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2025年03月19日 イイね!

車のトランスミッションにエンジンオイルを使ってもいいの?

車のトランスミッションにエンジンオイルを使ってもいいの?先日整備手帳で、ミッションオイルを試作してバスに入れた話を書きましたが、その中身は簡単に言えば自分とこのエンジンオイルに二硫化タングステンを少し足したような物。

結果としては(車重4,800kgのマイクロバスでも)一切問題なく機能しているのですが、そうは言っても大体の人は、
「ミッションにエンジンオイル入れたのかよ。」
って思うと思う。

で、タイトルの回収。
「車のトランスミッションにエンジンオイルを使ってもいいの?」

これを"一般論ベース"で説明してみます。
(私の作ったやつは一応検討して内容考えたからね)




答え:
入れても機能はしますが、フィーリングは悪いでしょうし、ギアの摩耗を早めてしまう恐れが強いです。


それは以下2つの理由です。


● 極圧剤の有無

ギアオイルを自分で抜いたことがある人なら分かる、あの鼻につく強烈な臭い。

あれは極圧剤に含まれる硫黄分の臭いです。

エンジンオイルではそんな臭いがしない事でわかるように、ギアオイルにはそれだけ硫黄がたっぷりと含まれています。

硫黄は極圧性能を担う添加物質。歯車の接触部など、強烈な圧力が加わる部分で硫化鉄へと変化し、膜を形成することで金属を摩耗から防ぎます。


※ 余談ですが、ギアオイルにはグレードにGL-4とGL-5がありますが、EP剤(硫黄の含有量)の違いです。

トランスミッションにはGL-4、ディファレンシャルにはGL-5が指定されていて、GL-5の方が硫黄分多めです。

もしトランスミッションにGL-5を使うと、その強い硫黄分でシンクロギアの腐食と摩耗を早めてしまいます。(シンクロギアは鉄製ではない)

「数字が大きいほうが最新版で高品質」という意味ではないので、勘違いしないようにしましょう。



● 潤滑性の違い

エンジンオイルはとにかくスムーズであるに越したことはありませんがギアオイルは別です。

トランスミッションはシンクロギアで回転を調節して変速切り替えをスムーズに行いますが、もし潤滑性が高すぎるオイルをミッションに入れた場合、シフトチェンジの際にシンクロギアが滑り過ぎて中々ギアが入らない可能性があります。

↑シンクロギアは黄銅等、鉄よりも柔らかい金属でできていて腐食に弱いので、硫黄や塩素系の添加剤には気をつけなければならない

難しい話ですが、トランスミッションオイルは滑りすぎても良くないし、滑らなくてももちろん困るしで、適切な摩擦具合があるのです。




第2幕「昔のMINIは?」

ちょっと車に詳しい中年~初老の年齢層であれば当然こういう疑問も出てきますよね?

なんでMINIに限ってエンジンオイルで良しとしているのか?
昔のほうが今よりもオイルの質が低いでしょうに。
ギアオイルをブレンドとかしないの?

私も疑問に思ってちょっと調べてみました。

Castrol Classic Engine Oils
https://www.classicoils.co.uk/engine

MINIのオイルと言えばカストロールのXL。


MSDSを見ても特に特殊な記述は見当たらなかったけど、PDSを見たら「触媒の付いた車には使わないで」って書いてあった。

触媒車に使っちゃいけないと言うくらいにりんや硫黄(いずれも極圧性能を高めるが触媒への攻撃性あり)が多目なのかもしれないね。

ちなみに、XLではなくGTXだとはっきりと「ZDDP使って保護してますよ」って書いてあるけど、どちらにしてもMINI専用のオイルとは謳ってない。


結論としては、MINIの場合はリンや硫黄が多目なオイルを使うことと、そもそも固い粘度を使うことでオイルそのものの油性でカバーしているようですね。
Posted at 2025/03/19 16:17:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | オイル | クルマ
2025年03月15日 イイね!

ディーゼル車のDPF詰まりとエンジンオイルの関係

ディーゼル車のDPF詰まりとエンジンオイルの関係alt
DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)

昨今のDPFを搭載したディーゼルエンジン車とは切っても切れない関係にあるのがエンジンオイル。

ところで、、、

「DPFって排気中の煤を集塵する部分じゃないの? なんでエンジンオイルに指定があるの?」

って思ったことはありますか?

エンジンオイルがどうして排気管へ紛れ込んでいるのか

なぜ燃焼室で一緒に燃えてるのか

かと言ってエンジンオイルが目に見えて減ってるわけでもない

この辺を説明してみようと思います。

悟空「ぜったい見てくれよな!」


DPFの役割


ディーゼル車に乗っている方ならご存知だと思いますが、昔と違って今のディーゼルエンジンには排ガス対策としてDPFと呼ばれる集塵装置が排気管の途中に取り付けられています。

ここで煤を集塵するのですが、ある程度煤が溜まってくると『再生』と称する燃焼によって、煤の焼き切りを行います。

これを繰り返すことで排ガスを継続的にクリーンにするという仕組みです。

画像引用:シェルルブリカンツジャパン
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DPFの排ガス浄化と再生のメカニズム


うざい再生燃焼


ところで、この再生燃焼という作業がまぁまぁ結構な頻度で起こる。

もちろん乗り方によっても大きく左右しますが、数百キロごとには発生するイベントで、走行中に勝手にやってくれる自動再生であれば気にしなくてもいいですが、手動再生の場合だと停車中に行わなければなりませんし、無視する訳にもいきませんから結構なストレスです。

大型トラックなんかは一度に走る距離も結構あるので、DPFのサイズが大きいとは言っても毎度の事なのではないでしょうか。


エンジンオイルが指定されている訳


冒頭に書いたように、DPFにはエンジンオイルが影響しているからこそディーゼル指定のエンジンオイルが存在しているわけですが、その指定オイルが定めている重要な基準が「硫酸灰」の量です。

JASO DL-1であれば0.6%以下
JASO DH-2であれば1.0%以下
ACEA C3やC5であれば0.8%以下

と、小数点以下の世界でやたら細かく指定されています。

DPFの再生燃焼によって煤は焼ききれても、オイル内に含まれる金属成分は焼ききれずに残ります。
その金属成分の燃え残りが『灰』なわけで、DPFを最終的に詰まらせる物質になります。

画像引用:DPFドットコム
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DPFに残った灰

なので、DPFの寿命を伸ばすという意味でオイル内の灰分を規定しているのです。

余談:
ちなみにJASO規格では灰分に関しては厳しいけど、エンジンの保護については二の次になっているようなレベルの規格です。
規格適合していても良いオイルとしょぼいオイルの落差がひどいですので、選ぶのはそこそこ上級者向けです。
まぁしょぼくてももちろん壊れはしないでしょうけど、かと言ってDPFの再生が長いかというと別にそんなこともない。なんだかそんなレベルの規格です。

大事なのは規格じゃないんだなぁ。…あ、ACEAは信用していいですよ。

JASOディーゼル規格の評価項目がこれなのに対し、
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ACEAディーゼル規格(乗用車)の評価項目はこんなに。そして厳しい。
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なので、仮に規格で選ぶなら断然ACEAです。


なぜエンジンオイルがDPFに影響するのか


そろそろ本題に入っていきましょう。

エンジンオイルが排気管へと紛れ込むそのメカニズムは以下のとおりです。
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前提:エンジンケース内の空気(ブローバイガス)は、再循環システムによって吸気管へと合流されている。

1.エンジンケース内は高温環境

2.オイルが微量に蒸発していて、ミスト状に漂っている

3.そのミスト状のオイルが吸気に混ざる

4.燃焼室で一緒に燃える

5.排気管(DPF)へ

オイルが直接燃焼室へ向かわないよう途中にバッフルプレートが装着されたりしていますが、それでも気体に漂う細かいオイルミストまでは完全に除去できませんので、どうしても燃焼室にオイル分が紛れ込んでしまいます。

実際、排気ガスに含まれる(DPFで処理される)汚染物質の内訳は...

画像引用:シェルルブリカンツジャパン
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こんな感じで、オイル要因が半分以上を占めています。

燃料の不完全燃焼成分だけでなく、オイルの不完全燃焼成分(カーボン)が非常に多いのです。
なので、いかにオイルを燃焼室へ持ち込まないかが大事になります。


蒸発量(Noack)に目を向ける


規格上でいくら灰分が規制されていても、原因物質(オイル由来)がガンガン送り込まれたのではDPFの処理が追いつきません。

特にJASO規格のオイルには鉱物油が多いのですが、鉱物油は蒸発量が多いのでなおさらです。

実際、蒸発量の規制値について比較しても、JASOとACEAでは乖離があります。

JASO
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ACEA
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(ちなみにACEAの大型車用E規格でも全てのグレードで13%以下です)

つまりは、ディーゼル用のオイルを語る上では「灰分」だけでは片手落ちで、「蒸発量」についても厳しく検討しなければなりません。

また、オイルに含まれる粘度指数向上剤(俗に言うポリマー)は熱の影響で劣化すると後にスラッジ&カーボン化してしまうため、無駄に粘度指数の高いオイルは避けるべきでしょうね。

さらには、そもそものブローバイの量を減らすことも大事です。→密閉性


ディーゼルエンジンに適したエンジンオイルとは


以上、ここまで書いてきたことをまとめた、ディーゼルに適した良オイルの条件とは、、、

  1. 灰分が少ないこと
  2. 蒸発量が少ないこと
  3. 鉱物油でないこと
  4. 粘度指数向上剤ができるだけ含まれていないこと
  5. 密閉性が高いこと

あたりが挙げられそうです。

でも、世のディーゼルオイルで主張しているのって1.の灰分のことばっかりじゃないですか?
そこだけに着目していても良いオイルにはたどり着けませんよ。

2.蒸発量(Noack)
→ できればACEA規格準拠。データが公開されていれば尚良し。
→ 鉱物油は避ける。蒸発量の少ないGTLやPAOベースを選ぶ。

3.鉱物油
→ 避ける。(絶対条件)
→ 鉱物油由来のVHVIよりも、できればGTLまで選びたい。

4.粘度指数向上剤
→ 中身は分かりようがないけど、極端に粘度指数の高いオイルは避ける。(合成油ならVI=150~170あたりが落とし所かなぁ?)

5.密閉性
→ 粘度を上げるか、または安定性の高いベースオイル(GTLやPAO)を選ぶ。
→ 密閉性を上げる特別な措置が働く添加剤の配合
Posted at 2025/03/15 06:30:31 | コメント(3) | トラックバック(1) | オイル | クルマ

プロフィール

「車のトランスミッションにエンジンオイルを使ってもいいの? http://cvw.jp/b/3602924/48320715/
何シテル?   03/19 16:17
夫婦と息子で3人暮らし。 岩手県で住宅会社をしています。 リエッセに関する情報がネット上にあまりに少なすぎるため、私が経験したことはできる限り載せていき...
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