ステアリングギアボックス バックラッシュ調整
1
以前も整備手帳やパーツレビューに調整方法を書きましたが、まとまってなかったのでこちらに全て書きます。
2
調整に至った経緯
・荒れた路面(砂利道、踏切、マンホールなど)を走った時にペダル奥からコンコンと音が鳴る。
・ACCオン(エンジン停止)時にステアリングを左右に小刻みに揺するとペダル奥からコンコンと音が鳴る。
→これに関してはバックラッシュが存在する以上仕方ないが、他の車と比べて異常に音が大きかった。
新車や中古車保証があればステアリングギアボックスAssy交換一択です。
ショックやボールジョイント、ブッシュ類を交換しても直らなかったので、ステアリングギアボックス周りが原因だと思い、調べるとバックラッシュ調整ができる事を知りました。
3
調整部分はここ。
スプリングのチカラでラックに圧力をかけてガタを減らしています。
そのため、調整ボルトが緩んだりスプリングがへたったりすると圧力が減ってガタが出てくるという事になります。
操作感では、圧力が減ると路面の凹凸にハンドルを取られたり直線でふらついたりします。
4
これが実物です。
左から順に、
・プレッシャパッド 34132SC010
・スプリング 34130SC000
・アジャスティングスクリュ 34133SC000
・ロックナット 34192SC000
・グリス 34192AJ040
高価なものでは無いので、全て新品交換が好ましいと思います。
5
ここからは必要工具についてです。
ステアリングギアボックスに辿り着くまでにフロントアンダーカバーやジャッキアップポイントなど外す必要があるのですが、それに使う基本的な工具は省略します。
・38mm薄型レンチ(上画像のもの)
・アジャストピンレンチ
・M8四角ナット & M8ボルト
・液体ガスケット(あれば)
薄型レンチとアジャストピンレンチはロックナット用、M8ボルトナットは調整ネジ用です。
次で解説していきます。
6
38mm薄型レンチ
ギアボックスを下ろせるならどんな工具でも良いですが、載せたまま調整するには薄い工具しか使えません。(人差し指1本の隙間しかない)
そこで見つけたのが洗濯機のナットを緩める工具です。
38mmと36mmが1本になったものです。
そのままでは使えないので、少し加工する必要があります。
7
アジャストピンレンチ
グラインダーの砥石交換に使うものです。
薄型レンチの3つ穴側に差し込んで延長として使います。
エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチのシム調整時に回りどめとして使えたり、あると地味に使える工具です。
8
M8四角ナット、ボルト
特殊な8角形の穴を六角頭に変換し、調整ネジを回すのに使います。
12.7mmの正方形の工具で回せるのですが、スペースが指1本分くらいしか無いので自作工具としてこれらを使いました。
四角ナットはそのままだと微妙に大きいので、削って一回り小さくする必要がありました。
9
液体ガスケット
調整ネジのねじ山(全周の1/3)に塗布することとなっています。
防水用途?なのか理由は分かりませんが、できれば塗った方がいいと思います。
10
ここから作業手順です。
最初にすることはジャッキアップ。
フロントだけで構いません。
リフトがあれば尚良いですが、素人整備なのでフロアジャッキが限界です。
まず、フロントアンダーカバーや2本のガード?を外します。
11
次にフロントジャッキアップポイントのプレート(赤丸)、フロントスタビライザーの固定金具(青丸)左右を外します。
プレートを外すとギアボックスがしっかり見えます。
スタビライザーの金具を外す理由は、フリーにして調整部分にアクセスしやすくするためです。
12
ここからギアボックスに手をつけます。
青丸のユニバーサルジョイント固定部分を緩めます。
ギアボックス運転席側を下方向にズラすので、ここが緩んでいないとあまり下がりません。
次にギアボックス固定部分を外していきます。
上の画像にはありませんが、運転席側はボルト4本全外し。
助手席側は緑丸の1本のみ”緩め”ます。
排気管が邪魔になるので外せません。
それ以外のボルトを緩めるとギアボックス全体がズレてアライメントが変わってしまうので、1本だけです。
13
車体の調整準備は整ったので、工具を使えるようにします。
薄型レンチの38mm側を写真のように切断加工します。
そうしないと、厚いフチが干渉してレンチを突っ込めません。
14
次にオフセットの曲がりを伸ばします。
少しだけ曲げを残すのがポイントです。
ここは現物合わせで、きちんと力を掛けられてロックナットをナメずに緩められるように慎重に加工してください。
ロックナットをナメたらギアボックスを下さないとどうしようもありません。
15
ギアボックスやスタビライザーを動かしながら隙間を作り、自作工具を駆使して部品交換や調整を行います。
上の画像はギアボックス固定状態なので隙間がほとんどありませんが、12番で説明したように固定ボルトを外したら指1本くらい入るスペースができます。
締めすぎるとセルフステアがなくなり、緩いと異音が出ます。
目安としては、ジャッキアップ&エンジン停止状態でステアリング全切りした後に手を離すと若干ステアリングが戻るかな?程度に締めるとちょうど良かったです。
ジャッキアップ状態だと負荷が無いためか異音は確認できません。
車両や感覚によると思うので、あとは調整後に試走してまた調整の覚悟を持つ事です。
試走の際はギアボックス固定ボルトやスタビライザー、ジャッキアップポイントのプレートなどを戻す必要があるので結構手間が掛かります。
調整後にロックナットを締める際、一緒に調整ネジが締まってしまう事があるので、それを見越して調整ネジを少し緩めておくなど工夫が必要です。
スペースがないので調整ネジを押さえたままロックナットを締めるのは難しいと思います。
16
ちなみにこれが調整手順です。
トルク管理なのでギアボックス下ろし前提のやり方です。
グリスを塗る位置などの参考にはなると思います。
17
試走した感触に納得いき調整を終えたら、外した部分を全て忘れずに戻してください。
特に締め忘れやすいのがユニバーサルジョイント固定部分とギアボックス助手席側のボルト1本です。
私の場合は異音に悩まされており調整により解決したので良かったですが、現状にあまり悩みがなければ触らない方が良いと思います。
沼にハマりますし、ギアボックスを壊した場合リビルト品がありません。
[PR]Yahoo!ショッピング
入札多数の人気商品!
[PR]Yahoo!オークション
関連コンテンツ
関連整備ピックアップ
関連リンク