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きリぎリすのブログ一覧

2026年10月23日 イイね!

セブンと過ごす,熱い夜

セブンと過ごす,熱い夜

八ヶ岳南麓・清里に,天然キノコの収穫期だけオープンするフレンチレストランがある。
毎年一回,このロマンチックなお店で先輩と落ち合い,会食する。
むろん,彼とはそういう関係ではない(汗)

ところで,この会食と私の愛車は何故か相性が悪く,いつも何らかのトラブルに見舞われる。

2年前はアルピーヌのエアコン・ガスが抜けて,渋滞で移動式サウナ。
昨年はセブンが緊急入院となり,急遽代車で駆けつけた。
今年は先日セブンが積載車で運ばれ嫌な予感がしたが,バッテリー交換で無事復活。
そうなれば,今年こそセブンの出番である。

やはり秋空の高原にはセブンが似合う。


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高原の空気,美味しい料理,弾む会話───
近況や仕事の話に始まり,いつしか話題の中心はこの1年の恋バナへ。
人生の酸いも甘いも語り合い,心もお腹も静かに満たされる。

ああ,なんて至福なひと時なんだろう。
この幸福が永遠に続くなら,人生に何の不満があろうか。

だが,いつまでも夢うつつでいるわけにもいかない。
気を引き締め,帰りのロングドライブに備える。

さいわい中央道は順調だったが,やはりセブンでは寒風が身に染みる。
そこで,普段ならオープンカーでは絶対に入らない,首都高,常夏の山手トンネルで暖を取ることに───


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ところが,わずか5分後。
プス…プス…プスッ…
エンジンが息をつき始め,ついには力なくストール。

えーマジか!先週に続き,またかよ!しかも山手トンネルで2年連続受賞。

天国から地獄とは,まさにこのことだ。

壁際にギリギリ寄せたものの,深夜の大型トラックやルーレット族が,猛スピードでビュンビュン通り過ぎていく。
怖い,暑い,走馬燈のタービンが焼きつくほど回る。

トンネル内は40℃,額に汗が浮かぶ。
冷や汗なのか,脂汗なのか,単なる暑さなのか,もはや脳ミソまで茹で上がって思考力ゼロ。
そろそろ食べごろの毛ガニである。

非常電話の受話器を上げると向こうから,他人ごとのように「どうされましたかー?」。

ほどなくして黄色い首都高パトロール隊が到着し,パイロンを並べ,発煙筒を100メートル手前から惜しげなく投入する。
水まで差し入れてくれて,ありがたい。
だが,暑い。

続いて,JAFで積載車を手配していたが,それとは別の首都高レッカー車が来た。
一刻も早く本線から故障車を強制撤去したいらしい。
最初は素直に話を聞いていたが,車高の低いセブンを吊ると擦る可能性があると説明され,同意書にサインを迫られる。
命の危険にさらされながら,愛車を傷つけられるリスクも自己責任で,なかなかハードな契約社会である。


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泣く泣くサインをしようとしていたら…
ジャジャーン!間一髪でJAFの積載車が到着。
ヘッドライトの光の中から隊員の姿が現れた瞬間,神様に見えた。

手際よく積載車にセブンを載せ,地底の魔窟から救出してくれた。
真夜中,帰宅手段のない状況で,積載車の助手席に乗せられた私は,合コン帰りで逃げられない送りオオカミ状態。
首都高レッカー隊から救ってくれた恩もあって,5分も経たず友人以上の感情を抱き,このまま体を許してもいいとさえ思った。

先ほどまで恋バナに花を咲かせていた男のハートは,その夜,JAFに射抜かれた。
恋愛に必要なのは,容姿でも会話でもない。積載能力なのだ。

セブンはしょっちゅう故障するが…
どうやら,人の理性までも壊してしまうようだ。


Posted at 2026/10/26 12:39:28 | コメント(9) | トラックバック(0) | クルマ
2026年10月14日 イイね!

走る悦び,押す苦労

走る悦び,押す苦労

高速道路で膀胱の警告灯が点くことがある。
しかし,急いでいると,トイレ休憩は先延ばし。
ところが,そんな時に限ってその先の渋滞にハマるのだ。
次の出口は見えるのに,人生の出口が遠のく瞬間である。

人間は限界が近づくと,現実から目を背けるらしい。

先週末のことだ。

目的地までは,あと50キロ。
燃料計の針は,微妙な位置だった。
お目当ての閉店時間は迫っている。
途中で給油すべきか,このまま行くか。

こんな田舎でガス欠になれば,JAFを呼んでも何時間待たされるか分かったもんじゃない。
幾多のトイレ経験で学習した私は,手前のインターで降りてスタンドを探した。

ガス欠は免れたが,途中から一般道だったので閉店には間に合わなかった。
100キロも走ってきて,燃料だけ入れて帰る。
いったい何しに来たのか?
クルマ版の無駄足選手権があれば,優勝候補である。

目的は叶わず,さっさと帰るつもりだった。
だが,日没後の高速走行でセブンに待ち受けているのは耐寒試験。
日が差せば暑く,日が落ちれば冷える。
まるで砂漠を旅するキャラバンだ。

そこで走行中も後付けした温度計を眺める。
気温は分かる。寒さも分かる。
しかし,どうすれば暖かくなるかは教えてくれない。
実に高性能な役立たずである。

そのときふと,すぐ下に表示される電圧計が気になった。
電圧が下がってきている。
少しずつ,しかし確実に。
やばい!

ガス欠を避けたと思ったら,今度はバッテリー上がりか?
燃料はあるのに,電気がない。
アポロ13号は酸素タンクの爆発事故で電力不足に陥り,それでも無事地球への帰還を果たした。
私はNASAの乗組員さながらに,決死の覚悟で自宅を目指した。

なんとか地元まで戻り,あと少しと安心したのも束の間。
信号待ちで,ついにエンジンストール。
セルすら回らず,完全に沈黙。
自宅目前で,まさかの帰宅難民である。

泣く泣く路肩までセブンを押し始めた。
ところが,後続車からはクラクションの嵐。
行き交う人たちはスマホを構える。
さっきまで誰も見向きもしなかったのに,止まった途端に野外イベントに早変わり。
都会では人助けより,困っている映像のほうが価値があるらしい。

威嚇のためのクラクションは,道交法違反だろ?
勝手に撮影したら盗撮じゃないの?
いや待てよ。
撮影する側にしてみれば,これはスクープなのかもしれない。
いやいや,勘違いするな!
俺はクルマ泥棒じゃねーって!
盗む気があったら,こんな目立つクルマは選ばない。

JAFを待つ間,思った。

道路ではクルマが走っていても無関心。
止まっていれば事件。
押していれば犯罪なのだ。

都会の人間は日常に潜む刺激に飢えている。

Posted at 2026/10/23 11:01:40 | コメント(23) | トラックバック(0) | クルマ
2026年09月13日 イイね!

スニーカーを洗う眠れぬ夜

スニーカーを洗う眠れぬ夜

手術を終えた友人が,通院以外は退屈しているというので,会いに行くことにした。

オペ後に無理はさせられまいと,思い描いたのはお洒落なカフェでの,のんびりトーク。

ところが,本人曰く…
歩いて,歩いて,また歩いて───散歩2万歩が日課らしい。
血行促進のためだという。

優雅にお茶を飲むはずが,何と市内耐久レースの伴走者!

買ったばかりのお洒落なクツは早々に断念。
形崩れして捨てるつもりだったスニーカーを,まさかの現役復帰。

それを引っ張り出し,半べそで洗いながら思う。

形崩れとはいっても,これってオレの足の形なんだよな。
まぁ,オーダーメイドということにしておこう。

Posted at 2026/10/14 20:23:59 | コメント(13) | トラックバック(0) | 日記
2026年07月26日 イイね!

二つの国民

二つの国民

イスラエルの戦闘がやまない。

かつて,アウシュビッツから生還したユダヤ人の歴史家イェフダ・エルカナは,こんな言葉を残している。

アウシュビッツの灰燼(かいじん)からイスラエルには二つの国民が生まれました。
一つは「二度とこのようなことが(誰にも)起きてはならない」と主張する少数派。
もう一つは「二度とこのようなことが自分たちに起きてはならない」と主張する多数派です。



一方,被爆国となった日本は,一貫して核兵器のない世界を目指す声が多数派を占めた。
非核三原則を国是に掲げ,核廃絶を訴え続け,日本の平和主義を世界に示してきたのだ。

ところが,ここにきて風向きが変わりつつある。

「持たず」,「作らず」,「持ち込ませず」のうち,最後を「撃ち込ませず」へと発想の転換を図ろうというのだ。
抑止力の名のもとに非核三原則を形骸化させ,かつては少数派だった米国との核共有の動きが活発化してきた。

安全保障上の脅威は疑いようのない事実だ。
だが,その答えを核だけに求めるのは,歴史から学ばない者の短絡的な発想である。

はたして日本は「誰にも起きてはならない」という国民であり続けるのか?
それとも「自分たちに起きてはならない」という国民になろうとしているのか?


Posted at 2026/08/04 11:23:26 | コメント(13) | トラックバック(0) | ニュース
2026年07月17日 イイね!

小さなFD

小さなFD

後輩と広島出張。

普通なら,「原爆ドームを見よう」とか「お好み焼きを食べよう」となるのだろうが,車好きコンビの発想は違う。

「せっかくの広島だ。昼までは予定もないし,マツダミュージアムへでも行くか!」

ところが,検索してみると,見学は事前登録制。
それも2日前までときた。
あっさり撃沈である。

すると後輩が突然スマホを取り出した。

「電話で直接交渉してみます」

諦めるというアシスト機能が故障している男らしい。

数分後…

「ボス,午後なら欠員が出てます」と勝ち誇った顔。

カスハラ…じゃないよな?
仕事の約束よりロータリーエンジンを優先するのは,社会人としてどうかと思うが(汗)

もっとも私も揺れていた。
♪あれもしたい♪これもしたい♪もっとしたい♪もっともっとしたい〜
綾瀬はるかが,「あれもこれも諦めなくっていいんじゃない?」と語り掛けてくる。

だが結局,その日は前夜の飲み過ぎで,二人とも腹がゆるかった。
夢のマツダミュージアム。
差し迫るトイレ事情。

そこで,見学自由の展示スペースとオフィシャルショップが併設されたマツダ本社ロビーへ向かった。
むろんキレイで安心快適なトイレ完備。

するとショップで後輩が固まった。

もよおしたからじゃない。
視線の先にはFD(RX-7)のミニカー。
しかも,最近フルレストアしたばかりの彼の愛車と同じグレード,同じ色。

ミニカー好きなら分かるはず。
同じ車種,同じ仕様,同じ色となると,これはもう一期一会か運命か。

私は思わず購入し,後輩に渡した。

いい歳をした大人なのに,彼はガンプラを買ってもらった子供みたいな顔で喜んだ。
彼は日ごろ,レアな私のクルマのミニカーを見つけると買ってきてくれる男だ。
たまには私が彼を喜ばせる順番だ。

結局,我々が広島で得たものは,マツダミュージアム見学でもなければ仕事の成果でもない。
飲み過ぎた中年二人と一台の小さなFDである。

そして,最後に本社前で記念撮影。

満面の笑みを浮かべる彼を見ながら思った。
仕事では,偉そうに教えることの方が多い。
だが,人を喜ばせることの大切さは,案外こちらが教わっているのかもしれないな…


Posted at 2026/07/23 09:29:14 | コメント(12) | トラックバック(0) | クルマ

プロフィール

きりぎりす(旧GRASSHOPPER)と申します。 ここ10年ほどで,やっと実用性0(ゼロ)のセカンドカーを持てるようになりました。 サルはエクスタシー...
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