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ukiponのブログ一覧

2024年07月30日 イイね!

エステルの誤解を解く

きょうは某大手添加剤販売会社の方とお話する機会をいただきました。
世界に4社しかない総合DIパッケージメーカーのうちのI社の製品を扱う会社です。

お話したその方の前職がアフトンケミカルっていう会社で、これも上に挙げた4社のうちの一つ。
私のような素性の知れないド素人からの問い合わせに対してすごい人が担当してくれたものです。

そんでお話の目的は添加剤の仕入れだったのですが、ドラム缶の荷姿(200L)じゃないと売れないよってことで最初の2分で結論が出て終わりw 自分の規模じゃそんなに要らんし、買えんわ。

その後の30分は単なるオイル談義に花を咲かせることになったのですが、その中で興味深かったのがエステルに関するお話。

私が正直に「エステルに対しては否定派の立場です」と前提を明らかにしてから深く質問していったのですが、その私の疑念が誤解だった部分もあり、新しい知見を得ることができましたのでここでシェアしとこうと思います。




エステル分子式
エステルのデメリット

・加水分解する → その通り

・モリブデンの被膜形成を阻害する → 概ね誤解
 └ エステルが持つ電気的吸着の極性が発揮されるのは低温域。対して、モリブデンが被膜を形成をするのは通常80℃を超えてから。

・エステルの吸着効果が作用するのは低温域のみ。→ドライスタートを防止

 └ 一方で、温度が上がった後は金属表面から剥がれ落ちる。(だから実際にはモリブデンとはあまり喧嘩しない)

「じゃぁエンジンが温まった状態ではエステルは何をしているんですか?」
「ただオイル内で浮遊しています」 ←エエエェ(´Д`;;)ェエエエ

でも潤滑作用自体が消えるわけではないので、酸化しにくい質の良いオイルとして存在しているような状態か。

だから少量の添加量で十分なんだね。
そして入れすぎても特に良いことも無いと。

なるほど、理解が深まりました。




「二硫化タングステンなら低温域から摩擦低減効果が発揮されるし高温域ではそれにプラスして極圧効果が発揮されるので、これ一つで賄えるって理解で大丈夫ですか?」
「そうですね」
「やっぱり」

ちなみにIF-WS2はこの会社が売っているものなので、日本で出回ってる無機フラーレン二硫化タングステンは全部ここが出所とのことでした。

いやぁ業界内部を知れるって楽しいね。





「アルキルナフタレンにも電気的な吸着効果を持つ性質がありますが、エステルと比較してその吸着効果が強い/弱いっていうのはあるのでしょうか?」

「アルキルナフタレンと言うかナフタレンはベンゼン環が2つくっついた構造をしていて非常に強固で安定性が高いが、エステルとは分子構造から違う。そして吸着効果については結論から言えばエステルの方が段違いに強い。」

なるほど、多少は効果は似ているけど完全にエステルの代用という訳にはいかないのですね。
Posted at 2024/07/30 17:12:43 | コメント(2) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2024年07月29日 イイね!

【保存版】各社アプルーバルとACEA規格の比較表

【保存版】各社アプルーバルとACEA規格の比較表外国の各社自動車メーカーが独自に制定しているアプルーバル規格がどの位置にあるのかが一目で分かる表をインフィニアムのHPから見つけたので載っけときますね。

Posted at 2024/07/29 10:56:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | オイル | クルマ
2024年07月26日 イイね!

ZnDTP(ジアルキルジチオりん酸亜鉛)を断罪する

前回のブログの最後に書いた、到着待ちのオイルが届いた。

エンジン薪割り機の作動油として使うために買った、シェルのテラスシリーズの最高峰。
シェル テラスS3(粘度46)
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作動油の世界にも当然ながらピンキリあって、より優れた作動油はスラッジの生成が少なく長寿命とのこと。

てことでこのテラスS3はSDSを見ると100%GTLの化学合成油となっています。

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ただベースオイルがGTLって部分はすごいとして、もっと大事なのは添加剤の方。
カタログを見てもしきりにスラッジの生成が少ないことをしつこいくらいにアピールしています。
それだけ作動油にとってスラッジの存在が作動油の寿命を縮める主たる要因なのでしょう。
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なので作動油における添加剤の組成について調べてみたところ、スラッジの生成を少なくするためには無灰型の酸化防止剤が求められるとのこと。

無灰型耐摩耗性油圧作動油の添加剤
https://jalos.jp/jalos/qa/articles/008-145.htm

この酸化防止剤。オイル業界においては【ZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)】が定番中のド定番でして、エンジンオイルだけでなく作動油においても同様に広く使われています。

ただ、こいつが配合されていると時間経過での劣化とともにスラッジと化してしまって、それが目詰まりを起こしたり潤滑不良の原因となったり。

先のリンク先のページから図を抜粋すると、指数関数的に劣化が進むことがわかると思います。
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つまり酸化防止剤の寿命なわけなので、それ以降はオイルがどんどん酸化してしまう。




逆に、長寿命なオイルを作るためには他の添加剤に置き換えることになる。
先のリンク先のページにも表がありましたが、代替となるのが主にアミン系。


(裏技として、このアミン系の酸化防止剤は単体で使用するよりもフェノール系の酸化防止剤と混ぜることで効果倍増するという相乗効果もある。)


ですが一方で、ZnDTPの利点は酸化防止だけでなく、保護被膜(トライボフィルム)が生成されることで摩耗防止剤&極圧剤としての働きもある非常に多機能な添加剤だということ。

短寿命やスラッジなどのデメリットはあれども、一つの添加剤で多くの性能をカバーできる合理的で低コストな利点は、多くのオイルが採用する理由としては確かに納得のいくものです。

逆に、ハイエンドを除いた殆どのエンジンオイルが3000kmも走れば劣化を感じるってのは、この辺の影響が大きいと考えると辻褄が合いますね。(もちろん他の添加剤の劣化要因もある。)

しかもその添加割合にしても、ZnDTP単体でどうこうじゃなく、どうせ添加剤メーカーのDIパッケージを工夫無しにただ入れてるだけだろうし。(ベースオイルにこのパッケージを入れたらAPI:SP規格適合品の完成です!!みたいなお手軽さ。専門知識0でもOK。)

ちょっと付加価値を足したければそこにモリブデンを添加したり、ハイエンドを演出したければエステルをちょこっと添加したりとかその程度でしょ。(←加水分解対策の添加剤はちゃんと入れてんの?)

一部メーカーの内部の方とお話したけど、なんかなー。そんなもんだっけよ。
Posted at 2024/07/27 12:04:58 | コメント(1) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2024年07月24日 イイね!

エンジン薪割り機購入 & エンジンオイル充填

エンジン薪割り機購入 & エンジンオイル充填わが家では薪ストーブを使っているので、毎年春~夏にかけては薪割り作業が発生します。

これまでは100Vの電動薪割り機を使っていたのですが、パワー感がいまいち弱いのと、消費電力が大きくて延長コードが焦げかけているのを見て、「もうさすがにエンジン式に買い替えるか~」となりました。

日本ブランドと違い、中国メーカーのやつだと約半額(10万円ちょっと)で安く買えました。
フォークリフトがないと荷受けできないので、西濃運輸の営業所まで親の軽トラを使って引き取りに行ってきました。

実家の小屋で、組み立て&荷下ろしを行います。
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荷姿はこんなでした。
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コンパネを解体する。
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タイヤ付けたり部品取り付けたりして組み立て完了。
ホース類等は組み込み済みだったのでノータッチでよかった。
作動油もはじめから入ってる。
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エンジンは空冷OHVの208ccだって。エンジンオイルは空っぽです。
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エンジンオイルを入れましょう。 容量は約0.6L。
先日購入した高級長寿命オイル、シェル ロテラ T6を使い...alt



さらにアルキルナフタレンAN15二硫化タングステンのIF-WS2もおごっちゃう。過去最高クラスの配合です。alt



10%ほどの容量%で添加しますので、だいたい60cc測ります。
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無機フラーレン二硫化タングステンは1%強添加。
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エンジンを始動して試運転。
運転音がうるさいのは空冷だから仕方ないとして、メカノイズ自体は静かでネーノ?
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考えれば考えるほど、熱的影響の大きい空冷エンジンにこそ、この添加の組み合わせが理想なんではないかな。

アルキルナフタレン…
・熱酸化に強く、既存の各添加剤の性能を相乗効果で底上げする作用を持つ。
・エステルと同様に極性があるため、金属表面に吸着しドライスタートを防止する。(しかもエステルと違ってモリブデンの吸着を阻害しない)
・エステルと違って加水分解に強い。(=寿命が長い)

二硫化タングステン…
・摩擦係数が低く、極圧性に非常に優れる。
・モリブデンよりも熱酸化耐性が高い。(=寿命が長い)
・200℃以上の熱が加わることで保護被膜(トライボフィルム)を生成し、より摩耗に強くなり密閉性も上がる。

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ところで今届くのを待っているのがあって、この薪割り機のシリンダーを動かすための作動油。
せっかくだから新油に全取っ換えしようと思ったのですが、やっぱり作動油の世界にもGTLだの無灰型処方(非ZnDTP)だの、ピンキリあるじゃないの。

エンジンオイルにもほぼ必ず含まれるZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)。
こいつの有効性はわかるんだけど、結局時間経過して劣化するとスラッジ化するわけでさぁ。。。

まいいや。次回。
Posted at 2024/07/24 12:09:46 | コメント(0) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2024年07月12日 イイね!

自動車用エンジンの用途であればIF-WS2じゃなくWS2でも十分じゃね?

自動車用エンジンの用途であればIF-WS2じゃなくWS2でも十分じゃね?オリジナルエンジンオイルの設計プランはほぼほぼできているのだけど、二硫化タングステンの扱いについて少し考えた。

1.動機

まず疑問をいだいたきっかけは、世の中に出回っているエンジンオイル用添加剤としての二硫化タングステンは、みんながみんなIF-WS2(無機多層フラーレン構造二硫化タングステン)ばかりだということ。

自分でも事業をしながら各業界を見て確信しているのは、”主流の影には思考停止がある”ということ。

どの会社もこれを採用しているから正解なんだ。きっと間違いは無いんだ。無難なんだ。という思考停止。

私のように根拠がないと納得できない性格をしている人間にとっては、ここが差別化のチャンスなのです。
住宅の仕様も薪ストーブも、自分でオリジナルを作る背景にはこんな流れが必ずあります。


2.WS2とIF-WS2の比較

てことで話を戻して二硫化タングステン(以下WS2)だけど、化学合成で作られるこの物質には、添加剤用途として使われる形態として2種類あります。
それがタイトルにも書いたIF-WS2とWS2

それぞれについてAIに聞いてみました。
以下、黄色マーカー部分はCopilotの回答コピー。

WS2(二硫化タングステン)
特性: 板状の積層構造により、摩擦を低減し、耐摩耗性を向上させます。


IF-WS2(無機多層フラーレン二硫化タングステン)
特性: フラーレン構造により、圧力に応じて異なる働きをします。低圧では球状の粒子が転がり摩擦を軽減し、高圧では層が剥がれて潤滑効果を発揮します。また、ナノ粒子が金属表面の微細な傷や凹凸を埋めることで、さらに摩擦を低減します。

IF-WS2は特に過酷な条件下での使用に適しており、極圧性能が求められる場面で非常に効果的です。


次に、摩擦係数と極圧性能について具体的に数値の比較を聞いてみる。


WS2(二硫化タングステン)
極圧性能: WS2は高い耐圧性能を持ち、極圧条件下でも優れた潤滑性能を発揮します。
通常の潤滑剤と比較して、極圧性能は30〜40倍高いとされています。

摩擦係数: 通常の条件下で約0.03〜0.07


IF-WS2(無機多層フラーレン二硫化タングステン)
極圧性能: IF-WS2はさらに優れた極圧性能を持ち、特に高圧環境下での潤滑性能が非常に高いです。
IF-WS2の極圧性能は、WS2の30〜40倍、PTFEの170倍以上とされています

摩擦係数: 圧力に応じて変動し、通常の条件下で約0.01〜0.03


Copilotの回答には出てこなかったけど、IF-WS2の極圧性能は懸念する必要がないくらいとんでもないもの(GPa/cm2単位)で、極限の環境下でも焼付きの心配は皆無と言っていいくらい。
ともすれば乗用車エンジン程度の用途であれば、極圧性能に関してはIF-WS2はちょっとオーバースペックなんではないか?

そして摩擦係数については、これら2つの他に有機モリブデン(エンジン内で熱反応によって二硫化モリブデンに変化)の数値とも比較してみましたが、みんな0.0いくつの違いでしか無く、どれも十分すぎるくらいFM剤として優秀なことがわかる。


3.トライボフィルム(保護被膜)

亜鉛やモリブデンやタングステンなどの耐摩耗剤は、エンジン内で高熱や高圧にさらされることによってトライボフィルムという保護被膜を形成して摩擦面を保護します。

二硫化タングステンにおいてはWS2もIF-WS2も形成する条件は同じで、

1. 高温・高圧環境
温度: 高温環境が必要で、通常は200°C以上。
圧力: 高圧条件下での摩擦がトライボフィルムの形成を促進します。

2. 摩擦
摩擦力: 摩擦によるエネルギーが化学反応を引き起こし、トライボフィルムの形成を助けます。

3. 潤滑油の添加剤
極圧添加剤: 硫黄系極圧添加剤が含まれる潤滑油が使用されると、IF-WS2のトライボフィルム形成が促進されます。

4. 化学反応
反応機構: 摩擦による高温・高圧がドライビングフォースとなり、IF-WS2が化学反応を起こしてトライボフィルムを形成します。
これらの条件が揃うことで、IF-WS2は金属表面にトライボフィルムを形成し、摩擦や摩耗を低減する効果を発揮します。


ということなので、ここにおいては2つの差は無し。


4.結論

極圧性能を除いて、2つの間にそれほど有意な差は感じなかったかなぁ。
そしてもちろんコスト面においてはWS2の方が当然安いわけで、結局タイトルのような考えに至ったのであった。
Posted at 2024/07/12 16:52:35 | コメント(1) | トラックバック(0) | 勉強 | クルマ

プロフィール

「車のトランスミッションにエンジンオイルを使ってもいいの? http://cvw.jp/b/3602924/48320715/
何シテル?   03/19 16:17
夫婦と息子で3人暮らし。 岩手県で住宅会社をしています。 リエッセに関する情報がネット上にあまりに少なすぎるため、私が経験したことはできる限り載せていき...
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