールセンタが高くなってるじゃないか!どうして???」なんて勘違いに陥りかねません。
メカニズムをよく考えて、勘違いしないようにしましょうね^^

次回は、ロール軸の動き方について書きます^^
Posted at 2025/08/06 12:35:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | ロール軸は動いている | 日記
2025年08月04日 イイね!

ロール軸は動いている その2

というわけで「その2」です。
前回は、ざっくりとしたイメージをお伝えしました。
でも世の中具体的なことが大事なので、今日は具体的なところを見ていきましょう!



まずは、ロールセンタの求め方のおさらいから始めますね^^



このようなジオメトリで組んであるダブルウィッシュボーン式サスペンションがあったとすると、

まず片側のアッパアームに重なる直線を引き、



同様にロアアームに重なる直線を引いて、



2本の直線が重なる点を「点P」とします。(インスタントセンタとか呼ばれたりします)



そして点Pと、



「タイヤの接地中心」とを繋ぐ直線を引いて、



反対側のサスペンションにもこれと同様の線を引いたとき、



2本の青線が重なる点Mが、ロールセンタです。
したがってこのクルマは点Mを中心にロールするということが分かります。
やったね!












ところで、ロールセンタがこのようにして決まるのは何故でしょうか?
図をパっと見ただけでは、「へーそうなんか」と思うくらいで、理屈がよく分かりませんね。
もうちょっと具体的に見てみましょう。



まず、ロアアームの取り付け点に注目してください。
緑色の丸で示したところです。



ハブキャリア側(タイヤ側)取り付け点をL1とし、メンバ側(ボディ側)取り付け点をL2とします。



ところで、ここで点L2を固定して考えた場合、点L1はL2を中心にして回転することが分かります。



このことは、アッパアームについても同様で、取り付け点のそれぞれをA1、A2とすると、



A1はA2を中心にして回転することが分かります。



タイヤが動く場合は、アッパアームとロアアームが同時に動きますから、つまりこんな感じですね。



ところでロアアームの動きにもう一度注目して欲しいのですが、



ここで、「ロアアームが動き始める瞬間」を想像してください。
ぐいーっと動いたあとじゃなくて、これから動き始めようとする瞬間の、まさにその一瞬です。
その瞬間の点L1は「どの方向に動こうとしているか」というと、矢印で示したような方向に動こうとします。
これは言葉で表すと「ロアアームに対して直角方向」ということです。

「ちょっと待て、L1はL2を中心に円軌道で動くんだから、直角方向というのはおかしいだろ」と思った方は決して間違ってないのですが、あくまで「動き始めようとする瞬間」について考えていますから、そういうふうに考えてみてください。
今回のお話はここがポイントになるので、よく分からない人も、頑張って。

つまり、



円軌道で動くときの動き始めの一瞬は、円の接線となるような、矢印で示した方向に動こうとしている、ということです。

ただしこれは逆に言うなら、「点L1の動き始めが矢印の方向であるならば」、



その円軌道は、もちろんこういう円かもしれませんが、



「点L1の動き始めが矢印の方向である」ということだけで言うなら、もしかしたらこういう感じで、もっと小さい円かもしれませんし、



あるいは、もっと大きい円かもしれません。



どのような円軌道で動くかに関わらず、「点L1の動き始めは矢印の方向である」ということだけは分かっています。



その場合、例えば小さい円の場合は「円の中心」はここらへんになって、



中くらいの円の場合は「中心」がここらへんで、



大きい円の場合は「中心」がこのへんになりますね。



ここで、円の中心だけを考えた場合、



点L1が描こうとする円が大きいか小さいかに関わらず、「円の中心は必ずロアアームに重なる直線上のどこかに存在する」ということが分かります。



このことは、アッパアーム側についても同様のことが言えますから、



点L1と点A1が同時に動こうとするとき、それぞれの動きを同時に満たす円の中心は、アッパアームとロアアームそれぞれの延長線が重なる点Pであるということが分かります。



ここで、タイヤ(ハブキャリア)には点L1と点A1が固定されていますから、タイヤの重心点をTとした場合、



点Tは点Pを中心とした円軌道で動こうとする、ということですね。



ただし厳密には、動き始めの一瞬だけなので、「動こうとする方向」という意味で言うとやっぱりこういう矢印の方向になります。



なぜ「動き始めの一瞬」だけを考えるのかというと、例えばこのようにストロークした際は、



アッパアームとロアアームに重なる延長線の交点Pはこのへんに移動することになりますから、



点Tは今度はさっきとは違う点を中心に円軌道を描こうとするわけです。
このようにタイヤが上下するにしたがって、円の中心はどんどん変化しますから、点L1やA1は「円軌道」というよりは、どちらかというと「螺旋」に近いような、そういう軌道で動くかたちになります。
とにかく、円の中心が常に移動するというところがポイントです。












さて、以上は車が宙に浮かんだ状態で固定して考えた場合の動きです。
ロール運動を考えるにあたっては、それに加えて、もうひとつべつの動きを考えなければいけません。
それは「タイヤの接地中心」(厳密に言うとタイヤが倒れ込むときの中心)を中心とした円運動です。



ここからは図が見やすいように、片側のサスペンションだけで書きますが、



クルマはタイヤの接地面付近を中心として、こんなふうに動いたり、



こんなふうにも動きますね。



また、こういう状態からでも、



ストロークすることによって、さらにこんなふうにも動くわけです。
わかりますか?
イッチニ、サンシ、って、動きますよね。

ただし、ストロークするときの「瞬間的な回転中心」は、さきほど長々と説明したように「点P」であるということが分かっていますから、ボディの動きに関わらず、あくまで点Pがどのように動こうとするかを考えればよい、ということが分かります。



そしてこの場合、点Pは矢印の方向に動こうとするわけですが、



あくまで「動き始めの一瞬」に関して言えば、その円軌道の中心はタイヤ接地中心だけとは限らず、タイヤ接地中心と点Pとを繋ぐ直線上のどこかに存在する、ということが分かります。



ロールという運動は、点Pを中心としたタイヤの上下動(=点L1や点A1の円運動)と、タイヤ接地中心を中心としたボディの上下動(=点Pの円運動)が合わさった運動になりますから、それぞれの円運動を満たすような点を求めれば、ロールセンタがそこにあると分かる。
したがって、以上のような作業を左右ともに行い、それぞれの青線の交点となる点Mこそがロールセンタになる、ということになります。






以上、ロールセンタの求め方と、なぜそうなるのか?の説明でした。
ずいぶん長くなりましたが、全部読まれた方はお疲れ様でした。
このようにして決まる前後のロールセンタを直線で結ぶと、それがロール軸になります。

ただ、これはあくまで基本的な考え方であって、実車への適用にあたっては注意してもらう点がいくつかあります。
次回はそのあたりのことを書きますね!
Posted at 2025/08/04 12:48:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | ロール軸は動いている | 日記

プロフィール

「@Garage K 個人的には、「グリップする」=「より大きなグリップ力(コーナリングフォースまたは加減速力)を出せる」という意味かなと思って読んでましたが^^;
この件面白いんで記事にしますね!」
何シテル?   12/13 20:54
福井のロードスター乗りです。 ロードスターは現在休眠中。 タカスサーキットをホームコースとしてサーキットアタックしていました。 GPSロガーの結果を元...
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