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2010年12月01日 イイね!

ラパンに乗ってみました

ラパンに乗ってみました ラパンに乗ってみました。

 乗ってみたと言っても、先日嫁さんの愛車・ライフダンクの車検を受けたのですが、その際に行きつけのN自動車さんから代車として貸してもらったものです。昨年の母親のワゴンRの車検の代車・パレットSWといい、今年の事故の代車ワゴンRといい、N自動車さんのところの代車はたいてい新車なので、非常に気分がいいです。

 ラパンには一昨年の新車登場時には試乗に行きませんでした。なぜなら、こんなかわいい車の試乗には私みたいなオッサンは行けないからですwwwwww

 試乗車のグレードはノンターボエンジンの中での上級グレード・X(トランスミッションはCVT)、ボディカラーはエアブルーメタリックです。


○だった点
・かわいい内外装デザイン
 ラパンの特徴は何と言ってもここにあるでしょう。水色・ピンクなどかわいいボディカラー、切り立った前後左右のウインドゥによるちょっとクラシックな感じなスタイル、ブリキのおもちゃのようなダッシュボード、暖色系の優しい色づかいのシートなど、かわいい女の子が乗るにはピッタリの車です。
 最近はタントやムーブのカスタム系やワゴンRスティングレーのように、軽なのに妙に怖い顔で威圧的なデザインの車が多い中、ラパンのデザインには思わずホッとさせられます。背伸びせず、かといって貧乏臭くならず、軽自動車らしいかわいいデザインには好感が持てます。
  
・低燃費
 この車をお借りして通勤や街乗りで120キロほど走ってみたのですが、この間の積算燃費は燃費計表示値で22.0km/Lでした。私のスイフトの燃費計は5%程度のプラス誤差が出る事を勘案すると、実燃費は21km/L程度かと思いますが、それでも相当な低燃費です。
(ちなみに試乗中の最高は25.7km/Lまで行きました!!)
 タント・パレットなど最近流行りのハイト系のターボ付だと、せいぜい13~4km/Lということもありますが、ラパンのこの燃費はセダンタイプならではの合理性を示していますね。

・違和感の少ないCVTの制御
 この車のトランスミッションはターボも含めた全グレードCVTが採用されています。CVT車はかなり上級クラスであっても、発進加速時のエンジン回転と加速感の不一致による違和感、停止直前のカックンブレーキ感、減速時の「ひゅ~~ん」という安っぽいベルトノイズ、クリープ現象で微速前進したいとき、ブレーキの踏力を緩めていっても車が動き出さず、完全にペダルから足が離れる直前になっていきなり動き出すクリープのセッティングの違和感等がある車が散見されますが、ラパンのCVTはよく煮詰められており、CVTであるデメリットはほとんど感じられず快適な走りです。
(ただし、渋滞の中で微速でのゴーストップを繰り返す状況でややスナッチが感じられるのは要改善です。)

・しっかり感の向上した走り味 
 先代はフロアの剛性感が低くて、不整地や目地段差の大きい道路などでグニャグニャドタドタした印象があったり、電動パワステのフィールが人工的で、中立が不明確で直進に気を使わされたりということがありましたが、新型は大幅に改善されています。
 ラパンのベースになっているMH22S型ワゴンRは先代MH21S型よりも走りの安定感が高くなっていますが、ラパンもそれを踏襲して安定感を高めて走りになっています。

・広い室内 
 パレットやワゴンRなどハイト系・スペース系の軽にはもちろん及びませんが、それでも実用上十分な室内スペースが確保されています。切り立ったサイドウインドゥのおかげで側頭部の空間が広くて圧迫感がありませんし、頭上スペースも十分です。
 後席はさすがに頭上空間はあまり余裕がありませんが、それでも先代比+40mm延長されたホイールベースにより足元空間は広々していて、一昔前のセダンタイプ軽にありがちな狭苦しさは全くありません。

・掴み易い車両感覚 
 切り立った前後ウインドゥ、フラットなボンネット、低いウインドゥ見切りのおかげで、車両感覚が掴み易く非常に運転し易いです。小柄な女性でも運転しやすいでしょう。


もう少し頑張ってほしい点
・グニャングニャンのブレーキフィール
 この車を走らせていて最も気になったのはこの点です。ブレーキペダル取付け部の支持剛性が足りないのか、バルクヘッドがやわらかいのか、マスターバックの容量不足かわかりませんが、ブレーキがとにかくグニャグニャで頼りないタッチです。ワゴンRではこのようなことはないんですが…
 効き自体が悪いわけではありませんが、タッチが柔らかくて信頼感に乏しいです。

・シートの出来が悪い 
 1時間程度乗っただけで腰が痛くなってしまう、シートリフターで調整してもドラポジが決まらないなど、ラパンのシートはあまり出来がいいとは言えません。基本的に短時間の街乗りや通勤などの用途が想定される軽自動車に、あまり高機能なシートは必要ないと思うのですが、それでもちょっと厳しい出来です。
 通勤で私のスイフトと同様の使い方をしてみたのですが、スイフトの方が断然疲れが少なかったです。

・風切り音が気になる
 今回乗った車にはサイドバイザーは付いてなかったのですが、70キロを越えた辺りからピラー付近からの「ゴゴー!!」という風切り音が聞こえて気になります。空力云々言う車ではないのは分かっているのですが、この車、開発段階で風洞実験を多分やってないんでしょうね…

・機能を集約し過ぎのインフォーメーションディスプレイ
 最新の車らしく、スピードメーター中央にインフォーメーションディスプレイが備わるのですが、オド・トリップメーター、エンジン回転、瞬間燃費、積算燃費、航続距離など様々な標示が一つのディスプレイに集約され過ぎているため、かえって見づらいです。せめて走行距離ぐらいは別に標示してほしいです。 

・かわい過ぎる内外装(笑)
 ラパンはかわいいことが売りの車なので、ラパンに乗ってこんなことを言うのも何なんですが、外観がかわい過ぎて、アラフォーに差し掛かった私が乗るのは少々キツいものがありますwww 
 外から見てる人も、かわいい色のラパンが走って来て女の子でも乗ってるのかな~と思ってると、私みたいなキモいオヤジが乗ってると「ゲゲッ!!」って思うでしょうねwwwwww

・やや乗降性が悪い 
 これもラパンのデザインの特性上やむを得ないですが、屋根が低くてドア開口部が比較的小さいため、乗降性が多少犠牲にされています。ワゴンRなどハイト系が自然に腰を落とすように乗り込めるのに対して、ラパンはやや潜りこむような乗り込み方になります。高齢者の乗る機会がある方にはあまりこの車はお勧めできません。

・SSは出ないのか?
 先代ラパンには5速MT、64PSのターボエンジン、専用内外装を奢ったスポーティグレード「SS」がありましたが、現行型には未だに設定されていないようです。アルトワークス、Keiワークス、ワゴンR-RRなどスズキの軽のスポーティグレード壊滅状態の中、せっかくベースモデルの素性がいいのですから、スポーティグレードの設定があってもいいのではないでしょうか。


総評
 最近の軽市場ではムーブ・ワゴンRはもとより、タント・パレットなど、より室内空間の広いものが好まれますが、ラパンに乗ると背が低く軽量で合理的なセダンタイプの魅力を再認識します。いくら室内空間が広いといっても、結局1〜2人で乗っているのですから、結局無駄になっているように思えます。ラパンのようなセダンタイプはもっともっと見直されてもいいのではないでしょうか。

 ラパンの出来そのものは、主力車種のワゴンRをベースにしているだけあり、ソツのない仕上がりです。シートやブレーキの出来など、一部コストダウンと割り切りを感じる部分もありますが、この車本来の使用用途を考えるとあまり問題にならないのかもしれません。

 この車はとにかくかわいい内外装を楽しむ車です。この内外装なら、例えば割り込まれたり煽られたり等、スイフトに乗ってるときなら「なんだコノヤロー」と思う状況でも、「ま、いっか〜」と広い心でいることができる、平和な車です(笑)


↓↓フォトギャラリーもどうぞ↓↓
ラパンに乗ってみました その1
ラパンに乗ってみました その2


↓↓関連試乗記 こちらも是非↓↓
ワゴンR試乗記
パレットSW試乗記
アルト試乗記
タント試乗記
ムーヴ試乗記
Posted at 2010/12/01 22:27:21 | コメント(3) | トラックバック(0) | 新車試乗記 スズキ編 | 日記
2010年09月24日 イイね!

新型スイフト(ZC72S)乗ってみました。

新型スイフト(ZC72S)乗ってみました。 スイフト乗り的には超注目! 新型スイフト(ZC72S)に乗ってきました!
 グレードは3種構成の一番下のXG(CVT・2WD)、ボディカラーはスターシルバーメタリックです。

 先月26日の発表から発売まで随分時間があり、まだかまだかとジリジリと待っていましたが、ようやく発売になってディーラー店頭に試乗車が来たので、早速乗ってみました。旧型スイフト乗りの視点から意地悪く見ていきたいと思います(笑)。


○だった点
・スタイリッシュな外観
 もともとスタイリッシュだった先代から大きく変わり映えのしない外観ですが、それでもヒョコッと背が高く見えた先代に比べてロー&ロング&ワイドに見え、コンパクトカークラスの中では断然カッコイイです。ボディサイドやリヤフェンダーの張りのあるデザインは、街中で見かけると一瞬「あれどこの車だろう!?」と目で追ってしまう存在感があります。

・軽量化
 同グレード(1.2XG・CVT・2WD)比で10kg軽量化されています。ボディが大型化されてのこの結果ですから優秀だと思います。 

・ステアリングフィールの改善
 先代よりもステアリングの操舵力は軽くなっているのですが、しっかりしたフィールは先代そのままです。
 先代では中立付近がやや曖昧で直進に気を遣わされたり、操舵系の支持剛性が不十分な印象で、舵角を与えた状態で路面のギャップを乗り越えると、どこかワナワナした印象があったのですが、新型は改善されており楽しいハンドリングを強調しています。

・乗り心地の良さ
 乗り心地の良さは先代から引き継がれた美点です。路面の継ぎ目など短時間での強い入力、路面のうねりなど長くて振幅の大きい入力ともうまくいなしています。先代同様、脚をむやみに固めてロールを押さえ込んでいるわけではなく、一定のロールは感じるのですが、ロール速度が速くないため安心感があります。
 最近はトヨタの車を中心として、オイル流量の少ない貧弱なショックアブソーバーを使っているのか、街乗りでも常にコツコツコツコツした振動を伝えてくる車が多いですが、スイフトは他メーカーのC・Dセグメントの車(トヨタでいえばプレミオ、カローラ)よりも乗り心地が良いです。
 ちなみにリヤサスペンションの形式はトーションビーム式ですが、この良好な乗り心地ならばトーションビーム式でも何ら問題ないと思います。

・高級感のある内装
 キザシやワゴンRスティングレーなど最新スズキ車のトレンドに沿った高級感のある内装です。
 特にダッシュボードはメッキ加飾やツヤのあるオーディオディスプレイ部のパネルなど、コンパクトクラスを超えている印象です。

・シートの出来
 先代スイフトもコンパクトクラスとしては相当シートの出来が良く、体圧分布が適切で正しい姿勢を保ちやすく、また正しい姿勢を保って座っていれば長時間運転しても疲れが少なかったです。
 ただ、座面前半分がやや「ぐにゃっ」と柔らかく、大腿部裏面の保持性に少し不満があったのですが、新型は座面の固さを増し、膝裏までをよりサポートしてくれるようになりました。
 先代同様、コンパクトクラスとは思えないような、大きなしっかりした作りと相まって、ますます魅力を増しています。

・MTの設定
 最近の日本車はMTが設定される例が少なくなってしまいましたが、新型スイフトは売れ筋になると思われるXLとXGグレードにMTが設定されているのがうれしいです。
 最近はCVTの普及で、以前ほど自動変速と手動変速の燃費の格差が縮まり、一定速度での巡航時などはエンジン回転数をより低く維持できる分、CVTの方が燃費が良いということもあります。
 しかし、市街地走行などではやはりMTに軍配が上がります。
 また、意のままに車を操っているという運転感覚はやはりMTならではです。
 余談ですが、欧州に輸出されている車種なら、大抵の場合MTが設定されているはずで(というかMTがメイン)、日本国内仕様のためにわざわざトランスミッションを開発する手間は無いでしょう。確かに国交省への型式認証のためのコストはかかるのでしょうが、各メーカーは受注生産でもいいので、幅広い車種にMTを設定してほしいものです。

・露骨なコストダウンを感じさせない作り
 外観をご覧の通り、新型は好評だった先代スイフトをベースにしたブラッシュアップモデルといっても過言ではありません。
 最近はフルモデルチェンジと謳いながら、実際には先代ベースのビッグマイナーチェンジで、露骨にコストダウンしている車が見受けられますが(例:トヨタクラウン、ウィッシュ、ホンダオデッセイ)、新型スイフトはその例にあてはまりません。
 スズキは昔からコストダウンに熱心な企業で、当然スイフトもコスト管理を徹底しているのでしょうが、少なくとも外見上・運転した印象からはそれを感じさせません。
 各自動車メーカーともコストのコントロールは厳しいのでしょうが、どうせやるならスイフトのように「いかにも安く仕上げました」的なところを感じさせないよう上手にやってほしいものです。


もう少し頑張ってほしい点
・相変わらずいまひとつな燃費
 先代スイフトの弱点の一つとして、クラスの標準よりも燃費が悪いということが挙げられました。
 新型にはパレットやワゴンRと同様の新型CVTが搭載されていて、10・15モード燃費は21.0km/Lから23.0km/Lと改善されているのですが、試乗中の積算燃費計の表示値は12.0km/Lでした。やや混雑した市街地でゴーストップが多かったのですが、それでもやや期待外れな数値と言わざるを得ません。
 ここ数年でプリウスなどハイブリッドカーの燃費がますます向上する一方で、車両価格は低下しているので、コンパクトカーなのに燃費が良くないとなると、下手をするとプリウスの方が短期間で車両価格の高さを回収してしまい、トータルコストが安いという事になりそうです。こう燃費が悪いと何のためのコンパクトカー?と思ってしまいます。

・割安感の薄れた価格
 先代1.2XG(CVT・2WD)比で4.7万円値上げになっているのですが、新型はオーディオレスが標準なので、実質的な値上がり幅は8万円ほどになります。先代は価格の割に装備が充実しているのが大きな魅力ですが、このメリットが薄れてしまいました。
 
・前方視界の悪化
 先代に比べてフロントガラスの上下長が短くなっているように思えます。上端が低くなっているのはまだしも、下端が高くなっているため前方視界が悪化しています。
 もともと先代もサイドウインドゥ下端が高く、車両直近の視界が良いとは言えなかったのですが、新型はさらに視界が悪化した印象です。
 窓が小さいのは高速走行・長距離走行時に周囲の情報が程よく遮られて疲れが軽減されるというメリットもあるのですが、コンパクトカーなのですから、まずは街乗りなど日常の使い勝手を優先させて、視界の確保に努めるべきです。

・改善していない後席空間
 先代の弱点の一つに狭い室内空間、特に後席や荷室の狭さが言われていました。新型は先代比で全長+95mm、ホイールベース+50mmということで空間の拡大に期待したのですが、実感としてはほとんど拡大されているように思えませんでした。むしろ、ドア内貼りパネルを凝った形状にしているせいか、先代よりも狭くなっている印象です。
 コンパクトカーなので、1~2名乗車を想定しており、室内空間の拡大にはあまり関心を払っていないのでしょうが、フィットやヴィッツの広大な空間や、デミオの限られたサイズでありながら室内空間の広さとスタイリッシュさを両立させているのに比べるといかにもレベルが低いです。

・高くなったリヤハッチ下端
 もともと先代からリヤハッチ下端高さは高かったのですが、新型はさらに高くなって実用性が低下しました。開口面積を減らして車体剛性や強度を上げたいということかもしれませんが、実用性にはマイナスです。
 フィットやフリードのリヤハッチ下端や荷室床面の低さを見習っていただきたいものです。

・MTとCVTが同価格
 ○だった点にMTが設定されていると書いたのですが、先代(XG)で8.9万円あったMTとCVTの価格差がとうとうゼロになってしまいました。ムーブ、ミラなどダイハツ各車は以前からMTと自動変速が同価格になっていましたし、スズキも一昨年のワゴンRのフルモデルチェンジの際にMTと自動変速の価格を同一にしていたので、スイフトもそろそろ来るか…と思って覚悟はしていたのですが…
 「販売量が少ないものをわざわざ準備するのはコストがかかるから」というのがメーカーの言い分なのでしょうが、コストがかかったであろう新開発の新型CVTもコンベンショナルなMTも同価格というのはイマイチ納得がいきません…

・回転半径がデカいまま・・・
 これも先代で気になっていたことですが、タイヤの切れ角が小さくて回転半径がものすごく大きかった(5.2m!)のですが、新型も16インチホイール装着車は相変わらず5.2mと、コンパクトカーとしては異常な大きさです。(15インチホイールのXGは4.8m)
 私は先代スイフトのあまりの回転半径の大きさに驚いて、社外品のステアリング切れ角アップキットを入れたのですが、インナーフェンダーや車体との干渉など不都合は全くありません。なんでこんなに取り回しが悪いまま放置しているのか理解に苦しみます。

・16インチホイールって必要?
 最下級グレードのXG以外は16インチアルミホイールが標準装備ですが、ベーシックなコンパクトカーに果たして16インチホイールが必要なんでしょうか?
 バネ下重量が嵩んで乗り心地が悪化しますし、タイヤ交換時のコストも大きくなります。


総評
 先代スイフトはそれまでのスズキの普通車の、軽自動車に毛が生えた程度の安っぽいイメージを完全に打ち破った車でした。欧州車そのものの個性的でスタイリッシュな外観、安い車らしからぬしっかりした楽しい走り、高いコストパフォーマンスなど、これまでのスズキの普通車、というかコンパクトカーの基準を覆す車で、このクラスの車の中でも独特の個性と魅力のある車でした。
 基本的に新型スイフトは先代のコンセプトをほぼそのまま踏襲し、長所を伸ばし短所をできるだけ潰した車です。が、長所は伸びているように思えますが、短所がそのまま大きな改善もされず放置されています。
 燃費の悪さや後席空間の狭さ、小回りの利かなさなど、このフルモデルチェンジで改善されるかと期待した部分が大きな改善がなされていないのは非常に残念です。
 特に燃費については、以前なら少々燃費が良くても車両価格が高いため、ハイブリッド車がコンパクトカーを燃料費も含めたトータルコストで上回るのは至難の業でしたが、ここ数年でプリウスなどの車両価格が低下し、なおかつ燃費は向上しているので、ハイブリッド車の損益分岐点が下がってきています。
 スイフトの燃費がこの程度では、いずれハイブリッド車や次世代燃料車の前に埋没してしまうのではないかという不安があります。

 と、まあ悪口は書いたのですが、やっぱりスイフトはいい車です。コンパクトなサイズ・キレのいい走り・スタイリッシュな外観・高級感のある内装と出来のいいシート…と、自動車としての本質的な魅力あふれた車です。多分私が現時点で車の購入を検討していたとすると、多分やっぱりこの車を買うと思います。
 現時点ではまだスイフトスポーツの登場は未確定ですが、標準仕様のこの出来ならスポーツも大いに期待できます。
 また、新型スイフトへのフォルクスワーゲンの関与はほとんどないと思われますが、今後のスズキとVWのアライアンスの内容によってはスイフトがさらに面白い車に進化するかもしれませんね。


↓↓関連試乗記 こちらもぜひ↓↓
先代スイフト(ZC71S)試乗記
スイフトスポーツ(ZC31S)試乗記
ヴィッツ試乗記
フィット試乗記
デミオ試乗記
Posted at 2010/09/24 19:43:19 | コメント(10) | トラックバック(0) | 新車試乗記 スズキ編 | 日記
2010年01月02日 イイね!

パレットSWに乗ってみました。

パレットSWに乗ってみました。 スズキ パレットSW
に乗ってみました。

 この車はターボ・CVTの「TS」、NA・CVTの「XS」、NA・トルコンATの「GS」の3グレード構成ですが、試乗車はノンターボの上位グレードXS(FF)です。
 パレット登場時に試乗の機会を逸してそれっきりだったのですが、この度うちの母ちゃんのワゴンRの車検の代車として、行きつけのN自動車さんに無理を言ってお借りしました。
 余談ですが、Nさんのところの代車はこういう新車の軽がほとんどで、1年ぐらいで定期的に入れ替えています。代車というとボロい車か、最近では代車料金を取られることもあるようですが、Nさんのところは無料で新しい車を貸してくれます。

 2008年1月に登場したパレットですが、この度副変速機付きCVTの搭載・スポーティグレードのSW系の登場とともにマイナーチェンジされたので、良い機会ということで試乗記をアップしたいと思います。
 また、これまでに乗ってきたワゴンRやライバルであるダイハツ タントの印象とも比較したいと思います。


○だった点
・広い室内
 この車の美点は何と言ってもここです。幅は軽自動車の枠内なのでやむを得ませんが、室内前後長・高さとも軽自動車であることが信じられないほどのスペースです。「広い」ではなく「広大」と表現するのが適切です。
 特に後席空間の広さは特筆すべきで、頭上・足元とも、握りこぶし何個分とか手のひらが入るとかそんな小さいレベルの話ではなく、大人が手足を伸ばしてもまだ余裕があります。
 また、この広さによりによりウオークスルーが可能で、子供をチャイルドシートに乗せ降ろしするのがとても楽です。この車のOEM車の日産ルークスのCMで、リヤシートで子どもが踊りまくってますが、あれ誇張ではなくほんとに踊れそうです。
 さらにこの車は荷室も含めたフロアの低さも特筆できます。小さい子供でも乗り降りが出来ますし、荷室への荷物の積み下ろしも容易です。

・優れた使い勝手
 運転席周辺の小物入れスペースが豊富で、収納性が高いです。小さい子供がいるとおむつや着替え、飲み物食べ物、おもちゃなど、ちょっとしたお出かけでも荷物が増えてしまいますが、小物入れなどの収納スペースが豊富で、様々なものがうまく収まります。
 荷室の空間はリアシートのスライドによって変えることができます。スライド最後端だと空間はミニマムですが、これだと後席足元空間にものすごく余裕があるので、そこまで余裕が必要なければ、前にスライドさせて荷室空間を作り出すことができます。フロアが低くて室内高が高いので、A型ベビーカーを縦にしまうことも可能です。

・安定感があり快適な走り
 背の高い軽自動車としては走行安定性が高く、高速道路やコーナーでも比較的安心して走ることができます。
 パレットのような背高系の軽というと、高速道路やコーナーでの安定感が低く、怖い思いをすることもありました。あまり脚を固くすると粘ったあげくに横転ということになるので、それを避けるために、柔らかいサスセッティングで最初から強いアンダーステアにしつけてある車が多いのですが(ムーヴコンテタントなどはそういう考え方)、パレットの脚は固すぎず柔らか過ぎず安定した走りです。
 また、1トン近く車重があるためか軽としては乗り心地が良く、細かい段差でポンポン跳ねるような動きもありません。

・豪華装備
 パレットシリーズの中でも、SWは上位シリーズなので装備は豪華です。オートライト、ディスチャージライト、フルオートエアコン、キーレスプッシュスタート、パワースライドドアなどが備わり、「軽自動車としては」という注釈なしで非常に装備が充実しています。私のスイフトよりも装備が豪華で悔しいです(爆)

・高級感のある内外装
 ピアノブラックの内装パネルやスエード風のシート生地にクラスを超えた高級感があります。またパネルのチリの小ささや、適度な節度感のあるATのセレクター・各スイッチやダイヤルなど、安っぽさを感じさせません。
 スズキの軽に高級感を感じるなど、一昔前までは考えられなかったことです。スズキの軽は本当に良くなりました。

・両側スライドドア
 パレットは後席左右のドアがスライドドアです。スライドドアは子供が駐車場で急にドアを開けて隣の車にぶつけたりする心配が少なく、また狭い場所で子供をチャイルドシートに乗せ下ろししたり、荷物の積み下ろしの際にも非常に楽で、小さな子供がいる家庭にはうってつけです。
 ちなみにライバルのタントは助手席側がセンターピラーレスのスライドドアですが、運転席側は通常のヒンジドアです。これは意外と使い勝手が良くないというか、左右で後席へのアクセス性が異なるので違和感があり、パレットの方が使いやすく感じます。 

・ヘッドライトが明るい
 この車にはディスチャージヘッドライトが標準装備されていますが、他のディスチャージライト車よりもかなり明るく感じます。さらに、この車のライトはプロジェクタータイプなので光が拡散しにくく、明るくても他車の迷惑になりにくいのがいいですね。


もう少し頑張ってほしい点
・苦しいエンジン性能
 車重が900~1,010kg(!)と軽自動車としてはかなり重いため、エンジン性能に余裕がありません。高速道路の6~7%程度の勾配でも、時速90キロを維持するのがやっとです。試乗車はノンターボ(54PS)のXSだったので、ターボ付きのTSであればもっと余裕があるのでしょうけど…

・不安定なブレーキ
 軽とは思えないほど走りが安定しているパレットSWですが、急制動時にボロが出ます。80km/hからABSが効く程度の減速Gを与えると、フロントは激しくノーズダイブしリヤの荷重が抜けてふらつきやや不安定です。直線でこうなので、障害物を避けるためにハンドルを切りながら制動を行うダブルレーンチェンジのようなことは、恐ろしくて出来ません。こういうところに重心の高さを感じてしまいます。

・期待外れの燃費
 燃費は3日間、近場の買い物や山道、高速などを燃費を気にせずごく普通に走って13.2km/Lでした。軽としては相当重い1トン近い車重で、パワーに余裕がなく高回転まで使わざるを得ないノンターボエンジン車であることを考慮すれば決して悪くもないのでしょうが、低燃費と快適性を両立させた新型CVTを搭載していることを考えれば、ちょっと期待外れでした。
  
・スライドドア開口部の狭さ
 上記のとおり両側スライドドアであることはこの車の長所なのですが、開口面積自体はヒンジドアよりも小さく間口が狭いです。スライドドアは開口部が広くて使い勝手がいいようなイメージがありますが、実際にはそうではなく注意が必要です。
 それから、一般的に体重10キロ程度までの乳幼児はチャイルドシートを後ろ向きに装着して乗せますが、スライドドアはヒンジドアよりも子供の乗せ下ろしがしにくいです。スライドドアにはスライドドアのメリットがあるのですが、タントエグゼのようなヒンジドア仕様の設定があってもよいのではないかと思います。

・軽自動車の本分を外れた高い価格
 試乗車のXS(FF・オーディオレス)で142.8万円、最高価格のTS(4WD・ハイグレードサウンドサウンドシステム付き)で177万円という、軽自動車としてはかなり高い価格です。内容を考えれば納得できる価格ではあるのですが、それでも先日登場した新型アルトの約2倍というのは、本来経済的であるべき軽自動車としていかがなものかと思います。


総評
 昔の軽自動車といえば、とりあえず足代わりになればいい的な存在で、狭い・走らない・乗り心地が悪い・安全性が低いことは当然であり、積極的に選ぶものでなく、我慢して仕方なしになるものでした。
 しかしパレットSWに乗ると、そんな軽自動車に対する意識は完全に過去のものになったと感じます。落ち着いた乗り心地・豪華な装備・きめ細やかに配慮された使い勝手・造りの良い内外装…
 パレットは軽自動車の中でも高価格なモデルなので、良くて当たり前かもしれませんが、それでも「軽自動車はほんとに良くなった!」と痛感させられる素晴らしい車でした。「仕方ないから軽を選ぶ」ではなく「パレットがいい!!」と言って積極的に選べる車です。
 代車として借りた3日間でしたが、返すのがこれだけ惜しくなった車はBMW3シリーズ以来です(笑)

 もちろん問題がないわけではありません。軽自動車なのに1トン近い車重・排気量からすると考えられないぐらい悪い燃費・軽自動車の本分から外れた高い価格・相対的に貧弱なシャシー性能…と、自動車としてこれはいかがなものかという点も多く、ライバルのタントなども含め、そういった点が批判の的になることもあります。
 が、私が小さい子供二人を抱える家庭の父親ということもあるのですが、この車の考え抜かれた使い勝手の良さは何物にも代えがたいです。ボディサイズが小さく、スクエアで見切りがいいことによる運転のしやすさは、運転の上手ではない嫁さんにも安心です。
 その一方で、軽とは思えない室内の広さは子供の世話や乗せ下ろしにも肉体的負担が軽減されます。室内はただ単に広いだけでなくフロアも低く(この点はタントよりも優れている)、乗降性・積載性が非常に優れています。
 このようにパレットという車は、生活の中で車を必要とする人のことを本当に考えて作られています。子供がいる家庭の方はもちろん、流行りに乗ってミニバンを買ったけど、フル乗車する機会なんてほとんどないし…という方のダウンサイジングの受け皿としてもおすすめできます。「軽なんて…」と思っている方、是非一度乗ってみられてはいかがでしょうか。
  

↓関連試乗記 こちらも是非↓
ワゴンR試乗記
アルト試乗記
ムーヴ試乗記
ムーヴコンテ試乗記
タント試乗記
Posted at 2010/01/02 22:45:26 | コメント(2) | トラックバック(0) | 新車試乗記 スズキ編 | 日記
2010年01月01日 イイね!

アルトに乗ってみました

アルトに乗ってみました 新型アルトに乗ってみました。
 グレードは4種類あるうちの下から2番目のF(AT・FF)、ボディカラーはシルキーシルバーメタリックです。
 このFグレード以上のグレード(X、G)にはボディ同色ミラー&ドアハンドル、Bピラーブラックアウト、プライバシーガラスが備わるのですが、Fにはなくちょっと営業車的な簡素な外観です。この下のEグレードはさらにフルホイールカバーが省かれ、フロントバンパーが4ナンバーバンと同じものになります。

(実車の写真は撮ったのですが、なぜかやたら大きいサイズで撮ってしまい、容量の制限に引っ掛かってみんカラにアップできませんでした。容量を削る方法誰か教えて下さい…(泣)


○だった点
・品質感の向上
 スズキの軽といえば一昔前まで安かろう悪かろうの代名詞でしたが、パレットや現行ワゴンR登場以降急速に品質感を向上させています。新型アルトも先代よりも走りや内外装品質の向上の努力が見られます。塊感のあるスタイル、ラパンを思わせるツートーンのシート、優しい丸をモチーフにしたダッシュボードなど、安っぽかった先代アルトよりも魅力アップしています。

・軽快な走り
 車重が730kgと軽いため、背高系の軽に比べて軽快な走りです。試乗コースは7~8%程度の勾配もあったのですが、ワゴンRのノンターボなどが音ばかりでなかなか加速しないような状況であっても、スイスイと加速していきます。
 同じ54PSのK6Aエンジンを積むスズキ各車と比較すると…
アルト(Fグレード・AT・FF) :730kg
ワゴンR(FXグレード・AT・FF):810kg
パレット(Gグレード・AT・FF):900kg
と、アルトは圧倒的に軽量で、その数値上の優位がそのまま走りに現れています。
 また、背高系に比べて相対的に全高が低くてコーナーでの走りにもアンダーステアが少なく、上屋がグラッと傾がず不安感が少ないです。ちなみにコーナーリングが安定しているので、スタビが入っているのかなと思ってみてみたのですが、前後とも入っていませんでした。
 車にとって車重が軽いことは、走り・制動性能・燃費・耐久性などに有利です。最近は軽といえばアルト・ミラのようなセダンタイプよりも、ワゴンRタント・パレットのような背が高く重量がかさむモデルが販売の主流ですが、軽快なセダンタイプがもっと見直されてもいいのではないでしょうか。

・広い室内空間
 先代よりもホイールベースが40mm延長されていることもあり、室内、特に後席空間が広いです。後席に座った際の、膝と前席シートバックとの間に握りこぶし二つ分以上入りますし、1,535mmの高い全高や切り立ったサイド・リヤウインドウのおかげで、頭上・側頭部にも圧迫感はありません。空間的なゆとりはスイフトよりも上です。

・ATが下級グレードまで4速
 4ナンバーバンまで含めた全グレードが4速オートマチックを採用しており(上位グレードはCVT)、燃費・走り・快適性の点で優れています。ライバルのダイハツミラは下級グレードやバンは3速オートマチックなので、この点はアルトが優位ですね。


もう少し頑張ってほしい点
・従来の安っぽいスズキのイメージを完全には脱却できていない
 スズキの、というより日本車のロワーレンジに位置する車なので「安い」ことは必然なのですが、「安っぽい」の範疇から脱却できていないように思います。内外装の質感や作り、乗り心地、振動・騒音、走り味など、あくまでも普通の軽自動車という印象で、同じスズキのパレットが軽であることを感じさせない力作だったのに比べると数段落ちるように思います。試乗車はオーナードライバー仕様としては最低グレードになると思われるFグレードで、他グレードより遮音材などが省かれているのかもしれませんが…
 また普通車のスイフトが、安い価格で優れた内外装デザイン、楽しい走りを実現を実現しているのに比べても、アルトは志が低いです。
 ベーシックな中にもミニスイフト的な仕上がりを期待したのですが…

・シートのサイズが小さい
 フロントシートのサイズが小さく、身長175センチの私が座ると、ヘッドレストを最上位置にしても後頭部の適切な位置に届きません。女性や高齢者がメインターゲットとはいえ、この車は営業車としての需要も多く、成人男性が乗ることも多いと思いますが…

・リアシートのヘッドレストは欲しい
 最上級のXグレード以外リアシートのヘッドレストが備わっていませんが、これは贅沢装備ではなく安全装備なので、全車に標準であるべきだと思います。

・ミラに似てしまった外観
 先代アルトは良くも悪くも一目でアルトと分かる個性的なデザインで、他車との差別化を図っていました。しかし新型は、サイドウインドウのグラフィック、後ろに向かって切れ上がるウエストライン、なだらかなカーブを描くルーフラインなど、ライバルのミラに非常に似てしまいました。直接のライバルにこうまで似せてしまうのはいかがなものでしょうか…


総評
 先代アルトは徹底的な低コスト車でした。ペラペラの内外装、ぐにゃぐにゃのシートや足回りなど、ハッキリ言って我慢して乗る車、仕方なしに乗る車でした。
 しかし、先代アルト登場以降発売されたスズキの車は、スイフト・SX4・パレット・キザシなど普通車・軽問わず、従来の安っぽかったスズキのイメージを完全に覆す素晴らしい車が多く、新型アルトは軽の枠を超えた質の高いベーシックカーになるのでは…と期待したのですが、残念ながら期待ほどではなかったなというのが率直な印象です。
 もちろん先代よりも走りや内外装の質は上がっているのですが、ライバルであるダイハツミラに比べると、やっとミラのレベルに追いついたなという印象です。それどころか、室内空間の広さなど依然としてミラに劣っている部分もあり、ちょっとガッカリです。
 スズキの軽の販売台数はワゴンRが突出していますが、ダイハツはムーヴタント、ミラどれもコンスタントによく売れています。これはミラのベーシックな出来の良さが市場に評価されているのだと思いますが、スズキはアルトでちょっと力を抜いてしまっているので、今後の販売がちょっと心配ですね。
 スズキ車オーナーとしてアルトに肩入れしたい気持ちはあるのですが…

 ともあれ、上記の通り先代からの進化は感じます。コストとの兼ね合いの中ではよく出来た方でしょう。普通の人が普通の生活の中では何の不満もないでしょうし、ワゴンRムーヴなど背高系は車重が重く燃費が悪いし不必要という方にはオススメの車です。
 ちなみに燃費は燃費計表示値で15.3km/Lでした。市街地と山道半々程度であまり燃費を気にせずに走ったにしてはまずまずでしょう。



↓関連試乗記 こちらも是非↓
ワゴンR試乗記
先代ワゴンR試乗記
ムーヴ試乗記
ムーヴコンテ試乗記
タントカスタム試乗記


日本仕様と欧州仕様の比較が非常に興味深い、こちらの方のブログもどうぞ。
Posted at 2010/01/01 17:45:09 | コメント(5) | トラックバック(0) | 新車試乗記 スズキ編 | 日記
2009年11月23日 イイね!

キザシに乗ってみました

キザシに乗ってみました スズキ乗り的には大注目の新ミディアムセダン・スズキ キザシに乗ってみました。
 グレードは4WD、ボディカラーはプレミアムシルバーメタリックです。



○だった点
・剛性感溢れる走り

 ステアリング・アクセルなどの操作系はずっしりとした重さがあり欧州車的、というより欧州車そのものといった印象です。BMWやメルセデスほどではないですが、VWなどと同等、プジョーなどラテン系の車よりもしっかりした印象です。
 サスペンションにきちんと仕事をさせていて、特にリヤの接地感が高くコーナーでも安心感があります。(ステアリングの特性自体は明確なアンダーステアで、ロール感も結構あります。)
 ちなみに後ろから床下を覗くと、強烈にゴッツイアルミのマルチリンク式リアサスペンションのロアアームが見えます。実用セダンとは思えないサスペンションです。
 それから細かい話ですが、シフトレバーのマニュアルモードが押してダウン・引いてアップという本格的なスポーティなポジションです。
  
・出来のよいシート
 前後席ともクッションの固さをパートによって変えていて、座面からお尻がズレにくくサポート性が高いです。
 私はかなり上体を立ててアップライトに座るのですが、シートの出来が悪い車だとお尻が前にズレてしまい、運転しているうちに猫背になってしまいます。この車のシートはお尻の位置の拘束性が高いので、長時間の運転でも姿勢の変化が少ないでしょう。
 また運転席は電動の座面前後独立高さ調節やランバーサポートも装備されていてポジション設定の自由度が高く、自分の好みの運転姿勢を取りやすいです。
 リアシートには中央席まで3点式シートベルトと独立調整式ヘッドレストが備わり、左右席のヘッドレストは前後可倒まで可能です。

・個性があるスタイル
 このクラスの一般的な日本車に比べ、曲面を多用した情緒的な外観です。また、4,650mmと全長が長くないわりに幅が1,820mmと広いため、塊感・凝縮感がありマッシブです。
 最近はミディアムクラスの車でもコスト削減のため、プレスラインをなくして抑揚を減らした車が多い中、キザシは存在感がありとても個性的です。
 またスイフトやSX4との近似性もあり、スズキの車としてのブランドアイディンティティを感じさせます。

・充実した装備
 本革パワーシート(運転席電動10ウェイ)、左右独立温度調整式オートエアコン、オートライト、クルーズコントロール、ETC、9エアバッグなど280万円級の車としては装備が充実しています。
 本革シートの縫製はダブルステッチで高級感があります。


もう少し頑張って欲しい点
・重さを感じる操作感

 長所のところで操作感が重くてしっかりしていると書いたのですが、日本車のミディアムセダンとしては、ステアリング・アクセルなどの操作系が異例に重いです。アコードレガシィなど同クラスのセダンはもちろんインプレッサWRXランサーエボリューションと比べても重く、感覚としてはBMW3シリーズと同等かなあという印象です。実用セダンとしては、スポーティーというよりもちょっと重過ぎるように思います。

・エンジン騒音がやや大きい
 室内に伝わってくるエンジンがやや大きいです。エンジン音が聞こえてくること自体は問題ないのですが、音色をチューニングしているとは言い難い実用車的な音で、なおかつトランスミッションがCVTのため速度とエンジン音が一致せず、加速時に違和感があります。
 試乗の際は7~8%程度の勾配が連続するコースを走ったのですが、いかにもCVTという音を発してちょっとがっかりしました。コンパクトカーや軽なら許されるかもしれませんが、Dセグメントの車ではちょっと問題ありです。
 コスト面で厳しかったと思いますが、6~8速の多段トルコンATがあれば、この車の良さが際立ったのに…と思うと残念です。
 
・後席頭上空間が狭い
 後席の頭上空間は身長175センチの私が座って握りこぶしが入らないぐらい、側頭部は手の平が入らないぐらいと、空間的な余裕がありません。(先日試乗したマークXとほぼ同等)
 ミニバンに慣れた目で見るとかなり厳しいですね。

・スズキの車であること(爆)
 スズキに対する市場からのイメージは軽自動車のメーカーであり、どんなにかっこよくても、どんなに走りが良くても、スズキの普通車はせいぜいスイフトのようなコンパクトカーまでで、キザシのような2.4Lの車は日本国内では売れないでしょう。
 この車がもしトヨタのプレミオかカムリ、アベンシスであればはるかに売れているでしょうし、トヨタに対する評価も上がるでしょう。


総評
 以前は軽自動車に毛が生えた程度のクオリティ・デザイン・走りだったスズキの普通車は、2004年の現行スイフト登場以降、全く様相を変えました。運転の楽しさを打ち出し、またデザインも日本の田舎や発展途上国だけではなく、欧州などでも通用する洗練されたものになりました。
 余談ですが、現行スイフトの登場時、私は「どうせちょっとかっこをよくしただけの安物車だろ、しょせんスズキだし…」と思っていたのですが、購入前に試乗してその走りの楽しさや出来のよさに衝撃を受けて購入に至りました。
 キザシはその流れを受けて上級移行を果たし、北米や欧州・新興国など国際市場で、ホンダアコードやVWパサートなどDセグメントの強豪にぶつけていこうという車です。だから根本的に日本国内で売ろうという考えはスズキにはないようで、完全に受注生産となります。
 また、テレビCM等の販促もほとんどなく、カタログもスイフトよりも薄く紙質も良くない15ページのペランペランなものです。
 日本国内では相変わらずのセダン冬の時代なのでやむを得ないとは思いますが、これだけの実力のある車が広く知られずに終わるのかと思うと残念です。現行スイフトのように、時間が経つにつれ良さが理解されるという車もありますが、もう少し自信を持って売っていっても良いのではないでしょうか。

 車の実力や装備等、内容を考えると決して高くないのですが、それでも今日日300万円近い車にはなかなか手を出しにくいでしょう。
 また、おそらくリセールバリューは相当悪いと思われるので、本当にこの車が欲しいという方は急いで買うよりも、現在ディーラーにある試乗車が中古として出回るのを待てば、新車の半値近くで買えるのではないでしょうか。

↓関連試乗記 こちらもぜひ↓
レガシィ試乗記
アコード試乗記
カムリ試乗記
マークX試乗記
BMW3シリーズ試乗記
Posted at 2009/11/23 19:43:27 | コメント(12) | トラックバック(0) | 新車試乗記 スズキ編 | 日記

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