
よく言う人いるよね。後入れ添加剤入れちゃうと「元々のバランスが崩れる」って。
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……バランスって何さ?
何がどれくらい増減すると悪影響でるの? その目安は?
って事を自分なりに考えてみました。
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◆エンジンオイルの構成
エンジンオイルに興味のある人にとっては基本中の基本ですが、大概のエンジンオイルの中身は、
約70-80%がベースオイル
残り20-30%が添加剤
という構成比率となっています。
後入れ添加剤の投入によって(薄まって)影響が出そうなのは、容量の少ない添加剤の方ですね。
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◆添加剤パッケージの存在
添加剤には様々あってその組み合わせで作るものですが、種類と配合割合がいろいろありすぎてイチから考えるのは(頭も時間的にも)難しい人もいます。
そこで一般的な市販のエンジンオイルでは、100%の確率でと言って差し支えなく「DIパッケージ」が使われています。
DIパッケージとは総合添加剤パッケージ商品のこと。
添加剤メーカーが「このパッケージをこの分量で入れておけば〇〇規格適合できるよ」って御膳立てしてくれている便利な商品。
これのおかげで、脳死でも簡単に『最新規格API:SP GF-6適合オイル!』みたいな感じで銘打った商品を作って売ることができます。
自動車メーカーはもちろん、ホームセンターから地方のイチ車屋さんに至るまで、オイルメーカーじゃないのに世の中に様々なオリジナルエンジンオイルが氾濫しているのは、このDIパッケージの功罪と言えます。
なにせオイルの知識ゼロでも作れちゃいますからね。
あとは容器のデザインと宣伝にお金をかければ立派な商品の出来上がりです。
性能はDIパッケージで保証済みですので問題はありません。( ;^ω^)
↑良い物かどうかは別問題。
API規格だけで性能の良し悪しまでは決まりません。
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◆添加剤の構成
でエンジンオイルの添加剤の中身についてですが、特性別に
◇化学的性能を担う添加剤
と
◇物理的性能を担う添加剤
に分けられます。
◇化学的性能を担う添加剤
前段で書いたDIパッケージなんかは化学的性能を担う添加剤のブレンド品で、代表的には
-摩擦低減剤
-清浄分散剤
-酸化防止剤
-極圧剤
-防錆剤
-消泡剤
が含まれます。
オイルの構成割合のうち、全体の約8-10%程がこちらのジャンルの添加剤になっています。
◇物理的性能を担う添加剤
そして、オイル粘度を調整するための添加剤として
-油性向上剤
-粘度指数向上剤
-流動点降下剤
が、オイル全体の約10-20%程添加されます。
油性向上剤としてはPAOやエステルがこれに当たり、大体は入っていません。
粘度指数向上剤はオレフィン コ ポリマーなんかが有名です。
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◆アップトリート
添加剤メーカーはDIパッケージの取り扱いとして推奨の添加割合を規定していますが、その推奨割合を超えて多く配合することを「アップトリート」といいます。
(反対に、推奨よりも少なく配合するのは「ダウントリート」)
これは推奨割合に対して1〜5%程度の範囲で行われるようです。(←AIに聞いただけで未確認)
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◆バランスが崩れない範囲とは
このアップトリート(ダウントリート)という技法の存在を考えれば、添加剤成分のうちマイナス側に2.5%まではダウントリートされても許容範囲と捉えても良いのではないだろうか。
(アップ側の上限を5%と仮定するなら、ダウン側はその半分とした。)
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◆ケーススタディ
架空のケースとして、
・ベースオイル...80%
・添加剤...20%
という配合のエンジンオイルが4L存在したとして、
仮に500ml、後入れの何かを突っ込んだとすれば、
元のオイルは3500mlとなるので添加剤成分は
3500*20%=700ml となる。
全体量は4000mlで固定なので、
700/4000=0.175(17.5%)
これだと元の20%から2.5%薄まったことになり、この辺がギリ安全圏内なのかなっていう推測が立ちました。
市販の後入れ添加剤だと150ml〜400ml程度が多いので、その辺であれば単機能添加剤でも安全圏と見なしても差し支え無い気がします。
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アメリカ製品だと大きい容量のものも多いですが、その場合だとそれこそ「バランス」を取るために目的の狙いとは別の添加剤も配合して希釈分を補強してあるケースをよく見ます。
この辺アメリカの添加剤メーカーはちゃんと考えてくれてますね。
一方でカー用品店やホームセンターでよく見るような国産の添加剤は目的の添加剤もしょぼいし少ないし、水増しの液体はクソ鉱物油だしで、ほぼロクなのが見当たらない。
当然そんなの入れてもユーザーが体感できることは無い。
Posted at 2024/10/26 02:05:12 | |
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