きょうは某大手添加剤販売会社の方とお話する機会をいただきました。
世界に4社しかない総合DIパッケージメーカーのうちのI社の製品を扱う会社です。
お話したその方の前職がアフトンケミカルっていう会社で、これも上に挙げた4社のうちの一つ。
私のような素性の知れないド素人からの問い合わせに対してすごい人が担当してくれたものです。
そんでお話の目的は添加剤の仕入れだったのですが、ドラム缶の荷姿(200L)じゃないと売れないよってことで最初の2分で結論が出て終わりw 自分の規模じゃそんなに要らんし、買えんわ。
その後の30分は単なるオイル談義に花を咲かせることになったのですが、その中で興味深かったのがエステルに関するお話。
私が正直に「エステルに対しては否定派の立場です」と前提を明らかにしてから深く質問していったのですが、その私の疑念が誤解だった部分もあり、新しい知見を得ることができましたのでここでシェアしとこうと思います。
エステルのデメリット
・加水分解する → その通り
・モリブデンの被膜形成を阻害する → 概ね誤解
└ エステルが持つ電気的吸着の極性が発揮されるのは低温域。対して、モリブデンが被膜を形成をするのは通常80℃を超えてから。
・エステルの吸着効果が作用するのは低温域のみ。→ドライスタートを防止
└ 一方で、温度が上がった後は金属表面から剥がれ落ちる。(だから実際にはモリブデンとはあまり喧嘩しない)
「じゃぁエンジンが温まった状態ではエステルは何をしているんですか?」
「ただオイル内で浮遊しています」 ←エエエェ(´Д`;;)ェエエエ
でも潤滑作用自体が消えるわけではないので、酸化しにくい質の良いオイルとして存在しているような状態か。
だから少量の添加量で十分なんだね。
そして入れすぎても特に良いことも無いと。
なるほど、理解が深まりました。
「二硫化タングステンなら低温域から摩擦低減効果が発揮されるし高温域ではそれにプラスして極圧効果が発揮されるので、これ一つで賄えるって理解で大丈夫ですか?」
「そうですね」
「やっぱり」
ちなみにIF-WS2はこの会社が売っているものなので、日本で出回ってる無機フラーレン二硫化タングステンは全部ここが出所とのことでした。
いやぁ業界内部を知れるって楽しいね。

「アルキルナフタレンにも電気的な吸着効果を持つ性質がありますが、エステルと比較してその吸着効果が強い/弱いっていうのはあるのでしょうか?」
↓
「アルキルナフタレンと言うかナフタレンはベンゼン環が2つくっついた構造をしていて非常に強固で安定性が高いが、エステルとは分子構造から違う。そして吸着効果については結論から言えばエステルの方が段違いに強い。」
なるほど、多少は効果は似ているけど完全にエステルの代用という訳にはいかないのですね。
Posted at 2024/07/30 17:12:43 | |
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