こんばんは🌌
一年ぶりに復活の体験実話シリーズです。今年は全4話の予定〜
今回は、私の地元の岡山で、昔、夜間高校に通学していた頃の話です。
真夏の夜のミステリー(5)
「廃工場」
岡山市の岡山駅と市役所の間(ほぼ商業地区)に、市街地には少なくなった小振りな廃工場が有った。
後輩から伝え聞くと、呪われた工場という話で、ある時期から社員は怪我や事故が多発し始め、やがては社長が発狂死して倒産したという…
当時、既に完全な廃墟になっていたが、深夜に近づくと、工場の中で人の声や物音が聞こえる事が有ったり、人影が目撃されたりするらしい。
ある週末、夜間校の授業が終わり、近くの溜り場の喫茶店でその話を聞いた…
「それ、たまたま廃墟マニア達が侵入してたのを見聞きしただけなのでは?(笑)」
「…現場までは近いし、今から行ってみるか?」
週末だし、やはり、そうなるか…
同意した4名で移動する…
廃工場に着く。
市街地のメイン道路からほんの少し外れるだけだが静寂に包まれていて、街中の喧騒とのギャップが著しいせいか、物凄く不気味な廃屋だった。
奇異な噂が囁かれるだけあって、確かに何かの異常性を感じられる佇まいに身体の芯が震えた…
縦格子とモルタルの塀に囲まれた敷地は大して広くはなく、すぐ奥に小さ目な体育館程度の工場が見える。外見だと、街中の廃墟にしては荒らされた様子は無い。
暫く周辺から工場を伺うが、特に何事もないただ不気味なだけの建物だった…
「中に入ってみよう」
塀を乗り越えて敷地に入った。
外から見た通り、しっかり管理されているのか廃工場だが殆んど荒らされておらず、窓ガラス等も壊されていない。
建物の侵入口をさぐる。
直近の普通なアルミ製ドアのノブを回してみた。
抵抗なくノブが回り、ドアが少し開いた…簡単過ぎて背筋が凍り、友人と顔を見合わせる…
少しの逡巡ののち、全員で中に入った。車に積んでいた懐中電灯で辺りを照らす。
外観は普通のスレート建屋の工場だが屋根まで吹き抜けではなく、天井が低目なので二階建ての様だ。内部は清算してガランドウが想像されたが、棚や工作機械がまばらに残り、中途半端に雑然としていた。
当然ながら人気は無い…足元や周りに注意しつつ、取り敢えず奥に進むと事務所らしい部屋と階段が有った。
部屋は空っぽなので階段を上がる…
二階は倉庫らしい広いスペースから壁で仕切られた部屋が有った。
壁に設けられた窓から部屋を覗くと、デスクやロッカー、散乱した書類やダンボール等で雑然とした事務室が有った。
中に入って辺りを見回す…特に異常は無い様だ。無為にその辺の書類など拡げてみたり…
探索としては一応、ひと通り回ったという事で、工場から出る事とした。事務室から引き返す…
その時、奥のテーブルで微かな物音がした気がした。全員が振り向く。
「!!!」
先程まで無人だったはずだが、一番奥のテーブルにナニかが背を向けて座っているのが見えた。
私の目前の友人が叫んで出口に走る。スペースが無いので私も押されて、まあ一緒に走った…階段を駆け降りる…
さほど大きな建物ではないので一気に出口まで走り、屋外まで出た所で立ち止まり、息を整える…
落ち着くと、全員が揃っていないと騒ぐ…友人の一人が居なかった。逃げ遅れたのか?少し待ってみる…
数分が経過しても出て来る気配が無いので、友人の一人が入口から大声で呼んだ。
何度か繰り返すが反応は無い。
仕方無く、再度、全員で探しに戻った。階段近くまで入った所で、不明の友人が降りて来たので合流して外に出る。
残っていた友人に経過を尋ねると…
彼の主観だと皆が何故、急に走り出すのか解らなかったらしい。事務室に現れた人物?と話をしていたら、自分を呼ぶ声が聞こえたので無意識に足を向けたという…会話の内容を訊くと、話をしていた自覚は有るのだが内容は全く覚えていないとの事だった…
取り敢えずは全員の無事に安堵して帰宅した。
その後、廃工場は、周辺の区間整理事業で再開発されて無くなっていた…
解説
枯れ尾花の正体は幽霊とかじゃなく、先客が居ただけかも?。現代社会には幽霊なんてそうそう居ませんよね~
しかし、毎度毎度なんで皆んなスグに逃げるかな〜猛ダッシュで(笑)。…つい俺も「つられて」逃げてしまうがな(爆)
当時の友人、もう何十年も会っていなくて音信不通です。
残ってた友人に関しては、当日は精気が無く、心、ココに在らずな感じでしたが、週明けには普通に戻っておりました。後から、自分の記憶を不思議がっていたのが印象的でしたね。
廃工場については、もっと詳しい情報を、と、ネットから調査してみましたが、昔の話なのでサクサクとは辿れませんでした😿
今となっては現地に赴き、ガチ調査とかしないと無理っぽいです…ある程度でも背景が判れば良かったのですがね〜
現在は、車を路駐するのも難しいと思われる商業地区となってます…
以上、お付き合い、有り難うございました✨
次回予告
「貯水池」
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2023/07/14 20:17:51