メルセデスベンツのディーラーさんに寄ったら新型のEQSとEQEの試乗車がある!!ので久しぶりに試乗させていただきました。
最初に試乗させていただいたのはEQSの方です。グレードは450で後輪駆動のモデルです。
車内に入ると目を引くのが超大型のハイパースクリーンですね。ややノングレア処理がしてあるようで、写真から想像したほどテカリ感はありませんでした。センターメーターは巨大で結構感動的で、SクラスやCクラスのセンターメーターに比べて上方に位置しているので意外と見やすくタッチ操作もしやすいです。
シートは大型で全体的に柔らかい感じで、特にヘッドレストは別体式のふかふかな枕のような感触がゴージャスです。ポジションはしっかり決まります。ただ、フォルムからも想像出来るようにボンネットの傾斜は大きくてほとんど見えないため、車体前部の見切りは良く無いです。前輪中心からのフロントオーバーハングは925mmなのでそれほど長くはないですね。
走り出すと、本当に静かで滑らかです。EVである事を差し引いても、内燃機関のSクラスと同等かそれ以上の静粛さです。もちろん乗り心地も良く、シートがゴージャスな事もあってSクラスやBMWの7シリーズと比べても遜色ありません。
国道のバイパスに出てフル加速しましたが、EVのレスポンスで瞬時に加速に入るものの、驚くほどの速さではありませんでした。パワーは333ps/568Nmと十分にパワフルですが車重が2530Kgあるので0-100Km/h加速は6.2秒のようで、我が家の新ミドリーヌ号(同4.8秒)よりやや遅いです。しかし、モーターならではの滑らかで強力な加速は上質ですね。
ステアリングホイールのパドルレバーは回生ブレーキの段階コントロールで回生を強くするとアクセルペダルの加減だけでほぼ停止まで可能なワンペダル走行になるので、街中の渋滞ではその方が楽で便利でした。
交差点での左折もかなりの小回り感があり、担当の方に伺ったら5.0Mでした。後輪操舵が効いていそうですね。
リアシートもゴージャスでこれまたヘッドレストがふかふかでしたが、頭上空間はそれほど広くなかったです。足元はほぼフラットで広々しているのはEVのメリットですね。車体も大きいので膝前空間も広大で余裕で足が組めます。
トランクは車体そのものが大型な事もあり、前後に長い上にハッチバックなので積載性は良さそうですね。610Lあれば十分すぎますが、一番前に荷物を置くと手が届かないかも(苦笑)。
フル充電での航続距離は700Kmで、15分ほど試乗してバッテリーは94%で残り604㎞の表示でした。これならどんな条件下でも500Km以上は余裕で走れそうなので航続距離は自分の使い方としては合格ですね。
次に試乗させていただいたのはEQEです。そっくりのフォルムに見えますが、こちらは独立したトランクが付いたセダンです。
車内は大型液晶ではなくて普通の眺めでした(写真は英国仕様で試乗車とは微妙に違います)。ハイパースクリーンは通常グレードでは選択出来ず、上級グレードのAMG EQE53にオプション設定だそうです。SクラスやCクラスと同様の巨大タブレット様のセンターモニターですが、ダッシュボードがEQSのように上端にエアコンの吹き出し口が設置してあるレイアウトのためSクラスやCクラスに比べてやや上方に位置しており、こちらの方が視線の移動も少なくてタッチ操作もしやすいです。
シートも普通の感じでEQSのようなゴージャス感はありませんが、ポジションはしっかり決まります。EQSと同様にボンネットはほとんど見えなくて前方の見切りが不明なのはちょっと残念な点ですが、フロントオーバーハングは905mmなのでEQSより若干短いです。
試乗は夕方だったので、助手席側に散りばめられた小さなスリーポインテッドスターが光ります(写真は左ハンドル仕様の写真を左右逆転しています)。オシャレか鬱陶しいかは個人の好みでしょうか。ダッシュボードの上端にはイルミネーションがありますが、これが走行中の条件やブレーキに応じて光り方や色調が変わります。個人的には運転していて鬱陶しかったので色調固定にしたいところです。
走り出してみるとEQSと同様に滑らかで静かです。モーター出力は292ps/565NmとわずかにEQSに及びませんが(ポルシェのような差別化?)、トルクはほぼ一緒で車重がEQSより200Kg近く軽いので同等以上のダッシュです。
リアシートはクラスが違うためかちょっとあっさり気味ですが、足元は同様に広々しています。頭上空間はEQSよりもわずかに余裕が無い感じで「EQS未満Cクラス以上」といった印象です。
トランクは車体が短いためかEQのWクラスと考えると少し小さめの430Lです。こちらはセダンタイプでトランクルームが独立しており天地方向には高さがある感じです。トランクスルーはありますし、普通の使い方なら特に文句は出ない広さですね。
EQSとEQEとCクラスを比較してみると、さすがにEQSは一番大型なので車内も余裕がありますが、空力重視?のワンモーションフォルムなのでリアの頭上空間はそれほど余裕がないですね。ちなみにBMWの3シリーズセダンは957mmでした。車高もCクラスに対して高いですが、その分は床下の電池のスペースに取られている気がします。ちょっと意外だったのがEQEのリアオーバーハングがCクラスより短い事で、そのためトランクスペースがやや少なめなのですね。フォルムだけ比較すると一番小さく見えますが、Cクラスよりも17cm長いです。
EQS、EQEのどちらも滑らかで静粛、かつ上質に加速し、当然乗り心地も良く、満充電なら余裕で500Km以上走れるという点では現時点のEVとしては十分以上の性能で個人的には今買っても良いかな、という出来だと思いました。リアシートも重視する方ならEQSで、それほどゴージャスさを求めない方ならEQEでしょうか。一点だけ、どちらもサッシュレスドアになっていたのが気になりましたが、空力処理を優先するとそうなるのでしょうか。
ハイパースクリーンは個人的には結構魅力的だと思いましたがEQEの標準グレードでは選べないためAMG EQE53になるのですが、いきなり700万円高になるので、そうするとEQSの標準グレードかな、という選択肢になります。しかしEQSだと全長5m超えで幅も広くなり、価格も300万円上がるので悩ましいですね。まあ、このクラスの大型車ならサイズの問題は度外視しても良いのかもしれませんが。
それでは実際に新ミドリーヌ号からの乗り換えの対象になるか、と言えばサイズもかなり大きくなり加速もやや鈍く、満タンでの後続距離も半分近くになるので、EVとしては優秀だけれどもまだまだ、という感じです。本気に購入を検討するとすると、数年して全固体電池でブレークスルーした後か、
EQXXのようなスペシャルマシンならOKなのですが。
それとは別に、いくらゴージャスで高級とは言え1人か2人しか普段乗らないのに5M超えで車重も2.5tの車を乗り回していて良いのか、という疑問もちょっとあります。本来エコなはずのEVがこれほど巨大で重いのは環境に良いとは思えません。
ランボルギーニカウンタックが「V12エンジンを運ぶための車」と言われた事もありますが、現在の高級EVは「大きな電池を運ぶための車」と化していますね。十分な動力性能や航続距離を実現するには大きな電池の搭載が必要になり、そのためには車体も大型化して重くなり、それを動かすために高出力のモーターが要り、それには大型の電池が…という悪循環に陥っている気もします。
これを打破するためには全固体電池のような新技術の実用化を待つか、航続距離を諦めて小さな電池で我慢するかの2択になりますが、高級EVに乗る人が小さな電池で満足出来る訳が無いですし、市販されても売れないでしょう。もう幅は1.9m超え、車重も余裕で2t超えのEVばかりで立体パレットは無理で平地留めしか出来ないと、たとえ遠出してもかなり不便な気がします。
現実的な要求としては車幅は1850mm、車重も2t未満がありがたいですが、現状の技術ではほぼ無理なところが悲しいですね。貧乏人は高級EVに乗るな、というところでしょうか。床下に電池を敷き詰めるような車体構造だとセダンは車内高の点で不利なので、ますますSUVのような形態のEVばかりになるのでしょうね。EQXXのようなEVが出てくるにはあと5年くらいは様子見でしょうか。
ブログ一覧 |
試乗インプレ | 日記
Posted at
2022/12/13 06:30:45