![好きなコピペ 備忘録…ひこにゃんversion追記 好きなコピペ 備忘録…ひこにゃんversion追記](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/047/149/251/47149251/p1m.jpg?ct=96527eea7992)
出刃包丁持った猫が、俺に包丁を突きつけてきた
『おかねちょうだい』
「お金?いくら?」
『さんぜんえん』
「いいよ。はいどうぞ」
『かたいのもほしい』
「小銭のこと?全部持てるかな」
「何買うの?」
『カリカリ。いっぱいかう』
「そっか。でもお店遠いよ?一緒に行く?」
『…いく』
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「包丁は重いから置いておきなよ。後で取りに来ればいいから」
『うん』
「カリカリいっぱい買えて良かったね」
『…うん』
「重いでしょ?それずっと持って歩くの?」
『…おもいの』
「家に置いておく?好きな時、取りに来ればいいじゃん」
『…うん』
「外寒いよ?帰るの?」
『・・・』
「泊まる?」
『・・・そうする』
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『…おい。しっかりしろ』
寒い寒い風の吹く、冬の日だった。
お腹がすいて草むらにへたり込んでいた僕に、1匹の猫が声をかけて来た。
『ちいさいな…おまえ、母ちゃんやきょうだいはどうした』
「…わかんない。いつのまにかひとりになってた」
『そうか…。どこか行くあてはあるのか』
「……ううん」
『……』
「……」
『…おい、ちび。包丁は持っているか』
しばらくの沈黙のあと、その猫は僕に言った。
「?」
『持ってないのか…なら、これをつかえ』
そう言って彼は、一本の小さい包丁を取り出した。
ちょっと古ぼけてはいたが、それでもきらりと光っていた。
『おれは…もう、つかえないから』
彼は、ちょっと寂しそうにそうつぶやいた。
よく見ると、彼のからだはうっすらと透けているように見えた。
『いいか、これからおしえるにんげんのいえへ行け。そしてこの包丁をだして、今からいうとおりにしゃべるんだ。』
『しっかりおぼえろよ。…』
僕は彼から教わったとおりに、人間の家へ行ってこう言ったんだ。
「かっ…かねをだちぇ!」
…その後のセリフを上手く言えたかは、あまりにもハラペコ過ぎて正直よく覚えていない。
人間は最初目をまあるくして、そのあと目からぽろぽろ水を出して僕の頭をわしわしなでてくれたのは覚えている。
きみにはまだカリカリは早いな、かんづめとミルクだねって言って、いっしょにお店へ行ってくれたんだ。
…僕はそのまま、その家の猫になった。
風のぴゅうぴゅう鳴る音を聞くと、あの時のことが思い出されてふっと振り返ると、あの猫-先代猫が、小さな四角い枠の中ですまして座っていた。
あの時もらった包丁は今も、大事に手入れして持っている。
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2023/08/14 11:19:25