
残価設定クレジットで車に乗るにも善し悪しがあるのは当然のこと。これは残クレで買わないほうがよかったという話。
それまで乗っていた車種が後期型へとマイナーチェンジをして、数々の改良点がとても魅力的に映った。下取り査定額も悪くなく、これまでの通常ローンから残債を乗せて5年の残クレでの購入をセールス氏から提案された。月々の支払額にだけ目が行き、頭金も僅かでありながらあまり負担にならない金額であったのでこれくらいなら余裕で支払っていけるということで嬉々として契約したのであった。
それから2年半の月日が経ち、走行距離は5万kmを越えてしまった。走り過ぎて制限距離オーバー。車体はブツけていないし小綺麗にして乗っていたが雹にやられルーフとエンジンフードに小さな凹みが数カ所ある。タッチペンで補修した飛び石キズもある。査定額は残価を大きく下回っただろう。初回車検の時期が近づいてきて、残クレ期間はもう2年あるけど車両の残存価値を考慮するとセールス氏は当然乗り換えを勧めてくる。消費税は8%から10%になる。ディーラー勤務だったから、他メーカーの車に乗り換えるという選択肢は無い。じゃあ自社扱いの他の車種は?→特に欲しいと思える車がない!乗りたくもない車にこれからもお金を払って乗るのも、今の車から格下の車種へ乗り換えるのもヤダ。それどころか今の車は大変気に入っている、ということで、そのまま初回車検を受けてもう2年乗り続けることにしたのだが・・・。
そして5年目、乗っていた車種はフルモデルチェンジして例に漏れず車両価格が上がってしまった。良いクルマだと思うが食指が動かなかった。折しも新型ウィルス感染症だとか半導体不足の問題が始まりだして新車の納期も不透明な状況になりつつあったし欲しいクルマも無かったのでやっぱり乗り続けることにしたのだが、残クレ期間の満了後に購入したディーラーで再クレジットを組むとなると、金利手数料は上がってしまう。利用した残クレでは2.9%だったが、再クレジットとなると4%以上となる。アホくさぁぁぁーと思えたので、某金融機関でマイカーローン(1.9%)を組み、ディーラー向きには一括返済の形で車を買い取った。ディーラー勤務ならメーカー系のクレジット会社でローンを組むのが通常で、しかもその時は営業職に就いていたので乗り換えもしないことでとても叱られた。しかしそれをダメだというルールはない。営業成績は褒められたものではなかったけど自爆営業ダメ、ゼッタイ!開き直って平謝り(笑)
さらに1年が経ち、いろいろあって勤めていたディーラーを辞めた。ローンを組みなおした某金融機関には退職したことがバレてしまい、ローンの打ち切りを言い渡され残債を一括返済した。少しながら退職金を貰ったのでなんとかなったけど、正直痛手であった。しかし月々の支払いが無くなったので清々しい気持ちである。そして引っ越しもしたので車検証の住所変更をしようと自分で手続きを進めたのだが、車庫証明まではできたものの残クレ購入故に車の所有権がディーラーであったために自分だけでは出来ず渋々手数料を払い所有権解除と同時に住所変更の手続きを依頼してやってもらった。
現在、仕事や生活の状況はあの時と変わり、車を乗り換えなくてよかったと思うと同時にマイカーへの愛着もより増している。結果として残クレで車を購入したのは失敗だった。車を返却するなどどこかで断ち切らないといつまでも金利手数料が余分に乗った支払いを続けることになるし、自分のように走行距離が伸びてしまう使い方だとたとえ残価が高かろうがどうしても損である。また、駐車場所が樹液や鳥フンにやられやすいだとか融雪剤や海水による塩害を受けやすいだとか火山灰を被りやすいなどといった環境的・地域的にリスクが高い場合やペットを乗せて走るというのも要注意だ。万が一のこともあるから、車両保険も万全の内容で加入したほうが安心である。
そして残クレ期間が終わる3年後ないし5年後、次に乗りたい車があるかどうか。クルマ好きな人なら重大な問題であろう。SUBARUのようにラインナップが少なくSUV偏重のメーカーだとライフスタイルや心境の変化に応えられる車があるとは限らない。昨今は同じ車種でもモデルチェンジの度にどんどん価格が上がっていく。庶民的な銘柄だと思っていた車種が高級車並みになっていたなんてことはザラにある(逆に安くなることもない)。さらに付けたいオプションを選べばなんだかんだで結構な金額になる。そうすれば必然的に月々の支払額は増えていく。働く日本人の可処分所得は物価上昇と連動して思うようには上がってはいない。だからと言って格下ランクの車種に乗り換えることに抵抗のある人は少なくないだろう。残クレサイクルのお客様の乗り換えを見ていると、乗り換えるクルマがどんどんグレードダウンしていく例も少なくなかった。本人が納得しているのならよいのだが…
また、納期が不透明な状況が続いている(2023年1月時点)ので現在は満期1年前には検討を始めなければならないが大抵のお客さんはまだ早いと言ってスイッチが入らないと現役のセールスが嘆いていた。確かに、残クレで契約を取るとポイントは高いからゴリゴリ勧めたいんだけどね、新車1台売れても残クレ契約を取れなければ詰められるような業界。さらに残クレto残クレで代替に成功すれば褒めてもらえる。しかし少しの間だけ売り手も経験したけど残クレという支払方法を勧めるときにどこか後ろめたい気持ちがあったのは事実。胸にSDGsのバッジを誇らしげに着けながら残クレで顧客の乗り換えサイクルを支配しようとするディーラーの考え方には最後まで賛同はできなかった。
以上、これは全部私ぺんこさんの経験談である。今はネットなどでメリット・デメリットがちょっと調べてみれば直ぐわかるだろうからこれから車の購入を検討している方はセールスから提案されてくる月々の支払金額に惑わされずに自分の乗り方使い方を勘案しつつできるだけ損のないスマートな買い物をしてほしいと思う。残クレはあくまでも販売店の顧客囲い込みと良質な中古車タマ数確保の方策の一つであり、気軽に新車に乗れる夢のプランではないと思う。昔あったマツダ地獄じゃないけど、次回の購入は他のメーカーや販売店で…となれば要らぬ気苦労や負担が発生するかもしれない。あなたが今乗っているクルマは再販するための商品資源としてマークされ、下取り入庫率も営業の指標の一つとして設けられているのでセールスは必死だ。
良くない話ばかり挙げたけど、逆に人によっては最良の購入方法でもあるということも否定はしない。定期的に新車に乗り換えたいという人はもちろん、免許返納が視野に入っている人なんかにも良い選択肢かもしれない。
え、現金一括で買う方が悩み無いって?私はそこまでお金持ちじゃないのでクルマばかりにお金使うわけにはいかないわけで出来るだけキャッシュは残しておきたいじゃん?私は気に入ったクルマを買う時は頭金の支払いを頑張って5年くらいで完済して骨の髄まで愛して乗り潰すほうが性に合っているようだ。
【2024.8追記】
どういうわけかこの残クレのブログが私が投稿したすべての記事の中で閲覧数が伸び続けています。駄文乱文ですが最後までお読みいただきありがとうございます。新車の価格もひと昔前と比べると随分と高くなりました。収入が右肩上がりならよいのですが、例えば同じ車種を乗り継いでいくことのハードルは上がっているように感じます。そんな中で残価設定クレジットという買い方についてユーザーの関心が高いのであろうと推察します。一部の人気車種では残クレでないと値引きしないとか納期がかかるとか販売条件になっているという話も聞きます。私は決して残クレというものを完全否定しているわけではありませんが、一つの経験談と考え方ということでこれから残クレの利用を検討される方の参考になれば嬉しく存じます。
↓ずんだもん末路ストーリー
https://www.youtube.com/watch?v=JfXPgXbxit0
残クレの他にローンやリースも取り上げていますが、動画の内容と同様なことが結構ザラにあるので笑えない…。
ブログ一覧 | クルマ
Posted at
2023/01/23 01:37:10