• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2022年10月24日

空気と空気の狭間に!

空気と空気の狭間に!

富士スピードウェイで3年振りの開催となったジャパン・ロータス・デイでのワンシーンだ。
パドックを通り掛かると,往年の名車ロータスで農道を疾走していそうなおっちゃん二人組。

A:また随分とデカい羽根を取り付けたでねぇの。公道でも目立ってしょうがなかっぺ?
B:いや!以前はサービスエリアでも周りに野次馬ができたけど,コレ付けてからは誰からも見向きもされなくなった。
A:なして?
B:GTウイングはド迫力だけど,他人から見たら族車のイメージがあって興味ないんでねぇの?
A:んだね。

さすが!この界隈(富士SW)で繰り広げられた初日の出暴走を知るオジ様たちだ。
今では暴走族を見掛けなくなったが,重低音のマフラー・シャコタン・ウイングは族車の三種の神器。
自分たちなりのドレスアップのつもりだろうが,どうも下品でカッコ悪い。
自動車に限らず,戦闘機,新幹線などの空力を考慮した流線形を人は生理的に美しいと感じるものだ。
ところがウイングは,逆に空気抵抗を受けることが目的。
気流を整流するスポイラーとは違い,スタイリングの観点からすればただの異物でしかない。
すなわちトータルデザインを損ねるだけのパーツなのだ。

しかし,速く走ることを宿命づけられたクルマには,スタイリングよりも空力特性を考慮したマシンが必要になる。
その美しさで知られるアルピーヌのチーフデザイナーは最後まで反対したらしいが,A110SアセンションモデルやRモデルには掟破りのウイングが標準装備される。
これは取りも直さずアルピーヌが市販車にもウイングによるダウンフォースが必要だと認めた結果だ。
このダウンフォースに早くから着目していたのがロータスだった。
1968年のロータス・49BではF1に初めてウイングの概念を持ちこみ,1976年のロータス・78でその後のグラウンドエフェクトカー(ウイングカー)の時代を切り拓く。

ところが,ダウンフォースをあまり必要としない高速サーキットでは,大きなウイングは空気抵抗以外の何物でもなかったのだ。
そこで1983年に姿勢制御をウイングやスプリング&ダンパーに頼らず,コンピューターでサスの伸び縮みをコントロールする画期的なアクティブサスペンションを発案。
これをロータス・92に搭載した。
その後ロータスが試行錯誤で悪戦苦闘する中,このシステムをパクって,いち早く完成させたのがウィリアムズだ。
「誰が乗っても勝てる」と称された1992・93年のFW14BとFW15Cでは実に32戦中30回のポールポジションで席巻する。

これに業を煮やしたFIAは,突如レギュレーションでアクティブサスを禁止し,思惑通りにウィリアムズと2位以下との差は縮まった。
しかし,代償はそれだけでは留まらず,ウィリアムズはノーマルサスのセッティングに苦しんだ挙句にイモラの地でアイルトン・セナを喪ってしまう。
コーナー進入速度が速過ぎて危険だからと禁止したことが,逆に仇(あだ)になってしまった悲劇である。

今シーズンF1で問題になっているドライバーに健康被害を与えるポーパシング現象も,アクティブサスがあれば解決する。
しかし,人間の限界を超えたコーナー進入速度や信頼性の低さなど山積する問題を解消するまでには至っていない。
市販車への転用もシステムによる重量増や高騰化で普及が進まないのが実情だ。

だから今の主流は,未だに1970~80年代に掛けて一世を風靡したグラウンドエフェクトカーである。
平たく言えば,車両底面の気流を利用したディフューザーによるダウンフォースをより多く得るために車高を低くする。
低くし過ぎると足が硬くなり,僅かなピッチングでも宙に浮きコントロール不能となるので,車高を確保してウイングによるダウンフォースで補ってやるのが一般的だ。

私は直線番長ではないので,加速力やトップスピードを犠牲にしてでもコーナリングスピードを優先した走りが好きだ。
これはまさしく,ウイングによる功罪に適ったもの。
但しそれはサーキットでのベタ踏みではなく,ナンバープレートを付けて出掛けるワインディングロードでの話だ。
すなわち最低地上高9センチ以上でフラットな路面でもなく,コーナー進入速度も100キロ以下なので,ディフューザーの効果すら怪しい。
ましてやウイングによるダウンフォースの介入など必要としない。
だからウイングを付けるとしたら,それは単にドレスアップのためだけだろう。

一気に車両のイメージを変えることができるGTウイングは,クルマのデザインに大きなインパクトを与える。
それを好むか?好まざるか?は個々の感性に委ねられるが,もしもカッコイイのを検討してても,決して奥さんや恋人に相談してはならない。
なぜならば,電光ナンバー・ムートン・長いシフトノブと同類だと思われるのが落ちだっぺ?


IMG_3251.jpg

ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2022/10/24 12:00:29

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

惜しいゾロ目99199
のりパパさん

空の巣症候群
blues juniorsさん

しっかり夕食
giantc2さん

新幕登場
ふじっこパパさん

ポッキリナイケン〜グダグダ東京行く ...
Zono Motonaさん

8/22(金)今朝の一曲🎶エミネ ...
P・BLUEさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

きりぎりす(旧GRASSHOPPER)と申します。 ここ10年ほどで,やっと実用性0(ゼロ)のセカンドカーを持てるようになりました。 サルはエクスタシー...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3 456 789
10111213141516
17 181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

岡谷のうなぎとニッコウキスゲ (後編) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/12 06:11:10
スイッチラベルの自作 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/05/26 09:25:32
スーパーセブンとエリーゼ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/04/13 10:54:56

愛車一覧

ケータハム セブン480 ヴァイパーブルー (ケータハム セブン480)
480R(LHD 5MT)に乗っています。 ★Open top ☆Wheelbase- ...
ロータス エリーゼ ファイアーレッド (ロータス エリーゼ)
ELISE 220Ⅱ(LHD 6MT)に乗っています。 ★Targa top ★Whe ...
アバルト 695 (ハッチバック) ブルーラリー (アバルト 695 (ハッチバック))
695 TRIBUTO 131 RALLY(LHD 5MT)に乗っています。  Hat ...
アルピーヌ A110 ブルーアルピーヌメタリック (アルピーヌ A110)
A110 PREMIERE EDITION(LHD 7DCT)に乗っています。  Co ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation