【Haltech】走行中のEACV開度の調整(疑似4スロットル化)
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
12時間以上 |
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Haltech Elite 750 にて、走行中(アイドリング領域以外)のEACV開度をコントロールしていきます。
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ご存じの通り、EACV(ISCV)はアイドリング領域の空気量を調整するバルブです。
では、走行中は何をしているのか?
通常のフルコン制御としては、アイドリング領域外の条件の場合は、オープンループで指定した開度(Duty)で待機、というのが普通かと思われます。
※NAの場合。過給機はまた別の要素があります。
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アンチラグ制御でEACVを2次エアバイパスとして使う場合は、アイドリング領域外の走行中はEACV開度を主に100%を維持します。
これが結構なレスポンス、アクセルの「ツキ」を生み出します。
ド派手なアンチラグ制御までは使わずとも、EACVをMTRECの3連スロットルに加えもう一つのスロットル、つまり疑似4スロとして活用するという手法が、一部の変態さんの間で話題になっております。
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という事で、設定の前にスロットルボディを改めて観察して、空気の通路をおさらいします。
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まずは、エアクリーナー側です。
吸入口からスロットルボディを経由してEACVを通過、その後スロットルボディに戻ります。
口径は、吸入口8ミリくらい、EACVは7ミリくらいでしょうか。
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スロットルボディの向きを変え、インマニ側です。
EACVを通過後、スロットルボディインマニ側の溝に繋がります。
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インマニ側の溝の構造。
溝を経由して1番2番3番スロットルおよび、ブレーキブースター配管へ繋がります。
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溝とスロットルの接続部。
側面に穴が開いており、ここからメインスロットルへと接続されます。
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アジャストスクリューおよびブレーキブースター配管も見てみます。
エアクリーナー側に、アジャストスクリュー用の穴が用意されています。
ここはEACV等の電子デバイスを通過しませんので、スクリューを回して「電子デバイス(EACVとECU)の制御範囲に調整する」という作業をしたりしますね。
整備書に書いてあるアレです。
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スクリュー通過後は、ブレーキブースター配管と共通になっており、その後各気筒に分配された溝と接続されます。
フルコンの場合は、スクリューでECUの設定に近づけるのか、ECUの設定をスクリュー開度に近づけるのか、の二つの選択肢が発生しますが、エンジン仕様によっては両方とも調整します。
ハイチューンエンジンの場合は、アイドリングで必要な空気量が断然多くなりますので、スクリュー開度を上げてベースとなる空気量を増やした後、EACVコントロール用のオープンループテーブルを作成します。その後クローズドループ制御で仕上げます。
ベース空気量は増やさなくてもECU側のDuty調整だけでアイドリング出来る場合もありますが、増やしておかないと冬場の冷間始動時の空気量がEACV開度100%でもまったく足りず、アクセルペダルを煽らないとエンジンが掛からない車両が完成します。
ノーマルECUのままエンジンを弄り倒した車両に良くありますよね?
いやまぁ何だってエンジン掛かればいいんですけどね。キャブ車は気合でスロットル煽って掛けてるわけですし。
ビートはキャブ車ではなくて、インジェクションの「完全電子制御車」なのでどうなの?って話ではありますが・・・
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さて、前置きが長く、しかも話が脱線しましたが、Elite 750(NSP)で実際に疑似4スロ設定していきます。
Elite 750はアンチラグ制御非対応で困ったのですが、丁度良いテーブル(機能)がありました。
Engine Functions > Idle Control内の「Throttle Follower」機能を使います。
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「Throttle Follower」を有効にすると、「Throttle Follower Target」テーブルと「Throttle Follower Decay」テーブルが現れます。
画像左の「Throttle Follower Target」の入力値はベースEACV開度の「オフセット値」になります。
スロットル開度「0%」の時は、オフセット無し、つまり「0」の値を入れます。
エンブレを緩くしたいなどの場合はオフセット値を増やしても良いでしょう。
後は、スロットル開度の上昇に合わせて、オフセット値を増やしていくだけです。
スロットル低開度でEACVが大きく開いてしまうと、巡行時にギクシャクしますし、スロットル高開度になるまでEACVが仕事をしないと、レスポンスアップの目的が失われてしまいます。
オフセット値の調整はもちろん、テーブルの軸も弄り倒して、丁度良い塩梅を狙います。
利きの好みもあると思いますので、モザイクで申し訳ございません。走りながら探ってみて下さい。軸は参考になりかも???
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画像右の「Throttle Follower Decay」テーブルは、スロットル開度が戻った時に、ターゲットテーブルのオフセット値がベースEACV開度に戻るまでのディレイとなります。
カンの良い方ならお気づきかと思いますが・・・ターゲットテーブルを利用してスロットル開度ゼロ付近EACV開度を大きく取ったり、ディレイテーブルでスロットルオフ後、しばらくEACVを開いたままにすれば・・・
アンチラグ(バブリング)用の二次エアバイパスの完成です。
この辺の裏技的な使い方は、別の整備手帳に書くかもしれません。
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ログです。
「Throttle Follower」無しの空ぶかし。
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「Throttle Follower」有りの空ぶかし。
ログですと分かりにくいですが、回転の上昇が鋭くなっています。
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走行中のログ。
スロットル開度に合わせて、Throttle Follower OUTの値が変動、Idle Out(EACV開度)が動いている事が確認できます。
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アイドル状態から、「ポンっ」とアクセル入れた時の吹けは、別物の様に良くなりました。
走行時も、アクセルのツキが良いです。
一度「Throttle Follower」の機能を殺すと良く分かります。だるくてもう元の設定には戻せません。
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何故こんなにもよくなるのか。
メインスロットルが36φ×3連に対して、EACV吸入口はたかだか8φです。
面積比にして、5%の違いもありません。
しかし、体感は5%以上の仕事をしていると思います。
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もう一度、EACV通路とスロットルの合流部の写真です。ついでにバタフライ半開きです。
ここからは完全な妄想ですが・・・
合流部はバタフライ通過後の真横に空いてます。
丁度、バタフライが邪魔して空気の通路を塞ぐ場所になります。
そこにEACVからの空気が流入すると・・・負圧が発生してEACVの口径以上の仕事をするんじゃ???なんて思ってます。
バタフライ式とスライド式スロットルの利点欠点は皆さんご存じだとは思いますが、バタフライ式の弱点を補う形状をしているような気がしてきました。
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