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2019年03月18日

M3/M4はどうなる?…BMW6気筒の進化

M3/M4はどうなる?…BMW6気筒の進化 先日X3M/X4Mが発表され、本筋?のセダンの3シリーズより前にSUVにS58型エンジンが搭載される、という異例の事態?になりました。もちろんその内にG20型の3シリーズにも搭載されてM3/M4としてデビューするはずですが、デビュー前に今までの6気筒3Lターボについてちょっと総括しようと思います。以前の記事とダブる箇所が多いと思いますが、お暇な方はチラ見してください(爆)。




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いつも大変お世話になっているこの方に、例によって比較グラフを作っていただきました。6気筒ターボの始まりのN54型とその後継のN55型エンジンは出力、トルクともに306ps/400Nmで性能曲線もほぼ一緒なので、N55エンジンから比較で載せています。参考にメルセデスベンツの新型6気筒ターボのM256型も載せていますが、これは「53」バージョンの高性能版です。

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BMW最初の6気筒ターボのN54型は3気筒ずつからの排気を一つにまとめたツインターボ(パラレルツインターボ)でした。出力は306ps/400Nmなので当時の「35i」を名乗るのに十分な高性能ですね。


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次のモデルチェンジ版のN55型はシングルターボに(名称としては「ツインパワーターボ」なので時たまツインターボと勘違いしている評論家もいますね)なったので一見ダウングレードのようですが、バルブトロニックが追加された事によってアクセル操作に伴うブースト圧の変化に対してより緻密なコントロールが可能になったようです。


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全開時のレスポンスはN54型に対して0.5秒早くなっており、もちろん燃費の点でも有利なようです。様々な燃焼状態に応じて最適なバルブ駆動が出来るバルブトロニックとターボの組み合わせはこのエンジンが初めてで、以後色々なエンジンに応用されていきます。


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次のB58型は、ディーゼルとガソリンとブロックが一緒といういわゆる「モジュラーエンジン」で、4気筒版のB48型や、6気筒ディーゼルのB57型とボア、ストローク、シリンダーピッチなどが共通で、N55型のオープンデッキからクローズドデッキにエンジンブロックが変化しています。排気側を見るとN55型エンジンと大差無いように見えますが


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吸気側ではインタークーラーの配管が変化しており、N55型(左側)はグリル直後に配置された空冷式で吸気の配管が大回りだったのに対して、インテークマニフォールド直結の水冷式インタークーラーになっており、吸気系の配管の長さがかなり短くなっています。これによってブーストがかかった時のレスポンスの向上を狙っているようです。

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ちなみに前回のブログでは空冷のインタークーラーと記載してしまったのですが、よくよく調べるとこの構造で水冷のインタークーラーのようです。

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4気筒のB48エンジンも同構造のインタークーラーのようです。

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F30型のM3/M4にはB58型ベースのS型ハイパワーエンジンが搭載されるかと思ったのですが、「S55」という型式名の通りN55型をベースにしたエンジンでした。しかし、ターボはN54型のようなパラレルツインターボになっており、シリンダーブロックもクローズドデッキになっていたり、という大幅改造です。


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インタークーラーもN55型がグリル直後の空冷式だったのに対して、シリンダーヘッドの直ぐ隣に水冷式のものが搭載されています。ツインターボのタービンからのものと思われる太い配管はシリンダーヘッドの上をまたいでおり、配管の短さや吸気抵抗の少なさとハイパワー対応が感じ取れますね。


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そして今回のX3M/X4Mに搭載されているS58型エンジンはB58型をベースにしていますが、こちらも大幅改造です。

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S55型と同様に、標準のB58型のシングルターボからツインターボ化されています。

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インタークーラーはB58型のマニフォールド直結のものより大型化され、冷却効率が増しているようです。

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これらの改良によってグラフ上でも先代までのエンジンに比べてかなりハイパワーの510ps/600Nmの出力です。ただ、微妙に気になるのは、低速からトルクピークまでの立ち上がりの曲線が「下に凸」のカーブを描いている点です。トルクピークに達するのも2600回転と、最近のターボエンジンに比較すると異例に高い回転です。トルクピークに達する2600回転でほぼ直角の屈曲点になっている部分のエンジンのフィーリングがどうなのか興味がありますね。もちろん色々な制御で分からなくしているとは思いますが。


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こちらの記事からの引用ですが、480ps版のものでも低速トルクの曲線は全く同一で、トルクピークの維持域の回転数がやや下がっているだけです。エンジンの性能曲線だけから見ると、結構ピーキーな特性のようにも思えます。個人的には、このようなDMEチューン違いで高速側のトルクをちょっと伸ばしただけでグレードアップのコストを取るのは安易な商売な気がします(爆)。

実際にX3M/X4Mが日本に導入されるかどうかはまだ不明ですが、これがM3/M4に搭載された時にどうなるか非常に興味がありますね。性能曲線上はかなり高速よりのピーキーな特性にも思え、SUVには似つかわしくない印象ですが、Mモデルなのでありなのでしょうか。これがM3/M4ならば3000回転以下で走りを楽しむ事は無いでしょうから、しっかりパワーバンドに入って許容範囲でしょうか。


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代々のエンジンを見てみると、B58型でロングストロークになったもののS58型はまたストロークは短くなって以前と同様になっていますね。

それにしても、初代のN54型がターボエンジンから想像するよりはややマイルドなブーストだったのに対して、Mモデル用のS型エンジンは最大トルクの発生回転域がどんどん高回転側にシフトしているのが凄いです。最近のエンジンとして6000回転近くまで最大トルクが持続するのは、以前の自然吸気の高性能エンジンに匹敵しますね。510ps/600Nmの出力も一昔前ならV8の4Lターボ並みの性能ですね。標準車のB58型にしても340ps/500Nmといったら、昔憧れだったメルセデスの500Eの326ps/50.0Kg-mを凌駕している訳で、隔世の感があります。

ちなみにメルセデスの新型M256エンジンも、エンジン本体に加えて電動スーパーチャージャーとモーターアシストも搭載しているため、実質のパワーはS55エンジンを上回っているので技術の進歩は凄いですね。

最近はALPINAのエンジンが本家BMWのMモデルに先行する事も多かったのですが、G20系のALPINAがどうなるのか、こちらも楽しみです。


ブログ一覧 | BMW | 日記
Posted at 2019/03/19 08:41:06

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この記事へのコメント

2019年3月19日 9:24
おはようございます。

詳細な検証、ありがとうございます。とても参考になります(笑)

S58型エンジン、低速トルクが微妙なトルクカーブになってますね。次期M3/M4はDCTを止めて8速ATになりそうな気がするので、低速トルクは、トルコンのトルク増幅機能とギアリングでカバーするつもりなのではないでしょうか?

まぁ、最悪はマイルドハイブリッドで何とかするという手もあるとは思いますが(苦笑)

最近の車は、エンジン単体の性能だけでなくトランスミッションを含めたドライブトレインも合わせて判断しないと総合的な性能が分からなくなってきてますよね。

あ、B58型エンジン、やはり水冷式のインタークーラーだったんですね(笑)
コメントへの返答
2019年3月19日 13:15
いつもコメントどうもです。

以前に書いたものが大半なので新しい情報はあまり無いですが、参考になったでしょうか(苦笑)。

S58型で一番気になるのは低速トルクの急激な立ち上がりですね。実際の走行パターンではおっしゃる通りミッション側のコントロールで違和感を生まないようにするのでしょうね。

まだM3/M4の発表までは1年近くありそうですので、その間に何か隠し球が出てくるかもしれませんね。

メルセデスのM256で顕著なように、エンジン単体だけでなくモーターや電動コンプレッサーなどで本体をサポートするシステムが普及しそうですから、単純な性能曲線だけでは実際のフィーリングは推測出来なさそうですね。

前回の記事ではインタークーラーのケースの中身が空冷のエレメントに見えたのですが、やっぱり水冷式でした。失礼しました(爆)。あの構造で空冷だとさすがに冷えなさそうですね。
2019年3月19日 13:12
私はデータをいただいてグラフを描いていただけですが(汗、実際のエンジンの仕組みや写真、特にインタークーラーの取り回しの変化などの解説を見ていて、なるほどそういう理由でトルクやパワーが上がっているかとよくわかりました。いつものことですけどw
4気筒のB48エンジンを手に入れることになって、そのインタークーラーがN型までとはずいぶん違うと初めて知りました。改めて検索したら、その大きなエアのパイプには色々問題もあったみたいですね。勉強になりました!
コメントへの返答
2019年3月19日 13:23
いえいえ、いつもこんな記事が書けるのも、本当にスパグラさんのおかげです。おんぶにだっこでいつもすみません。

基本は6気筒のターボエンジンですが、バルブトロニックが入ったり、吸気系の配管を改良したり、と地道な改善がされているようですね。

以前のB型エンジンの発表ではB37などでインタークーラーは通常のエンジン前部のグリル部分に置いた写真がありましたが、4気筒のB48も6気筒と同じインタークーラーの構造になっていましたね。エンジンの前後長を考えるとインタークーラーの長さがやや短いかな、と思いますが排気量を考慮するとこれでバランスが取れているのでしょうか。効率的で吸気抵抗も少ないのでしょうが、従来型と違って社外品でチューンするのが難しい感じですね(爆)。
2019年3月20日 0:23
ここまで来ると、ドイツ勢は内燃機関の勇者の意地としか思えないレベルですね、笑。フランスとイギリスが電力事情とエンジン技術でさっさとドイツと張り合うのを止めてEVシフトが鮮明なのに比べると、ドイツの各メーカーは「量子コンピューターで燃焼シュミレートをもっと進めてやる」とばかりにやりこんでいる気がします。素材も新しいものが出てきましたし、あと一段か二段はポップしてエンジンは終焉を迎える気がします。

反面、日本のLS500が積んでいるV35A等、最近の新型エンジンは冴えないものが多いので心配です。
コメントへの返答
2019年3月20日 8:18
いつもコメントどうもです。

BMWもメルセデスもガソリン、ディーゼル双方に改善の手を緩めていないのは歓迎ですね。EVやハイブリッドだけで二酸化炭素排出量削減が出来ないのを(本音では)通説に感じているのではないでしょうか。VOLVOのようにディーゼルをディスコンにせず、しっかりRDE対策して向こう10年以上は視野に置いている感じです。

それに比べると、フランスは元々エンジン開発に熱心ではないようですし(爆)、イギリスのメーカーもドイツ製のエンジン導入が多く、ブレグジットの影響で先行き多難な気がします。

EVが趨勢を占めるまで、ドイツは開発の手を緩めない印象ですね。

国産車は日産の可変圧縮比エンジンとマツダのスカイアクティブエンジン以外はあまり見るものが無い感じで、以前の勢いが無いのが残念ですね。目先の収益と計算からはじき出されたコスト配分に振り回されている気がしますが、仕方が無いのでしょうか。HONDAにも頑張って欲しいです。折角飛行機は画期的なものを作ってその分野では世界一になったのですから。

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