マツダ アシンメトリックLSD
マイナーチェンジでLSDが新しくなりましたが、なかなか面白い構造なので紹介したいと思います。長文失礼。
結論から言うと、従来のスーパーLSDの構造を踏襲しているので、絶対的な作動力は大きくありませんが、機械式LSDに使われるカム構造を採用してLSDがより作動しやすい構造になっています。
動作原理を順に説明すると、まずプロペラシャフトからの駆動力が①リングギア(図にはなし)とデフケースを回転させ、②ピニオンギアを経て③サイドギアに伝わります。
今までのスーパーLSDだと、ギア同士が当たる際の反力で③サイドギアが外側に押し出され、⑤テーパーリングと接触してLSDが作動する構造でした(③と④は一体)。
それに対しアシンメトリックLSDは、加速時の駆動力で③サイドギアが回転すると、加速側カムが④カムリングに接触して④カムリングが外に押し出されて⑤テーパーリングとの摩擦によりLSDが作動し、左右車軸の回転差がなくなるというものです。
逆に減速時には、ドライブシャフト(車軸側)から④カムリング→③サイドギアへと回転が伝わる際に、減速側カムにより④カムリングが外側に押し出されて⑤テーパーリングとの摩擦によりLSDが作動します。
カム構造をみると、加速カムと減速カムの角度が違うため、1.5WAYような感じでしょう。なお、スーパーLSDは減速時にテーパーリングとの摩擦が生まれないため、1WAYでした。
また、負荷がない時は⑥スプリングにより③サイドギアと④カムリングが外側から内側に向けてプレッシャーがかかっています。これにより無負荷時は⑤テーパーリングとの摩擦が生じないため、ほぼオープンデフ状態になっているはずです。スーパーLSDは逆に内側から外側にプレッシャーをかけ、ごく弱いイニシャルトルクがかかっていました。
機械式LSDとの差を考えてみると、このアシンメトリックLSDでは④カムリングと⑤テーパーリングとの摩擦によるLSD作動なので、絶対的なロック力はスーパーLSDと同様に大きくありません。社外機械式LSDですと、多板クラッチプレートによって大きな摩擦を生み出せるため絶対的な作動力は社外品に軍配が上がります。
しかし、純正LSDでカム構造を採用してきたのには驚きました。構造からみるとそんなに派手な効き方はしないと思いますが、大人しく走る時はほぼオープンデフで、踏み込めばそこそこ効く、といった感じでしょうか。実際どんな感じか興味がわきます。
(2024/1/28追記)
大井氏の動画でマツダ開発陣が仕組みを解説していました。私の勘違いでしたが、どうやらイニシャルトルクは⑥スプリングではなく、③と④の間にある皿バネ状のディスクスプリングにより内側から外側に向けて全周均一にかけてあるようです。
https://www.youtube.com/watch?v=s8Sph1tjJiE&t=219s
(2024/2/4追記)
加速時と減速時の効きが逆でした。すみません。いわゆる逆1.5WAYというやつですね。
また、旧スーパーLSDも減速時にサイドギアからピニオンギアに駆動力が伝わる際にサイドギアが外側に押し出されるので機構上は2WAYになるようです。
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