
ミドリーヌ号は無事車検も通ってリモコン以外は順調ですが(爆)、これからどんなトラブルがやってくるかもしれないので、さすがに次回の車検までには箱替えになる可能性が高くなってきました。EV化になるまえに内燃機関の車も最後に乗っておきたいところですが、楽しい車の候補はどうでしょうか。
いつも
大変お世話になっているこの方に、また比較グラフを作っていただきました。今回はいままで試乗したAUDI RSQ3、BMW 340ixDrive、ALPINA B3、そしてまだ試乗出来ていないD3Sの比較です。D3Sだけはディーゼルなので(特にトルクピークが)低回転よりになっていますが、他のガソリン3車を同じ土俵に立たせると面白いですね。どのエンジンもパワーピークがレブリミットまで持続しているのは最新エンジンだからか、はたまたECUでコントロールされているのか、どちらでしょうか。
AUDI RSQ3とM340iは2.5Lターボと3Lターボで1気筒違いですが、トルクはBMWのB58型が上回っておりパワーは逆にAUDIが上回っています。どちらもシングルターボなので比較的似た感じの性能曲線ですね。AUDIの方が高回転型のようで、1700rpmまでの低速トルクはやや細いですが、そこからトルクピークが5850rpmまで続いているのは伸びが良さそうですし、レブリミットも7000rpmと340iより500回転高いです。ストロークはM340iが94.6mm、RSQ3が92.8mmなので微妙に低速トルクとレブリミットに関係しているかもしれませんが、標準エンジンとRSのスポーツエンジンの差でしょうか。
これに比べるとALPINA B3のS58型エンジンは低速トルクの立ち上がりが遅くて2000rpmまでは前2車を下回っていますが、そこからのトルクの盛り上がりは一気ですね。トルクピークの上限は4250rpmですが、これはM3/M4のベースエンジンに比べてタービンなど独自開発でキャラクターを変えているせいでしょう。
実際に乗ってみても2500rpm以上はスポーツエンジンのキャラクター全開、という感じですが、コンフォートモードで乗ってみるとエンジンの回りの上質さがあるので、低速トルクの細さをカバーしている感じでした。
ALPINA D3Sは3L直6ディーゼルといえどもハイチューンのエンジンにはかなわず355psですが、さすがにトルクは730Nmと太いのでパワーピークの4200rpmまでRSQ3、M340iとは40〜70馬力ほど全域で上回っています。常用域で非常にパワフルな印象ですが実際にはどうでしょうか。
そこで、4車の車重が一緒だという条件でグラフを作っていただきました(本当にお手間をかけてすみません)。全車ワゴンタイプとしてAUDI RSQ3が1730Kg、M340iが1800Kg、ALPINA B3が1865Kg、ALPINA D3Sが2010Kgという条件で補正をかけたグラフです。
こうしてみると偶然ですがRSQ3とM340iのトルク値が一緒になりました。その結果、パワーでは5000rpmまで両車が一緒ですが、そこからの伸びでRSQ3がM340iを突き放す感じです。実際に試乗した感じでも
RSQ3の方が伸びが良くてパワフルな印象でした。
M340iのB58型は現在シリンダーヘッド内にエキゾーストマニフォールドを内蔵したツインスクロールのシングルターボなので、排ガス規制やらを考慮したエンジン効率としては進化していると思われますが、純粋な排気効率やターボの駆動特性としては微妙に後退しているのかもしれません。実際に
M340ixDriveを試乗した感触としては「確かに6気筒で滑らかだけれど、それほどパワフルというほどでも無いかな」という感じでした。ALPINAB3の後の試乗だったので差し引いてやらないと可哀相ですが(爆)、これなら4気筒でも330iの方が110Kg軽いし後輪駆動で最小回転半径は70cmも小さくて燃費も良いのでこちらの選択肢もありかな、とも思いました。
これに比べるとRSQ3のエンジンはこちらもシングルターボですが5気筒のマニフォールドから直接集合している感じで、排気間隔からも干渉が無く有利な感じです。さらにRSグレード専用エンジンなのでハイチューンになっているため気持ち良い回りかただと思います。RSQ3でもM340iよりパワフルに感じたので、さらに100Kg以上軽くて重心も低いRS3のセダンやスポーツバックだったらもっと速くて楽しそうです。
ALPINA B3のエンジン(写真は先代のB3Biturboのものです)はM3/M4搭載のパラレルツインターボ(懐かしい表現ですね)をベースにしているので排気効率はもちろん良くてパワフルな上に、(MモデルのECUチューン違いではなく)アルピナ独自のターボチャージャーとセッティングなので、ある意味B58とS58の良いとこ取りのような面がありますね。M3/M4を試乗していない現時点ではダントツで楽しくパワフルで上質な6気筒エンジンですね。
(個人的感想としては)楽しくパワフルなエンジンとしてはALPINA B3>>RSQ3>M340iといった印象でした。ストロークはそれぞれ90.0mm、92.8mm、94.6mmなので微妙に回りに関係しているかもしれませんが、ストローク90.0mmのALPINA D3Sはどうでしょうか。元々1台だけディーゼルエンジンなので元から好みで無い方もいらっしゃるかと思いますが、わずかとはいえ355ps/730Nmにパワーアップしており、アルピナのエンジンならではの回りの上質さもありそうです。
改めて補正グラフを見ると、全車で最も重い車重が災いして残り3車との差が縮まっていますが、それでも4000rpm辺りまではRSQ3、M340iよりは全域でパワフルです。実際に街乗りでは2000rpm以上使う事はまれでしょうから、それ以下の回転では間違い無く全車で一番パワフルではないかと思います。
さらに興味深いのは48Vのマイルドハイブリッドシステムです。元々ディーゼルエンジンは低回転でもフルブースト、ノンスロットルなのでアクセルを踏んだ時のレスポンスは良いのですが、そこに回生アシストが加わる事で更にレスポンスがアップしそうです。アルピナによれば「低回転域においてリニアで優れたスロットル・レスポンスを提供するドライブ・トレインでありつつ、その一方でスポーティかつ高回転型であるという本来異なる二つの世界を両立させた驚異のエンジン」だそうですが、額面通りとは思えないものの先代のエンジンよりは進化しているのかもしれないですね。
最大8 kW(11PS)の回生電力というのがどれほどのものか微妙ですが、他社の同様のシステムから換算するとトルクで50〜80Nmくらいのアシストのようなので、場合によっては1500rpm前後でも800Nmのトルクを叩き出せるとするとかなりのダッシュ力と考えて良さそうです。でも、このシステムが無ければ80Kgほど軽くなるのでその方が良いんですが(爆)。現在日本に導入されているBMWのガソリン車にはこのシステムは装備されていませんが、やはり重量増しを嫌っているのでしょうか。
グラフの性能曲線というのはあくまでベンチ上での全開特性なので実際の走行時の体感とは違ってもおかしくないのですが、RSQ3、M340i、ALPINA B3に関してはほぼ一致していたので、グラフから読み取ったALPINA D3Sのフィーリングが本当はどうなのか、試乗(何時出来るのでしょうか)が楽しみです。
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BMW | 日記
Posted at
2021/02/16 17:18:55