992.2の詳細発表まであと10日少しとなりました。私含めマニュアル派はMTの存続を熱望しているワケですが、本当に992後期型にMTはマッチするのか、検証してみました。スポーツカーに於いて、自分でクラッチを切ってシフトする歓びは何物にも代えがたい
カタルシスがあります。フェラーリやランボなどのメーカーがとうの昔にDCTのみとなったのに対し、ポルシェはこれまでMT車を作り続けてきました。
さて、歴代の911のパワー・トルクカーブを見る事で、992.2にどのような特性が与えられるのか、ある程度推察することが出来ます。まず、伝説のMezgerユニットを積む997型GT3から見て行きましょう。このユニットは最大415㎰と、現代の水準で言うとカレラS以下のピークパワーとなっていますが、出力特性にその魅力が見て取れます。トルクはリニアに立ち上がり、4500回転でカムが切り替わると更に
一段とトルクが出ます。5200回転くらいで頭打ちとなり、7000回転を超えるとトルクは落ち始めます。つまり、5000回転まで引っ張ってシフトアップする事でカタルシスが得られる
高回転型ユニットとなっています。NA高回転型ユニットの真骨頂と言えましょう。
一方、現行の992GT3はどうかというと、こちらも似たような出力特性となっていることが分かります。やはりトルクはリニアに立ち上がり、4500回転前後でピークを迎えます(こちらはチューニング屋さんが作ったグラフなので少々分かりにくいですが、参考までに)。やはりMezgerから4.0のユニットに代わっても、こうした出力特性(味付け)に大きな差は無い事が見て取れます。
一方、992ターボSの出力特性を見ると、
まったく異なる事が分かります。こちらは2500回転ですでにピークトルクを迎え、そのトルクは4500回転付近から落ち始めます。回せば回すほどトルクが出るというよりは、
立ち上がりのトルクが強烈で、4000回転手前で
早目のシフトアップをすることで最大効率が得られるようなユニットとなっています。GT3のユニットと違って、回せば回すほど愉しいユニットではないことが分かります。
991.2と992.1の出力特性を比べたグラフも見ておきましょう。基本的にはピークパワー、トルクこそ違うモノのターボSと同じような特性が与えられていますが、注目すべきは
5500回転くらいまでトルクの落ち込みが無い、という点です。この点に於いてはターボSよりもカレラ系ユニットの方が
より高回転型となっており、低いギアで引っ張ってもトルクの落ち込みが少ない事が分かります。現行の992.1では、カレラT、カレラS(日本ではMT未導入)、カレラGTSにMTの設定があのも頷けます。つまり、GT3系ほどではないにせよ、低いギアで引っ張るような走り方をしても
それなりのカタルシスが得られる、という事ですね。
一方、992.2GTSはeTurboと呼ばれる電動ハイパフォーマンスターボユニットが搭載されることが予想されており、従来のICEターボ車で見られた
ターボラグを解消するものと見られています。出力特性的にも、これまでのICEユニット以上に
早々にピークトルクに達することが予想されます。回転数が上がった際にどのような特性が与えられるかに注目したいと思います。これが現行カレラ寄りであればMTでもそれなりにマッチするでしょうし、ターボS寄りならPDKの方がマッチするでしょう。この辺が最終的にポルシェが992.2GTSをPDKのみの設定にするのか、MTを残すのかの一つの判断材料になるのではないか、と思います。
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Posted at
2024/05/17 08:59:28